消しゴム

登録日:2011/02/10 Thu 23:09:09
更新日:2024/04/18 Thu 15:29:51
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文房具

「文房具」と聞けば鉛筆の次に挙がるほどメジャーな文房具の一つである。

これを使えば、なんと鉛筆で書いた文字を消すことができる。
本来は天然ゴムを用いたもののみを「消しゴム」と言うが、現在はプラスチックを用いた「プラスチック消しゴム」が主流であるため、
消しゴムと言う名称は総称となっている。
なので、工業的には「字消し」が正式名称である。
また、いわゆる「プラスチック消しゴム」にはちゃんと「プラスチック」と表記して販売することが、JIS規格によって定められている。

かと言って天然ゴム製の消しゴムは廃れてしまったわけではない。
シャープペンシルのキャップの中などに仕込まれている小さな消しゴムなどは強度の問題や、
癒着の問題(後述)などからプラスチック消しゴムを使うことが難しく、天然ゴム製消しゴムが使われることが多い。

天然ゴム消しゴムは現役である。


◆消しゴムが字を消すメカニズム

鉛筆によって紙などに付着した黒鉛の粒子を消しゴムが吸着し、剥がすことによって字を消す。
消した後の紙表面をよく見てみると、筆圧による跡がみられる。
一度黒鉛を吸着した後は再び吸着しにくくなるが、こすった圧力でその部分は消しゴム本体から剥がれ落ち、まだ吸着していない部分が現れるため、
次々に字を消すことができる。
いわゆる消しカスの誕生である。
よく出来ている。

なお、これは黒鉛だからできることであり、他の顔料を用いたいわゆる「色鉛筆」の字は消しにくく、紙に染み込むボールペンなどのインクを消すことはできない。
もし消すことができたとしても、それは圧力によって紙の表面を削っているに過ぎない。

紙を破損させる事によって確かに内容は消えると言えなくはないが。


◆消しゴムの登場以前

消しゴムがまだなかった時代は、パンが使われていた。
映画や何かで絵画のデッサンにパンくずを使ってるシーンを見たことがある人もいるのではないだろうか。

字消し用のパンと言うものもあった。

現在主流である「プラスチック消しゴム」は日本の企業が開発したものである。


◆主な消しゴムの種類

◇プラスチック消しゴム

消しゴムの代表格にして代名詞。
消しゴム of the 消しゴム。

他のどんな消しゴムよりも優れた消字性(※こんな言葉はありません)を誇り、世界中で活躍する消しゴムの王様。

原料に「可塑剤」という、言わば柔軟剤のようなものが使われている。
そのせいで、樹脂製のペンケースなどにそのまま入れようものなら、たちどころにペンケースに癒着してしまう。
それを防ぐために、ほとんどのプラスチック消しゴムには紙製のカバーが取り付けられている。

「つかったあとは、きちんとケースにしまいましょう」

カバーのフチが支点となって、消しゴムがヘシ折れる、
と言う事故がよく起こる。

たまにカドを異常なまでに大切にする者がいる。
貸し借りの際には充分気をつけよう。


消しカスが散らばらないタイプの「まとまるくん」
カドが無数にある「カド消し」
など、様々な商品が開発されている。


練り消し

ゴム。
練り消しと言えば小学生が好むフルーティな香り付きのカラフルなシロモノがイメージされがち。
しかし、本来練り消しは実用品である。

精密な設計図や絵画に用いられる。
固いプラスチック消しゴムなどでは紙を傷付けてしまう恐れがあるのでこちらを使うことが多い。
ただし、それほど消し易くはない。
もちろんこちらに使うモノは、カラフルで香り付きなんてことはない。
そう言った子供向けの練り消しはさらに消しにくい。

フルーティな香りがするからと言って食べられるわけではない。

プラスチック消しゴムのカスを集めて固めてよくコネて…練り消し、とかやった人も多いと思われる。


学校によっては「玩具である」と見なされ、使用禁止になっている場合がごく稀にあるようだ。
愛好家は転校の際はよく確認しよう。


◇砂消しゴム

天然ゴムを原料に作られる固い消しゴム。
触るとざらざらしているが、砂が含まれているわけではない。

そのざらざらとした触感で、紙の表面を削り、字を消すことを目的としている。
なのでボールペンなどによる字も消すことができる便利なシロモノ。
表面が削れるので、削りすぎによる穴あけには注意。
漫画家がスクリーントーンを削る時にもコレが使われていたらしい。

……が、「修正液」の台頭によりますますその立場はなくなっている。
ただし大人になると「修正液による修正は無効」という各種官公庁提出書類対策として使われる事もある。
水性ボールペンより油性ボールペンの方が、紙繊維への染み込みが弱く消しやすいという豆知識も覚えておこう。
なおもっと消しやすいのはコピー機のトナー。

なぜかおじいちゃんとかがよく持っている。


◇スーパーカー消しゴム

昭和期に発売されたクルマの形をした消しゴム。
もともとはガチャガチャの「ハズレ」の景品であったが、スーパーカーブームも手伝ってか大ヒットする。
後に一般販売もされた。
ラインナップにはスーパーカーのほか、レーシングカーや国産車も名を連ねた。
ミニカーでも発売されないようなマニアックな車種が出た一方、裏面を見ないと車種が識別できないようなモノまで種類は千差万別。

ノック式のボールペン*1などで弾いて、相手の消しゴムに当てるなどの遊び方がある。

消しゴムと銘打ったのは、娯楽の少ない学校にいかに堂々と玩具を持ち込めるか、の挑戦であった。

実際学校に持ち込み、休み時間に遊ぶ生徒が急増し、一大ブームとなった。
それだけならよかったが、遊びの中で「負けたら没収」と言うルールが流行り、一種のギャンブルのようになっていった。

これに当然よろしくないお顔をなさった学校関係者(笑)の皆様方や保護者御一同様(笑)は、直ちにスーパーカー消しゴムの学校への持ち込みを御禁止なさいました。

この現象は全国規模になった。

もしかしたらPTA(笑)の犠牲者の始祖かも知れない。
面子(めんこ)がよくてなぜこれがダメなのか。

現在は自動車メーカー公認のコレクターズアイテムとしても発売されているほか、オークションでも当時モノが比較的安値で手に入るので興味のある方は探してみてはいかがだろう。


キン肉マン消しゴム

スーパーカー消しゴムブームの末期頃に登場した玩具。通称「キン消し」。
当時のブームであったキン肉マンのキャラクターを模した消しゴム。
スーパーカー消しゴムと同様に「玩具」ではなく「消しゴム」として学校に持ち込み遊ぶブームとなった。
が、やはり学校関係者(笑)や御保護者(笑)の皆様方が御目を三角になさり、激怒(笑)なさいまして、またもや社会現象となった。


スーパーカー消しゴムやキン肉マン消しゴムに共通して言えるが、消しゴムとしての用途には向いていない。
もし無理矢理使おうとしても、消しゴムが黒く染まり上がるだけである。

「消しゴム」と称されるのは、プラスチック消しゴムと同じ主成分(ポリ塩化ビニル)で作られているため。
なお、どちらも正式名称ではない。

ぶっちゃけると本質的にはゴム人形である。
この流れでガンダムのも「ガン消し」と言われている地域があった。


◇食用

……として用いるべきではない。
だが、いつの時代もクラスにひとりは消しゴムをカジる癖がある者否、勇者が現れると言う。
おいしくはないはずである。



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最終更新:2024年04月18日 15:29

*1 特に三菱鉛筆製の「BOXY」が、本体が四角い形で机に接地しやすいことから重宝された。