SCP-001-JP > Ikkeby-Vの提言

登録日:2019/04/29 Mon 17:18:18
更新日:2023/09/17 Sun 23:28:40
所要時間:約 11 分で読めます






神のみぞ全てを知る。



Ikkeby-Vの提言とは、シェアード・ワールド、SCP Foundationに登場するオブジェクトの1つであり、SCP-001-JPに関する提言枠。
オブジェクトクラスThaumiel。財団の切り札だ。


はじめに


SCP-001-JPはかつて財団によって建設された、“第4種巨視的量子現象および制御人間原理に基づき駆動する抽象的・概念的な装置あるいはシステム”……要は財団製のビックリドッキリメカ。

SCP-2719とかの機械系や未知のテクノロジーが用いられたSCiPはどいつもこいつもクソ難解な言葉ばかりが並べ立てられているので、この項目ではそれを噛み砕いて解説するわけだが、ここでどうしても意訳が含まれる。

そのためこの項目はあくまでも筆者のヘッドカノンとして書かれていることに注意されたし。


概要

さて、まずはこいつの機能から。
SCP-001-JPは、『生きている』と『死んでいる』の異なる事象が重ね合わさった状態を作り出して、さらに『強い重ね合わせ』に拡張することができる。

冒頭の通り、コレには修正コペンハーゲン理論による量子学現象の第4種巨視的量子現象*1が使われているらしい。
何?量子学がわからん?みんな大好きなSFで用いられてるアレだよ、アレ。シュレディンガーの猫

+ 詳しくはリンク先を参照するとして、
箱の中に猫と放射性物質を入れて、放射線を感知する機器と青酸ガスの装置をセットしておく。すると放射線が発生した時猫は死ぬが、フタを開けて観測するまでは“生きている”と“死んでいる”の異なる事象が『重ね合わせ』状態になっている……という思考実験。
この『重ね合わせ』状態はチラッとでも観測してしまったら、例えばシュレディンガーの猫なら蓋の隙間からちょっとでも猫を見てしまったら、猫が生きているか死んでいるかが確定し、『重ね合わせ』状態が解除されてしまう。
だが、『重ね合わせ』状態が強くなると、一部分を観測しただけでは確定までは至らず、事象の限定までにとどまる。先ほどの例ならばチラッと見えたが猫が死んでるのか寝ているのかわからんがとにかく動いてはいない、みたいなニュアンスで観測されるわけだ。

これをモチーフにした『選択肢から、都合の良い結果だけを現実にできる』能力があるが、財団としてはこれに加えて『強い重ね合わせ』状態を維持したい。

そこで登場するのが、ありとあらゆる分岐した並行世界をレイヤー化し、基底世界に定着させる「絶対的可能性ドライブ」
使えば都合の良い結果、例えば、クソトカゲが弱っちい世界があるなら、その軟弱さとかを引っ張り出してこれるわけだ。

文句無しのThaumielだが財団はオブジェクトの無力化を“しない”のではなく、できない
かつて動いた形跡があり、その効能が今も効いているコイツを動かす理論がサッパリ分からないのだ。


なお、このSCP-001-JPにも不確定性が付与してあるため、この解説や本家報告書に矛盾する記述や偽情報が意図的に含まれていることを理解していただきたい。

不確定性を併せ持つ『財団』


それでも財団にはSCP-001-JPが、露見しなければありとあらゆるものが理論上無限大になる不確定性が必要なのだ
そして、SCP-001-JPによって財団そのものを『強い重ね合わせ』状態に置くためには財団の全情報が必要だった。

例えば『資金』。
経理担当がいくらかを機動部隊に回す。その担当は財団が使える総資金は幾らあるか知らない。どこから調達しているかも知らない。フロント企業の社長は毎月稼いだ額の何割かを資金に充てる。社長は財団の概要くらいは知っているだろう。だが、具体的にどのようなオブジェクトに、自分たちが稼いだお金が使われているかは知る由もない。ましてや、世界を滅ぼせる力の収容に自分たちが関わっているなんて思いもしない。そして財団のセキュリティクリアランスが全貌を知り尽くすことを防ぐ。こうすれば収入以上の出費が誰にも露見しない。

ここで注目するのは、財団の“資金”という概念において全てを知り尽くす存在は誰もいない点だ。『重ね合わせ』の一部を知るだけでは不確定性を失わない。
これはDクラスや一般職員数、収容スペースだけでなく、存在そのものが矛盾するオブジェクト群も関係する。

冷静に考えて欲しい。

オブジェクト総数は本部だけで6000以上、日本支部でも2000を超えている。その中にはもちろん危険なオブジェクトもある。
財団世界にオブジェクトはいくつあるだろうか?
こんな数、一団体どころか世界中の資産をかき集めても、到底保護なんてできやしないのではないか?
財団は1日に何回の実験をしている?
1日に何度のエージェントや機動部隊が出動している?
そして、1日に何人のDクラスを消費している?
明らかに資金、そして人員を消費しすぎでは無いだろうか?
最近ではApollyonやAzathoth、AinだのTiconderogaだのと、Kクラスシナリオを引き起こすオブジェクトが収容され続ける。
仮に高クリアランスを持っている職員も、流石に複数の危険なオブジェクトを並行して管理なんて出来ないし命じられないだろう?並行して管理出来るならもうそいつがThaumiel。
俺たちは何度財団の明日はどっちだどっちだと耳にタコができるくらい言い続けなければならないんだ?
大体なんで何回も言ってられるんだ?一回でも明日がなくなればそれで終わりだろう?

が、これらが全てを成り立つ疑問を解決できるのもSCP-001-JPによって『強い重ね合わせ』状態にされているからである。


だが、もしこの事実が誰かに知られてしまったら?


SCP-001-JPが消失した矛盾だらけの財団は、K-クラスシナリオのトリガーと変わる。

それを防ぐためにSCP-001-JP関連情報は全て抹消されなければならず、倫理委員会によって大幅な機能制限されている。





セキュリティクリアランスと001-JP


つまり、必要ないことは知らなくて良いし、知ろうとすることも出来ないからこそ、このオブジェクトが成立する。

だから、SCP-001-JPが成り立つにはセキュリティクリアランスが必要不可欠である。

黒塗りや[編集済]、[削除済]などは見慣れた光景だろう。
例えばクリアランス4以下の職員は自分の担当しない分野*2の詳細を知ることはできず、わかるのは「閲覧不可能な情報がある」という事実だけ。

財団は本当はどのような組織なのか。これは第四の壁の先にいる我々でも分からないのはお分かりだろう。
不確定性を失わない程度に複数の矛盾点を意図的に提示して財団に疑念を持たせ、結果的に「財団の全貌」を把握することは不可能であるという結論に誘導している。

加えて度々行われる記憶処理によって、一般職員は財団の全貌に不明瞭な印象が焼き付けられている。

これは最上位クリアランス、つまりO5においても同様。

1つは"Proposal-001"プロトコル。
001提言枠は財団の根幹に関係するオブジェクトが指定されている。真偽はO5にも知らされておらず、またアクセスできるのも全てではない。
つまり、このIkkeby-Vの提言を含めた全ての提言も『強い重ね合わせ』状態に置かれている。

1つは"管理者"の存在。
『恐怖から逃げ隠れしていた時代に戻ってはならない』という財団の理念についての演説文。
この文章には"管理者"という署名がされているが、正体は明らかにされていない。*3

O5にもクリアランス4以下の職員たちと同じように、開示されていない情報があると感じさせること、そして財団の全貌が不明瞭な印象を彼らにも与える目的がある。

財団の誰もが、財団の全貌を知らないのだ。


未完の"Minitrue"プロトコル


それでも第3種以降の巨視的量子現象が財団の手の届く範囲外で発生する可能性はある。例えば、愉快犯的存在の『博士』なんかがK-クラスシナリオが発生した世界から次々と重ね合わせてきたら大変なことになるのは自明だ。

そのような重大インシデントになる可能性がある場合は凍結を解除し、機能を最大限解放して、財団を最善の状態に固定するために『自己喧伝性感染図形』『過去改変画像』を用いた"Minitrue"プロトコルが予定されている。


なお本家報告書の閲覧者はO5-1だが、プロトコル発動権限を持のはクリアランス6 "管理者"のみで、O5-1に権限はない。
また、SCP-571とSCP-2140における予備研究についての資料として"文書001-JP-05"を参照できるが、そんなものはない




盲目な人々は何も知らず、ただ己が職務を全うする。
不安定に不安定を重ね合わせて矛盾だらけの財団。

もしも誰かが全てを知ったら?
この空虚にも見える理論が粉々に砕け散ったら?

その時、財団はどうするのか?
全人類を職員にしてでも存続を目指すのだろうか。
いないかもしれない上の人間を心頼りにして


では、ここでお決まりの言葉を一つ。

財団の明日はどっちだ?



SCP-001-JP

『群盲』




修正・追記にはセキュリティクリアランス6の提示が必要です。

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最終更新:2023年09月17日 23:28

*1 巨視的量子現象は現在の物理学では第2種までである。

*2 例えばオブジェクト、例えば財団施設や人員、装備

*3 実際のところ、"管理者"とは実在しない人物である