今川泰宏(アニメ監督)

登録日:2011/07/25(月) 22:36:22
更新日:2024/02/02 Fri 04:58:54
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今川(いまがわ) 泰宏(やすひろ)とは日本のアニメ監督・脚本家である。大阪府出身。

富野由悠季の弟子に当たる人物であり、彼の作品であるダンバインエルガイムΖガンダム等に演出や絵コンテとして参加していた。


その作風はダイナミックかつ奇抜で一言で言えば「ぶっ飛んでいる」。
そのぶっ飛び具合は見る人によっては「ドン引き」するレベル。
ぶっ飛び過ぎて原作とはかなり毛色が違う作品になってしまう事も多いため「原作クラッシャー」という異名も持っている。


1987年テレビアニメ「ミスター味っ子」から監督デビュー。

この作品、原作は普通の料理対決漫画なのだが、監督の手により、
アニメでは料理を食べた人があまりの美味さに「巨大化」したり「目から光線」を放ったり等の明らかなオーバーリアクションを行うぶっ飛んだ作品に。

そのダイナミックな手法により大人気を博し、
本来放送が半年で終わる予定のはずが二年にまで延長されるという初監督作品から脅威の手腕を見せつける。

また監督をする以前から前述のダンバインにおいて、あの有名な「ハイパー化」のアイディアを出し話題になっていた。

その後の作品でもぶっ飛び具合は健在。

基本的によくロボットアニメを手掛けるのだが、
その作品内において「ロボットと生身で渡り合えるレベルの超人」(十傑集東方不敗マスター・アジアコーウェン君&スティンガー君あしゅら男爵等々)を登場させる事が多く、
時には彼らのおかげで「ロボットが空気」と化す場合も。
というか彼等を活躍させるためにロボットを出ししぶってる節も。
その超人が原作のキャラではなく同作者の別作品のキャラだったりすることも多い。
師匠の多用するトリップ演出が精神世界でなく現実に起こっているような光景である。

また物語の真相を知る一部の知識人や首謀者に「そう!」と強調するような喋り方をさせたり、
やたらと尊大で回りくどい言い回しをさせて結論を焦らしたりする傾向が強く彼等が喋る度に視聴者は置いてきぼりを食らう。
通称「今川語」


他にも

生身でモビルスーツを破壊したり
指パッチンで真っ二つにしたり
体を回しまくって無理やり空を飛ぶ
頭を回しまくって無理やり空(ry
ゲッターGやブラックオックスといった超兵器を量産したり
原作と違って完全なバッドエンドだったり
一話目に最終回直前の話を持ってきたり
予算の使いすぎor世界観の壊し過ぎで僅か三話で監督降板させられたり
延期しまくったり
人が分離してそれぞれ別人なったり
人が合体して別人になったり

…等々いろいろやらかしており、まさに「やりたい放題」
ファンいわく「今川だから仕方ない」。


だがその無茶苦茶っぷりが逆に受けてファンもかなり多い。

奇抜な演出にばかり目が行き勝ちだが作品のテーマは割と王道で、
「親と子」(親の残した遺産により子が運命を変えられる)や「罪と罰」(罪を犯した物は何らかの報いを受けなければならない)を基本としている。
またインタビューなどでは設定面をきっちり作り込んでることが明らかになっている。作品に上手く出てこなかったり、忘れてるだけなのである。

ただし勢い重視で物語を作ったり、明らかに以前のシーンと矛盾が出まくっているとんでもない後付けをすることもかなり多いので、
気軽に見ることも重要である。

作品がやたらと男臭くなるのも特徴で、女キャラをあまり活躍させず時には無残な死なせ方をさせる事から一時期「ゲイ疑惑」が出たりも。
これについて監督は「可愛い女の子が書けないから」だと発言している。
そんな彼が美少女アニメである七人のナナの監督を勤めた時は多くの人が驚いたとか。

大変な横山光輝と映画「スタートレック」のファンで作中の起用声優や小ネタもそれにちなんだ物が多い。

◆富野由悠季との関係
今川曰く、自分の師匠のような人の一人として語っている。
そんな師匠である富野由悠季からは一定の信頼を抱かれているようで、
自身がガンダムシリーズの監督を降り新しい人物に監督をやらせる際は「今川を呼んでこい!」と言い放ったそうな。
(それにより出来たのがあのGガンダムである)
Gガンのことも好きなようで、以降のガンダムの監督が自身のネタの焼き直しをすると今川を例にあげて「あれくらいやれ」と怒るらしい。

しかし今川自身は師の代表作で好き勝手やったことに後ろめたさがあったようで、
しばらく富野との顔合わせを避けていたらしい。当の富野は「何考えてんだあの馬鹿」と呆れていたそうで…。

なお今川本人相手にGガンダム評をしたことはなく、今川も「(富野は)他人の作品について語らない、同じ監督としては人を批評する立場にない」という姿勢なようで、
上記の話も作品全体の評価ではなく個々のアイデアについて富野が怒った話であるようである。


◆代表作

監督作品
今川泰宏を世に知らしめた監督作品。料理を食べた時に感動のあまりトリップ状態に入るという演出を大真面目に、
しかしその絵面はとことん奇天烈に描ききった快作。半年の放送予定がおかげで大体1年半まで伸びた。
今川泰宏の代表作の一つ。師匠である富野からほぼ間接的にとはいえ無茶振りで監督を任された作品。富野の評価は非常に高いがファンからは賛否が分かれ、
今川は帰り道に背中を刺されるとビクビクして生活していたらしい。90年代アニヲタにとってはエヴァと並ぶバイブルの一つ。
今川泰宏が恐らく最も金をかけて作った作品。おかげで資金繰りが悪化して完結まで5年半を要し、特にLast Episodeは二年半越しのリリースだった。
予算をかけた分、映画もびっくりなくらい人もロボもよく動く。これで全編ほぼセル画である。今川式のスターシステムの代表的作品で、以降この手法はしばしば今川監督内で用いられる。
リリース前までのクレジットで、実際に関わっているかは不明だが、真マジンガーで共に仕事をする野中剛は、ゲッターロボGの量産化を発想したのは今川と匂わせている。
後任となった川越は「3話までは意味不明」というコメントを残すなど波乱の展開となったが、本当に今川が担当しているなら最後はどうしたかったのか知りたいという声も。
今川作品の中で最も暗く濁った人間ドラマが見られる作品。深夜アニメとしても異質であり、ロボアニメとしては予算が足りずほとんど動かない。
後の派生作品「白昼の残月」は、自身の初にして現状最後の劇場監督作品である。こっちは予算があったためかすごい作画がよく、動く。
今川作品の中では最大の異色作。女を描くのは苦手として有名な今川が唯一担当した女の子メインのアニメ。
ロボットアニメとも超人アニメとも違うため、意識してないと今川監督作品とは思えないくらい雰囲気が違う。
キャラ原案が吉崎観音という縁から、ケロロ軍曹に今川作品のキャラが勢ぞろいの忍者集団が登場した事がある。ただしナナ達以外はシルエットの一発ネタ
永井豪と意気投合した結果、大いに悪ノリしまくって出来上がった作品。鉄人以来のロボットアニメでGロボ的な手法を多数用いた。
しかし◯◯編と銘打たれているように数ある長編の中の一つという位置づけのためか、壮絶な尻切れエンドが非常に視聴者達をヤキモキさせ、現在ではアンチを増やすきっかけにもなった。

その他
  • ハーメルンのバイオリン弾き(シリーズ構成・全話脚本)
  • バーテンダー(シリーズ構成)
  • 蒼天の拳(シリーズ構成・全話脚本)
  • 義風堂々! 兼次と慶次(シリーズ構成)




追記修正は生身でMSを破壊したり海の上を走れたり飯が旨いとビームを吐き出せたりする人がお願いします。

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最終更新:2024年02月02日 04:58