※上記の広告は60日以上更新のないWIKIに表示されています。更新することで広告が下部へ移動します。

  • ヌエ編
 ヒザマの事件から数日後の夕方、ヤタは事件で負った傷の療養で廃バスで大人しくしていた。そこに突然現れるお色気たっぷりの女性!
「坊ちゃん、怪我したんですって!?」
「げっ、姐貴!??」
「どうせまた無茶したんでしょ!どうしていつもいつも」
「うるさいやい」
「いいえ黙らないわ!ちょっと坊ちゃん借りてくわね!」
 嵐のように現れた女性は、そのままヤタを無理やり連れだしてしまう。去り際、イナバを見て女性は「あぁ、貴女が噂の家出女」と言い
捨てる。ムカッとくるイナバ。
「誰、あの失礼な人」
「ヌエだよ」
「あいつの何なの」
「えーっとね、恋人?」
「えええ!?だって年増…じゃなかったどうみてもすごい年上じゃない!?」
 ヤタが女性と付き合っている、しかも年上ということに驚くイナバ。
「追いかけましょ!!」
「何で?」
「そんな女と付き合ってるとかキュウビの教育に悪すぎ!あいつ本当不潔!一回説教しないと!」
「いやそれには色々あって…」
「早く!!!」
「はい!」
 という訳で、イナバとキュウビもヤタ達を追うことに。

 ヤタと女性は蛟龍町の一番街、つまり歓楽街へと来た。
「姐さん、何の用」
「嫌!昔みたいにヌエって呼んで坊ちゃん」
「坊ちゃんって呼ぶなって言ってるだろ!」
「いいじゃない、久しぶりに会うのだし。今日は泊まって行くでしょう?あと1ステージで仕事が終わるの」
二人は、歓楽街にあるストリップ劇場「以電子」へと入っていく。その様子を見守るイナバとキュウビ。
「ちょっとちょっとどういうこと!あんな店入るなんて!」
「ヌエはあそこの踊り子なんだよ」
「売春婦じゃない!!?不潔も不潔、サイテー!!」
一人で憤慨するイナバ。それを見ていたキュウビは、通りすがった顔見知りのヤクザに話しかけられる。

 ストリップ劇場の楽屋、ヌエはステージが終わるまで待っててとヤタを楽屋で待たせる。
「きっと待っててね。じゃないと私、泣いちゃうから」
「はいはいわぁーったよ!」
にっこり笑って出ていくヌエ。廊下で男二人と出会う。
「そう、ついてきたの」
「あれは中々の上玉ですぜ。処女に違いねぇ」
「それは嬉しい報告ね。構わないわ、女がここに入ったらどうなるか、思い知らせてやりなさい」

 外で様子を窺っていたイナバは、キュウビがいなくなったのに気付く。そこへ男二人が話しかける。
「こんにちは可愛いお嬢さん」
「はぁ」
「いやぁ君みたいな可愛くて可憐な人には会ったことないなぁ!女優になったら大ヒット間違いなしだ!」
「えぇ?そんなことないですよぉ~」
「いやいや、実は私、女優プロダクションのプロデューサーでしてね。どうでしょう、そこのビルでお話でも」
「え~困っちゃうな~私家出中だし~」
と言いつつも、ついていってしまうイナバ。その様子を見たヤクザの男は、キュウビに別れを告げる。イナバがいなくなったことに気付く
キュウビ。

 一方楽屋で待つヤタ。そこへ二人の娼婦がやってくる。
「あら、姐さんが機嫌いいと思ったら、珍しいわね」
「本当!どうしたのヨリでも戻したの?」
「んな訳ねーだろ。拉致だよ拉致」
 二人の娼婦はイモリとヤモリ。男女の双子だが、性転換手術をして、男だったイモリは女に、女だったヤモリは男に。二人はこのストリ
ップ劇場で働いている。二人はきゃいきゃいと話しかけ、また遊びましょうよと誘惑するが、ヤタに二度とごめんだねと断られる。
「そんなこといって遊びまくってるくせにぃ」
「そろそろうちの子達コンプしちゃうんじゃない?」
「何で知ってるんだよ」
「あら知らないのね自分の価値を。八咫鴉と寝たなんて自慢よ自慢!」
「あなた結構顔かわいいし。まぁ性格はアレだけど」
「うるせえな!俺は女なら何でもいいの!」
「そうなの?でも…」
「ヨリ戻しちゃいなさいよ!今でも寝てるんでしょ」
「何故知ってる!」
「だって次の日の姐さんのステージ最高なんだもの」
「最悪だ…」
「それとも、今はお気に入りの子がいるのかしら?」
「白ぉくて小さくて、独りにしたらすぐ死んじゃいそうなウサギみたいな…」
「イエディのことか?あいつはそんなんじゃねぇよ」
「でも今頃狼に食べられてるかもよ。ここは危険だから」
「!もしかして来てるのか!?」
「あ」
「イモリ!話過ぎ!」
 楽屋から出ていこうとするヤタを止める二人。
「駄目!姐さんに怒られちゃう!」
「ヤモリ!姐さんの仕業だって絶対言っちゃいけないって!」
「ヌエ?姐貴の名前がどうして出てくるんだ」
「いや、あの、あ、そーだ一発ヤってく?」
「おいどういうことだ、話せ」
「に、二三発でも…」
「てめぇら…もぎとって元の性別に戻してもいいんだぞ」
『ごめんなさい…』

 怪しいビルで面接を受けているイナバ。
「年齢は?」
「花の17歳です!」
「演技は?」
「やったことないけど…猫を被るのは得意です!」
「スリーサイズは?」
「ん?」
「ぶっちゃけ処女?」
「ちょっと何でそんなこと聞くのよ!?女優でしょ!?」
「馬鹿だなお嬢ちゃん、女優は女優でもAV女優だよ!」
「なっ…騙したのね!私帰る!」
「おっとぉ帰す訳にはいかねぇな。この街に来た意味を体で分からせてやるよ!カメラ回せぇ!」
「ぎぇえええええ!!」
 無理やり犯されそうになるイナバ。そこへドアを蹴破ってヤタとキュウビが乱入する。かくしてヤクザ達は制裁された。
「うわーん!もう少しで犯されるとこだったよー!」
「ごめんねイナバ、僕が目を離したばっかりに…」
「何でついてきたんだよ!馬鹿じゃねぇの!」
「馬鹿はアンタよ!何で売春婦なんか不潔な人と付き合ってるの!」
「付き合ってねーよ!別れたんだよ!!」
「嘘!だってあの人すっごい私睨んでたもん!」
「姐貴が?ははぁなるほど」

 ステージが終わり、晴れやかな顔で楽屋に戻ってきたヌエ。しかしそこにはすごい怒ったヤタと泣いているイモリとヤモリが待っていた。
「さぁ、洗いざらい話してもらおうか」
「げ…アンタ達、話したわね!何てことするの!」
「怒られるのはお前の方だよ!!」
 陰謀の全貌はこうだった。最近ヤタと仲が良いと言われるイナバを引き離すために、ヤクザの男どもに命令してイナバを売春婦にしようと
した。当然キレるヤタ。
「そ、そんなに怒らないでよぉ、だって貴方娼婦の子が好きじゃない?だからあの子もって、この、姉心?」
「ふざけんな!」
「ごめんなさいってばぁ。ね?謝るから仲直りしましょ?ほら今日はお泊り…」
「ヤダ!」
「そ、そんなぁ坊ちゃん…」
「呼ぶなっつってるだろ!俺は八咫鴉だ!あと、今後一切俺たちに関わるな」
「こ、今後一切って…」
「絶対だ!じゃあな」
 そう言い放って劇場を去ってしまうヤタ。外で待っていたイナバとキュウビはこの恐るべき陰謀を全く知らない。
「嫌いだ。こんな街大っ嫌いだ…」
「お前が不用心すぎるんだよ田舎者」
「何よ!大体アンタが悪いんでしょー!」
「まぁまぁ二人とも。帰ろうよ、もう夜だよ」
 ネオンがつき始め、いよいよ歓楽街らしさを増した雑踏を帰る三人。

 楽屋に残されたヌエ。寂しそうなその背中にイモリとヤモリが話しかける。
「ごめんなさい姐さん。あまりにも脅迫が怖くて」
「計画…失敗しちゃいましたね」
二人の声にヌエは怒ったように返す。

添付ファイル