速攻(デュエル・マスターズ)

登録日:2015/05/08 Fri 12:17:34
更新日:2024/01/21 Sun 13:41:17
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ここではデュエル・マスターズにおけるビートダウン戦略としての「速攻」を述べる。


概要

デュエル・マスターズにおけるデッキタイプ及びビートダウン戦略の一つで、
「低コストハイパフォーマンス」のクリーチャーを使い、3〜6ターン以内に決着をつけるもの。

他のゲームで言う「ウィニー」に近いが、こちらはウィニーだけではなく必要とあればファッティも採用することは辞さない。
また、ウィニーを活かしきるために変に除去呪文を搭載したりはしない。やられるときは潔く死ぬデッキタイプである。
また1〜2ターン目から動けるようにするため、デッキカラーは1〜2色でまとめる。
普通のゲームならそれはそうか、って思うかもしれないがデュエマである。
「多色カードの特性上、3〜5色での構築はザラ」のデュエマである。

そのため速さのみを重視し、それ以外は全部無視。一応ミラーマッチ対策に重いトリガー除去こそあれ、
それは手札に来たら迷うことなくマナゾーン行きである。
しかしあくまでそれは最終手段。速攻におけるマナチャージは事実上 手札を1枚減らす行為 であるため、本来は手札から無駄なマナチャージをする事すら恥と思うべきである。

この戦略をとるメリットとして、
  • 自分からカードを使い切るためハンデスデッキに強い(ただし《特攻人形ジェニー》などの軽量ハンデスは辛い)
  • マナをあまり使わないためランデスデッキに強い
  • そもそもコントロールされる前に殴り切るためコントロールデッキに強い
  • 同じビートでも中速相手ならダメージレースで有利に立てる
  • コンボデッキにも強い
  • 大抵の場合相手が本格的に動く前に勝負に持ち込めるため、相手の戦略に左右されにくい
と、速さ故の利点も多い。反面、相手にちょっとでも粘られると一気に窮地に。
6ターン以内に決着を付けられなかった場合、十中八九負ける。

あと速攻デッキの強みは構築費用か。とにかく大体がウィニーなので安い。安い。実際安い。
黒緑が好まれた理由がだいたい値段だったりするくらいで。

ただ、カジュアルプレイではコンボデッキと同じ程度に敬遠されがちなデッキタイプでもある。
すぐゲームが終わってしまうこと、戦術的にゴリ押しでしかないことが理由だろう。

以下の歴史では、初期こそ「戦法が前のめりなビートダウン」だったが、時代を経ていくにつれて
速度重視になっていく速攻デッキの変遷がわかる。

単色

黎明期から青単や黒単、赤単が活躍した。
ただし黒単は優秀なパーツに恵まれずその後の環境で一度撤退しており、今はファンデッキとしてほそぼそと生き残る状況。
緑単はギフト系の亜種として生み出されたものの他、純然たるマナ進化デッキや種族デッキとして生まれている。
白単はMTGと違ってまるで全然環境から程遠い存在だったのだが…(後述)。

二色

その時時で強いカラーを選ぶことが多い。
一時期注目された赤白や青単がSAを取り込んだ青赤、黎明期から登場している赤黒などがある。
エピソードシリーズ環境からは黒緑が大会においてトップメタを占め続けている。


歴史

※下記では同じデッキタイプに複数のデッキ名が使われていることを注意(後世の目からみてデッキタイプ名が変わることもある)。また特に断りなく色名だけでデッキタイプが表記される場合、それは直前のその色のデッキをさす。また速攻でないデッキタイプと混同しないために、速攻を太字にしている。

黎明期

基本セット環境下ではファッティが弱かったことから、速攻が幅を聞かせていた。
このころ強かったのは、2マナ3ドローの《アストラル・リーフ》を擁する【第1世代青単】(【リーフ青単】)
この頃の速攻はリーフや《ストリーミング・シェイパー》で まともに使い切れないほど手札が有り余っていた ため、毎ターンのマナチャージから大型クリーチャーをフィニッシャーとする事も十分可能だった。
そのため現在では到底速攻に入るとは思えない重量級進化の《クリスタル・ランサー》が活躍したのは、
実はこの頃の速攻戦略においてである。
火文明は漫画やアニメでさんざんフィーチャーされるため、子供には人気はあったものの、活躍したのは【赤単ヴァルボーグ】程度である。
ただし黎明期に出ていたGBAのゲームではリーフ&ヴァルボーグが中々厄介な速攻デッキとして登場していた。 結局リーフかよ! とか言わない。
その後青がばんばん強化されるとそれに伴って【青単】の使用率が上昇。また《アクアン》の存在で【青黒】も徐々に登場し始めた。

闘魂編では青が弱くデザインされたが、リーフは現環境でさえ通用するカードであることからなんの問題もなかった。
…のだが、そのリーフは殿堂入りルールの制定で公式大会ではフェードアウトしていくことになる。
ただし今では考えられないことだが、当時はカジュアルプレイでは殿堂レギュレーションが無視されることが多く*1
非公式戦ではまだまだリーフの猛威は続くことになる。
スピードアタッカーがDM-05から登場し始めたため、【赤単】【赤黒】がフィーチャーされたが、その過程で種族を問う進化クリーチャーが逆に事故要因になりつつあり
機神装甲ヴァルボーグ》の採用率が低下した(つまり【純正赤単】のほうが【赤単ヴァルボーグ】より後に流行した)。

聖拳編では《パシフィック・チャンピオン》の登場から、【第2世代青単】(【パシフィック青単】)が誕生、
またこの時赤のSAを取り込んで、そのパシフィック青単の派生である【青赤】(【準青単】)が誕生する。
この他、《血風神官フンヌー》の登場から大会で決勝卓に登った【赤白】(【大日向速攻】*2)も注目された。また【青黒】もメルニアなどで地味に強化されている。
他にもここで初登場した多色のおかげで【赤緑】(【ステロイド】)も生まれたが、次第にステロイドは重量級を出すような構築にシフトし、やがてあの「第一次ボルバルマスターズ」に続く。

転生編期になると赤の優秀なウィニーも増え始め、特に単色フィーチャーサイクルのおかげで【赤単】【黒単】が隆盛する。
【赤単】は当時の大会でボルバルを破り優勝、以後プレイヤーの間ではピーキーだが常に可能性のあるデッキタイプとしてDS環境においてまで注目を一定数集めることになる。
しかし【黒単】はややアドバンテージを取りづらくなっていったことから、次第に青を少し混色した【準黒単】(【ザマルビート】)が増える。
また《フェアリー・ギフト》が登場したことで【緑単】(【ギフトメイフライ】)も隆盛。

不死鳥編期〜覚醒編期

不死鳥編期では新規があまり人気を集めなかったため、これまでの速攻デッキは相変わらず使われ続け、大型が減った環境を謳歌していた。
というより、速攻の他の選択肢がサファイアと除去コンしかない時代である。
そしてサファイアの一発プレミアム殿堂やライブラリアウトパーツ規制が相次いだことで、目下の敵が除去コンしかなくなったため
速攻はどんどん勢力を強めていった。

極神編期は多色、それも3色以上のカードをフィーチャーしていたこともあり、前の環境で新規パーツを得られていないこともあってか(大概の旧デッキがそうだったのだが)
速攻の足が少しずつ落ちていった(まあ、それでもかなり活躍はしていたのだが)。そんななかでも【パシフィック青単】【準青単】は一定の地位を築いていたがあえなく殿堂入り。
変わって【第3世代青単】(【マルコ青単】)が登場したが、シータカラーで組まれる【マルコビート】に速度では勝ててもカードプールでは負けていた。

戦国編では《ブレードグレンオー・マックス》と《密林の総督ハックル・キリンソーヤ》の登場で【赤単】【緑単】が強化されたが当たり前の話というか、
【赤緑】が最も強化された。コントロールデッキが全体的に隆盛したことで、相対的に不利になりつつあったが、この頃のメタゲームは異様に複雑で、
ファンデッキでも的確にメタを読んで公式大会入賞もあり得るようになっていたため、カードの選択の余地が少ない速攻は【赤緑】以外は若干不遇でもあった。
…といっても、この戦国編はぶっちゃけ本当に多種多様な環境なので、メタ考察と運次第で速攻でも勝つことも難しくはなかったりする。

神化編は最も速攻で語るべきシリーズだろう。
このころは新種族オリジンと、多種多様な新進化が登場したことで、速攻が一気に隆盛する。
【青赤オリジン速攻】(【青赤カゲキリ速攻】・【カゲキリビート】)【赤白】が流行したほか、
墓地進化の登場から【黒緑墓地進化速攻】(【6パン】)が登場。以後、DSまで突っ走るほど活躍することになるあの【黒緑】である。
また【青単サイバー】も流行したが、要となる《パラダイス・アロマ》が殿堂入りして弱体化する。

覚醒編は逆に速攻自体は新規パーツをそこまで手に入れていたわけではないが、個々のカードは優秀であるため、【赤単】に《斬込隊長マサト》が投入されたり、
《アクア・メルゲ》の登場で【青黒メルゲ墓地進化速攻】が誕生したりした*3
一方、覚醒編後期には《ダンディ・ナスオ》が殿堂入りしたため【黒緑】は弱体化…したのだが?

エピソードシリーズ期

エピソード1では《無頼勇騎タイガ》《ジオ・ナスオ》の登場で【赤緑】【黒緑】が強化されたものの、中速3色の【青赤黒ビートダウン】(【シータラムダビート】)の登場から
低コストデッキとしてのデッキはそちらが人気を集めていた。また旧カードの文明を入れ替えた《闇戦士ザビ・クロー》《斬斬人形コダマンマ》の登場から、
【黒単】【準黒単】【黒緑】【赤黒】【赤単】が流行。特に【赤黒】【赤単】はコダマンマから《デュアルショック・ドラゴン》を投げつける【マンマショック】として流行した。

エピソード2では大型をフィーチャーしたことから大型のコントロールやターボが流行するが、
【赤黒】【黒緑】などが環境に登るほか、サイバー強化で【青単サイバー】が《パラダイス・アロマ》《アストラル・リーフ》と共に帰ってきた。
…いやアロマとリーフは帰ってこなくていいから…。
【緑単】もそれまでの《ホップステップ・バッタン》の【緑単】における上位互換と言える《寝ボケまなこのたぬ吉さん》が登場して少し強化されつつあった他、
《鬼切丸》の登場で【赤単】【赤黒】が更に流行する。他にもハンターシナジーを活かした【ハンター速攻】も活躍を見せた。

エピソード3では一撃奪取サイクルのおかげで、【赤青】(【ガネージャビート】)や各種単色速攻を強化、
そのうち《一撃奪取 アクロアイト》と、新規進化クリーチャーである《サイレンス トパーズ》、そしてトパーズの進化元になる
イニシエートがエピソード2から強化され続けたことから、【白単】(【白単イニシエート】)が登場する。
これまで誰もが「白は単色速攻は無理」と言い続けていたが、ここに来て白も単色で速攻を組めるようになった。
いちどデッキタイプができると、様々な旧来の優秀なウィニーがが発掘され、白に足りないのはエンジンだけだったということがわかったのである。
また《漆黒の猛虎 チェイサー》の登場から、【赤黒】は更に強化された。
ただし、格安のデッキタイプとしては【バニラビート】というライバルも登場していることから、速攻ばかりがPauper的存在として注目されたわけではない。

ドラゴン・サーガ〜革命ファイナル期

ドラゴン・サーガでは単色フィーチャーにより、単色パーツが大量に増大。特に3コスト以下ウィニーをフィーチャーした光文明は【白単】に《共鳴の精霊龍 サザン・ルネッサンス》というパーツを呼びこむことに成功した。
各文明が単色であることが一種メリットになり、単色速攻が上昇した。
他方、カード指定除去の裁定とそれに伴う軽量除去を自分に撃つ「退化」によって、【青黒墓地退化】も登場する。
また、【黒緑】は革命編開始前後までなんだかんだ環境に残っていた。

革命では文明進化や侵略の登場に拠って、【白単】【黒単】のほか、
【赤単ヴァルボーグ】のパーツをリファインしたようなタイプの新型が《音速 ガトリング》の存在で注目を浴びた。
他にはDSから【青単リキッド・ピープル】が度々評価はされていたが、メタに食い込むまでには行かなかった。
全体的に侵略者が速攻戦略を好んでいるようで。【赤単レッドゾーン】も環境に登った。

革命ファイナルに突入すると、当初《蒼き団長 ドギラゴン剣》を用いた【ドギラゴン剣3キル速攻】が登場するも、
「そもそもドギバスは速攻に無理に寄せなくてももっと安定して勝てるだろ」という評価で落ち着いてくるようになる。

新章デュエル・マスターズ~

新章DMでは【赤単ビートジョッキー】が登場。
これまでの速攻では息切れした瞬間死ぬ、ということが多かったが、ビートジョッキーは高コストクリーチャーをデメリットと引き換えにコストを下げて出せるため、
アグロが決まらなくなったらミッドレンジに切り替えるなどの柔軟な戦法が取れるようになった。

また他の単色・二色もそれなりに強化はされたものの、現状では中速以上のビートダウンが主流となるようである。


デュエマプレイス

DMPP-01におなじみ【赤単ヴァルボーグ】

DMPP-04から早期にW・ブレイカーを複数並べられる【ウェーブストライカー】*4

DMPP-06にてG・ゼロを得たクリスタル・ツヴァイランサーを切り札にした【リキッド・ピープル】

【赤白速攻】【黒緑速攻】も確立されている。


原作での使用者

原作版デュエル・マスターズでは勝舞時代から使用者の多いデッキではあるが、「派手な大型クリーチャーが出せない分、ストーリー的にも
販促的にも魅せ辛い」ためか余りスポットの当たらないデッキタイプであった。
(切札勝太は自分のデッキを「速攻」と言い張っているが、その割には大型クリーチャーの割合が大きい。速攻ではなく先制攻撃という意味の方がしっくりくる。)


「何もされなければ5ターン程度で勝てる怒涛の攻め」はよく行われるが、大抵速攻メタで一気に足止めを食らいそれを打破するための大型戦に移行するパターンが多い。
むしろ「相手の速攻行為をいかにして妨害するか」で見せ場を作っている傾向が強く、トップクラスの かませ戦術 として扱われている節すらある。

例:ヴァルボーグ速攻でガンガン攻める→手札を失って攻め切れず足止めを食う
例:ドラゴノイドでガンガン攻める→地獄万力で全滅
例:飛行男やタイラント・ワームでガンガン攻める→ジル・ワーカのタップを引き金に全滅食らう
例:スノーフェアリーでガンガン攻める→崩壊と灼熱の牙で返り討ち
例:ナスオデスマーチでガンガン攻める→ノーブル・エンフォーサーで足止め
例:ザ・ゼットレッドゾーンZでシールド半壊→魔狼月下城の咆哮が無ければ即死だった……

しかし「デュエル・マスターズVSR」にて、「3ターンで相手を倒す「超速攻戦略」使い」赤城山バサラが登場。
メインとなるライバルが速攻使いという、10年を超えるデュエマの歴史上ありそうでなかった展開となった。
なお、初デュエマを披露した第3話からルシファーに負けるまで1ターン目から最終ターンまでダイジェスト無しの対決が見られた。
途中で長い説明台詞を入れて尺を稼いでいたため、やっぱり速攻デッキをアニメでやるのは難しいらしい



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最終更新:2024年01月21日 13:41

*1 このあたり、デュエマ以外のカードゲームでも黎明期はカジュアルでの禁止カードレギュレーションは同様に軽視されがちであった

*2 作成者の名前である。なおかなりメタゲームを意識した構築であるため、かなり速攻としては特異なカードも多数積まれている

*3 割と超次元にメタをはる形の速攻である

*4 あくまで速攻もできる程度