ラルフ・C・ベルモンド

登録日:2014/09/21 Sun 03:43:53
更新日:2023/12/28 Thu 11:03:20
所要時間:約 20 分で読めます





夜の一族よ

このムチを前に逃げられると思うな




ラルフ・C・ベルモンドはコナミ開発のゲーム『悪魔城ドラキュラ』シリーズの登場人物。
ミドルネームのCクリストファーの略であり、単にラルフ・ベルモンドと呼ばれることもある。
また、海外版においてはトレバー・C・ベルモントという名に変更されている。

CV:増谷康紀(闇の呪印)、近藤隆(ジャッジメント)


✝概要✝

初出はFC専用ソフト『悪魔城伝説』。第1作『悪魔城ドラキュラ』の主人公、シモン・ベルモンドの先祖にあたる人物。
1476年、禁忌を破り蘇らせた暗黒邪神崇拝の儀式によって、悪魔に魂を売り渡し吸血鬼と化した狂王、
ドラキュラ・ヴラド・ツェペシュの暴虐により地上の地獄と化したワラキアを救うべく、
万策尽きた東方正教会が最後の切り札として見出し、ドラキュラ討伐を依頼した真正ヴァンパイア・ハンター。

ベルモンド家は太古にまでさかのぼる古い血筋を持ち、忌まわしき者達との戦いの中で生き延びてきた夜を狩る一族だったが、
肉体・精神共にあまりにも強大すぎる力(壁から出た肉を喰って傷を瞬時に治す、宙に浮く、上に落ちるetc……)と、
先祖が行った数々の異端行為ゆえに心なき人々にはヴァンパイアと同じように受け止められていた。

彼らは常に周囲から変態異端者として恐れられ、疎んじられてきたために、
いつしか人々の前から姿を消しており、ラルフも正教会の必死の探索で見つけられるまでは世捨て人のような暮らしを送っていた
(勿論、夜を狩る一族の使命は果たしていたと思われるが)。

しかし、魔王ドラキュラの出現の報を聞いたことで、一族の宿命を全うし、故郷に再び平和を取り戻すべくドラキュラ城へと旅立つ。
道中、魔王軍との戦いに敗れた

ワラキア一の軽業師グラント・ダナスティ、
魔法使いサイファ・ヴェルナンデス、
ドラキュラの息子アルカード

と出会い、一蓮托生の仲間として彼らを加え打倒ドラキュラの旅を続ける。
(ゲームシステム上連れて行けるのは1人までだが、後のシリーズでは全員面識があり、力を合わせて戦ったことになっている)

仲間と共に数多の難関を突破したラルフはついにドラキュラとその力の源である暗黒邪神を討ち果たし、
ワラキアの地に光と平和を取り戻した。
今まで社会から拒絶されて生きてきたベルモンド家は
この時のラルフの活躍を境に英雄として表社会に迎え入れられ、以降も彼の地の守護者として名を馳せるようになったのだった。

後の世でもドラキュラは幾度も邪悪な祈りに応えて復活を遂げるが、人の手で滅ぼされたのはこれが最初であり、
魔と人の永き闘争の歴史において、ラルフは『初めてドラキュラを滅ぼした男』である。

テーマBGMは『Beginning』。ROMカセットに搭載された外部拡張音源VRC6の恩恵により、
FCとは思えないほどの良好な音質で奏でられる名曲で、後のシリーズでも何度となくアレンジされて使われている。
またベルモンド家伝統のBGM『Vampire Killer』もアレンジ曲『Dejavu -Vampire Killer-』として
ドラキュラ城本館突入時に流れる。未来の物語であるシモン・ベルモンドの冒険のBGMを、
過去編である悪魔城伝説に使うに当たり、タイトルに『既視感』を冠したというのが面白い。




✝悪魔城伝説✝

『闇の呪印』で明かされた年齢設定から逆算すると当時20歳。

外見的には筋骨隆々のマッスルボディにサークレット・軽装鎧・むき出しの生脚・鞭!
…と第1作のシモンとほぼ一緒。しかし、逆説的に後世まで伝わる
いわゆる『ベルモンドらしさ』を完成させたのは彼だとも言える。
プロローグでは“まだ髪を切らぬ若者”とあり、長髪の青年であることが個性として挙げられている。
(中世では髪を切ると体力を消耗すると考えられ、子供が衰弱しないよう大人になるまでは伸ばす風習がある所もあった)
ステージ1のデモ演出ではその上からさらに丈の長いマントを羽織っている。
荒れ果てた聖堂跡で祈りを捧げ、雷鳴と共にマントを翻して振り返る姿がかっこよすぎる。

顔はパケ絵の何とも言えない強烈な表情が印象に残るが、
取扱説明書のイラストはまた別の絵師が担当している。ゲーム中のオープニングデモや
画面右上に表示される待機中の顔グラもほぼこちらに準拠しており、『ヒゲの無いトキみたいでこの時点でもかなりの男前。


性格については仲間たちがそれぞれ強いキャラクター性と台詞が用意されているのに対し、
ラルフはシモン同様プレイヤーとの一体感を出すため意図的に個性を廃除された扱いであり、
この時点ではあまり判然としていない。ただ、単に強いだけではなく

・危険を顧みず悪魔城へ挑む胆力
・自分を差別していた人々すら救わんとする義侠心
・アルカードのようなアウトサイダーをも快く仲間に迎える寛容さ
・開けたドアはきちんと閉じる礼儀正しさ

といった英雄的な美徳は随所から感じ取ることができる。

ゲーム内の能力は3段階にパワーアップする鞭ナイフ・斧・聖水・十字架・時計のサブウェポンと
これまたシモンとほぼ一緒。性能的にもバランスがよく使い易いオールラウンダーである。
特にボス戦では最大3連射可能な十字架+鞭連打の圧倒的な破壊力は頼りになる。
ただ、操作に慣れてくると機動性に優れるグラントや高い火力を持つサイファなど、
尖った性能のキャラを使った方が攻略が楽になる場面も多く、結果主人公なのに抑えに廻ることも。


✝悪魔城ドラキュラ 闇の呪印✝


待て!その紋章 悪魔精錬士か?

その鞭 まさか…

答えろ。貴様は悪魔精錬士か?






✝悪魔城ドラキュラ 月下の夜想曲✝

悪魔城伝説から300年以上時間が経過しているゆえラルフ本人は登場しないが、
プロローグにて主人公・アルカードの紹介文としてその名が出ている。アルカードのヴィジュアルが激変しすぎて、
このお耽美な青年はラルフと一緒に戦ったあの蝙蝠に化ける石橋貴明似のおっさんと同一人物だよ
と説明しないとついていけないプレイヤーが続出するだろうから妥当な判断といえよう。
一応、アルカードとマリアの会話の中で「ベルモンド家のハンター」としてアルカードが思い浮かべた吹き出しでドット絵が出ているが……。

また、ゲーム本編では後半の舞台となる『逆さ城』の『裏闘技場』にて
ラルフ・フェイク/サイファ・フェイク/グラント・フェイクなるボスモンスターが登場。
3組の骸骨が収まった筐体棺桶が閉じて・回って・また開くと飛び出してくる悪魔城伝説偽物トリオである。

アルカードにとっては亡き戦友を冒涜するかのごとき絶許な所業だが、残念ながら特に専用の会話イベント等は用意されていない。
そもそもアルカードは自分のドッペルゲンガーだろうが反応しないような鋼鉄メンタルなので仕方ない。思い浮かべた姿から明らかに美化されてるので気づかなかったとかでは断じてない
逆に言えばトラウマに触れたとはいえ仲間の偽者を出しても反応しないアルカードを激おこさせたサキュバスのヤバさ
月下の絵師は既に小島氏だが、この時点では小島ラルフはデザインされていないのでラルフ・フェイクもFC時代同様、
生脚スタイルである。服の色はちょっと抹茶色っぽい。

鞭(リヒターのVKと異なりプリズムのような光はない)を振り、血飛沫を撒き散らしながら飛ぶ骨でできたクロスや変な色の炎が立つ聖水(不浄な水?)といった闇属性のサブウェポンを投げつけてくるが、
聖水はジャンプ、鞭とクロスはしゃがみで完全回避できるので3体の中では最も弱い。
アクションがもっさりなジャンプと移動だけとFC版準拠なのはやはりアルカードを騙そうという意思からだろうか。

さらにサイファ・フェイクを残して先にラルフ・フェイクを倒すと、追い詰められたサイファ・フェイクはなんと
ラルフの恰好をしたゾンビを召喚してけしかけてくる。なんたるネクロマンティック鬼嫁!?貴様は断じてサイファでは無い!!
カクカクぎこちない動きで歩いてくるラルフゾンビもブキミ!そして弱い!!

この3体、後に『悪魔城ドラキュラ ギャラリーオブラビリンス』において
チャレンジステージ『悪魔の巣窟』内の隠しボスとしても採用されており、こちらのラルフ・フェイクは
鞭をジャンプやしゃがみを交えて打ってきたり、ナイフのアイテムクラッシュ『サウザンドエッジ』を使ってくるなど
大幅に強化されている。ちなみにラルフ・フェイクは倒すとカレーを落とす。もうラルフ=カレー好きは公式と見ていいかもしれない。

フェイクとはいえPSレベルの高頭身ドット絵に打ち直された貴重なラルフ像であり、
海外では有志のエイプリルフール企画として、ラルフ・フェイクのグラフィックを利用した
『悪魔城伝説のPS移植版』PV動画(偽)が制作されたこともあった。まさにフェイク!



✝悪魔城ドラキュラ ジャッジメント✝

別名悪魔城ディシディア。
歴代キャラクターが時代を超えて集結するお祭りゲーである。
個性豊かなパーティメンバーで冒険する悪魔城伝説は参戦枠的にはかなり優遇されており、
ラルフと3人の仲間たちは揃って参戦に成功。連れて来られた時系列は各人でバラつきがあり、
ラルフは闇の呪印の直前でサイファとも結婚している時期だが、一方のサイファはラルフと出会う前、という食い違いが生じている。

近年はそうでもないが、悪魔城シリーズの主人公の大半はヴァンパイアキラーを持ったベルモンドで、
サブウェポンの仕様などもほぼ一緒なので一堂に会させても鞭だらけになってしまい、各キャラの差別化が難しい。
シリーズの顔であるシモンは確定として、熾烈な参戦枠争奪戦を原作ではほぼシモンと変化のないラルフが制したのは、
やはり仲間との掛け合いが期待できるポジションだからというのも大きいのだろう。まさに「仲間あっての勝利」である。

他のキャラクター同様、漫画家・小畑健によるリ・デザインによって外見は別人と化している。
背中にシモンと共通の巨大な十字架のシンボルがくっついた毛皮とベルトのカタマリのような戦闘服を身に纏うガチムチの偉丈夫で、
なんとなくゲイン・ビジョウを老けさせたような顔立ち。左目には眼帯を付けているが、
これは『闇の呪印』の古傷設定を持ってきているから。おい、失明まではしてねーぞ!?
こちらのラルフのCVは近藤隆氏。


ファイトスタイルはシモンがスピードと手数を重視した鞭捌きなのに対し、
パワフルな一発を当てていくと差別化されており、超必殺技のヴァンパイアキラー(ラルフVer.)も、
相手目がけ一直線に鞭を伸ばして打ち貫くという聖なるロケットアンカーみたいな演出になっている。

性格描写では歴戦の猛者として貫禄のある佇まいを見せており、一族の誇りを背負っていることを強調する台詞が多い。
また、シモンから見ると先代ということもあり、チュートリアルで教官を務めるなど偉大な先輩戦士然とした描かれ方をしている。
闇の呪印に比べれば随分と丸くなったなと思わせておいて、未来の嫁と出くわすと、まだ自分と知り合う前なのをいいことに
力を見極めると称して日頃、尻に敷かれている鬱憤を晴らすべく襲い掛かり鞭打ちを敢行するなどやっぱりどこかリ・イマジ臭い。


✝悪魔城ドラキュラ -キャッスルヴァニア-✝

悪魔城シリーズをベースとしたNetflixのオリジナルアニメ『悪魔城ドラキュラ -キャッスルヴァニア-』ではトレバー・ベルモンド名義で主人公として登場。
顔の傷やどこか放浪者めいた風貌など、大まかなビジュアルは原典のラルフに準じている。
本作のベルモンド一族は黒魔術に通じている疑いをかけられた事から近隣の村人達から館を焼き討ちにされ、当時まだ幼少の身であったトレバーが最後の生き残りだった。
そのような荒れた来歴からか、クールで熱血漢な本家ラルフとは性格は似ても似つかず、立ち寄った村で諍いを起こす、酒場で飲んだくれるなど本家のベルモンドからは想像もつかない姿を見せていた。
また身に着けていたベルモンド家の紋章を見られた事で住民から迫害されるなど、ゲームでは描写されなかったが実際にあったであろう苦悩も描かれている。
しかし弱きを助け強きを挫くという正義感は変わらず、一族譲りの超人的な戦闘術により容赦なく魔を滅する超一流のヴァンパイアハンター。
また粗野な人物像からは想像もつかないほど、悪魔達に対抗するための知識や戦技への造詣は極めて深い。
武器はおなじみの鞭と体術、短剣や剣も積極的に使用するが、敵から奪った武器もその場で軽々使いこなす。
なお一族伝来のヴァンパイアキラーは最初は所持しておらず、彼の先祖である「レオン・ベルモンド」が遺物として遺していたものを手に入れてから使用している。
そのため「通常の鞭とヴァンパイアキラーの二刀流」を披露したこともあった。


その他
闇の呪印版のビジュアルで『パチスロ 悪魔城ドラキュラ』シリーズの主人公も務めている。
また、この時の主題歌を持参して音ゲーの『ポップンミュージック18 せんごく列伝』にも出場を果たしているが、
キャラグラフィックはシモンのコンパチ扱いである。


✝余談✝







★悪魔城伝説の後世を描いたゲームブック『悪魔城伝説 真正バンパイアハンター』ではラルフと3人の仲間の子孫がそれぞれ登場。
ラルフとサイファの子孫が別々にいるとか、エンディングでのラブラブぶりは一体なんだったのかと言わざるを得ない。
そして『漆黒』以前からあったアルカード子作り疑惑ェ…無論、今となっては非公式の歴史である。
ちなみに表紙にも載っているラルフの子孫、シド・ベルモンドは赤紫色のツンツンヘアー、鋭い目つきにすらっとした手足の少年で
どっちかというと天野画伯担当のFFとか魍魎戦記MADARAっぽい雰囲気。


★現在進行中の新約悪魔城、『ロード オブ シャドウ』シリーズでは海外版準拠のトレバー・ベルモンド名義でラルフも登場しているが、
このシリーズは従来のベルモンド一族とはルーツを完全に異にするため、新トレバーは同姓同名の別人といってもいい。
アルカードと同一人物に統合されてる上にドラキュラ(ガブリエル)の息子でシモンの親父で外見はリヒターだし…

★作曲担当の山根ミチル女史は小島版ラルフがモロ好みのタイプらしい。


これが人々すら恐れる項目だ…


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最終更新:2023年12月28日 11:03

*1 左胸を刃物でグッサリ貫かれている。……これで助かるんだから富樫源次並みの生命力である。

*2 一応、「3Dで唯一ベルモンドとドラキュラの戦いが見られるモード」という価値はある

*3 悪魔城シリーズはIGA氏がプロデューサーに就任するまでシリーズ全体を総括する立場の人物がいなかった