バジュラ(マクロスF)

登録日:2011/03/25(金) 06:28:26
更新日:2021/11/28 Sun 10:30:54
所要時間:約 7 分で読めます




マクロスFに登場する地球外生命体。


西暦2059年、銀河系の中心部を目指す「マクロス・フロンティア船団」に突如として侵攻してきた存在。
その外観は巨大な節足動物で、人類側からは「巨大な虫」といった姿で認識されている。

極めて高い攻撃性と能力を持ち、宇宙空間を自在に飛び回る。
その機動性はVF-171 ナイトメアプラスを翻弄し、最新鋭機であるVF-25 メサイアと互角のドッグファイトを行う程に卓越している。
加えて、ゴーストを無効化する程のECMを発振する能力も備える。


2048年に起きた「第117調査船団」がバジュラによって壊滅した事で危険性はあらかじめ認識されており、
フロンティア政府では「ビクター」のコードネームで呼ばれていた。

とはいえその生態は謎に包まれており、バジュラの死骸から分かった事は、

  • 一定の群れで行動する
  • VF同様に「エネルギー転換装甲」を展開できる
  • ミサイル(の様な物体)を体内で生成可能
  • その巨躯に対して、脳にあたる部分があまりに小さい

という事だけ。実質ロクに分かっていないのと変わらない。

しかし四つ目の部分から、「バジュラは何者かが放った生物兵器なのでは?」という疑惑が発生し、
近隣を航行する「マクロス・ギャラクシー船団」に疑いの目が向けられる事となった。

もっとも、ギャラクシー船団がバジュラに襲われた事でその疑惑は一度は消えたのだが……



そのサイズや能力は様々で、人間とさして変わらないものからマクロス級戦艦に匹敵するものまである。
劇中で主に登場したのはバルキリーと同サイズの成体バジュラ、それらを格納可能な戦艦・空母型バジュラ。
また、出産用の個体と思われる「バジュラクイーン」の存在も確認されており、その社会性はハチやアリなどのものに近い。


バジュラの何よりも特筆すべき特徴は、フォールド断層の影響を受けないという事である。

現在人類側が使用するフォールド(ワープ)航法はSDF-1 マクロスから得られた技術をベースとして発展してきたが、
そのフォールド航法には「断層」と呼ばれる障害が存在し、距離的・時間的な制約となっている。

しかしバジュラはこれに一切の影響を受けず、自由自在なフォールド(ゼロ・タイム・フォールド)が可能。
つまりバジュラは、目標の位置さえ分かっていればいついかなる時でも攻撃が可能なのだ。

攻撃的生物の特徴としては、あまりに脅威的なものと言える。


2059年に出現したバジュラは人類にとっての大きな脅威となり、フロンティア船団の正規軍(オズマ・リー曰く「腰抜け」)では相手にならず、
民間軍事会社「S.M.S」のメンバーが戦いの矢面に立つ事となった。



以下、TV版のネタバレ注意









バジュラは「脳があまりに小さい」と前述したが、だからといって自我のない存在ではない。いわゆる「郡体性生物(個体でありながら全体を形成する生物)」の一種であり、
広大なネットワークによって「全体としての自我」を持っている。要するに、バジュラ達自身は「個体」という概念を持っていない。

バジュラが個体間で意思伝達を行うのは腸内に多数存在する「フォールド細菌」によるものである。これによってネットワークを構成、個体間の情報を並列化して共有している。
つまりバジュラとは一つ一つがシナプスのように働いているのである。

一応人類側もフォールド通信を実用化してはいるが、フォールド断層によってラグが生じる。実際に劇中でもフォールド断層を間に挟むと2時間ほどラグが起きていた。
しかしそれとは違い、バジュラのそれは時間的・距離的な制約がほとんどない。その為、手に入れた情報をリアルタイムで共有・更新する事が可能。

またその情報を元に自らをより進化(最適化)する事も可能で、人類と交戦したバジュラはその情報をネットワークを介して共有し、
中盤では反応弾すら無効化するという脅威的な能力を示している。


バジュラのそのフォールド能力の秘密は「フォールドクォーツ」という鉱物。
自然界にはほとんど存在しない(というか、三次元内では生成できない)物質で、バジュラの体内で精製される事が確認されている。

この鉱物を利用すれば人類側でもフォールド断層を無視する技術を使用可能で、
実際劇中ではガリア4にいるランカを助けに行く際にゼロ・タイム・フォールドを可能にするフォールドブースターが登場している。
また、その性質はVF-25などに搭載されるISC(慣性飽和装置)に利用され、有人機の発展に多大な貢献を果たしている。

因みにバジュラクイーンは上位存在に値する個体となる。
かといってアリやハチのように他の個体に対して大きな優位性が存在するわけではない。
ただそれは純粋なバジュラネットワークにおいての話である。劇中終盤においての詳細は後述。



当然、その力を欲する組織は多く、ギャラクシー船団やフロンティア政府を始めとした様々な人々の思惑が渦巻いている。

特にグレイス・オコナーの執着ぶりは凄まじく、バジュラの能力を利用して全銀河にフォールド・ネットワークを構築、
インプラント(サイボーグ化)技術を施し、宇宙の支配者になる事を目論んでいた。

その計画で重要なのが、人類でありながらバジュラ・ネットワークに干渉可能なランカ・リーの存在である。

通常、フォールド細菌は人体とは共存しない。
仮に人体がフォールド細菌に感染した場合、細菌は脳に根付いて毒素を分泌する為、人体は死に至る。
これが作中、「V型感染症」と呼ばれる症状。
この状態では微弱ながらネットワークへの干渉能力を持ち、劇中終盤のシェリル・ノームはその歌声で僅かながらバジュラに影響を与えていた。

しかしランカは母ランシェがV型感染症に感染した状態で妊娠して出産したため、生まれつきフォールド細菌への免疫力を持ち、細菌が腸内に定着している。
これはバジュラクイーンと同等の力を持つ事を意味し、バジュラへ与える影響は甚大なものとなる。

つまり、バジュラ側からしてみればランカは自分達の「同族」も同然。
「手足が勝手に動いている気持ち悪い生き物(=人類)」の中で孤立し、救助すべき仲間なのだ。
バジュラがギャラクシー船団やフロンティア船団へと侵攻したのは、すべてランカを助ける為の行動である。


劇中終盤ではグレイスがランカを通してバジュラのネットワークに使用されているプロトコルを解析し、バジュラクイーンを操る事に成功。
銀河の端から端まで覆い尽くしながら通信に一切のタイムラグの無い完全なバジュラネットワークを構築した。
このネットワークは完全な並列思考というわけではなく、結節点となるターミナルが存在する。このターミナルには他の個体に対し優位性が発生する。
この機能を更に集約することにより、ただ一点だけが完全な上位存在となることが出来たのだ。
グレイスはこれを自身が直接支配したバジュラクイーンに設置し、全宇宙のバジュラを扱うことができるようになった。

分かりやすく言えば都知事(知事=ターミナル)が全都道府県知事の権限を集約することにより全国の完全なトップに立つようなもの。
これによりバジュラが本来持っていた「全体としての自我(世論)」を上回る権限を手に入れた。


グレイスはかつてプロトカルチャーが恐れたその力を以て地球や惑星エデンなどの全銀河に牙を剥いたが、
ランカとシェリルという別々の個体の「歌」により「個体」の概念を知ったバジュラとフロンティア船団の猛攻により、その野望を打ち砕かれる事になった。
最期は微笑みながらアルトに打ち抜かれた。





ちなみにバジュラは何億年かに一度、遠い銀河の仲間と交流する事がある。
その際に使われる「歌」が作中の「アイモ」の元となっており、「アイモ、アイモ」で「あなた、あなた」という意味らしい。

更に余談だが、実はプロトカルチャー文明の基盤。バジュラ死骸を偶然手に入れたことから巨大な星間共和国を構築していった。
彼らは人知の及ばぬ強大なクイーンを神格化し、その姿を模した鳥の人を産み出した。



その更に余談だが、2016年に魔法使いと黒猫のウィズとコラボした際にイベントクエスト・協力バトルと共にバジュラクイーンがラスボスとして君臨した。


マクロスΔ

バジュラ戦役後、バジュラの群れは人類を敵ではないと認識し、交配のため別の銀河(別の次元)へと旅立った(すべてのバジュラではないが)。
その際、一部のフォールド細菌が取り残され、新たな宿主として人類*1を選択。体内へとフォールドし共生を始めた。

その結果、V型感染症とは異なる新たな奇病「ヴァールシンドローム」が発生。
これは亜空間を通じて様々な感情が送り込まれることで自我を失い、血管の拡張、筋肉の肥大、凶暴化などの症状が現れるもの。
それに次いでフォールド細菌による自我への影響を抑える受容体「フォールドレセプター」保有者も現れはじめた。
V型感染症と異なる症状になっているのは人類を共生相手と認識したため、ランカ等の存在を前例にいくらか改善しているためと思われる。


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最終更新:2021年11月28日 10:30

*1 この場合、地球人種ではなく、ゼントラーディ等も含めたプロトカルチャーが作った人類種すべてが対象。また厳密にいえば人類以外も対象とはなっている。