絶版(アニメ映像ソフト・漫画書籍)

登録日:2012/02/29 Wed 21:16:39
更新日:2023/11/19 Sun 18:35:17
所要時間:約 5 分で読めます









絶版とは、広義の意味ではその形の商品の製造・販売を終了し、以後は中古の世界でしか購入できないものを指す。

アニヲタ的には、主にある漫画の単行本が発行されなくなる、あるアニメ作品のソフトがレンタルビデオやソフト販売店から消えるといったことである。
ここでは、主に漫画とアニメ映像作品を例にとる。

【絶版になる理由】

◇単に人気も需要もない

アニメにも漫画にも共通するのは、人気がなくなって全く売れる気配や借りられる気配がなく、
利益にならないと判断されて生産を中止となるケースが多いということ。これは数え切れないほどの例がある。

漫画家にとっては印税が途絶えてしまう可能性があるため、事前に出版社のほうから絶版にする旨の情報を入れる場合があるが、多くの出版社は予告なく絶版とする。
酷い出版社の場合、単行本の元になる生原稿を破棄してしまうこともあるという。
そのせいで、後日再び別作品でブレイクした漫画家の以前の作品を再出版しようとしたら原稿がなくなっていた……ということも。

このような絶版で有名な例としては、コロコロコミックで連載された漫画作品の単行本が例に挙げられる。
コロコロはホビーやゲームとのタイアップ雑誌としての側面が強く、他雑誌のように連載作品の単行本売上で成り立つ雑誌ではなく、読者層も子供なので単行本を買い続けられるような集金力を見込みにくい。
そのため、単行本は利益になりにくいと考えられるのか、15年以上は続くような長期連載作以外の単行本は部数も少ない上に容赦なく絶版に追い込まれる。

なお「重版未定」のまま放置されるのも実質的に絶版に近いが、その場合は一応リバイバルブームなどで何かの拍子に再度刷られる事はありえなくはないため、厳密な意味では意味合いは異なる。
漫画なんかは近年だと「新装版」などと銘打って原本とは別の商品扱いで売り出す事の方が多いが、まあその辺りは大人の事情というやつである

映像作品においても大体は同じ。古い作品や人気のない作品は容赦なく絶版扱いとされ、元のマスターテープが破棄されてなくなっていたというのもよくある話である。

◇倒産

次に多いのが、出版社や映像製作会社の倒産により、財産整理の最中に原稿やマスターテープが散逸するという現象である。
ただしこちらの場合は事情が異なる。
ベストセラーになった漫画や映像作品などは個人が多数所持している可能性が高いため、後々にリマスターされることもありうるからである。

◇不祥事

不祥事による絶版。普通はあってはいけない理由だが、実例は結構ある。
他作品からの盗作や差別表現などの表現上の問題、漫画の場合は作者が犯罪を犯すなど、言い訳できない事態である。
一部の例外を除いては二度と日の目を見ることはないため、中古市場で暴騰することもしばしば。
ただし、旧作の差別表現などは表現差し替えや、一話完結型の場合該当話の削除、
または『今日の人権意識に照らして不当・不適切と思われる語句・表現が見られる個所があるが、時代背景と作品価値に鑑み、修正・削除は行わない』などと予め断ることによりそのまま出版することもある。

当時は問題視されなかったが、後々に問題視されて絶版と言うこともあり得る。こちらは封印作品と呼ばれることが多い。

一時、映像などの無断使用により『ハイスコアガール』が、売り場からの撤去、打ち切り・絶版の危機に陥ったことで、中古価格や転売価格が跳ね上がったのは記憶に新しい。*1

◇作者や倒産以外の事情

作者や倒産以外の会社側の要請。例を挙げると次のようになる。

  • 作者側からの要請
→これ以上作品を書くことが出来ないが未完では心残りになるからと、あえて絶版にする

  • 会社側からの要請
→経営戦略の転換などで転換後の会社ニーズに合わないと考え絶版にする

……など。映像作品も同様で、原作が絶版になると映像作品も絶版になることが多い。

◇原作者が出版社や映像制作社側と揉めた

原作者が出版社側と揉めて絶版になるケース。

その出版社のドル箱作品であった場合、作者が連載をやめたくてもやめられない時に、
突如として第三者を介して連載の打ち切りとそれまで出していた単行本を絶版扱いにしてしまうこと。
この場合、連載をしている出版社から連載する権利を事前に買い取っておいたり、商標登録をして出版社に二度と連載させないようにすることもある。

レアなケースとしては、『ローゼンメイデン』の作者が、幻冬舎の酷い仕打ちに耐えかね、幻冬舎からすべての権利を買い取って、集英社に移籍した例があり、幻冬舎版はすべて絶版とした。

また、空想科学読本1・2は宝島社が利益を優先してか勝手に文庫化の企画を進めていた*2為に決裂し、メディアファクトリーに移籍した。その後MF社から1・2が再出版された。

複数作者がいる作品で互いの権利関係が揉めたことにより、出版社が手も足も出せなくなり再販・ソフト化ができないまま絶版となるケースもある。
このケースの有名な例が、『キャンディ・キャンディ』である。

同様に複数作家の作品の、一方の作家が死亡したことで権利関係が複雑化し*3一時的または永久的に絶版となるケースも存在する。
この場合、もう片方の作者側が著作権を買い取るなどで権利関係を一本化して後々再販にこぎつけるケースもある。

また映像作品も、いわゆる原作レイプなどをしてしまうと作者側から猛反発を受けてソフト化が事実上出来ず、
ソフト化をアナウンスしておきながら、日の目を見ずに絶版となることもある。

逆に作者の日頃の不行状から、出版社側から一方的に連載を拒否され、絶版となるケースもある。
この場合は、売れているのをいいことに職務怠慢で原稿を仕上げない等の不義理な作家に対し、最後の策として行う。
この場合、出版社側ですべての原稿を焼却処分にしたり、連載権を全く出版とは関わりないところに売り飛ばして、知らん顔となる。

◇技術的な理由

LDでしか出していないソフトが、DVDなどにリマスター出来ないなど、技術的な問題で出来ずに、そのまま絶版というケースがある。

◇単純に現品がない

読んで字のごとく。
古い作品である場合、商品になるほどの状態で残っておらず絶版化していることがある。
例えば、初代アニメ版『鉄腕アトム』は外注の回のフィルムが現存せず、一部の回は復元収録されたがそれでも125話、127話、139話は絶版化している。
余談だが、その中の一話はアトムが大人になる話で原作でいう「盗まれたアトム」がモチーフだったとか。

しかしコレクターなどからの提供、発掘により後々でも発売されることもある。
貸本時代の水木しげる作品は絶版化していたが、全集の発売の際にほぼ発掘されデジタル修正され販売された。

【関連項目】




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最終更新:2023年11月19日 18:35

*1 最終的には問題が解決したため無事連載再開・重版出来がされている。

*2 柳田はミスがあるかもしれないとして再検証を求めていた。

*3 著作権は相続可能な権利となるため、基本的に遺族に渡る。