ロック(超人ロック)

登録日:2011/07/18 (月) 23:41:54
更新日:2024/04/03 Wed 00:37:06
所要時間:約 10 分で読めます




原作者の手で描き続けられている作品で、日本漫画史上一、二を争う程長く主人公を張ってる男。
それが超人ロックの主人公、ロックである。


この作品は数千年に渡る宇宙の歴史を彼を中心として描いている物語なので、その存在は作品そのものであると言ってもいい。



■概要
ツンツン立った緑の髪がトレードマーク。
一人称は「ぼく」「僕」。稀に「私」。

人類が宇宙へ飛び立つ前から生き続けている超能力者。
寿命すらリセットする程の強力な若返り(通称「再生」)が特定の周期で発動する体質で、結果的に不老不死になってしまっている。
「再生」はシリーズでも他に類を見ない能力で、科学技術の発達により外見的な若返りとある程度の寿命の引き伸ばしは実現したものの、不老不死まで至った人間は彼以外誰ひとりとして存在しない。
遺伝的な要因で得た能力ではないらしく、敵の策略で量産されたロックのクローンたちも「再生」は引き継いでいなかった。
他人にも使用可能で、エピソードによってはある悪人を精子と卵子まで戻して殺害したり能力の暴走で周囲の人間を無差別に消滅させたりしていた。おっかねえ…

シリーズ開始初期は自身の特異な体質と超能力者への迫害に苦悩することが多かったが、長い年月の内に達観していったのか次第にそのような言動は少なくなっていった。
その一方で親しい人と必ず死別しなければならない悲しみは変わらず感じているらしく、そんな内心を切々と吐露する場面もあった。
「おまえたちが好きだ。もう失いたくはない。だが 僕はこの先もずっと生き続けることになるだろう。おまえたちがいなくなったあとも… ずっとずっとだ」
「身を切られるような思いをして やがては慣れる。これまでのように」
だが、そのことで世間へ攻撃的になったり自身の境遇を憐れんだりはしておらず、大抵の場合は周囲と良好な関係を築いている。人付き合いもそう悪くはない。ただ、十分に金を稼いだ後は隠遁生活を決め込みがちなくらいで

数々の歴史的な出来事に関わっており「伝説の超人」として語られることもしばしば。
しかし、どうしても矢面に立たなければならない時以外は「地位とか名誉とか興味ないし偉い人は苦手だから極力表舞台には立たないよ」という身の振り方をするため明確に名前や活躍が残っていることは少ない。
そのせいか、平穏な時代の一般人には「実在したかどうかわからない謎の人物」と認識されていることが多い。
多分、現実世界でいう所のサンジェルマン伯爵みたいに思われてる。

そんな彼の素性はものすごく変幻自在。
何故なら…


■千変万化
ロックは能力の一環として他人のマトリクス(身体のデータの様な物)をコピーして全く違う人物になる事ができる
これを利用して性別を超えることすら可能で、母親として一人の女の子を赤ん坊から一児の母になるまで見守った事もあった(ついでに企業のボスにまで上り詰めていた)。
流石超人そこらのTSとは格が違う。

「あの人は俺の大切な人なんだ! 親代わりなんだ!」
「ああ、彼女か……あれは僕だよ」

こんな事もある。軽いホラーだろこれは。

必要に迫られれば自分の記憶まで操ってまったくの他人になる。
意外な人物の正体がロックだった…なんてこともザラ。

「再生」を行う度に新たな人生を歩んでいるため、ある時は紡績工場の工員、ある時は大学の先生、ある時は医者、ある時は軍人、ある時は農民、ある時はトラックの運転手、ある時は……すいませんありすぎて全部書こうたって無理です。

登場時は20代前半の青年の姿をとることが多いが、それでも実際のシリーズ内で
純真無垢なショタ

140年後には天才肌の少年

更に20年後には世の中に憤りを持つ青い若者

その140年後には世を捨てたおじいさん

そして更に300年後はそこらへんにいる若者
…と、こんな感じに姿を変えている。

性格はそれぞれのエピソードの作風や描かれた時期、どの時系列に属するかで変わってくるが、基本的に
  • 穏やかで理知的
  • 面倒事や犠牲を出すことを嫌う
  • 知人の危機には駆けつける
  • 頼み事は割と引き受ける
  • あまり目立ちたがらない
  • やたら身持ちが固い
  • 暇な時はもっぱら農業関係の仕事に就く
  • 大量虐殺ダメ、ゼッタイ
  • キレると非常に恐ろしい
といった感じ。
キレたロックの恐ろしさについては某エピソードの「怒り心頭のロックを本来なら超能力なんて使えない状態にして爆発しつつある惑星に取り残したら、気合でテレポートしてそのまま殺しに来た」という展開から推して知るべし。

ロック本人は自分のことを「ちょっとクセのある普通の人間」と語っている。
「キミが普通だと言うなら わしらは赤ん坊以下だな」
「でも…… 普通なんですよ」
「悲しいことがあれば泣くし 面白ければ笑う 予期しないことには驚く」
実際、「超人ロック」で描かれた長い歴史のどこを切り取ってもロックの人間性はそのままで、彼の指す「普通の人間」の感性を有し続けている。
そこが彼の悲しいところであり魅力でもある。

その辺に惹かれるのか作中では割とモテるが、長生きしてるせいか女性からのアプローチにはあまり積極的に応じない。
それでもロックの鉄壁のガードを破って結ばれる女性も存在し、「シャトレーズ」に登場するミルバは非エスパーで幾度となくアプローチを回避されたにもかかわらずひたすら意地で食らいつき、最終的にロックから新居とダブルベッド付きで逆プロポーズ(?)された。
なお、「風の抱擁」によるとロックの最後の妻は第三波動を扱う特殊なエスパー、ミラであり、これ以降の時系列で誰かと結ばれることはない模様。


■ロックの超能力
若返り以外にも「不可能な事は何もない」と噂される程の幅広い力を持っているが、実は自前の能力は非常に少ない。
ロックを万能の超能力者たらしめているのはどんなESPでも一目見ただけで自分のものにしてしまう天性のラーニング能力と驚異的な応用力・成長力である。
それがどれほどのものかというと、初見の能力を自分のものにした上で更に強化して相手に返すまで一戦闘かかりませんというレベル。ひどい。
不老不死の大きな要因になっている治癒能力すら意識的に使えるようになったのは宇宙歴元年以降で、一番古い時系列のエピソードである「冬の虹」開始時点では透視(使う間は目隠し必須)とテレパス(全然制御できてない上に本人の精神への負担が重い)くらいしか使えなかった。
抗ESP能力や電子使いなどの特殊な能力以外は片っ端からラーニングしまくるため、超能力に著作権があったらロックは相当腕のある弁護士を雇わなければいけないなんて言われていたりもする。しかも電子使いは結局並以上に使えるようになってるっぽいしね!

力の出力があまりにも強すぎるので普段はリミッターがかけられてる。
リミッターが外れた際は若返りすぎてショタになる…まではともかくとっさのカウンターで街並みを破壊したり都市が丸ごと吹き飛んだり敵から逃げようとして生身の同行人ごと宇宙空間へテレポートして殺しかけたりと冗談抜きに危険な存在になっていた。
この時は無辜の人間を数多く手にかけてしまったため本人もトラウマに思っている節がある。

なお、超能力抜きでも軍事施設にほぼ単身で潜入&破壊工作で陽動&宇宙船を奪取するくらいには強い。

「書を守る者」で数々の物騒なスキルを如何なく発揮しているロックがどことなく楽しそうに見えるのは多分気のせいじゃない。
「どこかお金持ちの口座をさがして すこしそこから貸してもらう」
「あの中からてきとーなのを1隻ぶんどってここを出てゆくのさ」
本人曰く「長いこと生きているとね いろんなことをおぼえるようになるのさ」とのことらしい。年の功っょぃ。



■超能力一覧(一部)
  • サイコキネシス
宇宙船とかでも持ち上げる。
作中で確認できている範囲では動力を失った800万トンの空中都市の落下を押し止めるまでは可能(さすがに単独で完全に止めることはできなかったが。)

  • テレポート
距離は光年単位。星間移動もお手の物である。
自分のみではなく周りの人間も一緒に飛ばせる。
ただし距離が長くなる程に精度が落ちるため、長距離移動ではもっぱら下記の鏡を用いる。

  • 傷の修復
瞬時には治らないし体力も戻らない。
体内の水分を使用するようで、修復中は体から蒸気が発生する。
致命傷どころかロボトミーや体の炭化、果ては輪切りからでも生き返る。彼の不死身っぷりの大きな一因である。
本人いわく「けがや病気を治す力は 皆もっているんだよ」「ぼくはそのプロセスをちょっと速くするだけさ」とのこと。
あくまで「自分は普通の人間である」というスタンスは崩さないようだ。だがそこがいい。

  • サイコバリア
太陽の中に突っ込んでも大丈夫。

  • 催眠 、幻覚 、読心、透視
文字通り。

  • エネルギー吸収ボール
テレポート能力の応用で空間を捻り、黒い渦の様な球体を作り出す。
宿敵ロードレオンからパクッたもの。あらゆるエネルギーを吸収する。
レーザーや超能力を防御したり機械や人間にぶつけて行動不能にさせたり、果ては光エネルギーを吸収して惑星を丸ごとひとつ外部から見つからないようにしたりと割と応用が利く。

  • サイコスピア
「光の剣」とも言う。
棒状に凝縮したエネルギーを投げつけるロックの得意技。
対艦ミサイル並の威力で放たれることが多いが、最大出力だと超新星爆発級の威力があるのだとか。
これがなかったらかめはめ波も生まれなかっただろう。

  • ラフノールの鏡
精神力で作る多次元空間結晶構造。
超堅いバリアとして使ったり宇宙船や飛行船代わりに飛び回ったり相手を封印したりと万能な能力。
閉じ込められたら出方を知らない限り脱出できず、その状態で鏡を砕くと中の相手もコナゴナになる。
サイズを小さくすれば意識を割かなくても半永久的に保たせることが可能。

  • 「生きている岩」のコントロール
超能力を用いて「生きている岩」と呼ばれる某BETA的な生命体とコンタクトをとることで、自分や他人に流れる時間を自由自在に操る事ができる。
イメージ的には藤子・F・不二雄先生の倍速に登場する倍速時計の調節できる版か。

  • 月光
パワーバランスが崩壊するインチキ能力。
頭上に三つの月を作りだし、その光を浴びた対象の存在確率を極端に下げて超能力を打ち消す。
実際の描写はないが使用し続けると超能力者自身も消滅させると言われている。

  • 電子使い
コンピュータの端末からキー入力などを行わずに直接プログラムに干渉する能力。一流ハッカー顔負けのハッキングを行える。
血筋によって遺伝していくタイプの超能力でロックはどちらかといえば不得手だったため、銀河帝国時代は賢者リューブの子孫でその能力を持つリート・フリーマン(息子)やノーマン・フリーマン(孫)やミーシャ・クラム(リートの傍系の曾々孫娘)に協力を仰いでいた。

…が、例によっていつの間にか使いこなしていた。

  • 結界
ラフノールの鏡より堅いバリアで相手を覆う。

  • 門(ゲート)
遠く離れた宇宙に繋がる穴を開ける。「結界」と合わせることで宇宙追放の極悪コンボが完成する。


これらの多彩な能力に加えて長い年月で培った戦闘経験があるので、ぶっちゃけ対処出来ない事態はほとんど無い
経験したことのない新しい能力と出会っても大抵は戦ってるうちにラーニングして自らの糧としてしまう。いくらなんでもハチャメチャすぎるだろ。

しかし、これらの能力は「第一段階」で使用するものに過ぎず…


  • 第二段階(セカンドフェーズ)
ロックが超人と呼ばれる由縁がこの「第二段階」である。
ロックが絶体絶命の危機に陥った時、または激しい怒りに襲われた時に発動する能力で、第一段階とは段違いのエネルギー(少なくとも第一段階の8倍以上)を放出する暴走状態である。
この状態なら星を滅ぼすくらいは容易く、対峙した相手は「ひ!」と叫んで瞬時に蒸発するのがお約束である。



■弱点


…と、ここまで書いた情報を見る限り、ロックは紛れもないチート野郎である。


だがしかし。


「超人ロック」の数あるエピソードのほとんどで、彼は…




めさくさ苦戦している。


まず、いかに超人ロックとはいえ生身の人間には違いないので、防御できなければ普通にダメージを負う。
次にエスパーの宿命としてESPジャマーという機械に対して弱く、これを使われると時には行動することすら非常に困難になる。最近じゃ足止めにもならんことも多いが。
そして催眠や洗脳に比較的弱い。あくまで比較的であり普通の催眠や洗脳は効かない…というか、場合によっては暗示カウンターを仕掛けるくらいなのだがそれでも弱い
不意を突かれて暗示にかかった結果危うく宇宙船爆破テロの共犯になりかけたり、催眠装置で拳銃自殺させられそうになったりと、割と洒落にならないピンチに陥っている。
どっぷりヤク漬けにされた末に洗脳されて敵に回ったこともあった。

人質作戦もとてつもなく有効で、他人の命を盾に取られるとものの見事に動けなくなる。

「気を付けろ ロック
 長官を殺してしまうぞ くっくっくっ」
「……………
 ……………」
「き…さま」

「殺してやる」
「必ず!」

人質とは少し異なるが、ある惑星に住む人々を救うために勝算もないまま宇宙艦隊を落としに行ったことがある。たったひとりで。
また、赤ん坊まで若返る「再生」の最中は思うように超能力を使えなくなってしまうが、流石にこれは「再生→肉体の限界が訪れる→再生」のスパンが超絶的に長いためそう何度も起こる事態ではない。


このように、万能の最強キャラでありながらそれなりに付け込む隙があるのがロックというキャラである。
だが、度々窮地に陥ってはそれを脱しているのもまた事実。彼を確実に無力化しようと思うならいずれ解ける可能性を承知の上で精神を操るか、第二段階にならない程度に追い詰めて意識不明に陥らせた後で冷凍やらなんやらで封じ込めるのが一番である。
間違ってもそれ以上は望んではならない。




最後に




■最大の超能力
言うまでもなく雑誌&出版社破壊今までに10の雑誌と3つの出版社を潰した
とはいえ、中には追い込まれた末の「ロック頼み」をするところもあったのでなんともいえない。

ちなみに現在はヤングキングアワーズとコミックフラッパーで二誌同時連載を続けている。
特にヤングキングアワーズは2004年からの付き合いで連載開始から10年以上経っている。
数々の雑誌を渡り歩いてきた「超人ロック」も、とうとう終の棲家を見つけたのだろうか…。




ロック最大の超能力に立ち向かえる方の編集を願っております。

画像出典
超人ロックSpecial Vol.12 探偵編 Part3 著者:聖悠紀、こやま基夫、佐々木淳子 出版社:ビブロス 刊行年:2005年
超人ロック (5) (ビブロスコミック文庫) 著者:聖悠紀 出版社:青磁ビブロス 刊行年:1996年

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最終更新:2024年04月03日 00:37
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