Going Underground と民主主義

The Jamというバンドをご存じだろうか。
1977年にデビューし、1982年に解散。伝説の70年代、黄金の80年代の狭間のUKパンク・バンドである。

「パンク」というとモヒカンやらスキンヘッドで、ジャラジャラしたヤンキーみたいなのをイメージする人が多いように思うが、
ああいうのは本来パンクではない、
現にこの「The Jam」などはスーツを格好良く着こなすモッズファッションである。

パンクというのは「自分らしさ」を追求する精神であって、これぞパンク!というものは存在しない。
モヒカンなんかはパンク風であってパンクではない。

それはそうとして、

この「The Jam」の「Going Underground」と言う有名な歌がとても気に入っている。
曲自体も疾走感と熱さがあって素晴らしいし、何より歌詞がいい。
解釈は当然違うと思うが、俺は民主主義における責任についての歌だと思う。
政治の失敗やら、それに対する失望なんていってるが、
政治ってのは国民と結合してるもので、国民の程度に合わせた政治しか実現しない。
そういうシステムが民主主義で、
だからこそ国民は声をあげなきゃならない。考えなきゃならない、
議論しなきゃならない、責任を負わなきゃならない。

実際にはそういう国民側だけの問題じゃなくて、政治の側の問題、結合部のシステムの問題もあったりする。
そういう政治の側に問題点を見いだす考え方ってのは2010年頃になってから政治学に現れ始めたもので、
もしこの曲に矛先が民主主義のシステムとか、それを作った人々に向いてるのであれば、
それはものすごいことである。


出回ってる歌詞の和訳が気に入らないので自分の解釈から意訳してみた。
「Going Underground」はロンドン五輪で使われたときに地下鉄の演出をされていたので
とりあえず「地下鉄に乗る」と訳したが、あってるかは微妙。

Some people might say my life is in a rut,
平凡な生き方と言う奴もいるさ

But I'm quite happy living with what I got
でも俺は自分の生き方に満足してるんだ

People might say that I should strive for more,
もっと稼ぐことを考えたらと言う奴もいるさ

But I'm so happy I can't see the point.
でも俺は幸せさ そんなこと考えるわけがない

Somethings happening here today
今日もここで何かが起こってる

A show of strength with your boy's brigade and,
君の仲間が力自慢してるのさ

I'm so happy and you're so kind
俺は幸せで 君はいい奴さ

You want more money - of course I don't mind
君はもっとお金を欲しがるけど―もちろん俺はそうじゃない

To buy nuclear textbooks for atomic crimes
原子力犯罪のために核の教科書を買うなんてね



And the public gets what the public wants
そうさ大衆は望むものしか得られないのさ

But I want nothing this society's got -
でも俺はそんなもの望んじゃいない


I'm going underground, (going underground)
地下鉄に乗るよ

Well the brass bands play and feet start to pound
そうさ ブラスバンドが鳴り響き 地響きがするんだ

Going underground, (going underground)
地下鉄に乗るよ

Well let the boys all sing and the boys all shout for tomorrow
そうさ みんな歌い、叫ぶべきなんだ 明日に向かって


Some people might get some pleasure out of hate
憎しみの重圧から逃げたい人もいるさ

Me, I've enough already on my plate
俺?もう十分受けてるよ

People might need some tension to relax
緊張をほぐして休みたい人もいるさ

[Me?] I'm too busy dodging between the flak
(俺?)批判をかわすので精一杯だよ


What you see is what you get
君の見るものは君の手に入れるものだよ

You've made your bed, you better lie in it
君はベッドを作ってそこで寝るのさ

You choose your leaders and place your trust
君自身が指導者もその場所も選んだのさ

As their lies put you down and their promises rust
君は彼らの嘘に失望して 約束は台無しさ

You'll see kidney machines replaced by rockets and guns
君は医療器具がロケットや銃にすげ替えられるのをみるのさ


And the public wants what the public gets
そうさ大衆は望むものしか得られないのさ

But I don't get what this society wants
でも俺はそんなもの望んじゃいない

I'm going underground, (going underground)
地下鉄に乗るよ

Well the brass bands play and feet start to pound
そうさ ブラスバンドが鳴り響き 地響きがするんだ

Going underground, (going underground)
地下鉄に乗るよ

Well let the boys all sing and the boys all shout for tomorrow
そうさ みんな歌い 叫ぶべきなんだ 明日に向かって


We talk and we talk until my head explodes
俺たちはずっと話し続けるよ 頭が吹っ飛ぶまで

I turn on the news and my body froze
俺はニュースを見ると興奮するね 体が凍り付くんだ

Braying sheep on my TV screen
テレビの中のうるさい羊が

Make this boy shout, make this boy scream!
叫ばせ 悲鳴を上げさせるんだ!

Going underground, I'm going underground!
地下鉄に乗るよ 

ちなみにこの曲が発表された時期というのは福祉国家から新保守主義への大転換期、
イギリスでいえば鉄の女サッチャーの時代
こういう曲が売れた、というかパンクが流行ったのは必然かな
最終更新:2018年08月30日 03:20