SCP-1001-JP

登録日:2017/01/09 (月) 18:31:00
更新日:2024/04/12 Fri 04:07:30
所要時間:約 8 分で読めます




SCP-1001-JPとは、怪異創作コミュニティサイト「SCP Foundation」の日本支部によって生み出されたオブジェクトの一つである。
項目名は『蒐集物加護及天罰之術式』。オブジェクトクラスは堂々の「Keter」に指定されている。

SCP-1001-JPは、SCP財団が日本に進出してくるより以前に日本各地の異常な物品などを管理していた組織である要注意団体『蒐集院』が、情報漏れ対策として日本各地に張り巡らせていた術式である。

蒐集院のもたらした情報によると、術式は各地の古墳などそう簡単には破壊できない場所に術式の存在を知覚できなくなるような特殊なミーム災害(所謂、反ミーム)を施した状態で仕込まれているらしい。
そして厄介なことに、この術式は後述の理由によって現在は破綻しており、誤作動によって江戸時代の妖怪画家、鳥山石燕に因んだ異常現象である『イベント・セキエン』を引き起こすようになってしまったのである。

『イベント・セキエン』は、簡単にいうと日本国内に散在する異常な物品など…財団でいうSCiPの情報を一人の人間が100件把握するごとに、その人を対象として発生する異常現象である。

モデルはおそらく、日本の伝統的な怪談会のスタイルである百物語だろう。

情報を知れば知るほど、見舞われる異常現象が悪化していくのが特徴であり、たとえ記憶処理を施して情報を忘却させたとしてもこのオブジェクトから逃れることは不可能であることが明らかとなっている。
但し、異常な物品などの取り扱い方法…財団でいうところの『特別収容プロトコル』を知っただけではイベントは発生しないため、財団や世界オカルト連合など異常な物品などを取り扱う組織の仕事ができなくなるわけではない。

――といった感じに、SCP-1001-JPは財団にとって極めて厄介な…それこそ存続に関わりかねないオブジェクトであったため、Dクラスを含めたあらゆる財団職員に対して検証実験の禁止が言い渡されていた。

しかし19██年、財団職員の一員である土橋博士が自ら実験台になることを志願し、ついにSCP-1001-JPの検証実験が行われることになったのであった。

その結果は…ひとことで言うと「どうしてこうなった」。
土橋博士の身を呈した検証により、現在まで最大で9回のイベント-セキエンの発生が確認されている。
これより、財団が許容できるイベントの発生は2回までであると判断され、現在の特別収容プロトコルが確立されたのであった。

以下は、土橋博士の手記をもとに、『イベント・セキエン』の過程を一覧表にしてみたものである。
日付 読破した報告書の枚数 発生した異常事態
19██年3月12日 100件 土橋博士のオフィスだけが局地的な地震に見舞われる。但し、ほかの職員たちに地震が起きたという認識は無し。
19██年3月16日 200件 激しい頭痛に襲われ救護班を呼ぶ羽目に。
19██年3月22日 300件 硫黄のような匂いが漂ってきたのを契機として様々な体調不良が一気に襲ってくる。
19██年3月29日 400件 鍵がかかっていないにも関わらず、実験室の扉が開かなくなり機動部隊を呼ぶ羽目に。
19██年4月5日 500件 何もしていないのに報告書が何枚か紛失。上層部より、検証実験のみに注力せよと言うお達しをもらう。
19██年4月13日 600件 大規模な収容違反が発生。後の調査により、収容違反を起こしたオブジェクトの全てが土橋博士の読んだ報告書に記載されていた存在であると判明する。
19██年4月20日 700件? 遂に、何枚報告書を読んだかの記憶が曖昧に。しかも、報告書の内容すらうろ覚えになってしまう。
19██年4月30日 800件? 土橋博士の勤務するサイトが洪水に襲われ、しかもサイト内に疫病が発生する大惨事に。
19██年5月‐‐日 不明 実験室内に突如湧いて出た見たこともないオブジェクトに土橋博士が殺害される。オブジェクトは後に確保・収容・保護された。

なお、イベント-セキエンの発生に呼応するように、全国各地において物理的に観測不能と化した地点の出現が90箇所以上も確認されている。


財団との関わり

蒐集院で『蒐集物加護及天罰之術式』と呼ばれていたこのオブジェクトの存在を、財団が認知したのは1800年代に財団が日本に進出しようとした直後である。
当時、術式は蒐集院の機密保持システムのひとつとして運用されており、蒐集院側の提案によって財団もこの術式を日本向けの異常物品秘匿システムとして採用したのであった。
その当時には、『イベント・セキエン』が発生していた記録は残されていない。

初めて『イベント・セキエン』らしき異常が発生したのは1900年代に入ってからであり、当初は術式とは無関係のオブジェクトとして財団の管理下に置かれていたのであった。
しかし、蒐集院から財団に移籍してきたメンバーの再調査により、術式にバグが発生するような意図的な改ざんが加えられていたことが判明し、『バグった蒐集物加護及天罰之術式』として改めて管理されるようになったのである。

なお、術式をバグらせた犯人は海外資本であるSCP財団と蒐集院が合併した際、そのことに反対して逃亡した蒐集院の過激派であったことが判明している。
彼らは、逃亡する際に各地の術式に手を加え、時間とともに術式の内容が変質してトンデモないバグが発生するよう改ざんを加えていたのであった。



考察

『蒐集物加護及天罰之術式』は本来、蒐集院の機密情報が漏れるのを防ぐためのシステムであった。
その当時の蒐集院のメンバーたちは、後の世に自らの組織そのものが他の組織と合併する可能性など微塵も考えていなかったものと推測される。
当然の事ながら、術式には蒐集院が合併された場合の対処法など織り込まれていなかったのだ。
蒐集院の過激派たちはその点を逆手に取り、術式が財団に対して牙を向くように時限爆弾を術式に仕掛けたのである。
そして、爆弾は最悪な形で起爆したのだ。

爆弾が起爆する頃には、蒐集院が管理してしたオブジェクトの過半数が財団の管轄下に移管されていた。
つまり、蒐集院のほとんどの情報が財団に漏れてしまったに等しい状態であったのだ。

そこで、術式は財団に対する天罰と、『何が何でも収集物を隠し通す』という隠れた使命の二つを同時にこなすために恐るべき手法を導き出したのである。
すなわち…隠し通すべき蒐集物を増やす事で使命を全うし、同時に財団日本支部の仕事を劇的に増やすという形で天罰を与えるという手段に打って出たのだ。

…なんちゅう傍迷惑な。


イベント-セキエンを10回以上発生させることは非常な危険を伴うと予測されたため、いかなる場合であっても1000件以上のオブジェクトの情報を把握することは禁止する。
※添付資料2に添えられた報告書より


追記

日本に駐留するGOC極東支部の人員より、イベント-セキエンに類似した現象の発生が報告されました。
GOC極東支部に対しては協力を願い出ています。
SCP-1001-JPの補修は最優先されます。

――待てよ。『蒐集物加護及天罰之術式』に財団が割り振った番号はSCP-1001-JPと既に1000を超えており、現在日本支部の管理下にあるオブジェクトは2000番台を越し、そして3000番台に迫ろうとしている。

日本で活動している異常な物品などを取り扱う組織は一つではない。
そして、術式は蒐集院を合併した財団にすら牙を剥いた。

やらかしたのは何処の組織だ!? 

因みに、これものSCP財団日本支部の『1000JPコンテスト』応募作品の一つであった。


追記・修正は天罰に当たらない方法を考えてからお願いします。


CC BY-SA 3.0に基づく表示

SCP-1001-JP - 蒐集物加護及天罰之術式
by semiShigUre
http://ja.scp-wiki.net/scp-1001-jp

この項目の内容は『 クリエイティブ・コモンズ 表示 - 継承3.0ライセンス 』に従います。
この項目が面白かったなら……\ポチッと/

+ タグ編集
  • タグ:
  • SCP-JP
  • SCP-1001-JP
  • SCP Foundation
  • 天罰
  • 術式
  • 蒐集院
  • 1000jpコンテスト
  • 百物語
  • semiShigUre
  • 蒐集院の本気
  • SCP財団
  • SCP財団日本支部
  • 誤作動
  • 足利義教
  • 異常現象

このサイトはreCAPTCHAによって保護されており、Googleの プライバシーポリシー利用規約 が適用されます。

最終更新:2024年04月12日 04:07