征竜(遊戯王OCG)

登録日:2013/07/16 Tue 22:07:37
更新日:2024/04/24 Wed 00:51:17
所要時間:約 35 分で読めます




征竜(せいりゅう)」とは、遊戯王OCGドラゴン族のモンスター群である。


【概要】

地属性の4つに存在するドラゴン族のモンスター群。
第8期4番目のパックである「LORD OF THE TACHYON GALAXY」で登場した。

「征竜」と名のついたカードを指定するサポートは存在しないが、最上級・下級の各征竜がそれぞれ類似した効果を持っている。
また、下級の征竜は同じ属性の最上級の征竜を特殊召喚する効果を持っている。

そして遊戯王OCGの歴史においても屈指の壊れカード群である。
上記のようにカテゴリではないため、個々のカードパワーで環境を荒らしまわったという点で特筆に値する。

特に語りぐさになるのが、早々に本体が禁止されて消滅したカオスと違い、自身や周りのパーツが規制されても新たなパーツを見つけては環境に残り続けた点。
また、登場当時としては考えられない程のアドバンテージ獲得能力に長けたテーマでもあった。

発売直後の環境が全盛期であり、その圧倒的な強さたるや同期の《魔導書の神判》入り【魔導】との2強環境を作り上げてしまった
それ以外のデッキはせいぜい(特殊召喚対策に長けた)【ヴェルズ】くらいしか太刀打ちできず、カオス時代等と並ぶ暗黒期扱いされることも多い。

一方で、属性サポートとしての強さや、征竜魔導内のメタの変遷等を評価する声もある。
(これらについては後述)


最上級の征竜

いずれも『LORD OF THE TACHYON GALAXY』で登場。
共通して以下の効果を持っている。

このカード名の(1)~(4)の効果は1ターンに1度、いずれか1つしか使用できない。
(1):手札からこのカードと○属性モンスター1体を墓地へ捨て(、××を対象とし)て発動できる。
(固有の効果)。
(2):ドラゴン族か○属性のモンスターを自分の手札・墓地から2体除外して発動できる。
このカードを手札・墓地から特殊召喚する。
(3):このカードが特殊召喚されている場合、相手エンドフェイズに発動する。
このカードを手札に戻す。
(4):このカードが除外された場合に発動できる。
デッキからドラゴン族・○属性モンスター1体を手札に加える。
現在は4枚全て制限カード。

一見してややこしいが、4つの効果を持っている。

第一の効果は、自身と同じ属性のモンスターと自身を手札から捨てると何らかの固有効果を生み出すもの。
不要なモンスターを切りながらデッキを回しに行けるため、最上級モンスターでありながら腐りにくい。
同一ターン中の併用はできないが、墓地に落ちたら第二の効果で蘇生できる。
手札2枚が必要だが、結果的に大したディスアドにはならない。

第二に、自身と同じ属性のモンスター、またはドラゴン族モンスターを手札or墓地から除外することで、自身を特殊召喚できる効果。
墓地からでも出てこれるので、墓地さえ肥えていれば破壊されようが何度でも戻ってくることができる。
どの征竜も最上級モンスター相応のステータスを持っており、そのまま打点として使うほか、シンクロ召喚エクシーズ召喚の素材としても活用しやすい。

第三に、方法を問わず特殊召喚された場合、相手のエンドフェイズに手札に戻ってしまう効果。
基本的にデメリット効果となるが、第一の効果に繋げられるメリットもある。

第四に、自身が除外されると同属性のドラゴン族モンスターをサーチできる効果。
「征竜」自体がドラゴン族のため自身をサーチでき、他の征竜の除外コストとして無駄なく活用できる。
特に《封印の黄金櫃》との相性は抜群。発動した時点で1枚サーチし、ターンが経過すれば手札に加わる。

ただし、これらの効果はターン中に1種類しか発動できない。手札から捨てた征竜を墓地からそのまま蘇生させるような動きはできないため、よく考えて使用する必要がある。

遊戯王OCGには「なぜ同名ターン1の制限を付けなかったんだ」といわれるカードが時折登場するが、付いていてもダメな連中もこのように存在する。


  • 巌征竜(がんせいりゅう)-レドックス
効果モンスター
星7/地属性/ドラゴン族/攻1600/守3000
自分の手札・墓地からこのカード以外のドラゴン族または地属性のモンスターを合計2体除外して発動できる。
このカードを手札・墓地から特殊召喚する。
特殊召喚したこのカードは相手のエンドフェイズ時に持ち主の手札に戻る。
また、このカードと地属性モンスター1体を手札から墓地へ捨てる事で、自分の墓地のモンスター1体を選択して特殊召喚する。
このカードが除外された場合、デッキからドラゴン族・地属性モンスター1体を手札に加える事ができる。
「巌征竜-レドックス」の効果は1ターンに1度しか使用できない。

地属性担当。「征竜」の中で最高の守備力を持つ。
固有の効果は、自分の墓地のモンスター1体の蘇生

他の「征竜」と比べると打点が貧弱だがその分効果の汎用性が破格。
守備力については3000ラインであるため《増殖するG》や《クリムゾン・ブレーダー》を警戒した動きをするために使われやすく、壁役としては環境にも十分通用する性能。


  • 瀑征竜(ばくせいりゅう)-タイダル
効果モンスター
星7/水属性/ドラゴン族/攻2600/守2000
自分の手札・墓地からこのカード以外のドラゴン族または水属性のモンスターを合計2体除外して発動できる。
このカードを手札・墓地から特殊召喚する。
特殊召喚したこのカードは相手のエンドフェイズ時に持ち主の手札に戻る。
また、このカードと水属性モンスター1体を手札から墓地へ捨てる事で、デッキからモンスター1体を墓地へ送る。
このカードが除外された場合、デッキからドラゴン族・水属性モンスター1体を手札に加える事ができる。
「瀑征竜-タイダル」の効果は1ターンに1度しか使用できない。

水属性担当。
固有の効果は、自分のデッキのモンスター1体を墓地へ送る
制限カードの《おろかな埋葬》と同等の効果であり、《巌征竜-レドックス》と並ぶ汎用性の高さを誇る。
純構築だと直接手札に加えられる《嵐征竜-テンペスト》の影にやや隠れがちだが、ドラゴン族以外も落とせるのでどちらかというと出張時に輝くカード。

特に「海皇」や「水精鱗」と相性がよい。固有効果はもちろん、打点の底上げからエクシーズ素材までこなす。


  • 焔征竜(えんせいりゅう)-ブラスター
効果モンスター
星7/炎属性/ドラゴン族/攻2800/守1800
このカード名の(1)~(4)の効果は1ターンに1度、いずれか1つしか使用できない。
(1):手札からこのカードと炎属性モンスター1体を墓地へ捨て、フィールドのカード1枚を対象として発動できる。
それを破壊する。
(2):ドラゴン族か炎属性のモンスターを自分の手札・墓地から2体除外して発動できる。
このカードを手札・墓地から特殊召喚する。
(3):このカードが特殊召喚されている場合、相手エンドフェイズに発動する。
このカードを手札に戻す。
(4):このカードが除外された場合に発動できる。
デッキからドラゴン族・炎属性モンスター1体を手札に加える。

炎属性担当。「征竜」の中で最高の攻撃力2800。
神竜騎士フェルグラント》も墓地2枚と引き換えに相打ちに持っていける。

固有の効果は、フィールド上のカード1枚の破壊
破壊するカードの種類に指定は無く、どんなメタカードだろうと永続系ならばこれでだいたい潰せる。
特殊召喚を封じる《大天使クリスティア》や《センサー万別》も怖くない。
「このカードメタとしてどうだろう?」→「ブラスターで(突破できる)」
は当時お約束の流れだった。
そのため全盛期の【征竜】はいかにしてこのカードを手札にキープ&温存するかが重要な焦点になっていた。
ただ制限カードになった後は破壊効果はあまり見ることがなくなった。

その後2023年4月1日の改訂でマスターデュエルでの改定に続き紙の方でも制限カードとして禁止解除が決定。
恐らくOCG25周年記念に爆炎のデュエリストの宣伝等炎属性が大幅に強化された為、それに合わせての制限復帰だと思われる。
これにより【不知火】等が間接的に強化されたと言える。
また、ダイナレスラー・バンクラトプスや黄金卿エルドリッチ等容易な除去力を持った最上級モンスターが登場しており、なおかつ各種素材にすると高い攻撃力を活かせないという環境の変化もある。


  • 嵐征竜(らんせいりゅう)-テンペスト
効果モンスター
星7/風属性/ドラゴン族/攻2400/守2200
このカード名の(1)~(4)の効果は1ターンに1度、いずれか1つしか使用できない。
(1):手札からこのカードと風属性モンスター1体を墓地へ捨てて発動できる。
デッキからドラゴン族モンスター1体を手札に加える。
(2):ドラゴン族か風属性のモンスターを自分の手札・墓地から2体除外して発動できる。
このカードを手札・墓地から特殊召喚する。
(3):このカードが特殊召喚されている場合、相手エンドフェイズに発動する。
このカードを手札に戻す。
(4):このカードが除外された場合に発動できる。
デッキからドラゴン族・風属性モンスター1体を手札に加える。

風属性担当。固有の効果は、ドラゴン族1体のサーチ
キープしていない色の「征竜」や、規制後は「征竜」以外の《レッドアイズ・ダークネスメタルドラゴン》といった中核のドラゴン族サーチする潤滑油として活躍。

特に風属性テーマかつキーカードにドラゴン族を擁する【ドラグニティ】と相性が非常によく、《封印の黄金櫃》で共通サーチ効果を活用する【征竜ドラグニティ】が成立。《魔導書の神判》導入直後の魔導に食い下がる活躍を見せていた。
当時の【ドラグニティ】ではレベル6の《ドラグニティアームズーミスティル》をサーチできる貴重な手段であった。
風属性なのもメリットで、墓地に行った《幻獣機ドラゴサック》をコストにできるため、墓地のドラゴン族の消費を節約できた。

他の征竜ともども禁止カードになるも、2018年10月1日の改訂でなぜかこいつだけ制限復帰した
様々な憶測を呼んだが、「固有効果がドラゴン族を指定するもので他の征竜に比べれば汎用性が低い」「攻撃力2400でステータスがそれほど恵まれていない」「同時期にプッシュされた『ドラグニティ』の強化」というのが主な理由とされている。



下級の征竜

いずれも『スペシャルカードプレゼントキャンペーン』で登場した。
共通して以下の効果を持っている。
このカード名の効果は1ターンに1度しか使用できない。
(1):ドラゴン族か○属性モンスター1体とこのカードを手札から捨てて発動できる。
デッキから「(○属性の最上級征竜)」1体を特殊召喚する。
この効果で特殊召喚したモンスターはこのターン攻撃できない。

「征竜」がその力を周囲の環境に還元するために解き放ち、転生した姿らしい。この後再び力を蓄え元の「征竜」へと戻っていく。

「子征竜」の通称から勘違いされがちだが、上記の通り下級征竜は上級征竜の転生体である。
征竜はこうしたサイクルを繰り返しながら自分のテリトリーに恵みを与えているようだ。

……と、設定的には非常に美しい生物なのだがOCG的には征竜環境を作り上げた諸悪の根源だったりする。

何が悪かったといえば「手札・墓地に存在しないといけない」「特殊召喚効果を使うと他の効果が使えなくなる」という最上級征竜の弱点を補ってしまったのである。自身の効果で墓地に行きつつ他の「征竜」のコストになり大量展開させつつ、《超再生能力》のカウントを稼ぎ大量ドローするというわけのわからない事が出来るようになってしまった。

力を還元したという設定の割にステータスもそこそこ優秀だったりするため、単体のカードとしての性能も地味だが馬鹿にできない。

ついにはあのDDBをも上回る早さで、4種まとめて禁止された。
その後、最上級征竜の禁止と共に無制限カードとなった。
最上級征竜がいなくては実質下級バニラなので当然といえば当然である。
設定どおり転生したと言えるだろう。尤も、多くは元の姿に戻れなくなってしまったが。

詳しくは後述。

  • 地征竜(ちせいりゅう)-リアクタン
効果モンスター
星4/地属性/ドラゴン族/攻1800/守1200
ドラゴン族または地属性のモンスター1体とこのカードを手札から捨てて発動できる。
デッキから「巌征竜-レドックス」1体を特殊召喚する。
この効果で特殊召喚したモンスターはこのターン攻撃できない。
「地征竜-リアクタン」の効果は1ターンに1度しか使用できない。

デッキから《巌征竜-レドックス》を特殊召喚する。
《巌征竜-レドックス》とは対照的に、下級征竜の中で最高の攻撃力を持つ。というか本人より攻撃力が高い
また、《巌征竜-レドックス》は角が折れているのに対し、こちらは鋭く生え揃っている。
《フォッシル・ダイナ パキケファロ》などで特殊召喚を封じられた時に召喚され、そのまま殴り掛かる姿も見られた。

そのため【メタビート】側はこいつにモンスターを殴り倒されないようにする必要があった。事故ってもただでは転ばないのが「征竜」の恐ろしさの1つであった


  • 水征竜(すいせいりゅう)-ストリーム
効果モンスター 
星4/水属性/ドラゴン族/攻1600/守2000
ドラゴン族または水属性のモンスター1体とこのカードを手札から捨てて発動できる。
デッキから「瀑征竜-タイダル」1体を特殊召喚する。
この効果で特殊召喚したモンスターはこのターン攻撃できない。
「水征竜-ストリーム」の効果は1ターンに1度しか使用できない。

デッキから《瀑征竜-タイダル》を特殊召喚する。
下級征竜の中で最高の守備力を持つ。
準アタッカークラスの攻撃力・下級ブロッカーとして及第点の守備力を生かして盤面を支えることも。

【メタビート】にとってはこの守備力がいやらしく、突破するために四苦八苦するはめに。
こいつの処理に手間取っている間に返し札が飛んできて全てが無に帰すこともしばしばあった。


  • 炎征竜(えんせいりゅう)-バーナー
効果モンスター
星3/炎属性/ドラゴン族/攻1000/守 200
このカード名の効果は1ターンに1度しか使用できない。
(1):ドラゴン族か炎属性モンスター1体とこのカードを手札から捨てて発動できる。
デッキから「焔征竜-ブラスター」1体を特殊召喚する。
この効果で特殊召喚したモンスターはこのターン攻撃できない。

デッキから《焔征竜-ブラスター》を特殊召喚する。
攻守ともに貧弱ではあるが、守備力200という点から《真炎の爆発》に対応しているのは嬉しい。

対応する《焔征竜-ブラスター》が2023年に制限復帰し、《風征竜-ライトニング》に続いて再び転生できるようになった。
また、下級征竜で初めて再録されたカードでもあり、その再録には初登場から実に10年半もかかっている。


  • 風征竜(ふうせいりゅう)-ライトニング
効果モンスター
星3/風属性/ドラゴン族/攻 500/守1800
ドラゴン族または風属性のモンスター1体とこのカードを手札から捨てて発動できる。
デッキから「嵐征竜-テンペスト」1体を特殊召喚する。
この効果で特殊召喚したモンスターはこのターン攻撃できない。
「風征竜-ライトニング」の効果は1ターンに1度しか使用できない。

デッキから《嵐征竜-テンペスト》を特殊召喚する。
2018年で《嵐征竜-テンペスト》が制限カードに復帰したため、「子征竜」の中では先んじて転生できるようになった。

攻撃力500という点から《デブリ・ドラゴン》を筆頭に低ステータスのサポートカードに対応している。
おかげで《ブラック・ローズ・ドラゴン》でせっかく敷いた布陣をふっとばされることも。


相性の良いカード

モンスター

ご存知ドラゴン族デッキのお供。
手札・墓地から「征竜」を特殊召喚できるのはもちろんの事、特殊召喚時の除外コストを各最上級「征竜」のサーチ効果の発動トリガーとする事も可能。後に一時禁止カードになる程のカード。

しかし、全盛期の【征竜】は並外れた展開力や自己再生能力ゆえに、スロット圧迫を避けるために採用しないこともザラであった。どういうことなの……。
光と闇の竜》同様に《エクリプス・ワイバーン》との相性でサーチできるため、そちらと一緒に使われる事が多かった。


ルールの難解さで知られる最上級ドラゴン族
【征竜】は召喚権をあまり使用せずにモンスターを展開できるので、アドバンス召喚を狙いやすい。(特に全盛期)

幻獣機ドラゴサック》の効果で呼んだ幻獣機トークン2体がリリース要員として最適。
また、《エクリプス・ワイバーン》でサーチができ、その《エクリプス・ワイバーン》は子征竜で墓地に送って征竜で除外できる。
そのため1枚だけの採用でも特に問題は無い。

この点を利用し先攻1ターン目にこのカードを出すギミックは、
ライダー突破には概ねなんらかの下準備が必要なことが多いためかなり切り返しが難しく、【征竜】の重要な戦術の一つとなっていた。
このような本来扱いづらいモンスターを軽々と出せてしまうあたりに「征竜」の強さが現れている。


ドラゴン族バニラの最上級モンスター。高い攻撃力を持ち遊戯王を代表するカードの1枚。
だがその用途は専らコストである
《霊廟》で落とすバニラとして使ってよし、《トレード・イン》で切るレベル8として使ってよし、墓地に行った後は「征竜」の特殊召喚コストとして除外してよしとかなり無駄がない。アレ?ちょっと待て

《調和の宝札》や《竜の霊廟》《竜の渓谷》で《伝説の白石》を墓地に落とせばそれだけで手札に来るので、墓地の《伝説の白石》と手札の《青眼の白龍》で一気に特殊召喚用除外コストの2枚が揃う。
一応《レッドアイズ・ダークネスメタルドラゴン》や《D・D・R》等で特殊召喚されることもあり、高い攻撃力を活かすこともあった。

このカードを使用したデッキがトップメタになった一方で、コストとして運用されるという一見ぞんざいな扱いを嘆く声もあった。


  • 《エクリプス・ワイバーン》
墓地に送られた際に、デッキから光属性か闇属性のドラゴン族・レベル7以上のモンスターを1体除外する効果、
除外された際に、上記の効果で除外したモンスターを手札に戻す効果を持つ。
上記のモンスターを間接的にサーチするために使用された。


  • 幻木龍&幻水龍
当時「子征竜」失った「征竜」のお供の代表格。
場の水属性・ドラゴン族と同じレベルになる起動効果を持つドラゴンと、地属性モンスターが存在する場合に特殊召喚できるドラゴン。
特に《瀑征竜-タイダル》と《巌征竜-レドックス》のシナジーに優れ、お手軽にレベル8のシンクロモンスターやランク7~8のエクシーズ召喚が狙えた。


竜の渓谷及びテンペストでサーチできる為、1~2枚ほど投入される事が多かった。
ドラグニティのチューナーモンスターはレベル1~3まで存在しており、どれを採用するかはエクストラデッキ次第である。
なお、効果を利用しやすい【征竜ドラグニティ】でもなければ、レベル1で最も攻撃力が高いドラグニティ-コルセスカを採用するのが主流であった(【征竜ドラグニティ】の場合はドラグニティ-ブランディストックが採用されるケースもあった)。
レベル3チューナーであるファランクスかピルムを入れることもあった。


三幻神の1つ。
リリースが3体必要な重いモンスターであるが、その役割は征竜ミラーにおけるメタ。
征竜はメタの突破力に長けたテーマであるのだがその大半はブラスターとドラゴサックの攻撃力と除去能力に依存している部分が大きい。その弱点を的確に付けるのがちょうどオベリスクだったというわけ。*1

当時天敵たる強力な除去効果のシンクロが第一線から退いていたのもあり、登場当時の簡単に除去されるから弱いという評価から一転、
神の名の元に征竜と共に征竜に鉄槌を下した。
本来コストが重すぎる全体除去も征竜にとっては軽いコストかつ有用だったので征竜のミラーが当たり前のように起こる都合上状況次第で、
オベリスクで相手のオベリスクを効果で除去(ゴッドハンドインパクト)することも普通に起こりえた。
暗黒期に比べればわりかし正常な環境の遊戯王からみたらバブル期の日本みたいな話ではあるが。
全盛期の征竜にブラックホールはもちろん、手札コストが重いライトニング・ボルテックス、挙句にはTCGではまず敬遠されるギャンブル効果のラッキーストライプまで採用されていたのはこれの影響もあった。

唯一の欠点は当時サーチする手段がそれこそ2ターンと遅すぎる封印の黄金櫃ぐらいしかなかったため、実質ドローするしかなく、さらに性質上ピン刺しが殆どのため手札にくるかは完全に運次第だった点か。
一応超再生能力の存在から1ターン目以降ならデュエル中に引き当てるのはそこまで難しくはなかったのだが、如何せん当時のインフレにインフレしていた背景から実際に採用するかは環境の流れや個人の判断によるところが決して少なくなかった。


3年半ぶりに戻ってきた征竜が早速目をつけた新しいおもちゃ仲間。
ダークマター・エクリプスを駆使してガンドラを確保し、場にATK8000のモンスターを用意*2した上でガンドラを特殊召喚し、効果ダメージで先攻ワンキルを狙う。
2024年1月にOCGでもエラッタが実装されて不可能となる。


  • ネメシス
下級は除外されたドラゴン族を回収でき、「征竜」のコストにもなる。
特殊召喚モンスターの方はサーチ効果に繋げられ、エスカトスなら「征竜」のコストにもなる。


  • 焔聖騎士
ローランはコストにすることでサーチ効果を発動でき、除外された戦士族はリナルドやモージで回収できる。


EXモンスター

  • No.7 ラッキー・ストライプ
レベル7モンスターを3体も要求するランク7エクシーズモンスター
X素材を1つ取り除くことで、サイコロを2回振り、大きい方の出目の数×700の攻撃力となる。さらに出目の合計が7なら全体除去、《死者蘇生》《天使の施し》のいずれか1つと同じ効果を使える。

そもそも遊戯王OCGに限らずTCGは確実性のない運の絡む効果は敬遠される傾向にあり、特に勝利を第一にするガチ環境では顕著である。
さらにこいつの場合☆7モンスター3体と他のランク7より素材が重いため余計に使いづらく、ロマンカード以上の評価を得るのは非常に難しかった。
ところが、征竜環境においては上記オベリスクを突破できるカードとして一躍大抜擢されてしまったのである。

運次第とはいえ7の目の効果による全体除去、単純にステータスアップで4000オーバーになることでオベリスクを破壊できる可能性は、失敗するリスクに見合うだけのものだった。
もちろんライトニングボルテックスを筆頭に全体除去をメインデッキに採用する事は多かったのだがそれらが手札に来るかはあくまで運。
必要な時に呼ぶことができるメリットは、失敗するリスク以上のリターンがあったのだ。
実際世界大会でも登場し、使用した選手は見事7の目を打ち出しファンサービスを披露。暗黒期のなかでの貴重な正の面もある一枚。


レベル7の最上級征竜2体を並べる事でエクシーズ召喚できる。
遊戯王の中でも最上級のコントロール奪取効果を持つ。
このせいで当時絶版状態だったザ・ヴァリュアブル・ブック14は品薄になってしまい、(当時の)シングル価格も高騰していた。
【征竜】がミラーするとかなりの確率でビッグ・アイの奪い合いが始まる
そのため「ビッグアイを出すときはライフを削りきれる時にする」というプレイングが生まれた。
下級征竜と一緒に規制され制限カードとなり、その後15/04/01に無制限カードとなった。
攻撃力2500以上の闇属性ということで対魔導のために、相手が何も出していない先攻1ターン目に出されて《闇のデッキ破壊ウイルス》のコストにされることも。


同じくランク7のエクシーズ。
優秀な除去能力を持ってメタを突破したり場を掃除するのが主な仕事。
さらに当時は最悪牽制、時間稼ぎとして先手で場にだしても優秀だった。
さらに幻獣機トークン2体生成を利用し、アドバンス召喚のリリース要員等の展開補助として活用できる。
このカードにエクシーズして盤面を整えることが【征竜】の基本戦術。
当時普通のデッキでは出すのに苦労するこのカードをとりあえず出すことができた辺り、征竜のヤバさを物語っている。
ぶっちゃけ本職である【幻獣機】より出しやすい上に活躍の場が多い。別名「幻征竜」
墓地に落ちた後もテンペストの特殊召喚コストになるという優秀っぷり。
規制が進むにつれ出しにくくなったため、最終的には1枚のみの採用になっていった。


子征竜規制後に採用されるようになったエクシーズモンスター。
出し方は色々あるがタイダルとレドックスを除外して幻水龍と幻木龍をサーチしてから出す方法が使われやすい。
他のデッキではエースのような扱いをされやすいが、征竜では数ある駒の一つに過ぎない所が恐ろしい所。
こいつを突破した所で次の手がドンドン飛んでくる。突破できなければもちろん負ける。
征竜で使われるようになってからシングル価格が一気に高騰したが、レアコレに再録され落ちついた。


征竜はレベル7のため上記の伝説の白石の他に、ブラスターからサーチすることもできるガード・オブ・フレムベルや、
渓谷からサーチできるドラグニティ-コルセスカ、持て余したエフェクト・ヴェーラーなどを利用すれば簡単に出せる。
戦闘破壊に成功すれば相手の上級モンスターの展開を制限することができ、デッキによっては一方的に殴り殺される。
逆に征竜側もやられると厳しいが……それはつまり征竜メタは征竜と言う事。どうかしてるぜ!
おかげで「増殖するGを打たれても止まれるように、まずはこいつに負けないレドックスかブラスターを出す」というプレイングが定番化した。それに対抗して「最初のレドックスやブラスターには増殖するGを打たない」なんてプレイングまで。
このカードも高騰していたが、上記のフェルグラ同様レアコレに再録された為、現在の相場は落ちついている。


  • ドラゴン族シンクロモンスター
決闘竜スクドラを始めとするドラゴン族シンクロモンスターにはレベル8が多いため、
クリブレと同様の方法で簡単に出すことが出来る。
更には墓地に行った時に征竜の除外コストにもなり役に立つ。
次々とエース級の強力なドラゴンを繰り出す様はボスラッシュのようで圧巻。やられた方はたまったものではないが。


周辺パーツをどんどん規制され本体も制限カードになり、遂に死に絶えたと思った征竜を蘇らせた大宇宙の闇の力。
4000という高い攻撃力とモンスターへの2回攻撃効果、X召喚時「コスト」としてデッキのドラゴン族を3種類墓地に送ることで相手のデッキからモンスター3枚を除外する効果を持つ。つまりヴェーラーでは墓地送りを止められない。
理論上、自分の場・手札・墓地・除外ゾーンにカードが存在せず、相手フィールドに5体のモンスターがいるという絶望的な状況でも『RUM-七皇の剣』の発動に成功すれば逆転1ターンキルが可能と、とんでもないことが可能とされている(妨害を考慮しない場合だが)。


魔法・罠カード

  • 封印の黄金櫃
デッキから最上級征竜を除外する事で、その征竜のサーチ効果を発動させる事ができるため実質的には速攻サーチカード。
2ターン後に手札に加える効果はおまけ。ほぼ無償のおまけで征竜が手札に入るのは明らかにずるい
このせいでザ・ヴァリュアブル・ブック9が(ry
最上級征竜と一緒に規制され制限カードになっていたが、後に解除された。
以前ネクロフェイスでやらかして制限食らったこともあるがほぼ同じ理由で規制されたことになる。


  • 超再生能力
引けるのはエンドフェイズだが手札コストorリリースの消費分を補い余って逆に増やす事ができる。大抵の場合は2枚、上手く展開しきった後に6ドローとかザラ。
手札が限られている状況だとどれだけ引けるかは不安定な欠点こそあるが、このカードを使った後に同名カードを引いた場合でも発動できてしまうため、例え一枚当たりの枚数が少なくとも、逆に多ければ多い程、運よく連打に成功した場合はそのターンのドロー枚数が凄い事になる。むしろデッキ切れやサーチ先切れに注意すべき。
このアド製造能力はさながら魔導書における神判。あちらと違い超再生能力そのものを引けるかどうか、効果で手札にどんなカード来るか、効果で何枚引けるかはあくまで運任せで不安定だが、質より量を実現するとち狂ったアドバンテージ獲得量からやはり「決まれば勝ったも同然」である。
むしろシリーズカード以外の妨害カードが高確率で手に入る可能性があるのは審判にはないメリットであり、エンドフェイズに引いても相手ターンにも発動できるエフェクト・ヴェーラー等の手札誘発を構えられては堪ったものではない。
墓地にリソースが溜まっているだけでも厄介な征竜で手札まで補充されてしまうのは相手にとって絶望以外の何物でもない。
さらに追い打ちをかけるように6枚以上引いて手札が溢れても征竜は墓地もリソースなので…
大量ドローに一回でも成功したが最後、「手札には制限クラスの魔法や手札誘発がたくさん、墓地は大量のドラゴン族」なんて状況に容易になってしまう。
下級征竜が禁止になった際に一緒に規制され制限カードになったが、現在は規制解除されている。


  • 七星の宝刀
手札か場の☆7を1枚除外することで2枚ドローできる。征竜のサーチ効果も使えるため実質手札が1枚増えるという優れもの。
征竜と同じ弾で登場した為、元々征竜を意識してデザインされたカードと思われる。子征竜で呼んだ親を除外してドロー、親をサーチすれば、次のターンになってしまうが墓地の子供をコストに親を出せる上に手札はほとんど減らない。なんじゃそりゃ。
最上級征竜と一緒に規制され一時は制限カードに。
しかし元々これだけの性能をもってしても全盛期は事故を避けるためにピン刺しが普通だったのに加えて、最上級征竜達の規制が進むに連れて彼らを除外する旨味が無くなって来たため投入率は低下。
その為か14/04/01に準制限になり、さらに同年7月に制限解除されることとなった。


  • 竜の渓谷
手札1枚をドラグニティかドラゴン族限定おろかな埋葬に変えるフィールド魔法。
墓地肥やしはもちろん、ドラグニティのチューナーをサーチしてシンクロにつなげることも可能。
もともと手札を捨てるデメリットが大きいカードだったのだがんなの墓地も手札な征竜にとってそのデメリットはないも同然だったため子征竜の禁止以後、長く採用された結果2014/07/01からは制限カードに。
本来は1:1のサーチ手段に過ぎないドラゴン&ドラグニティは完全なとばっちりであった。
その後2017/10/01に遂に制限解除。ドラゴン&ドラグニティデッキには朗報と言える。
ちなみに海外では一時期禁止カードに指定されていた。その後日本より早く制限解除された。


  • 竜の霊廟
ドラゴン族版おろかな埋葬。通常モンスターを墓地に送れば、さらにもう一枚墓地へ送れる。
征竜の墓地コストを稼ぐのに適したカード。特に【青眼征竜】ではかなり強力。
渓谷と一緒に2014/07/01からは制限カードになる。その後は2015/10/01で準制限カードで準制限カードを経て16/04/01に制限解除された。


  • D・D・R/異次元からの帰還
D・D・Rや異次元からの帰還などを使えば、除外した征竜を再利用しつつ再び墓地に戻せる。
特に異次元からの帰還は親が規制され低下した爆発力を補うゲームエンドクラスのカードとして悪用され禁止カードに。


  • 異次元からの埋葬
除外された征竜を墓地に戻せる。
それでも3枚戻せばそこからランク7が出てきたりするのでもうね……。


デッキの特徴

征竜を自身の効果で複数並べて殴り、ランク7エクシーズモンスターを出すのが主戦術。
最上級モンスターを次々と展開する様は中々に爽快かもしれない。

しかし、このデッキのヤバさはそういうことではない。

改めて最上級征竜の効果を要約すると

  • 全員がドラゴン族で統一されている+ドラゴン族か同属性がコスト →同名カードも含めて全ての征竜が他の征竜の発動コストになれる。 
  • 特殊召喚すると相手のエンドフェイズに手札に戻る →素材にすれば関係なしor墓地が肥えてればまた出せる。
  • 自身が除外された際に、同じ属性のドラゴン族をサーチ →『場合』なのでタイミング逃しなし。自身をサーチできるので途切れにくい。
  • 自身と+1枚を手札から捨てることで使える固有の効果 →ターンを跨げば墓地から蘇生可能。

これがどういうことかと言うと

【例】
墓地にレドックステンペストブラスターが存在。
 ↓
レドックステンペストを除外してブラスターを特殊召喚。
 ↓
除外された2体の効果で、それぞれ地属性ドラゴン風属性ドラゴンをサーチ。
 ↓
【結果】:最上級を特殊召喚+2枚サーチ。

モンスターを特殊召喚したら手札が増える。しかも墓地さえ肥えていれば始動に必要な手札は0。
2枚目の同名カードもサーチ可能で、ご丁寧に手札から発動する効果まで持っている。
文字通り墓地も手札であり、下手するとあの八汰ロックを食らってもリカバリーできる
頭おかしい。

ただし、各征竜の効果は1ターンに1度しか発動できない。
上記の例だと、2枚目の征竜をサーチしても、そのターン内は効果も使えない。
「ブラスターの特殊召喚時に2枚目のブラスターを除外して、3枚目のブラスターをサーチ」といったことも出来ない。
さらに、サーチ効果はあっても除外はされていくので、効果を使うほどに墓地リソースも減っていく。
「墓地の征竜を蘇生しようとしたらD.D.クロウ食らった」なんて時は蘇生も出来なければサーチも出来ない。悲惨。
この辺りが弱点といえば弱点であり、規制後は「色減らし」として対策の一部になっていた。



……逆に言えば、墓地さえ肥えていれば毎ターンの上記のような展開が可能。
さらに、制限されるのは「自身の効果」による特殊召喚。他のカード効果でなら複数体並べられる。



そして、これを下級征竜は両方やってしまったのである。




上記の例で行くと、
【例】
墓地にレドックステンペストブラスターが存在。
 ↓
レドックステンペストを除外してブラスターを特殊召喚。
 ↓
除外された2体の効果でリアクタンと2枚目のテンペストをサーチ。
 ↓
テンペストをコストにリアクタンの効果発動。デッキから2体目のレドックスを特殊召喚。
 ↓
【結果】:最上級が2体特殊召喚+次のターン用の征竜と除外コストが揃う。

仮に、手札から展開したとしても、サーチ効果で手札消費もリカバリー可能。何だこれ。
並べた征竜はNo.11 ビッグ・アイなり幻獣機ドラゴサックになるのが基本。
通常召喚も残ってるのでチューナーを出してシンクロ召喚も可能。
ドラゴン族チューナーでドラゴン族シンクロを出せばコストも賄えて一石二鳥。
ドラゴサックのトークン2体とレベル3チューナーでトリシューラも出せる。こいつもドラゴン族なのでコストになる。

加えて言うなら上記のはあくまで一例。
サーチするカードを変えたり、他の魔法・罠を絡めたりで柔軟な動きが出来る。
もはやデッキも手札状態。書いてて意味わかんなくなってきた。

まとめると、手札・墓地から除外し尽くさなければその展開力が衰えず、それでもデッキに残っていれば復帰される可能性が高い。
そして、現実のデュエルはその前に押し切られるのが大半である。


弱点

いかに強力であれ、弱点もある。
マクロコスモス』などの全体除外カード、逆に除外を防ぐ『王宮の鉄壁』『ネクロバレー』、
特殊召喚を防ぐ『ヴェルズ・オピオン』や『昇霊術師 ジョウゲン』など。
ただし、これらはブラスターの手札効果や幻獣機ドラゴサック、汎用カード等で突破されることも多い。
それら含めて初手ショック・ルーラーで「モンスター」を宣言してしまえば、次のターンはほぼ動けなくなる。
当時はそれが簡単にできるデッキはなかったが……



情報が出た当初は、下級征竜の存在が明らかになっていなかった事もあり、
どちらかと言うと「征竜単体で組んでも面白い、各属性デッキへの出張要員」として注目されていた。
恐らくコナミも属性統一デッキの強化パーツぐらいにしか思っていなかったのだろう。
そもそもこの時期は魔導書の神判という完璧無比なぶっ壊れに話題が持っていかれ気味で、ほとんどの人が魔導書だけが環境を支配すると信じて疑わなっかた。

しかしその予想を裏切るように、下級征竜の登場や征竜同士のシナジーの強さ、それによってもたらされる超再生能力の爆発的ドロー性能が判明すると【征竜】デッキが本格的に開発され、瞬く間に魔導書に対抗する勢力として降臨。
4色の下級征竜が揃うやいなや、同時期に登場した魔導書の神判と共に文字通り環境を二分した。
発売直後こそ(前環境で活躍していた)【3軸炎星】【ヴェルズ】などが喰らいついていたものの、根本的なデッキとしての強さの格差の問題やプレイングが洗練されていくに連れて差がついていった。

実際、当時の環境は【魔導】と【征竜】しかいないと言っても過言ではないレベルであり、
他のデッキはというと、両者に比較的相性の良い【ヴェルズ】、征竜を取り入れた【3軸炎星】【水精鱗】【ガジェット】などがごくたまに入賞するくらいであった。

更に世界大会であるWCS2013では出場者のデッキが【魔導】と【征竜】の2種類だけというとんでもない状態に*3
ちなみに優勝したのは【征竜】。日本で発売が先行していた【魔導】デッキの強化パーツが大会では使えなかったためそもそも征竜を選択する人がほとんどだった。

その滅茶苦茶な強さから2013年9月1日のリミットレギュレーション改訂で全ての下級征竜が禁止カードにされた
征竜への唯一の対抗手段とされた「魔導書の神判」も含め、計5枚のカードが直接禁止に叩き込まれたのである。これは歴代最多禁止。
同時に、いずれもDDBの290日をはるかに超える早さと寿命の短さで、(当時の)歴代最短禁止も更新*4








……それでも止まらなかったのだが。
下級征竜判明前に言われてた欠点を含めてもかなり強いことが知れ渡り、この後も環境トップの一角を走り続けることになる。

当時の【征竜】デッキを組むにあたっての最大の悩みは、征竜達の入手の難しさであった。
というのも、最上級の征竜は全員スーパーレア、下級の征竜も期間限定の配布パックのみに収録されていたからである。
また上記の通りエクストラデッキや魔法カードが事実上絶版だったりするのにも悩まされた。

ついでながら、彼らが初登場した『LORD OF THE TACHYON GALAXY』は、他のスーパーレアもなかなかの粒揃い。
《七星の宝刀》は勿論、
  • ターン制限の無い破壊効果を持つランク6エクシーズの《ガントレット・シューター》
  • 璃緒が使用した、相手の効果を封じ自らの攻撃力を上げることが出来る、鳥獣族デッキで役立つ《零鳥獣シルフィーネ》
  • 上記2枚に比べ効果は1ランク落ちるもののイラストアドの高い《CX(カオスエクシーズ) ダーク・フェアリー・チア・ガール》
等、スーパーレアの外れがそんなにないパックとして有名であった。
そんな中外れ扱いだった《風霊神ウィンドローズ》も、エレメントセイバーのお陰で多少価値が出た。あくまで多少だが。
ちなみに征竜や《七星の宝刀》も含めここに挙げたスーパーレアはその後再録されているものの、ダーク・フェアリー・チア・ガールだけは相変わらずこのパックからしか出ない珍妙な事となっている。
もっとも、当時のシングル価格でそれなりの値が付いていたのは、征竜と《七星の宝刀》くらいであったが。

一応、海外版の『Lord of the Tachyon Galaxy』では最上級征竜は全員レア、下級征竜は全員ノーマルで収録されているが、
収録枚数自体が日本版より多い事や海外版特有の封入率の偏りから、日本語版と比べてハードルが下がったかどうかは微妙なところ。実際「1ボックスに親征竜が1枚しか入ってない」という話がよく聞かれた。

また、2013年の秋からは征竜のtin缶が発売された。
シークレットで征竜が確実に封入されているので持っている人も持っていない人もお勧めな一箱
……だったのだが、ほぼ同時期から、ショップデュエルのノーリミットデュエル以外では海外版のカードは使用禁止となってしまった。

後に最上級の征竜がGOLD SERIES 2014に再録された為、日本語版も容易に入手できるようになった。
その為、メインデッキだけなら比較的安価で組めるようになった。(エクストラデッキはそれなりにかかるが)



経歴

  • 2013年2月~9月
『LORD OF THE TACHYON GALAXY』発売。
「巌征竜-レドックス」「瀑征竜-タイダル」「焔征竜-ブラスター」「嵐征竜-テンペスト」が初登場。
その前後にスペシャルカードプレゼントキャンペーン第一弾・第二弾で、
「地征竜-リアクタン」「水征竜-ストリーム」「炎征竜-バーナー」「風征竜-ライトニング」が初登場。
発売直後からすぐに各地の大会で成果を挙げ、環境トップとしてその名を轟かせていく。

余談として、征竜が登場する直前の改定はあの「未来融合-フューチャー・フュージョン」がちょうど禁止指定を受けたタイミングである。
【ドラゴン族】系列における未来融合はほぼほぼ「デッキからドラゴン族を5枚落とすカード」としてしか扱われていなかったため、
もし禁止化が遅れていた場合カード1枚から征竜がズラズラ並ぶという悪夢の光景が広がっていただろう。

  • 2013年9月1日
「炎征竜-バーナー」「水征竜-ストリーム」「地征竜-リアクタン」「風征竜-ライトニング」が禁止カード化。
関連カードでは「超再生能力」と「No.ナンバーズ11 ビッグ・アイ」が制限カードになった。

散々猛威を振るい、世界大会で一般・ジュニアの両部でともに【征竜】が優勝したことを受け、子征竜が一気に規制された。
即禁止するぐらいなら最初から作るなと誰もが思ったろう。
これにより安定性と展開速度を多きく落とされることに。

しかし、この時点ですでに征竜のパワーは広く認識され、この程度ならば止まらないと予想する声も多かった。
事実、この後も上級征竜をメインに環境に残り続けた。

尚日本と海外の禁止制限リストが明確に分かれるようになったのはこの回からで海外は汎用パーツに大幅な規制が入っている。
征竜自体も子征竜や超再生能力、黄金櫃などが規制されたものの親征竜は12枚健在で、その上で征竜に有効な奈落の落とし穴と強制脱出装置が汎用除去規制の一環として制限カードになった。あとマクロコスモスやソウルドレインまで規制されていた。
おまけに10月には海外ではカード化されてなかった第六感が「発売と同時に制限カード」と言う扱いで登場したため征竜に対抗できるデッキがなく、征竜ゲーと化した。
その結果1月改訂にて日本より早く征竜に大幅な規制が入れられる形となった。


  • 2014年2月1日
「巌征竜-レドックス」「瀑征竜-タイダル」「焔征竜-ブラスター」「嵐征竜-テンペスト」が準制限カード化。
また、強力なシナジーを持っていた「七星の宝刀」・「封印の黄金櫃」が制限カードに、「異次元からの帰還」は禁止カードとなる。

メインの4体が準制限、さらには相性のいい魔法・罠も一気に規制される。以前と比べて遥かに色が消えやすく取れる行動範囲が狭くなりがちに。
これで止まるかと思いきや、空いた枠に墓地肥やし等の相性の良いカードを突っ込み粘り続ける。
その後も相変わらず環境上位に残っていた。


  • 2014年4月1日
「巌征竜-レドックス」「瀑征竜-タイダル」「焔征竜-ブラスター」「嵐征竜-テンペスト」が制限カード化。
一方、「七星の宝刀」は準制限に緩和された。

全員が制限となり、同名カードが1枚ずつとなった。
これによって色減らしをモロに受け、後続が途切れやすくなり連鎖的に墓地リソースも限られるようになり、大幅な弱体化を余儀なくされる。
さらには、【アーティファクト】の登場、マドルチェ先史遺産が強化され、強力なライバル達に押される形となったのだが……。

それでも【青眼征竜】という形で結果を残す。
当時の環境の最大勢力であったシャドールと相性が良いのも要因なのだが、相性がいいだけで勝てるほど甘い連中ではないのに……。

この時点で8種類の征竜の内、半分が禁止、半分が制限カードになったことになる。
サポートカードも軒並み規制されている。

そこまでやったのにまだ環境上位デッキとして存在。どういうことなの……?


  • 2014年7月1日
渓谷と霊廟も制限カード化。代わりに宝刀は解除される。

あまりの暴れっぷりに、とうとうコナミはドラゴン族全体を殺しにきた
ドラゴンサポートも兼ねて登場した征竜がドラゴン族を潰して回る姿は皮肉としか言いようがない。
特にドラグニティ使いは泣いていい。

この状態ですら、すぐに聖刻との混合やクリバンデットダークフレア・ドラゴンを駆使するデッキが考案される。
ライロ征竜】も普通に運用可能であった。

つまりこの改定、他のドラゴン族には大打撃だが、肝心の征竜は「なんとか生き残れないこともない」程度ものだったのだ……

……と、かなりの不安を抱かせていたが、流石にクリバン頼みだと安定感はガタ落ちしたらしく、登場から一年半の時を経てようやく環境からはほぼ消滅
次は自分らが生贄になるんじゃないかと戦々恐々していたライロや他のドラゴン使いも胸を撫で下ろした。

普通のデッキはカテゴリ指定サポさえ規制すればちょうど良く止まるのだが、カテゴリ専用サポを持たない征竜は【ドラゴン族】全体を巻き込んだ規制によってようやく停止。理不尽すぎる。

しかし、征竜魔導から加速した環境は最早留まる事を知らず、既に強力な新テーマが活躍し始めていた――


  • 2014年10月1日~
シャドールクリフォート(遊戯王OCG)等の強力な新テーマが活躍する環境に(弱体化した)征竜は遂についていけなくなった。
また、環境の方は新儀式テーマネクロスが登場して環境を文字通り青一色に染め上げる。


  • 2015年1月1日~
影霊衣の影響で儀式サポートが軒並み規制される。
他の儀式召喚デッキにとってはとばっちりというレベルじゃなく、多くの決闘者は征竜による巻き添え規制を思い返したことだろう。

征竜関連ではNo.11 ビッグ・アイが準制限に緩和。
ランク7も出し辛くなり、弱体化を重ねて征竜もようやく許された………。


終焉「ただいま」
ダークマター「はじめまして」

と思ってたら暗黒物質とカオスを纏って復活の兆しが。

当時の環境はスキドレや虚無空間全盛であるにも拘らず、通ればほぼ確実にワンキルできる圧倒的な爆発力からチラホラと【ダークマター征竜】が入賞していた。
流石に環境トップを取る力は無かったがそれでもたまに優勝するというレベルで復活してきており、
改めて征竜のしぶとさを多くのデュエリストに知らしめた。
征竜は4枚しか残ってないのにどうなってんの。

もはや何をどうしても滅ぶ気配が無いので、征竜はもう「概念的な何か」であると言われていたが────


2015年4月制限

四征竜 全員禁止

流石にコナミもこいつら放置しておくとどうなるか解らないと思ったのか、はたまたこいつらのせいで新規ドラゴン族サポートのデザインが狭まっているとおもったのか、
2015年4月のリミットレギュレーションで全員禁止カードに指定される。
そして入れ替わりに下級征竜四体が禁止から一気に無制限に緩和された。DDBを上回る速度で禁止になった子征竜だったが、禁止から一気に無制限になったのもDDB以来の二例目となった。
あっちは別物とも言われるエラッタを食らったがこっちはテキストが事実上インクの染みになっていた。
子征竜の無制限化により、当分は最上級征竜が制限復帰することはないと思われる。

上記の改定後、子征竜だけを投入した【新制限対応征竜】を組む人も見かけられた。
効果が使えない(サーチ対象が禁止なので意味が無い)子征竜は実質バニラサポートのないバニラ同然。
幸いステータスには恵まれているので、相性の良いカード(デブリ・ドラゴン等)を入れておけば、何となく形にはなる。
無論、ネタデッキの域であるが。

子征竜統一にこだわらない場合、リアクタンストリームが比較的有用な部類に入る。
前者は地属性・ドラゴン族の下級モンスターでは最高の攻撃力を誇り、同胞の絆で守備力2000かつ他のドラゴンを攻撃から守るゴーレム・ドラゴンも特殊召喚できる。
後者は水属性・ドラゴン族の下級モンスターの中で最高の守備力であり、幻界突破を共有できる竜胆ブルームと併用すれば攻撃力2000のアタッカーとして使える。

規制によって通常の環境からは完全に消えたが、禁止カードが使える環境(遊戯王の日や特殊制限の非公認大会)で【征竜】を使う人は少なくない。「かっこいいドラゴンをバンバン並べる」と言うのはやはり魅力的なのだろうか。
しかも、天使の施しや苦渋の選択、次元融合なども使えるので、下手したら全盛期以上の力を出せる。未来融合は弱体化してしまったが。

OCGの歴史に残る四体の竜は、多くのプレイヤーに使用され、数々の伝説とトラウマを残し二年と少しの生涯を終えたのだった。
属性・ドラゴン族のサポートとしてもお世話になったデュエリストたちは感謝を送り、無限に湧くゾンビの如く相手にしてきた者はほっと胸を撫で下ろした。

今まで有難う征竜…
二度と帰ってくるな!

……でも設定的にまた力蓄えて復活してきそうな気がする。








  • 2018年10月1日~
《嵐征竜-テンペスト》
制限復帰
約3年の時を経てまさかの復活(1体だけだが)。
「一種類だけなら(=征竜同士で組まなければ)単なる属性サポート」という声がそれなりにあったが、まさにその通りの形で帰ってくることとなった。
テンペストが選ばれたのは「環境的に風属性の影が薄い」「固有効果含めてドラゴン族向け」「同時期に相性の良い新規カードが登場した」といった推測がある。
あるいは、全征竜の復活の予兆なのだろうか……?

色々言われていたが、1種類あればできる《破滅竜ガンドラX》を駆使した先攻ワンキルが早速考案された。
【ガンドラ1キル】も一部で結果を残し、改めて征竜のしぶとさと懐の広さを知らしめた。


  • 2019年1月1日~
前述したガンドラ1キルの抑制として《No.95 ギャラクシーアイズ・ダークマター・ドラゴン》が禁止カードに指定された。
守護竜やヴァレットなどドラゴン族自体は数を増やしており、ドラゴン族全体の抑制も兼ねていると思われる。


  • 2019年4月1日~
同じく汎用ドラゴン族かつガンドラ1キルで使用された《レッドアイズ・ダークネスメタルドラゴン》が禁止カードに指定された。


  • 2019年7月1日~
遂に《破滅竜ガンドラX》も禁止カードに指定された。
しかし、改定後も【ドラゴンリンク】が環境で結果を残すなど、ドラゴン族全体の勢いは止まっていない。
8月には新たなドラゴン族テーマの「ドラゴンメイド」が登場し、そちらでの活躍も期待される。


  • 2020年4月1日~
《レッドアイズ・ダークネスメタルドラゴン》がエラッタで同名ターン1を付与されて制限復帰(後に順を追って緩和)。


  • 2023年4月1日~
《焔征竜-ブラスター》が制限カードに緩和。
単体除去の価値が低下したことなどが緩和理由として推測されている。
また、同時期に炎属性が強化されたこともあり、商業上の都合もあるだろう。


  • 2024年1月1日~
《巌征竜-レドックス》が制限カードに緩和。
OCGでも征竜3種類が再び使用できるようになった。


  • 2024年4月1日~
《瀑征竜-タイダル》が制限カードに緩和。
OCGで漸く征竜全員が再び使用できるようになった。

まとめ

全盛期の強さももちろんだが、征竜の異常性はどれほど規制されても環境に残り続けたことだろう。
8種類のカードの内、4種が禁止カード・4種が制限カード、24枚中4枚しか使えない(2015年環境)という、前代未聞の厳しい規制を食らっても戦い続けたのだから恐ろしい。
  • 『四肢をもぎ、翼を剥がし、牙を抜いたのにまだ強かった』
  • 『ドラゴン族のサポートにデッキに入れたら、ドラゴン族が征竜のサポートをしていた』
  • 『首を落としたら、首だけで他のドラゴンに寄生して暴れた』
  • 『巣を焼き払ったら、胴体を暗黒物質で再構築した』
などと表現される。大体あってるから怖い。
さらには、征竜が活躍していた頃は、新たなドラゴン族サポートやランク7エクシーズが出るたびに「征竜のおもちゃが増えた」と皮肉られた。
新たな種族「幻竜族」の登場にこいつらの影を見る人も多い。というか「新規ドラゴン族を出しても征竜のおもちゃになるから幻竜族なんて作ったのでは」などと言う人も。
登場時期とカードデザインの時間を考えるとあながち噂とも言い切れないかも。

しかし、征竜が禁止になったことで、心置きなくドラゴンサポートを出せるように。
実際、改訂直後のパックでレベル7の真紅眼の黒竜が大幅に強化された。《真紅眼の鋼炎竜》なんか征竜が生きている頃には刷ることすらできなかっただろう。
また親征竜禁止直後にランク7・ドラゴン族エクシーズで、ランク7エクシーズの攻撃力を更新した覇王黒竜オッドアイズ・リベリオン・ドラゴンが出たあたり、征竜がカードデザインに与えていた影響の大きさがうかがえる。
むしろ強化したかったから禁止カードにされたのか。

結果的に征竜は登場したテーマモンスター8体全てが禁止カード化された経験を持つ事となった。
これは、同じく長期間環境で活躍したティアラメンツですら成し遂げていない快挙?である。


功罪

先述の通り、【魔導】との二強環境と【征竜】が長期間環境上位に居座り続けたことは、やり玉に挙げられる機会は多い。

一方で、一つのデッキを長く環境で使えた事を喜ぶ声もあった*5

また、征竜魔導の二極環境についても、デッキの選択肢がある分後の時代よりかはマシとされる。あっちが本気でひどすぎるだけだって?
メタの読みやすさも相まってプレイングが重要視される環境を評価する声もあった。
「ミラーマッチをどう制すか」が重要となり、《オベリスクの巨神兵》が投入され、それに対抗してラッキーストライプが採用されるなど、従来の環境では考えられないようなカードが注目されたのは、メタゲームの面白さといえる

強力なデッキと称される一方、1属性につき1ターン1度効果の一つしか使えない制約を持つ複雑かつ変幻自在な動きのデッキのため、使いこなすには経験やプレイングセンスが要求される
特に下級征竜が規制されていた頃は無計画に除外を繰り返しているとすぐに墓地の餌が尽きてしまい、取れる戦法が無くなるため、目先の利益だけではなく状況に応じた先をきっちり見通した展開が必要である。
魔導が規制された征竜一強時代も「プレイングがきっちり反映されるデッキだからこれはこれで面白い」という遊戯王環境に毒され過ぎた一理ある意見もあった。

そこらの相手ならアド差で押しつぶせるが、一方で互角の相手には考え抜いて最善手を撃たねば勝てない。
「征竜を好きで使う人にとっては楽しいデッキ」だったと言える。
とはいえ、当時は「そこらの相手」=「征竜以外のほぼ全て」だったため、征竜以外のデッキの使い手からの批判の声は強かった。

加えて最上級「征竜」はいずれも当時1箱に9種の中から3枚しか封入されないスーパーレアであり、4種を各3枚積みで12枚揃えなくてはならないことから値段が跳ね上がった。
また、書籍付属などのプロモーションカードなども多数投入されていたため、当時としては非常に高額なデッキになっていた。
大会で勝つための金銭的ハードルを引き上げてしまったことについては批判されるのもやむを得ないだろう。

25周年を記念したプロモーションビデオ「Yu-Gi-Oh! CARD GAME THE CHRONICLES」では後半部分で征竜たちが紹介されているが、
そのキャッチコピーが「超常の災禍」であり、彼らが環境を荒らし尽くした実績を暗喩していることがうかがえる。
このPVで登場したモンスターの中で《瀑征竜-タイダル》が唯一の禁止カードであり、それを擁するテーマであることもネタを加速させている。

四征竜すべてが禁止解除されるか否か

環境を荒らし回し、他のデッキのカードを吸収しては生き残りつづけた存在ではあったものの、属性サポートとしても優秀で出張要員として多くの属性デッキを助けていたのも事実である。
遊戯王OCG光属性闇属性のサポートは充実しているが、で汎用性が有り、なおかつ使い勝手が良いサポートというのは比較的珍しかった。
それだけに禁止化を惜しむ声も少なくなかった。

サポートのつもりが気付いたらデッキを乗っ取られたと言う声もかなり多いが、それは他の出張テーマでも起こりうる現象である。
特殊召喚コストがドラゴン族無しで各属性だけならと言われることも良くある。
また、最近の禁止カードエラッタや環境のインフレを見るに、いつか彼らも帰ってくる日が来るかもしれない……と思ったら(後述)。

しかし、最上級征竜が禁止カードになった第9期には、上記の「レッドアイズ」の他に「ブルーアイズ」も強化された。さらにストラクチャーデッキR 巨神竜復活では《復活の福音》を始めレベル7・8のドラゴンの強力なサポートが登場している。
少なくとも当分返すつもりはなさそうである。

ランク7エクシーズ自体のパワーが相対的に落ちているのも釈放を求める声の一因だったが、
新マスタールールによって、トークン生成能力を持ったサックNo.42 スターシップ・ギャラクシー・トマホークが注目されている。
もし釈放されたら、この2種を経由してリンクモンスターを展開し、ランク7の苦手分野だった「初手での制圧能力」をカバーすることが可能。

さらに第10期には氷獄龍 トリシューラが登場。素材の縛りはカード名の異なるドラゴン族3体とやや重い*6が、EXデッキのモンスターでデッキの征竜をピンポイントで除外する事も可能となっている。

封印されてなお力を蓄え続けていたが、2018年10月をもってテンペストのみが帰還することに。
1種類ならそれほど悪さはできないと言われている反面、ダークマターやエクリプスとのコンボには1枚で十分。
前情報からほどなくこれらを駆使した先攻ワンキルが考案されている。
実際それだけで環境入りするのは難しいだろうが、風属性・ドラゴン族のテーマ強化がきたらどうなるかは謎。

禁止解除後、広範なリクルート効果を内蔵したドラゴン族リンクテーマ【守護竜】が登場。
これらを駆使した新たなワンキルルートも編み出されている。
1枚で【征竜】と呼ばれることはないが、墓地尾生の信からエクリプスを除外してガンドラを確保しつつリンク素材になる動きは征竜なればこそ。

  • 『1枚ぐらいなら大丈夫だろうと思ったら、初手から破滅させにきた』New

このまま環境に合わせて1種ずつローテするつもりではという見方もあったが、どの征竜でもできるガンドラワンキルが知られてからは出戻りもあるという意見も。
今度も周りを犠牲に自分は生き残るという予想もある

結果は墓地肥やしの要ダークマターとループコンボの申し子しょごりゅうの禁止でテンペストはノータッチ。
エクリプス+征竜に頼らないサーチ手段『妖醒龍ラルバウール』の登場もあって、ガンドラが原因で規制される可能性は下がったともとれる。
代用パーツの登場はそれはそれで問題な気もするが

その後、《レッドアイズ・ダークネスメタルドラゴン》と《破滅竜ガンドラX》も規制され、ガンドラワンキルは完全に消滅することになった。
改定後は【ドラゴンリンク】が環境で猛威を振るうが、あくまでも潤滑油であるテンペストを規制する必要があるかはコナミ次第だろう。
その後、【ドラゴンリンク】も守護竜2種が規制されて環境から激減、現状のテンペストはドラゴンサポートの選択肢といった立ち位置に収まっている。

マスターデュエルでは配信開始当初からOCG同様テンペストのみ制限カード、残りは禁止カードと言う状況だった
が、なんと2023年2月の改定によりまさかまさかのブラスターの制限復帰が決定。OCGでも2023年4月にブラスターが制限復帰したため、遂に征竜2枚体制が可能になった。
……のもつかの間2023年12月から、なんと残りのレドックスとタイダルも制限復帰が決定し数年ぶりに4枚体制が可能となった。ドラゴン族はもちろんのこと、属性やランク7という部分が噛み合うクシャトリラとの相性が注目されている。
それでもいまいち活躍が見られなかったためか、ついに2024年1月に親征竜全員がまとめて無制限に。再び全盛期の征竜デッキを組む事が可能となった。
遊戯王も12期に突入し、遊戯王全体のカードパワーが征竜に追いついた或いは上回ったと判断されたのだと思われる。

マスターデュエルの環境に置ける構築だが、流石に過去の構築がそのまま通じる訳もなく、ドラゴンリンクを絡めるなど構築は変化が必要。
征竜現役時には存在しなかったカードも積極的に使っていこう。
汎用制圧を出せる程度の展開力はあるため、現状では中堅程度に留まっている

OCGにおいても2024年1月にレドックスの緩和が決定し、OCGでも3枚体制が可能となった。マスターデュエル同様、全征竜が釈放される日は割と近いのかもしれない、とか言っていたら2024年4月にタイダルも制限復帰し全員が釈放された。
とはいえ、OCGでは完全釈放にはほど遠いが……。

2024年1月27日に発売された『LEGACY OF DESTRUCTION』にて、炎属性・ドラゴン族のテーマ「天盃龍」が登場。
【天盃龍】はレベル7or10のシンクロ召喚に長けたテーマであるため、レベルが噛み合う征竜との相性は悪くない。
大会で入賞するレシピでは(一番効果を活かせる)ブラスターが選択肢になる程度に留まっているが、改めて属性・種族サポートとしてのポテンシャルを証明して見せた。


まさかのリメイク


征覇竜-ブレイズ
エクシーズ・効果モンスター
ランク7/炎属性/ドラゴン族/攻2800/守1800
レベル7モンスター×2
このカード名の(2)の効果は1ターンに1度しか使用できない。
(1):1ターンに1度、このカードのX素材を1つ取り除いて発動できる。
自分の手札・フィールドのカード1枚と相手フィールドのカード1枚を破壊する。
(2):ドラゴン族か炎属性モンスターを自分の手札・墓地から2体除外して発動できる。
このカードを墓地から特殊召喚する。
この効果で特殊召喚したこのカードは、フィールドから離れた場合にEXデッキに戻る。
2023年Vジャンプ付録にて、なんとブラスターがXモンスターとしてリメイク。
自分の手札・フィールドのカードと相手フィールドのカードそれぞれを1枚ずつ破壊する効果、手札か墓地からドラゴン族か炎属性のモンスターを計2体除外して墓地から復活する効果を持っている。

リメイク元であるブラスターの固有効果である破壊効果を受け継いでいるが、ブラスターとの違いは対象を取らない効果であること。
汎用エクシーズモンスターとして比較した場合、同ランク帯のドラゴサックや撃滅竜ダークアームドも同じく破壊効果を持つが、対象に取る+攻撃制限と若干の制約を持つためこちらの方が対応力は高いものの自身の手札かフィールドのカードも破壊する必要があり、あちらと異なり連続して破壊を放てないため一長一短か。
実は単独で除去効果を撃ちつつ天霆號アーゼウスを出せるランク7はこのカードが初。

(2)の効果は征竜達の共通効果に似た自己蘇生効果であり、蘇生後はフィールドを離れた場合にEXデッキへと戻る。
使用済みの灰流うららなどでコストを賄えるだろう。除外された場合に効果を発動できるカードならばアドバンテージを回復できる。
ちなみに(1)の効果には名称ターン1制限が無いため、(1)でこのカードと相手のカードを破壊し蘇生→蘇生したこのカードをリンク素材などで場からどかしてEXデッキへ戻す→再度X召喚して除去という小技も。

総じて(1)(2)のどちらも【征竜】と非常に相性は良く、いつか未来に征竜達の規制が全解除された折には大活躍できる……かもしれない。


追記・修正は征竜のエラッタと復帰を祈りながらお願いします。

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最終更新:2024年04月24日 00:51

*1 本来の召喚コストと通常召喚権が必要な重い制約は征竜にとってライダーと変らないも同然というとち狂った価値観が前提だが

*2 リンク先の攻撃力を自身に加算する「アークロード・パラディオン」がメジャー

*3 【メタビート】も1名いたようだが1回戦敗退だったようだ。

*4 今は某気ぐるみと某猿が更新している。

*5 OCGの環境デッキは半年~1年程で複数回規制されて環境から脱落する事が多く、1年以上も環境上位に居座り続けた征竜は異例であった(他にも【ティアラメンツ】などの例もある)。それを環境の固定化と嘆くか、規制されたパーツの差し替えだけで済む(=デッキ構築費用の節約ができる、好きなデッキを使える)と捉えるかは人による。

*6 単に特殊召喚するだけならば種族は問わないが、ドラゴン族モンスター3体を素材にしなければ効果を発動できない