多胎児

登録日:2016/01/24 Sun 01:41:16
更新日:2024/03/29 Fri 23:31:12
所要時間:約 9 分で読めます




多胎児(多生児)とは、母親の胎内で同時に発育して生まれた複数の子どものこと。
双子以上の総称だが、三つ子以上を意識した呼び方なので、ここでは三つ子以上のケースについて解説する。
双子については当該記事を参照のこと。
三つ子以上に限定する場合は、“supertwins”と呼ばれることもある。かっこいいね。


双子の場合は双胎とも呼ばれるが、三つ子以上はこんな感じになる。
3人:品胎
4人:要胎
5人:周胎or格胎
6人以上:六胎、七胎……

彼らの卵生はどうなっているのか、三つ子を例に解説してみる。
☆一卵性
 元は1つの卵子が2つに分裂、その後かたっぽがもう一度分裂すると一卵性三つ子の誕生である。
 2の累乗でない多胎児が一卵性の場合、このパターンか、あるいは体内で数個の受精卵が死んでしまっているかのどちらか。
☆二卵性
 2つの卵子のうち1つが分裂。一人だけ顔が似なかったりする。
☆三卵生
 多排卵で、3つの卵子がそれぞれ受精したパターン。

四つ子以上はややこしすぎて書けないので割愛。


多胎の数が多いほど、発生確率は低くなる。しかし、排卵誘発剤の使用などもあってか、1980年代前半から発生率は上昇しつつあるようだ。
※だからといって双子、三つ子などが必ず排卵誘発剤を使用したために生まれた子どもだとは限らないので注意

母体への負担はとても大きい。妊娠高血圧症候群や早産などのリスクも高くなる。
母体と胎児の生存のため、減数手術(人工的堕胎)が行われることも。これには倫理上の問題もある。
詳しくは本家wiki等で調べてもらいたい。


多胎児を忌む風習は世界に多く存在していた。現代でもいまだ根強く残る国もある。
日本でも、昭和30年代くらいまで忌む風習があったという。



ここまで真面目な話




エンゲル係数?
縁起が悪い?

黙れ一つ子が!!


ここからは創作物における属性の話。

ぶっちゃけ双子に比べりゃ旨味の少ない属性ではあるかもしれない。
双子ならば敵味方に引き裂かれたり、互いを知らないまま離れて成長したりと、話にバリエーションを持たせられる。
一方の三つ子以上では、とにかく数が多い。動かしづらいのだ。
しかし、兄弟のようで同い年という不思議な関係性、意外性が人を惹きつけるのもまた事実である。

作品によって、兄弟姉妹のような「縦の関係」はあったりなかったりする。

双子キャラかそれ以上に名前に法則性のあるパターンが多い。


【以下、多胎児キャラの例】

☆三つ子

◇ヒューイ、デューイ、ルーイ(ダック・テイル等)

ディズニー作品の常連キャラでドナルド・ダックの甥。
正式名称は上から「ヒューバート・ダック」、「デューテロノミー・ダック」、「ルイス・ダック」で、赤・青・緑と色分けされている*1
デビューが1937・38年なので恐らく世界最古の多胎児キャラ。
鳥なので、正確には多卵児かもしれないが。
揃ってとんでもないいたずらっ子で、服の色以外で見分けがつかない*2

◇花村トン吉、チン平、カン太 (魔法使いサリー)

サリーの友人であるよし子の弟。
89年版では、サリーの弟ということになっているカブをからかういたずらっ子であった。
性格・見た目ともに差が無く、区別はほぼできない。
最終回ではこの特徴のおかげでサリーに奇跡が起きた。

◇岩崎亜衣、真衣、美衣 (名探偵夢水清志郎シリーズ)

3人の性格にはかなりの差があり、亜衣はしっかり者の文学少女、真衣は大ざっぱなスポーツ少女、美衣はおっとりした占い好き少女。
亜衣が「長女の私が~」と言うシーンから、縦の関係が少しあるようだ。
髪型などで差別化を図っている。

◇丸井みつば、ふたば、ひとは (みつどもえ)

日本一似ていない三つ子。目や髪の色からして全然違う。
そのため、恐らくは三卵生なのだろう…と推測される。
11才にしてド変態、キャラがそれぞれ濃い(まあ作中の子どもたちはだいたいそうなんだけど)。
こちらの作品も(長女がドSなので)縦の関係あり。

◇うさぎさん (ノンタン)

一男二女の三つ子、片耳折れが♂。
性格・見た目ともに差が無く判別不能、その上あらゆる状況でも常に3匹同時に行動している。
正直三つ子設定が全く活かされていない。

◇菫天乃、雷乃、風乃 (六道の悪女たち)

真ん中の雷乃だけ女で他の二人は男の三つ子。
三人とも全く同じ中性的な容姿と声であり、メイクによってにもにも変化し、三人がそれぞれ入れ替わることもできる。
これを利用して幼い頃から悪さを繰り返してきた。
雷乃と風乃は長男の天乃からメイク術と蹴り技を仕込まれ、次々と常識を壊していくような彼に憧れている。

◇千賀あかり、ひかり、てる子 (戯言シリーズ)

財閥令嬢の赤神イリアの下で働いているメイド三姉妹。
あかりとひかりは髪の分け目が左右対称、てる子は眼鏡で見分けをつけている。
性格は、あかりは慇懃無礼で人当たりがキツく、ひかりは穏やかでお淑やか、てる子は無口だがたまに辛辣な言葉を吐くなどまるで違う。
だが三人とも日常的に入れ替わっており、作中ではいーちゃんに一番頻繁に接しているのはひかりだが、かなりの確率で別人だと仄めかされている。


☆四つ子

◇四葉春子、夏子、秋子、冬子 (四つ葉のクローバー)

四つ子探偵。美人姉妹だが、依頼が少ないせいか貧しく、大家が家賃徴収に来ると忍者のように隠れる。
春子は格闘の達人、夏子はスポーツ万能、秋子はマジシャン並みに器用で、冬子は頭脳明晰なブレーンである。
髪型などで差別化を図っている。

◇ドラ太郎、ドラ次郎、ドラ三郎、ドラ代 (黄金勇者ゴルドラン)

主役メカである黄金剣士ドランがとある星で女性型ロボットの「マリア」との間にもうけた男3女1の4つ子。
その星のロボットはキスでデータを読み取り、体内の小さな工場で子供を作り出産する「種族保存装置」というシステムを持っており、
旅の疲れで倒れたドランとマリアが事故チューしてしまったために産まれた。
ドランをSD化したような姿であり、装飾の色が違っていたり、ドラ代は額の角がリボンになっている事で差別化されている。
男の子3人はわんぱくであり、女の子は大人しい性格。

青龍、朱雀、白虎、玄武 (るろうに剣心)

雪代縁が率いる上海マフィアのメンバーで、組織のNo.2である呉黒星(ウー・ヘイシン)の直属の護衛。
四つ子の武人で、それぞれ青龍・朱雀・白虎・玄武と四聖獣の名を冠している。

◇ヴィンスモーク・イチジ、ニジ、サンジ、ヨンジ (ONE PIECE)

国土を持たない海遊国家「ジェルマ王国」の四つ子の王子。
父親のジャッジの手により産まれる前から遺伝子レベルで改造を施されており、超人的な身体能力と特殊能力を持つ。

◇天野あさひ、まひる、ゆう、こよる (天野家四つ子は血液型が全員違う。)

高校生四つ子姉妹だが、タイトル通り血液型をはじめ顔、髪型、体型、性格、制服の着こなしが完全にバラバラ。
あさひ(A型)は几帳面ギャル、まひる(B型)はマイペース、ゆう(O型)は活発で社交的、こよる(AB型)は不思議ちゃんと血液型イメージ通りの性格をしている。

◇宮美一花、二鳥、三風、四月 (四つ子ぐらし)

それぞれ別の養護施設で育ったが、「中学生自立練習計画」をきっかけに一卵性四つ子姉妹と発覚。
四人だけで一つ屋根の下で生活している。
一花はしっかり者、二鳥は関西弁ムードメーカー、三風はまじめで内気、四月は頭脳明晰なボクっ娘である。
髪型や髪飾りで差別化している。


☆五つ子

◇岡野あつき、かずや、さとし、たくみ、なおと (はじめちゃんが1番!)

たくみ・なおとペアが一卵性で後は二卵性の五つ子。その割には似ているが。
基本皆やんちゃで単純で明るすぎるため、姉であるはじめの悩みの種になっている(ついでに家の家計も圧迫していた)。
作中では五つ子を売りにCM出演した後アイドル事務所にスカウトされ「A.A.O」としてメジャーデビューしている。
その顔つきや事務所の先輩コンビ「WE」の設定等から、「元ネタは某アイドルグループの年下組じゃ」と言われている。

◇森野かぶと、ひのき、あらし、きのこ、こだま (ゴーゴー五つ子ら・ん・ど)

顔も背丈も性格も違う五つ子。きのことこだまは女子。
長男かぶとがリーダー気取りなので縦の関係があるように見えるが、彼はよく兄弟たちに振り回されている。
全員キャラが濃い。

◇桜井拓也、美穂、慎吾、紀香、剛 (大好き!五つ子シリーズ)

ドラマでは唯一の多胎児ではないだろうか。美穂と紀香は女子。当たり前だが容姿は全然違う。
人気のためシリーズ化、五つ子の成長を描いた。途中で何度かキャストは交代している。
TBS系列の『愛の劇場』シリーズ最終作でもあった。

中野一花二乃三玖四葉五月 (五等分の花嫁)

多胎児がメインヒロインのラブコメの中では、最多人数になるのではないだろうか。
読者からすると髪型や服装から見分けがつくが、作中では見分けてもらえない場面もある。
同じ顔なのを活かした展開も見所である。

◇産屋敷ひなき、にちか、輝利哉、くいな、かなた (鬼滅の刃)

鬼殺隊現当主、産屋敷輝哉とその妻、あまねの子供たち。
第三子の輝利哉のみ男子で他4人は女子。髪の色も男子の輝利哉のみ黒で女子4人は白。なお目元は全員母似。
大正時代という時代背景もあってか次期当主は男子の輝利哉で確定しており、
妹のくいな、かなたはいずれ当主となる兄の補佐として、姉のひなき、にちかは母と共に父の補佐を務めるよう育てられた。
また短命の呪いに対する魔除けとして、当主を継ぐまでは輝利哉も姉妹たちと同じ女児の格好をさせられていた。


☆六つ子

◇松野おそ松、カラ松、チョロ松、一松、十四松、トド松(おそ松くん)

恐らく日本では最古の、創作物における多胎児。性格や容姿に差らしい差はなく、両親でも区別がつかない。
原作者自身、6人の顔をかき分けていない。
実は長男・おそ松と末弟・トド松以外は順番があやふやである*3
そして主人公ポジをいつの間にかイヤミとチビ太に取られた。

2015年には舞台を現代に移し、20代に成長した六つ子を描く『おそ松さん』が制作された。
顔の細部に違いを作り、パーソナルカラーを与えて性格付けも強くしたことで、六つ子を主役に返り咲かせている*4
ついでに、『くん』時代にはなかった兄さん呼びで、縦の関係による物語を作れるようになった。




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最終更新:2024年03月29日 23:31

*1 ただしデューイは一部グッズや一部書籍でオレンジの帽子と服だったことがある。ドナルドと被るからだろうか…?

*2 成長後を描いた「クワック・パック」では中の人や髪型の違いで個性がついている。

*3 母さんの呼び順やアニメ二作ED「おそ松くん音頭」等。

*4 過去アニメであった「他役兼任キャスト」も存在しない。