サムエル・ホドリゲス(MGR)

登録日:2013/05/16(木) 21:44:40
更新日:2024/02/05 Mon 21:47:32
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「わかったか? 活人剣じゃ俺には勝てん」




METAL GEAR RISING REVENGEANCE(メタルギア ライジング リベンジェンス)』の登場人物であり、同作のDLC短編、『JETSTREAM』の主人公。


METAL GEAR SOLID 4: GUNS OF THE PATRIOTSでのSOPやそれを牛耳る者の壊滅以降におけるPMC業界の最大手「ワールド・マーシャル」社の影の手足として各地で暴虐の限りを尽くす「デスペラード・エンフォースメント・LLC」社の契約社員の派遣傭兵(コントラクター)。


黒い噂の絶えない悪質なデスペラード社でも最も腕の立つ傭兵達であり地方風にちなんだ異名を持つ3人の幹部社員『破滅を呼ぶ風(ウィンズ・オブ・デストラクション)』に倣い、ブラジル南部からウルグアイの地域に吹く冷たい風、『ミヌアーノ』と言う異名も持つ。
が、主には『ジェットストリーム・サム』として知られている。

『破滅を呼ぶ風』を上回るデスペラード社随一の腕利き剣士であり、その実力故に異名こそあるものの、彼は実際には外部の人間なので「サム」と呼ばれている。
ちなみに彼の名は英語読みだと「サミュエル・ロドリゲス(Samuel Rodrigues)」となる訳だが、彼の出身地ブラジルの読み方(ブラジリアン・ポルトガル語読み)に合わせて「サムエル・ホドリゲス」と呼ばれている。


ブラジリアン柔術のように、ブラジルに渡った日本人移民が伝承し独自に進化した柳生新陰流の流れを汲むというブラジリアン剣術、『ホドリゲス新陰流』の継承者で、殺人剣の使い手である。
雷電は柳生新陰流に感化されて「一殺多生の活人剣」を目指し始めたので、ある意味兄弟子に近い存在と言えるかも知れない。

加虐嗜好等がある人格破綻者ではないが、強敵と鎬を削り合うような死闘を愉しむ、戦場以外に居場所を見出せないタイプの戦闘狂。

師であり父だった先代当主がマフィアの関係者でもあった弟子に殺され、その弟子に復讐する為に所属するマフィア組織を壊滅。
それ以来、裏社会で用心棒等を経験したり戦場を渡りながら、社会の害悪となる無法者を斬りつつ放浪する生活を、デスペラード社と契約するまでは続けていた。



愛用する刀は、ホドリゲス家に代々伝わる、戦国時代に鍛造された名刀『ムラサマ』(村正ではない)。
サムはそれを高周波ブレードに改造した結果、玉鋼が高周波に反応して血染めのような赤い刀身へと変化した。
高周波ブレードは文字通り高周波の電磁パルスと振動を刀身に流して切れ味と耐久性を増幅させるものだが、性能は元の刃に依存する。
『ムラサマ』は元々段違いの切れ味を誇る名刀に高周波を流したことにより、通常の高周波ブレードとは比較にもならない切れ味と耐久性を発揮する。
また、鞘にはトリガーを引くことで銃の様に刀を撃ち出す機構が搭載されており、まさに弾丸の如き速度での居合を可能にする。
当然、人間には到底扱えない筈の馬鹿げた装備だが、サムは常軌を逸した腕前で使いこなす。


裏社会で活動していた頃、サイボーグ技術も普及していない2000年初頭において、日本刀一振りを手に、単身かつ生身で突撃銃で武装した10人以上のマフィアを軽く斬り伏せてのけた、等の数多くの伝説を残した。
その活躍故に、10年以上を経ても、特に南米裏社会では知る人ぞ知る伝説の人斬りであり続けている。

その噂話を聞いた際には、余りにも荒唐無稽だと雷電は一笑に付していた。
…………いや、お前もそのくらいやってたがな。ビッグシェルで。



ホドリゲス新陰流は実戦流派であるが故に、合気道染みた投げを始め古流の柔術も嗜んでいる。
しかし、サムの戦闘における特徴は、何よりその神の領域に至っているであろう剣腕にある。

何メートルも軽くジャンプ出来るのは当然のこと。
雷電がかわしきれなかったのと全く同じ一撃もきっちり回避してのけるなど、反射神経も人間のそれとは言い難く、銃弾くらいは呼吸をするように軽く捌く。
更には、愛刀ムラサマの切れ味を最大限に活かし、月光はおろかメタルギアRAYすら刀一振りで難無く斬り伏せ、バラバラに解体してのける。


デスペラード入社前のフリーランスの時代から、こうした大立回りを各地で続け、アームストロング達の目に留まった。
この作品の最高級サイボーグならまぁそれも出来るか。と思われるのだが、彼の場合デスペラード社に入社するまでは



肉体を一切改造していなかった。



MGS4の伝説の老兵兄弟が着ていたパワーアシストスーツを着込んではいるが、逆に言えばそれだけ。
戦場に出る者はCNT筋繊維で超人的な身体能力を得る為に全身サイボーグ化するのも珍しくない時代にあって、恐ろしいまでのハンデを負っている。

もっとも、スネークの場合は既に歩くのも大変な程に老いた肉体を補助する意味合いが強かったが、
ビッグボスの場合は壮年期ながらも、PWにおいて素手で武装した特殊部隊兵士10人を蹴散らしたりもしている。
彼ら蛇一家と同じくらいの超人が、老化によって衰える前にパワードスーツを着込んだらどんなエライ事態になるかの実例と言えるだろう。



しかし、そんな剣聖クラスの達人である彼にも限界はある。

自分の剣でどこまで社会悪を滅せられるか。
という彼なりの戦いに、社会に適合出来ない自分の性質も相まって、挑戦してきた。が、マフィアを潰し続けたところで、代わりは幾らでも現れキリは無い。
そんな生活を続けて、剣だけで思うように生き抜き、世界の何かを変えようという意志を維持するにも段々と限界を感じ始める。

そんな時でも彼は、その現実を振り払うように
「俺は気に入らない奴をただ斬ってるだけ」
と嘯きながら、中でも一等気に入らない巨悪、デスペラード社に単身戦いを挑んだ。

その戦いの過程で、後々友人(ペット)となるAIワンコ、LQ-84iやサイボーグや月光の群れ、メタルギアRAYを軽く退け、とうとうデスペラード社の屋上にて、デスペラードと癒着する、黒幕と言える巨悪的存在、スティーブン・アームストロング上院議員と対面する。




上院議員「面接してやる」



と言い出すや否や、吸ってた葉巻を捨てたアームストロングは、突如四股を踏んで緑色に発光し出し、
電磁力だと思われる、ライフストリームっぽい緑の光の帯で無数のヘリを宙に挙げてその電力を吸収し、やがてそれら全てが爆破


という何が何だかわけの分からんファンタジーな光景を展開。
その様にはサムも思わず大喜び。……普通はビビるだろ…………。

そうして、明らかに出る作品を間違えたおっさんは、圧倒的な怪物の繰り出す拳圧による迫害で受験者の生命を脅かす、という意味の圧迫面接を始める。

本編でも凄まじい強さを発揮していた上院議員だが、この戦いでは

・カウンターQTEは無い
・攻撃が更にアグレッシブに
・謎の燃え盛る追尾タックル等技が増えた

とやけに強化されている。ノーダメージクリアの鬼門。
――――――――就活はどこの国も大変。命懸けである。


そうした、超サイヤ人ゴッドトランザムかと思しきナノマシンの怪物を相手にした苛烈極まる面接を得意技である神速の居合斬りでようやく終えることが出来た。

……と思いきや、上院議員は満面の笑みを浮かべながらまた立ち上がる。人間ってこんな生物だったか?

サムもまた、その超人的な洞察力でもって、議員のナノマシン硬化の速度を見定めた上で、居合斬りを放ち、今度こそ議員の腕を斬り飛ばす。
しかし、そこで出す物を出し尽くし、油断したが最後。

議員の腕が切断面から硬化して巨大な槍へと変化。そのままサムの右腕を刺し貫き切り裂いた。

という最早人間とは到底呼べない一撃によって敗北を喫してしまった。
おまけに上院議員はにやにやしながら地面に転がる腕を拾う。そして、そのまま徐に切断面をくっつけると、腕は瞬く間に接着してあっさり再生。
化け物過ぎる。

サムの右腕が使い物にならなくなった事を分かっていながら、再生した右手で握手を求めるアームストロング。
元々自分の生き方に限界を感じていた上、自分にとって全てだった戦いで完敗してしまったこと。
「戦争の火を拡大させ、いずれ世界全体を法の秩序や規範から放たれた、個人がその力だけで生き抜く原始的な闘争の世界へと現代社会を叩きこむ」
というアームストロングの思想に共感もしていたこと。

これらが重なり、精神的にも完敗したサムはフリーランスという形式でデスペラード社と契約。波乱の就職活動を終えた。



そして本編序盤、デスペラード社の契約社員として、南米の新興国のンマニ首相暗殺の任務を履行。
この際には、アームストロングに切り落とされた右腕を赤いサイボーグの人工筋肉の義肢に改造している。
それに加えて、酸素不足に陥らず常に万全の調子を出せるように、専用の酸素マスクを補助装備として追加した。

この任務の際に、首相の護衛にあたっていたマヴェリック社の雷電との交戦に突入する。
雷電の素質は認めつつも、

「雷電は自分と同じく戦いや人斬りを愉しんでいる。にも拘わらず、その本性を忌み嫌って目を逸らす為に、一殺多生の活人剣を掲げている。活人剣を真に信念とするのではなく、口実に利用して逃避しているに過ぎない」

というその心の内を見抜き、雷電の左腕と左眼を切り裂いて完勝。
雷電には自身の敗北に加え、目の前でンマニ首相を同僚のサンダウナーが殺害するのを成す術なく見物させるという屈辱を味わわせた。


その3週間後、南米での任務を阻止する為に現れた雷電が遂にジャック・ザ・リッパーとしての本性を受け入れる場面を目の当たりにする。
が、雷電はそのまま快楽殺人鬼として開き直ることはなく、一定の倫理観や規範をもって、自分の思う敵と戦う意志を持ち続け、迷いが吹っ切れたこともあって確実に腕を上げていた。
サムは、その姿にかつての自分の生き様を見出し興味をそそられる。

その結果、雷電がその生き方を貫ける器かを確かめる為、アームストロングが決行しようとしていたテクムセ作戦阻止の為に先を急ぐ雷電を待ち受け、夕日の映える荒野にて決闘を申し込んだ。


「決着だ(And it ends here)」
「オーケー、いざ、参る(OK. Let's dance)」

サムはプレイアブル時も雷電と異なるアクションが多数可能だが、この決闘時も無改造とは思えない戦闘能力を発揮する。
大岩も粉砕する超突進からの抜刀術。
蹴りや雷電を何メートルも投げ飛ばす古流の投げ技。
雷電の防御も剥がす連撃など、剣術等の技術面においては雷電を上回る腕前を見せつける。

最新鋭ボディの雷電でも、今までのどの決闘よりも疲弊する程の激闘の末に、サムは致命傷を受け倒れる。
その顔には後悔や憎悪は無く、どことなく満足気に笑いながら果てた。
尚、本作の国内版において、通常、敵サイボーグを斬りつけた際の血液(電解液)は白色に変更されているが、サムだけは赤い血を流す。
これは前述の通りサムが生身の体を持った人間でサイボーグではないためだが、ストーリー上でその事がわかるのは決闘を終えた後。
自主規制を逆手に演出として利用した例のひとつと言える。

鹵獲した愛刀ムラサマはID登録がなされていたので先を急ぐ雷電が扱える物ではなく、友人だったLQ-84i
改めブレードウルフが形見として欲しがったので、ウルフに渡った。
殆ど生身の肉体で自分と渡り合ったサムに雷電も敬意を表したのか、納刀の儀礼を行いサムを見送った。

この時の雷電の納刀は夕日が映えて実に格好良い。


しかし、このウルフの行動は、実際はサムの遺言に従った判断であることが、雷電がアームストロングに追い詰められた際に判明した。

「仮に雷電が自分に打ち勝てる程の男になった場合、自分の愛刀ごとその生き方を貫けるか託せるよう
ID登録を時限式で外すようにしておく。
雷電に刀を譲るか、その判断はウルフに一任する」

刀を雷電に渡してアームストロングに壊されるか、雷電を見殺しにしてアームストロングに縋るか
サムの遺言を前にして二択を迫られたウルフは、ただ本能で生き長らえるのでなく、雷電に助けられた恩義を返す為に刀を雷電へ譲る。


「誰かに助けられた者は、誰かを助けたくなるってワケだ!」

そして刀を託された彼は、自身に信念を託してくれたサムに敬意を表してか
彼と同じ台詞と共に最後の決戦へと挑む。


「来るが良い(C'mon!)」
「オーケー。いざ、参る!(OK. Let's dance!)」

雷電はムラサマの凄まじい切れ味でもって、アームストロングを見事撃破。
以後、雷電はワールドマーシャル社の刺客を退けつつ、かつてサムが目指したものと似た自分の戦いに生きる人生を続けている。


追記・修正はブラジリアン剣術を修得してからお願いします。

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最終更新:2024年02月05日 21:47