CIWS

登録日:2013/09/12 Thu 01:07:36
更新日:2023/09/01 Fri 18:58:57
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「身の回りに忍び寄る戦闘機・・・すばしっこい対艦ミサイル・・・」
「もう大丈夫!身の回りの脅威からあなたを守る新システム!」
「CIWSのご紹介です!」



CIWS(Close in Weapon System):近接防御火器システムとは、艦艇に迫ってくる敵戦闘機や対艦ミサイルを撃墜する艦艇の最後の砦である。
読みは「シウス」もしくは「シーウス」。

概要

艦艇に飛んでくるミサイルや航空機を迎撃するシステムの一つである。
ゲームなどでは武装名みたいに扱われているケースが多いがどちらかと言えば「迎撃武装の1カテゴリ」辺りが妥当な使い方である。

まずECMによってミサイルの軌道を逸らし、次にミサイルを対空ミサイルで迎撃し、艦載砲で迎撃し、これらが突破された時の最後の砦、それがCIWSである。
当然、CIWSが迎撃に失敗すると艦が撃沈されることも十分ありえる。同時にチャフとIR(赤外線)デコイも散布され、艦は回避行動に入る。

艦載レーダーの情報を元に迎撃を行うタイプと、独自のレーダーで迎撃するタイプ、その複合タイプが存在する。
基本的にどのCIWSも無人であり、脅威と判断されたものを全自動かつ無差別に攻撃する。
難しい表現を全て省くと「近づくモノを片っ端から粉々にするシステム」である。

種類

CIWSはいくつもの種類が存在し、重量や発射物、口径も異なる。

○機関砲式
機関砲の弾幕で対象を破壊するタイプ。アメリカのMk15「ファランクス」が有名である。
迎撃範囲は数百m~数kmだが、基本的にこのタイプのCIWSの出番になると、最早艦は無傷ではいられないことを意味する。ミサイルを撃破しても破片がそのまま突っ込んでくる距離だからだ。
このため近年は後述のミサイル型も使い、より遠方で撃破する向きが主流。
一方でミサイルではゲリラ船等への対応に不都合なことが多々あるので、重機関銃としての側面が再評価され、水上目標への対応能力を備えた改良型も配備されつつある。

  • Mk15.ファランクス:アメリカ製で20mmガトリング砲「バルカン」を使用。アニメでよく出るイージス艦等のCIWSは大体これ。自衛隊も高性能20ミリ機関砲として採用している。米軍では後述のRAMに取って代わられつつある。CIWSの中でも特に軽量な部類で、電源さえ引っ張ればそれこそ艦上のどこにでも設置できるとまで言われるお手軽さが魅力。

  • ゴールキーパー:オランダ製でA-10の固定武装で有名な30mmガトリング砲「アヴェンジャー」を使用。ファランクスより口径が10mm大きく、その分だけ威力が高い。韓国軍がゴールキーパーでオウンゴール決めたのは記憶に新しい。当然口径の分だけ大柄・大重量・高価*1で、ファランクスに比べれば大柄で重心などに影響を及ぼすので置き場所を選ぶ。結果ファランクスよりも採用されず、開発国であるオランダの他は先述した韓国の他にはイギリスやUAE(アラブ首長国連邦)で採用されるに留まった。

  • AK-630:ロシア(旧ソ連)製で30mmガトリング砲を使用。ぱっと見ただの機関砲塔にしか見えず、かなり小さくコンパクト。その秘密はレーダーと機銃の分離配置。多くのCIWSがレーダーと機銃を一体化したユニットになっているが、このCIWSは敢えて分離しているのである。ちなみにファランクスやゴールキーパーに先駆けて実用化されており、最も初期のCIWSと言うべき存在*2


○ミサイル式
機関砲ではなく、短射程の対空ミサイルを用いたCIWS。
迎撃範囲は数百m~十数km。
近年多く出回り始めたのは、至近距離の目標に精密誘導できる小型ミサイルがようやく実用化されたため。
シースパローに代表される対空ミサイルは、どうしてもある一定以上距離が離れてないと有効に使えない。
このテの話題に詳しい人なら、より小型の対空ミサイル*3もあることを知っているだろうが、これらは敵ミサイルの様な小型・高速の目標に命中させられる程の精度は持っていなかった。

利点は命中すれば確実に迎撃でき、機関砲タイプに必要だった射撃指揮レーダーがいらないこと。
欠点は連続発射時に手前のミサイルの噴煙と熱がフレアのように後続ミサイルの軌道を狂わせる可能性があることと、対空迎撃以外の用途への転用が利かないこと。

  • RIM-116「RAM」:アメリカ、ドイツ共同開発。Rolling Airframe Missile、通称RAM(ラム)。ファランクスと置き換えや併用が容易で、実際にファランクスのガトリング砲をこれに置き換えた「SeaRAM(シーラム)」も開発・配備されている。ぱっと見ただのミサイルランチャーにしか見えない。これも搭載する艦を選ばないのが強み。

  • コールチク:ロシア製。CADS-N-1とも。30mmガトリング砲と4連装短射程ミサイルランチャーを組み合わせたハイブリッド型で、どちらかオンリーのCIWSよりも幅広い防空能力を発揮する。ロシアらしく無骨でそして重い。



登場作品

近代艦船が登場する作品には大抵出てくるが、そもそも地味な迎撃装備なので目立って活躍することは少ない。
映画版『亡国のイージス』のように仕事してないこともある。
以下には特にその存在が印象的な作品を挙げる。

○映画
序盤の戦闘において、アーレイ・バーク級「ジョン・ポール・ジョーンズ」と「サンプソン」、あたご型こんごう型「みょうこう」のものがエイリアン艦から投射された弾を迎撃している。
電波妨害によりミサイルが使用できない中、かなり粘って多数の弾を撃墜したが、次々に飛来する弾に対応しきれず着弾を許してしまった。
後半の主役であるアイオワ級「ミズーリ」にも搭載されているが、ほとんど目立たない(しかも実際のミズーリのものは動作できない状態にされている)。


漫画
  • ジパング
太平洋戦争中にタイムスリップした架空のイージス艦「みらい」にファランクスBlock1Aが二基搭載されている。
中心線上にあるこんごう型と異なり、後部CIWSはヘリ格納庫上の右舷側に設置されている*4
要所要所で活躍するが、CIWSが稼働する=かなり追い詰められた状態を意味するため、戦死者など何かしらの損害が発生している。


○アニメ
ガンダムタイプ装備する「いわゆる頭部バルカン(インパルスのみ胸部)」が本作ではCIWSと設定されている。
またアークエンジェルを始めとした艦船の対空機関砲もCIWSとして扱われており、特にミネルバが装備する対空ガトリング砲は明確にCIWSと呼称されている。
なお、地球連合軍の戦艦のガンダムタイプのMSの頭部バルカン砲・艦艇用対空機関砲は「イーゲルシュテルン」、
フリーダム等のザフトの“ファーストステージ”のガンダムタイプMSの頭部バルカン砲は「ピクウス」と命名されている。(ただし、ジャスティスのみ名称が「サジットゥス」である。)
現実のバルカンとファランクスの関係と同様、ガンダムシリーズでは珍しい事に同型の兵器が別の兵装に使用されている格好となる。


総じてほとんど仕事していない
シリーズのどの作品にも艦船が攻撃目標として登場するが、ミサイルが途中で迎撃される事は無い。イージス艦すら同様である。

ACE COMBAT 5 THE UNSUNG WAR』では序盤の港湾を防衛するミッションの際、湾から脱出する軍艦が焦って起動させたために弾幕が岸の港湾施設を直撃するという惨事が起きてしまった。
また終盤には主人公ら一行の母艦である航空母艦ケストレル(ミニッツ級がモデル)が敵潜からミサイル攻撃を受ける場面があり、
迎撃の為にCIWSが火を噴くムービーが入る。……が、ミサイル迎撃には失敗し結局2発のミサイルの船体側面直撃を許してしまった。

『INFINITY』で遂にCIWSがイージス艦の武装として実装され、イージス艦のCIWSが生きている限りこちらのミサイル攻撃が迎撃されるため、
まずは機銃や爆弾等でCIWSを潰す事が重要となった。しかもCIWSは時間経過で復活するため、艦隊戦ではまずはイージス艦を潰す事が重要だった。

ACE COMBAT 7 SKIES UNKNOWN』でもナンバリング作品として初めてCIWSを装備した敵艦が登場し、
イージス艦が高確率でミサイルを迎撃する様になったため、本作の難易度を引き上げる要員となっている……のだが、
旧作に於けるイージス艦の不甲斐ない姿を見てきたシリーズファンの一部には感慨深い光景であり「やっとイージス艦が仕事をするようになった」と称賛したという


機動兵器「アーマードコア」のオプション装備として登場。
SHOULDER UNITのひとつで、機体に向けて飛来するミサイルを迎撃する。
同シリーズには初期から「ミサイル迎撃装置」が登場しており、レーザー式や上記のRAMのような迎撃ミサイルが存在している。
シリーズを共通した特徴として、ヘリ等の航空機やガードメカには作動しない代わりに、ミサイルなら高速ミサイルだろうが大型ミサイルだろうが反応する。
実際に撃墜できるかは別だが。がんばって発射した大型ミサイルがあっさり撃墜される様は哀しいものである




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最終更新:2023年09月01日 18:58

*1 ファランクスの2倍程度の価格とされる

*2 旧ソ連は西側諸国よりに先駆け対艦ミサイルの実戦配備を行っており、それらから身を守るCIWSも当然西側に先駆け開発を推し進めていた。

*3 歩兵携行型の「スティンガー」など

*4 ヘリ運用設備のモデルであるむらさめ型護衛艦と同じレイアウト