マクロコスモス(遊戯王OCG)

登録日:2017/01/13 Fri 15:03:35
更新日:2024/01/03 Wed 09:39:52
所要時間:約 7 分で読めます







十代! よく見ておけ! これが私の行きついた究極錬金術!

永続トラップ、マクロコスモス!



マクロコスモスとは遊戯王OCGに登場する罠カードであり、遊戯王の歴史を大きく変えたカードである。


まずは初登場であるアニメ版から見てみよう。

マクロコスモス(アニメ版)
永続罠
自分の場の「錬金釜-カオス・ディスティル」をゲームから除外して発動する。
デッキまたは手札から「原始太陽ヘリオス」を1体特殊召喚する。
墓地に行く自分のカードは全てゲームから除外される。

遊戯王デュエルモンスターズGXの「十代vsアムナエル」戦でアムナエルが使用した。

墓地に送られるカードをゲームから除外する「錬金釜-カオス・ディスティル」の効果を受け継ぎ、
「原始太陽ヘリオス」を特殊召喚する効果を持ち、更に速攻魔法「惑星直列」と「グランドクロス」の発動条件にもなっていた。

この時点ではあまり特筆する様な事はない、
「ヘリオスシリーズのサポートカード」「除外を基本軸とするデッキのメインエンジンとしてのカード」程度の特徴を持ったカードである。



しかし、OCGでは……



マクロコスモス(OCG版)
永続罠
(1):このカードの発動時の効果処理として、
手札・デッキから「原始太陽ヘリオス」1体を特殊召喚できる。
(2):このカードが魔法&罠ゾーンに存在する限り、
墓地へ送られるカードは墓地へは行かず除外される。

初収録は『ENEMY OF JUSTICE』。
OCG化に際して発動条件がなくなり、相手のカードも除外されるようになった。


最初の効果は「包帯人外透明おっぱい属性」のインパクト抜群なイラストの素材除外したモンスターに比例して強くなるアタッカー「原始太陽ヘリオス」を特殊召喚する効果だが、
後半の除外効果があまりにも強烈すぎて、シンクロ~エクシーズが本格的に現れるまではこっちに注目されたことはほとんどない。
それどころか後述する内容や、自身の進化形である「ヘリオス・デュオ・メギストス」「ヘリオス・トリス・メギストス」の効果を阻害してしまう為、
逆に悪い影響を与え、なかった方が良かった扱いにされる事すらある。






メインとされる効果は墓地に送られるカードを無差別に除外する効果である。
パッと見ただけでもその恐ろしさは察せられるが、このカード1枚で大きな影響を受けるカード、及びデッキは計り知れない
このカードを生み出したアムナエルの功罪業績は大きい。

影響を受けるデッキ及びカード
1:墓地を積極的に使用するデッキ
まず真っ先に思いつくのがこれだろう。
こう言ったデッキはカードの効果やコストを用いて墓地を高速で肥やし、アドバンテージを稼ぐのだが、
本来、墓地に送るはずだったカードを容赦なく除外する事で、相手の戦略を大きく狂わす事が出来る。

実際、遊戯王においては「墓地は第二の手札」と呼ばれる程に墓地を活用できるカードが充実しており、
それを裏付けるがごとくこのカードが登場した当時は【黄泉帝】や【カオス】、現在では【インフェルニティ】や【アンデット族】、【ライトロード】【DD】【閃刀姫】【転生炎獣】など、色々なテーマがある。

だが、墓地を活用できるカードが多い一方で、
除外されたカードを活用できるカードは少なく、除外されたカードは活用しづらくなる。
実際アニメ内でも「破壊ではない…除外してもらう」といった発言からその強力さは窺い知れる。
その除外の処理を1枚で永続的に引き受けるこのカードが凄まじい墓地メタカードである事がよく分かるだろう。


2:「カードを墓地へ送る(捨てる)」効果及びコストを持つカード
こちらへの影響も相当に脅威。
遊戯王において「手札を1枚墓地へ捨てる」「デッキの1番上のカードを墓地へ送る」などと言った効果や発動コストを持つカードが多数存在するが、
それらのカードはこのカードが存在すると「カードを墓地に送る(捨てる)」ことが出来なくなるので、発動コストや発動条件を満たせなくなる。
つまり発動そのものが出来なくなってしまう。

この点を用いてこのカードと攻撃する際に«墓守の使い魔»と併用する事で永続的に相手の攻撃宣言を封印できるようになるといった、
「相手に墓地へ送るコストを強要する」カードと組み合わせてのコンボも可能。

注意点としては、「手札を捨てる」「モンスターをリリースする」などの送る先が明言されていないカードや、
「墓地へ『戻す』(「送る」と「戻す」はイコールでない)」様なカードはこのカードで発動を止めることは出来ない。


3:ペンデュラムデッキ
一見すると「ん?」と思う人もいるだろうが、
ペンデュラムモンスターはフィールドから離れ、「墓地に送られる」場合にエクストラデッキに行くため、
このカードが発動している時はカードを墓地に送ることが出来ない。そのためフィールドから離れるとゲームから除外されてしまう。

これによってペンデュラム召喚によって召喚できるカードの対象が減ってしまう事になる。

墓地を積極的に使うデッキでの蘇生対象を増やすための墓地肥やしを封じるのと同じ要領事がエクストラデッキに対しても起こる為、
これはペンデュラムデッキをジリ貧状態に持っていくことが出来る。
ただし、上記2つと比べると致命的な影響を与えにくい事も多いので注意。


4:除外されたカードを利用するカード
除外されたカードを有効活用できるカードも存在する。

例えば以下のようなカードがある。

◆魂吸収
除外されたカード1枚につきライフを回復できる。自分・相手を問わないので、大量のライフゲインが期待できる。

◆D・D・R
自分の除外されたモンスターを特殊召喚できる。
除外されたモンスターを再利用出来る為、相性が良い。

◆D・D・ダイナマイト
相手のカードを能動的に除外できるので大火力が狙える。

紅蓮魔獣 ダ・イーザ
自分のカード限定であるが、安定した攻撃力アップを狙える。
強欲で貪欲な壺等と合わせれば、凄まじい火力を出すこともできる。


このように、墓地のカードを使用するものに比べると数は少ないが、こういったカードに対しての効果のサポートをしてくれる。

このカードをメインに組む場合、自身は除外を起点としつつ、相手に墓地へ送られていくカードを使わせないように戦術を展開していくのが基本となる。

また、墓地に依存しないデッキが墓地を利用するデッキのメタカードとして採用する事も多い。
サイドデッキがあるマッチ戦では、サイドデッキに投入される事も多い。



さて、ここまでこのカードの特徴について触れてきたが一方でこのカードにも弱点はある。

まず自身が特に耐性を持たない永続罠であること。
その為、除去が大量にある現環境では十分な効力を生かせないまま破壊されてしまうこともザラにある。
特にカード1枚の制圧力が強いが故に対策手段を投入しているデッキは非常に多い。
この点は《宮廷のしきたり》や《神の宣告》等を使って守るなり、このカードが破壊された時用の他の除外カードを投入するなりの対策が必要になるだろう。

そして勿論だが、「王宮の鉄壁」の様な、「除外」を封じるカードがあるとこのカードの制圧力は完全になくなってしまう。
除外の重要性が増した現環境では、除外メタも多く見られるカードの為、充分に注意が必要である。

そして意外な「穴」となるのが、このカードが「モンスターを召喚する効果」を含んでいる点
どういう意味かというとこのカード仮にヘリオスを出す気がなくても「王宮の弾圧」*1「神の警告」で無効にできてしまう。
自身にそんなつもりがない状態で発動して、「神の警告」をチェーン発動されると、戦術が大きく狂う事になる。
世界大会ではその性質を利用した戦術を見せた名デュエルも存在するが。


ヘリオス「私の扱いって…」


マクロコスモス「ああ!」


……と上記の様な弱点はあるものの、多方面の非常に大きな影響を及ぼすことが出来る強力なカードである。究極錬金術パネェ

そして上記の通り遊戯王OCGでは単体・コンボを問わず「墓地を活用するカード」が非常に多い為、
墓地が利用できなくなるこのカードの存在は非常に脅威になる。

その後カードテキストの汚れ同然だったヘリオスの特殊召喚もシンクロ、エクシーズの登場を境に大きく注目される。
☆4で光属性を持ち、なおかついざという時の通常召喚も可能で最底限の事故防止も備えたヘリオスはアタッカーとして…ではなく、素材として注目されるようになる。


ヘリオス「私を除外カードの数だけ強くなるアタッカーとして特殊召喚!」


マクロコスモス「ああ!ヘリオスを素材にして(ry」


こうしてヘリオスも含めて汎用メタカードの中でも珍しい展開補助を兼ね備えたカードと評されることに。
ヘリオスシリーズが本格的なアタッカーとして注目されるのは来るのだろうか…


この様に(展開補助を兼ね備えた)墓地メタとしては最強クラスのあるため、カードプールの増強と共に強くなっていく点が恐ろしい特徴として挙げられるだろう。

それを裏付けるかの如く、再録パックのDEではレアリティがスーパーレアに上がっている。
もっとも、ゴールドシリーズ等にも再録されているため、レアリティに拘らなければ入手は難しくない。
再録がほとんどされないヘリオスのほうが入手困難。

因みに《マクロコスモス》と類似の効果を持つカードとしては《閃光の追放者》や《次元の裂け目》などが挙げられるが上手い具合に差別化されていて、
例えばこのカードは罠カードである点が《隣の芝刈り》などの相手のカードの発動にチェーンして妨害出来るメリットとなったり、
逆に一度セットしてターンを待たないといけない都合上、発動までにタイムラグが生じるデメリットとなる点がある。

また、《閃光の追放者》は【カオス】のコスト兼メタになり、
《次元の裂け目》は即効性や、フィールドのモンスターしか除外できないのを逆に利用して自分は墓地のカードを利用しまくる等、別方向の利用方法があるので、差別化は充分に出来ている。
自分のデッキにあったカードを使うと良いだろう。


なお余談だが、「原始太陽ヘリオス」は2006年2月23日に発売されたゲーム、
『遊戯王デュエルモンスターズ エキスパート2006』の付属カードとしての収録が初登場だったのだが、
このカードが初収録された『ENEMY OF JUSTICE』が発売されたのは、2006年2月16日
つまり発売されてから1週間の間はこのカードの「原始太陽ヘリオス」を特殊召喚する効果は使用できなかった。


ヘリオス「私にもっと有意義な価値を与えてください…」


マクロコスモス「ああ!事故防止のためデッキから外して代わりに(ry」


今我々のデュエルは「原典の世界」を飛び越え、「追記・修正」へと変換された……


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最終更新:2024年01月03日 09:39

*1 現在は禁止カード