文責:きょうよ

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ルーマンと社会学

・彼(二クラス・ルーマン)の関心は、ありとあらゆる社会的な結びつきを、すなわち社会学の対象領域全体を、社会システム理論の概念装置を用いて記述できるようにすることにある。

・経験的な社会研究はもとより、他のほとんどすべての一般的な社会学理論とくらべてみても、ルーマンは全く異質のアプローチを選んでいるのである。

・ルーマン「わたくしが社会学のポストに関心を持ったのは、社会学者という看板を掲げていれば、特定の主題領域に縛られずになんでもすることができるからでした。」
→彼が頭に描いている普遍主義的な理論構想は、ひとつの主題領域に制限されずに、ありとあらゆる社会的な結びつきの枠組みを実際に画定することを要求している。

・経験的な社会研究は統一的な理論の形成には何一つ寄与していないとルーマンはいう。
→「世界の複雑性に我々が目を見開かされるのは、予想を超えるような自己産出的データが現れることによってである」

・理論社会学に対しては「(従来の理論社会学では)既に目の前にあるテキストを解剖し、解釈し、組み立てなおすことが課題となる。」と非難している。
→社会学理論の発展にとっては対して役にたたないだろう。

・問題は第二の理論的強化を達成し、社会学の全分野にわたる一般理論の基礎を与えることにあると言えるでしょう。
→彼の動機は、近代社会をよりよく視野に収められるところまでその解明能力と再結合能力を前進させるような、理論への関心なのである。

社会学の一般理論の構築に向けて

・彼はハーバード大学に行き、とくにパーソンズのシステム理論と取り組み、「どのようにしてパーソンズの理論のような巨大理論が構築されるのか、そして、もしそれが破綻に陥るとすればどこでなのか」を知ろうとした。

・60年代の終わりと70年代の初めにおけるルーマンの専門家としての活動史は、とりわけハーバーマスとの論争に負うところが大きい。

・批判理論全体とその追従者たちが、第一にどうすれば社会の事をよりよく思考しうるかという問に沿っているだけでなく、とりわけ、どうすれば社会をよりよく形成しうるかという問に沿っている。
→よりよい社会の状態への問いに対するルーマンの典型的な答えは、こうである。
→「どうすれば社会が良くなりうるか、についての考えを私は全くもっていません。私たちは、私たちの社会が、先行するそれぞれの社会と比べて、より肯定的な特性とより否定的な特性をもっていることを知っています。だから、今日では良くも悪くなっているのです。」

・1984年に、主著「社会システム」が出版された。ルーマンはこの著書でオートポイエーシス的システム理論へのパラダイムの転換を基礎づけた、

ルーマン理論の難解さ

・はじめてルーマンのテキストに近づこうとする人は、ある困難にさらされていると感じざるを得ないだろう。
→彼のテキストが自然な語り口から遠く隔たっていて、じかには近づけないからである。

・ルーマンのテキストを生産的で有益なものとして読もうとすれば、彼の概念構成の特質と迷路に踏み込むような議論の仕方を、まず知っておかなければならない。
→最初のとっかかりが、他の理論の場合には希なほど難しいのである。

・ルーマンは自分の語り口のわかりにくさの理由は、彼の理論の対象のあり方そのもののうちにあるというのである。
→「社会学は、最初の眼差しによる理論ではなく、第二の眼差しによる理論である。第二の眼差しによって、問と疑念が浮かび上がってくる。語られるすべてのことが、おしなべて理解という強制の鞭のもとに置かれるべきなのか。」

・彼の理論言語が生産的で透明なのは、日常的な概念の意味するところから距離をとることによって、理解をコントロールする可能性に道を開くからである。

・ここでルーマンの理論の根本特徴が明らかになる。
→学問的なコミュニケーションがそれに固有な選択のはたらきを通じて世界を生み出すのであり、その世界を介してコミュニケーションが行われるのである。

本書のねらい

・我々は、ルーマン自身の思考や記述のスタイルとはむしろ異質なヒエラルヒー的な叙述形態を取ることにした。

・われわれは、われわれ自身の立場を限定して内在的観察者の立場をとることにする。

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最終更新:2013年01月24日 18:07