文責:きょうよ

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2.1資金調達と資金運用

・前章で説明したように、資金不足主体は負債を発行して尺乳を行い、資金余剰主体はその負債を自分の資産として購入する。

負債の種類

・この負債にはどのようなものがあり、どのように発行されるのか。
→たとえば、政府が資金不足になれば国籍を発行するし、企業も社債を発行する。
→社債も国債も発行者にとっては負債であるが、それを買う人にとっては資産になる。

・事業債や国債・地方債は将来の一定期日(満期)に一定額を返済することを約束する(確定利付き)債権の一種である。
→利息は満期に一括して払われるものと万期まで毎期分割して払われるものとがある。

・株式は経営への参加券(株主総会での投票権)と収益権(株式配当の受領権)を意味する証券で、債権の利息とちがって、配当はその企業の業績などにより変動する。

・株式の発行残高は、当期に新規に設立された法人の株式発行額と、既に存在している株式会社の増資分の両方が入っている。

法人部門の資金調達

・法人部門はマクロ的に見て最大の実物投資担当部門でもある。

・企業の資金調達の内訳によると、外部資金と内部資金でくらべると外部資金のウェイトが高い。

・外部資金というのは大まかに言えば企業の外部から調達される資金のことで、株式発行や社債発行、銀行借入、企業間信用受信(掛け買い)などを含む。

・内部資金の方は、社内留保や減価償却引当金の取り崩しである。

・成長率の高い時期の方が外部資金への依存度が高まる傾向がある。

・投資家側の権利として将来株式に転換できる社債を転換社債といい、新株を将来買い取る権利がついているが、権利行使後も社債部分がのこる社債をウォラント債という。

法人部門の資金運用

・一般に企業がいくら資金不足であるといっても、手元に全く金融資産をおいておかずに収入があったら直ちに原材料購入や資金支払いや設備投資、借金返済などに使ってしまうわけではない。
→支払いや釈入返済に日常的に必要な分や不時の支出に備えて行く文化は現金化しやすい形で持つであろう。

・借り入れと運用を同時におこなうことを両建てということがある。

2.2 発行市場と流通市場

・ある株式会社が長期の資金調達を行おうとする。社債を新たに発行することもできるし、新規に株式を発行して資金を集めてもよい。

債権の発行

・社債を発行する場合を考えてみよう。
・5年満期の社債であれば、5年後にたとえば社債1枚当たり100万円を払うという約束が記してあって、投資家はいまそれをたとえば80万で買い取る。

80(1+i)^5=100

を満たすiが利子率になる。

・満期に一括して利息を受け取る方式を割引債といい、利息を一括で受け取るかわりに毎年少しずつ受け取って5年後には元金と残りの利息を受け取る方式を利付債という。利付債の途中で受け取る利息のことをクーポンという。

・発行価格は需要と供給によって決まる。

債券の流通

・新規に発行された債券を満期までずっと最初の投資家が補湯すれば、元利合計まで受け取ることになる。
→しかし何かの事情で、この投資家が債券を満期以前に第三者に売却したくなることも十分ありうる。
→そのときいわば中古で債券を売買する市場が流通市場である。

・流通市場での価格も需要と供給によるが、供給に相当するのは既に存在している債権の量なので、ストック量になる。

・流通市場と発行市場でそれぞれ価格が形成されることになるが、発行にあたっての価格設定は発行時に時の流通市場の価格に強く影響される。

債券市場の発達

・戦後の日本では1960年味至るまで赤字国債は発行されなかったし、社債の発行もいちじるしく制限されていたので、公社債の流通市場はなきに等しかった。

・1960年代後半になって国債が発行され始めたから徐々に市場が形成され始めたが、それでも政府は金融機関に対して国債の売却制限をおこなったりして流通市場の発達を抑制いようとした。

・1970年代後半に入って、一挙に大量の国債が発行されるようになると、流通市場の形成を制限することは技術的に不可能になった。
→社債の発行市場は、国債に比べると規制のために不活発で、非金融法人の資金調達手段としては普通社債(事業債)はあまり人気がない。

株式市場

・株式にも発行市場と流通市場がある。
→流通市場のうちで最も目立つのは兜町の東京証券取引所の立会いであろう。

・ストックで見た個人投資家のシェア低下を「投資の機関化現象」と呼ぶことがある。

・企業の資金調達に関する限り、個人投資家の役割は増大しているとはまだいいにくい。

2.3 借り手と貸し手

・新聞を見ればすぐわかるように、株式を上場しているのはごく一部の大企業だけである。

証券の公募

・上場しないまでも法律上は株式会社の形になっている企業も少なくない。これらの企業は身内や取引先に買い取ってもらうこにになるだろう。社債のほうもほぼ同様である。

・このように、一口に株式や社債といっても銘柄によって、全国的な規模で投資家を公募できるものとそうでないものとがある。その違いは何によって生まれるのだろうか。
→それは主に、投資家から見てその証券がどのような質のものであるかについての情報が収集しやすいかどうかである。

中小企業への融資

・知名度の低い中小企業の証券にあえて投資ないし融資するのは、日頃からその企業と取引があるなどの理由でその企業のことをよく知っている場合が中心であろう。
→これが企業間信用である。

・企業間信用の中には手形も使わず金融機関も経由せずというものも多いので、法人部門の資金調達にしめる企業間信用のシェアの正確な統計は取りにくい。掛売も企業間信用に含まれる。

情報の蓄積

・銀行はどのようにして顧客企業についての情報を蓄積するのだろうか。

→ある企業と預金取引のある銀行は、その企業が銀行口座を通じて送金・入金する取引相手の名前や取引規模などの情報をえることができる。こうした情報は、支払い能力を推定する重要な材料になる。

・銀行貸出と企業間信用は無名の企業についての情報を取引関係ないし顧客関係を利用して収集し、その情報をもとに「貸出の審査(選別、スクリーンニング)」を行うという共通点を持っている。

貸し手の分業

・大企業は公開の市場で調達し、中小企業は銀行借り入れに頼るというパターンの分業関係はアメリカではすでに定着している。

・大企業の発行する手形はコマーシャル・ペーパー(CP)と呼ばれ、比較的安全な資産として短期流通市場で流通している。
・一方で、CPを発行できない中小企業は銀行借入をせざる得ない。

・銀行のように貯金を受ける金融機関以外では、機関投資家と呼ばれる大口の貸し手がある。生命保険、損害保険、年金基金、投資信託や、共済組合、宗教法人・学校法人である。
→これらの期間は、公募債や株式などのように流通性の高い銘柄の債券や株式を大量にしかも多銘柄に分散して投資する。

2.4 金融仲介の役割

・金融機関や機関投資家と個人投資家の関係は、単に投資家としての性格のちがいではない。
→機関投資家のある部分や金融機関は、単に投資家であるだけでなくて、個人投資家を資金源としているのである。つまり、仲介者でもある。

仲介者の役割

・では仲介者として、金融機関や機関投資家はどうゆう役割を果たしているのだろうか。

・銀行は個人投資家(預金者)から預金を受け取り、その資金を使って企業などに貸出したり証券に投資したりする。
→したがって何を原料として何を作っているのかと問われれば、貸出のs奉書や証券を原料として、預金通帳やCD(譲渡性定期預金証書)、金融債を作って販売していると言える。
→銀行は他人の負債を自分あての負債に変換していることになる。

・このような変換作業が預金者にとって価値あるものになりうる為には、預金してしまう方が自分で証券を選別するのよりも安上がりであるとか、より安全である、と預金者が認めるという条件が必要である。
→この条件を満たすように作用するのが規模の利益である。

金融仲介機関

・最終的な借りての発行した証券や借入の証書を、自分宛ての負債に変換して、最終的な貸し手に販売する企業のことを、金融仲介期間という。

・年金や保険も金融仲介機関の発行する負債である、これは最終的な貸し手からみれば金融資産にほかならない。
→金融資産のメニューを多様化することに貢献する。これが金融仲介機関の役割である。

戦後日本の金融仲介

・「銀行は右のものを左に移すだけ、何も生産しないで稼ぐ」とみなすのは短絡的であることがわかるであろう。
→ただ、金融仲介期間が最終的な貸し手の需要に答えているとみなすためには、いくつかの条件が必要である。

・戦後日本でいえば「最終的な貸し手が、もし望むなら直接に最終的な借りての発行する証券を購入する道も依然として存在する」という条件があやしい。

金融仲介と金融市場の発達

・金融仲介機関が上に述べたような役割を順調に果たせば、金融市場の高度な発達がますます促される。
・金融市場の高度化に伴い、短期のオープン市場(金融機関以外の主体が参加できるよく整備された短期金融市場)やインターバンク市場の手形売買市場なども形成されるのである。

流通性の低いペーパーの存在

・高度に発達した金融市場と並んで、流通性の低いペーパー市の市場があることを忘れてはならない。すなわち銀行貸出・企業間信用・消費者信用などである。
→こうした流通性の低いペーパーを買い上げて、それを自分宛の負債に変換しておくりだした流通性の高いペーパーに仕立てることこそが金融仲介機関の主要な役割の一つだ。

2.5 預金者と投資家の保護

・金融仲介機関が円滑にその機能を発揮するためにはどのような条件が必要だろうか。
→既に述べたように、まず、リスクのプーリングや審査の作業に規模の利益があることが金融仲介機関の存在意義のためには必要である。

・そうした規模の利益や専業の利益が単に存在するだけでなくて、投資家ないし預金者がそうしたメリットに気づくことも可能でなければならない。
→言い換えると、投資家・預金者が金融仲介機関を審査する能力を持たなく点はならない。しかし、この条件は満たされにくい。

・自分で金融仲介機関を審査するのではなく、その金融仲介機関の評判や実績を調べるもことをもって審査に代えるなどということとになりやすい。
→そうなれば、金融仲介機関の中には信用させておいて預金を受け取ったら姿を消す、といった手口の詐欺を行うものも出てくるかもしれない。
→こうした詐欺や情報の操作のおそれがあるのは、金融仲介機関についてばかりではない。最終的な借り手が自社の実績を偽って資金調達をはかるおそれがある。
→これを予防するのが経営内容の開示(ディスクロージャー)の義務づけである。




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最終更新:2013年01月29日 18:44