會川昇

登録日:2012/06/13(水) 02:59:47
更新日:2024/01/28 Sun 20:14:16
所要時間:約 9 分で読めます




會川(あいかわ)(しょう)日本の脚本家。本名&旧名義は会川(あいかわ)(のぼる)。東京都出身。
読みが同じなのでよく間違えられるが、決してVシネの帝王ではない。

アニメ、特撮の両面で活躍しており、仮面ライダーシリーズスーパー戦隊シリーズ、ウルトラシリーズの3大ヒーロー番組でメインを張った事のある稀有な人物。

OVA全盛期だった90年代、様々なOVAで脚本を担当していたため、その印象が強いという人もいるだろう。


経歴

『亜空大作戦スラングル』でデビュー。それ以前は雑誌の編集者をやっていたらしい。
いずれにせよ、10代後半というかなり早熟なデビューということになる。

師匠は『人造人間キカイダー』や『快傑ズバット』でメインライターを担当した長坂秀佳。
直接は関係無いが、『劇場版 空の境界』や『テイルズ オブ リバース』を担当した平松正樹は會川の兄弟弟子に当たる。


作風

一言で言うならばドSである。

登場人物の大半は設定の段階で何かしらのしがらみや悩み、トラウマを抱えている事が多い。
ただでさえ日々それらに悩まされまくっているのに、ストーリー開始と同時に更なる災難に襲われてしまうのである。

その災難が話を進める毎に苛烈になっていき、見てる方が気の毒になってしまう事も。

そういった積み重ねの末に雰囲気が陰鬱になり、情勢の整理がつかなくなるため内容についていけず、視聴を切る者も多い。

しかし、登場人物それぞれの境遇への向き合い方が非常に人間くさく、
そんな境遇でも自分なりの生き方を貫こうとする姿勢を描いていくストーリーを評価する層は少なくない。

また、苛烈な話ばかりでなく、担当作品によっては真っ当に教訓的で心の温まるような話を書くこともある。
(例:『炎神戦隊ゴーオンジャー』第8話「最高ノキセキ」)

他に、キャラの複雑な心情をセリフで説明しようとして、かなり長々と要領を得ない説明台詞をキャラが喋る事が時々ある。


原作からの乖離

「アニメにはアニメなりの演出があるんだから、そのままアニメ化して面白くなる訳が無い」
という考えの持ち主であり、彼が担当した原作付きアニメは世界観や作風が意図的に改変されている。

『大江戸ロケット』や『UN-GO』のように根幹から変えてる物もあれば、『ラブひな』『鋼の錬金術師』や『屍姫』のように表面上の設定はそのままだったりとニュアンスは異なるが、
原作からかけ離れた物が出来上がるので、原作レイプと騒がれる事も少なくない。

この事もあってか彼が担当した作品の原作ファンからはかなり警戒されており、辛辣な目で見られている。


降板

実はかなり我が強い人物で有名。
前述のような苛烈な展開が行きすぎて咎められるなど、他のスタッフと衝突する事が多く、
結果的に事態が収束せずに會川がそのまま降りたとされる番組がそれなりの数に上る。

アニメ制作以外の現場でも衝突が多いのか、担当作品のノベライズを執筆した際にもリリース直前になって発売中止になったケースが多い。

近年では『仮面ライダーディケイド』での降板が話題に出やすいが、彼の全盛期を知るアニヲタからすれば「いつもの事」だったらしい。
もしかしたら降板しない方が珍しい脚本家なのかもしれない。


途中降板したとされる作品


第1話を担当。普通ならそのままメインを担当するはずだったが、第4話を書いて降板。

  • THE八犬伝
OVA。第1期の脚本を担当するも、新章は第1話で降板。

  • 七星闘神ガイファード
3人いた脚本家の一人だったが、第二部以降に唯一参加せず。

  • 十二国記
全45話中40話を担当したが、ラスト5話を藤間晴夜が担当。

2クール目から参入。深見ゴウ関連の話を主に執筆するも、3クール目以降には参加せず。
(「中島かずきにゴウ関連の話を書かせたから」だとチラホラ)

メインライターだったが、1クールで降板。本人曰く「不幸な事があった」が詳細は不明。よっぽど急な降板だったらしく、會川は一時期無職に。
ちなみにこの後に特撮関連の仕事からしばらく離れるが、2013年3月31日に逝去した長石多可男監督を偲ぶ会にて宇都宮孝明Pに声をかけられ、
彼の担当作品『仮面ライダーウィザード』の第52話と最終話で4年と半年ぶりに復帰した。

その他にも降板した疑惑のある番組が幾つかあるが、真偽は不明。


総評

これらの要因が重なってか、彼やその担当作品に関する情報量とその見方で評価が大きく変わる脚本家である。
原作や會川が関わってない前作がある作品を担当した場合、それらの知識があるファンの大半から批判の声が上がるのは避けられない。

しかし、誤解してはならないが、彼が改変した世界観は非常に完成度が高く、伏線もちゃんと回収する。
ストーリー終盤において解釈の難しい展開が起こる事もあるが、そのストーリーを組み立てる手腕から、前知識のない新規視聴者からの評価は高くなりやすい。


ちなみに90年代にラジオでパーソナリティを担当しており、その時に放った様々な慇懃無礼な発言の記憶から彼を嫌う者も居る。


交友関係

10代の頃のライター・エディター時代に取材を通して知り合った井上敏樹とは30年来の付き合い。
一緒に飲みに行った際のエピソードを會川が雑誌に載せる事が多く、その際の「『電王』には参加する」「東映の用心棒」といった発言は井上のアンチが活発になる原因になる事が……。ホントに仲良いの?この2人。
また、『疾風!アイアンリーガー』では、腕相撲で骨折した井上の代わりに會川が脚本を担当したというエピソードがある。

『語ろう!555剣響鬼』においては、両氏のエピソードがいくつか紹介されている。

井上「最初は仲が悪かったんだよ。あいつ生意気じゃない?いつもドヤ顔してるしな(笑)。まあ腐れ縁で今でもたまに飲むね、メシ食ったりね」

一方で會川は、井上の手掛けた作品の中で『劇場版 仮面ライダー555 パラダイス・ロスト』を非常に高く評価しており、「あの劇場版の先にはもっと可能性がある」とも絶賛している。
ただし、同映画のラストシーンについて「(真理がオルフェノクを受け入れた証として)真理はオルフェノクの姿の巧と手をつないでなきゃダメだ」と井上本人に言い、「バカ、お前はなんにもわかってない!(笑)」と返されたという。
井上「それだとホンが分かりやすすぎる」「あいつ(※會川)ってちょっと頭で考えるヤツだから」とのこと。
ちなみに會川が『ディケイド』で描いた『ファイズの世界』では、ラストシーンで尾上タクミと友田由里が手をつないでいる。

井上も「あいつはハマれば、いい仕事するんだよ」と會川を高く評価しており、「(『仮面ライダー剣』で)會川は頑張ったよね。あのときの會川はよかったんじゃない?」「『ハガレン』もよかったよな」と評している。


『ウルトラマンG』で組んだ小中千昭とはウマが合った様子で、一緒に映画を見に行くなどかなり仲が良かった模様。
近年は疎遠だったそうだが、『ヒーロー、ヒロインはこうして生まれる』の対談で再会した。
(因みにその際、會川の余りにもディープなヲタトークに小中すら付いて行けず、いつしか聞き手に徹してしまうという始末だった)



担当作品





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最終更新:2024年01月28日 20:14