デルタフォース

登録日:2012/01/16(月) 01:28:35
更新日:2023/11/03 Fri 17:24:44
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デルタフォースは1977年、チャールズ・ベックウィズ大佐によって創設され、ノースカロライナ州フォート・ブラッグに本拠地を置く、
アメリカ陸軍の対テロ特殊部隊である。
その実力はアメリカ陸軍のみならず、世界各国に存在する特殊部隊の中でもSASSBSDEVGRUに並び世界最強と言われている。

なおデルタフォースは通称であり、正式な部隊名は、
1st Special Forces Operational Detachment Delta(アメリカ陸軍第一特殊作戦部隊分遣隊デルタ)である。



【創設までの略歴】

デルタフォースが創設されるよりも前から、アメリカ軍にはグリーンベレー、Navy SEALs、第75レンジャー連隊等、
特殊部隊や特殊作戦が可能な準特殊部隊といえる精鋭部隊が幾つか存在した。
しかしこれら既存の特殊部隊は、戦時において長距離偵察や隠密潜入、後方撹乱等のゲリラ戦または戦地の現地民を懐柔、
ゲリラ戦を教育してゲリラ兵にしたてあげることを主任務としていたため、テロへの対策は十分とは言えなかった。
そんな折、1961年に当時グリーンベレー大尉であったチャールズ・ベックウィズは、
アメリカ軍人として始めてSASの選抜試験に合格。交換将校として一時期SASに所属した。
SASに所属したベックウィズはそこで対テロに関する様々な戦術や技術を学び、アメリカにもSASのような対テロにも精通した精鋭部隊の必要性を痛感する。
研修からの帰国後、軍上層部に対してSASの様な部隊を創設するよう進言した。



【概要】

前述の通り、デルタフォースはSASを手本に創設されている。
そのため部隊編成、選抜試験内容、訓練内容等あらゆる点でSASに酷似していると言われている。
実際SASがCQB訓練を行う「キリング・ハウス」と呼ばれる施設をパク…参考に「恐怖の館」と呼ばれる訓練施設を作っている。

しかしSASと異なる点も存在する。
SASは基本的に志願条件を満たした者であれば誰でも志願出来る(詳しい志願条件はSASの項目参照)のに対し、
デルタフォースは志願条件の他に体力テストを課している。
この体力テストの内容は非人道的とまで形容される程過酷な物で、志願者を人間の限界の先にまで追い込むと言う。
またデルタフォースの入隊者には学士(4年制大卒者)であることが要求される。
そのためデルタフォースの隊員の多くは、グリーンベレーや第75レンジャー大隊、空挺部隊、山岳戦部隊等の精鋭部隊出身者である。
(勿論それ以外の部隊に所属してデルタフォース隊員になった猛者もいる)



【訓練】

デルタフォースの主任務は対テロ作戦である。
そのため隊員は対テロに関するあらゆる技術、戦術を学ぶ。その中でもデルタフォースは特にCQBの訓練を重点的に行っていると言われている。
また面白いことにデルタフォースでは、飛行機の給油方法等を学ぶとされている。
これは給油方法を学ぶことでハイジャック事件の際、
本物の給油員に紛れ込んで情報収集をする時に、航空機に近づいてもハイジャック犯に見破られないようにするためである。



【任務】

何度も述べているがデルタフォースの主任務は対テロ作戦である。
しかしデルタフォースが担当する案件は、アメリカ国内でのハイジャックや立て篭もり等の対処(これらをカウンター・テロと呼ぶ)より、
海外にいるテロリストを地の果てまで追い掛け抹殺することである。
そのため専ら少人数で行動し、テロリストの情報収集や幹部テロリストや要人の拉致、暗殺等の一般の陸軍部隊や特殊部隊では困難でダーティーな任務を行っている。



【イーグルクロー作戦】

デルタフォース初の大仕事にして、大失態を犯した作戦。

1979年、イラン革命が起きそれまで親米的だったパフラヴィー朝政権が崩壊。

革命の余波を受け、駐イラン米大使館が占拠され大使館職員らが人質となった。

米国のカーター政権は事態を打開するため、デルタを中心に陸海空海兵隊の全軍を投入して解決に当たる。
が、各軍の連携不足によりアクシデントが多発。

挙げ句の果てに、デルタを乗せたヘリが墜落し8名が死亡、4名が負傷して作戦は失敗に終わる。

ちなみに、人質は既に別の場所へ移されていた。
バラバラに指令をだす各上層部、ろくでもない諜報力等々を痛感させる惨事であり、決してデルタフォース単体の力不足という訳ではない。

この事件を教訓として、特殊部隊を輸送する特殊部隊「第160特殊任務航空連隊(通称、ナイトストーカーズ)」が創設、
ISA(通常アクティヴィティ)のような対敵諜報・連携支援の専門部隊、特殊部隊を指揮するUSSOCOMが設立された要因の一つでもある。



【デルタフォースが登場する作品】


終盤にチラッと登場。試験採用のM9ガーンズバックに搭乗している。
あと短編集の方にも元隊員が登場。今頃はロックで成功している…ハズ。



【デルタフォース出身の人物(架空を含む)】

  • チャーリー・ベックウィズ
デルタフォースの創始者。

  • パーキンス(パッキー)
小林源文の擬獣化戦争漫画『cat shit one』に登場するウサギ(米兵)の兵士。
創設者のベックウィズ(こっちもウサギ)と共に創設メンバー扱い(実際には創設当時SASにベックウィズ本人に続く交換将校として出向していたが)で要はOBである。
実戦に慣れてないデルタフォースメンバーの後輩達の面倒をよくみている。

  • ランディ・シュガート
ブラックホーク・ダウンのモデルとなったモガディッシュの戦闘で、ヘリコプターパイロット救出のため自身の危険を省みずヘリから降下。ヘリパイロットを守って戦死した。
死後その勇敢な行動を称えられ名誉勲章を授与された。

  • ゲイリー・ゴートン
シュガートと共にヘリコプターパイロット救出のため降下。彼もまた戦死し、死後名誉勲章を受勲した。

STARS入隊前にデルタフォースの訓練過程を修了しているとされる。

ヨルムンガンドの登場人物でおっさん。項目参照。

  • ワイリ
ヨルムンガンドの登場人物。

ご存知無敵の捜査官。

  • ドイル軍曹
映画『28週後…』に登場する、米軍の狙撃兵。
米軍批判味が若干強めの本作において、その免罪符的存在でもある。


【余談】

デルタフォースのデルタの由来は、ベトナム戦争中ベックウィズが指揮をとっていた作戦「プロジェクト・デルタ」に因むとする説と、
グリーンベレーがa、b、c(それぞれアルファ、ブラボー、チャーリーと読む)と部隊を編成するが、
それらとは異なる新たな編成の部隊という意味でd(デルタ)と名付けられたという2つの説がある。

デルタフォースの存在をアメリカ政府は公には認めていない(所謂公然の秘密)。

イーグルクロー作戦の失態によりNavy SEALs内にチーム6後のDEVGRUが創設される。

デルタフォースは非常に危険な任務をこなすため、隊員の給料は米軍一高いと言われている。また予算も優先的に回される。

日本の陸上自衛隊は、このデルタフォース式の訓練や編成を参考に陸自唯一の特殊部隊「特殊作戦群(陸上自衛隊)」を創設している。
(この他に特殊作戦群はグリーンベレーやドイツのKSKを参考にしている)

メタルギア・ソリッドシリーズには何故か登場しない。
一応ロイ・キャンベルはデルタフォース出身という設定はあるが、今も生きてるかは不明である。




デルタフォースの体力テストにパスしてから追記・修正をして下さい。

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最終更新:2023年11月03日 17:24