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アズマ(SC66年~SC142年)

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アズマ(SC66年~SC142年)
所属勢力:アスラン→アグデッパ→海賊→ア族残党軍→ショーン・プロベット連合

宇宙最強と名高い海賊覇王
旗艦オルテガに搭載された波動砲を駆使し、多くの正規軍を恐怖に陥れた。
その正体は、父のやり方に失望し出奔したアグデッパの息子の王子アズマである。
父のやり方には反発したが地球への愛着は失っておらず、
地球圏への略奪は行わず、弟ララウィンを密かに気遣っていた。

SC66年当時の皇太子アグデッパの第1子、アスランの皇太孫として生を受ける。
幼少時から物覚えは良く、父アグデッパも「良き王になってくれるだろう」と溺愛し、
教育係を付けず、自ら帝王学を教えていた。
アズマも父アグデッパの期待に応えるべく勉学に励みめきめきと頭角をつけ、
若干12歳で艦隊総司令へと就任する。
そんな彼の転機となったのが地球に降下してきた海賊ロドアム討伐だった。
当時、アズマは父を尊敬・信頼していた。
だが、ロドアムに敗北し捕らえられたアズマはロドアムから民の実情と
正規軍の堕落ぶりを聞かされる。「殻に籠らず、外へ飛び出せ」
この時、父の教え自らの行いが全て正しいと思っていたアズマの信念に揺らぎが生ずる。

アグデッパが多額の身代金を払ったことで釈放されたアズマだったが、
ある日、正規軍による抵抗軍の取り締まりを目撃する。
処刑場へ運ばれたのはテロリストたちだけでは無く、抵抗軍の拠点に住んでいた女子供ら無関係の者達もだった。
そして、一人の娘が連れられてきた。まだ年増も行かぬ少女だった…
まだ、10歳に満たない少女が抵抗軍の片棒を担ぐはずがない。
この少女は自ら裁くとして担当者を納得させたアズマは父に抗議に言ったが、
父の主張は冷たい物だった。
「疑わしき者は全て罰せよ」「将来に禍根を残さぬため根絶やしにせよ」
もう父には着いて行けない。
翌月、アズマは助けた少女をララウィンに託すと王族の身分を捨てた。
この時、助けた少女の名はバイアグラ。後に海賊女帝として名を馳せる娘だった。

アズマは各地を放浪した。
そして、ある街に立ち寄った際、そこで地元の不良グループと出会う。
だが、アズマは知る。彼らも好き好んで社会のゴミになった訳では無い事を
非常徴収や抵抗軍の取り締まりで親兄弟を失い路頭に迷うしかなかったと
これが、苦楽を共にする仲間たちとの出会いであった、
最初のアジトはオンボロの小型GB。次は正規軍の乗り捨てた大型GB
しかし、アズマは地上で満足はしなかった。
「いつか俺は宇宙に出る…」
宇宙船を探しアズマは怪しいジャンク屋に訪れる。
そこで手に入れたのが生涯の相棒となる旗艦サラトガ。
奇しくも王子時代に乗っていた戦艦と同じ機種だった。
SC86年、アズマは宇宙海賊として旗揚げした。

海賊となったアズマは主に地球と敵対する国々を中心に海賊行為を行う。
「ララウィンは優しい男だ。道を誤ることはないだろう」
不思議な事にアズマはララウィンを気遣い、
ララウィンはジュリアに「兄さんに戻ってきてほしい」と言っているが、
実際ララウィンはアズマの遺志を尊重し関係を持とうとしなかった。
だが、結局これが仇となった形でララウィンは殺され王位はブラウンに簒奪されてしまう。
当時の仲間は「カシラは皆の前では無関心を装っていたが、自分の部屋に帰ると
 モニターを叩き割った」と証言している。
これによりアズマの堪忍袋の緒が切れたらしく地球圏へも略奪行為を行うようになる。

SC100年以降は海賊にとって暗黒の時代であった。
自術開発能力の向上により強力な海賊船を使う傭兵として海賊の価値観が減り、
各国でも取り締まりが強化。ある者は死に、ある者は船を降りたりした。
だが、幸いにもアズマの指揮能力とサラトガの性能により海賊は続けていた。
しかし、船員たちは不安であった
「カシラ、この先どうなるんですかい?」
この時、アズマは船員を集めるとこう言った
「船を降りたい奴は降りろ!!俺と一緒に世界を変えたい奴はそのまま残れ
 俺は無理強いはしない。お前らの意思を尊重しよう」
船員たちは誰一人降りなかったと言う。

そしてSC110年。祖国地球帝国はテンオウ軍の猛攻に屈し降伏
遂に滅亡の時を迎える。
「変わろうとしない国は長続きしない。民を虐げる国が栄える事は無い」
それから間もなくアズマの元に見覚えのある人物が訪れる。
名をバイアグラ… その昔、濡れ衣で殺されかけた所を助けた少女の成長した姿だった。
別に知らない存在ではない。寧ろ顔は頻繁に会わせている。
だが、こうして直に顔を合わせるのは久しぶりだった。
「久しぶりだな。戦場以外ではマカーフィの件以来か?」
「そうね。あれから貴方もギルドに全然顔を出さなくなったから…」
マカーフィの件、海賊マカーフィが弟ララウィンを殺した叔父ブラウンを殺害した事件。
この時代、敵討ちや復讐など日常茶飯事だったが、マカーフィの場合その立場が不味かった。
海賊ギルドで定めた規約に『交渉の席で相手国覇王は海賊を取り締まらない代わりに
 海賊は覇王に敵対行為をしない』と言う取り決めがあった。
交渉の席での敵対行為は互いの信用問題に関わるため、如何なる海賊も遵守が求められた。
だが、マカーフィはこれを破ったばかりか覇王を殺害。
当然、他の海賊からクレームが付きマカーフィの追放が決定する。
これを境に…と言って良いだろう。海賊の取り締まりが強化されたのは…
アズマ自身はマカーフィの肩を持つわけではないが、以降ギルドの召集に応じるのが面倒になった
最近、取り締まりが厳しいせいで集まりも悪いのも理由だ。
数年前からレナジとモレア、オンゴゴと脱退者が相次いでいる。
「お前は相変わらずギルドに顔を出しているのか?」
「生憎、私も最近は行っていないわ。今日はギルドの用事で来たんじゃないの
 アズマ、私達に力を貸してちょうだい」
アズマはバイアグラの「私達に」という言葉に引っかかった「私に」ではなかったからだ
「私達に?どう言う事だ」
「私は今、ア族の残存勢力と行動を共にしているの」
「ア族の残存勢力とだと?」
「そう、先の大敗で地球を追われたプロベットと一緒に居るの…」
SC110年地球降伏。当時、捕らえられた覇王は例外はあるものの
大抵、自害するか処刑されるかのどちらかだった。
だが、先の降伏後に覇王プロベットの消息が不明であった。
テンオウ軍はひた隠しにしているが、プロベットの捕縛に失敗したのは周知の事実であった。
一説では彼の再起を願い家臣達が命がけで敗走させたと言う。
故にテンオウ軍も彼の再起を恐れ、血眼になってその行方を探している。
「噂には聞いていたが、本当に生きていか…」
「アズマ、お願い。彼は貴方の力を必要としているわ」
「断る!!何が嬉しくて圧制を続けたア族の残党を助けなければならない
 お前もお前だ。何を血迷ってプロベットに協力をしているのか?」
「…助けたいから」
「プロベットをか?」
「違う!!私達の故郷を… 彼を命がけで助けた人たちの命を
 今、この瞬間も何人もの無関係人たちが殺されている
 ア族の布いた政治は圧制よ。それは否定しないわ。だけど、今のテンオウ軍は何?
 アレは、故郷を取り戻す事を言い訳にした侵略、報復と言う名の虐殺よ!!」
アズマの脳裏に過ったのは皇太子時代の捕虜の取り締まりの光景だった。
無関係の者が銃弾でハチの巣になるあの場面だった。
「では、何故プロベットは逃げた!!奴が逃げた事で行き場を失った怒り・憎悪が虐殺を産んだのだ」
「…じゃあ何で貴方も逃げたの!?」
「!?」
バイアグラの言葉にアズマは言葉を失った。否定しようとするも言葉が出なかった
「アグデッパが気に入らないなら貴方が覇王になればよかった。
 貴方ならあの国を変えられた。ブラウンも押えられた。
 ララウィンも死ななかった。ジュリアも辱めを受けなかった。
 マカーフィも自分を見失わなかった!!皆がこんなに酷い目に遭っているのに
 貴方は何もしなかった。貴方が逃げなかったら多くの人が助かったのよ!!」
「…」
「プロベットは悔いているわ。家臣や領民を見捨て逃げた事を
 だから、帰ろうとしているの。彼らに許しを請う為に、例え許してもらえないと解っていても…
 自らの為に死んだ者達の思いを背負いながら生き恥を晒し続けるつもりなの。
 アズマ、貴方は悔いた事がある?」
そうか、俺は現実を見て見ぬ振りをしていたのか…
海賊になって現実を見て全て解決した気でいた。アズマは結局、弟にすべて押し付けて逃げた事を理解した。
「アズマ、貴方のせいで死んだ人間も沢山いるの。悲しいのはそれに気付かない事。
 彼らの死を無駄にしないために貴方も帰るべきだわ。私達の故郷、地球に…」
「俺の負けだバイアグラ。いいだろう、プロベットの下へ案内してくれ」
アズマはプロベットとの謁見を決めた。

プロベットに謁見したアズマは
その主張に嘘偽りがあった場合は抜ける事を条件に恭順を決定
更に海賊仲間のマクレイも加わり、ミカドとドーラを巡る不穏な空気や
地球圏に残ったア族残党軍の活躍もあり、プロベットの復帰に目途の付いたある日事件が起こる。
アズマもバイアグラもこう振り返る「あれが全ての始まりだった」
プロベット妃エセラが出産後、その不衛生な環境から病にかかり症状が悪化。
プロベットは何日も人目を掻い潜り薬を探し、闇市にまで足を運んだ。
しかし、薬は見つからず肩を落として帰ってきたプロベットにエセラは笑いながら言った
「この銀河に希望を…」
その瞬間、プロベットは静かだった。家臣達の声に全く耳を傾けず、
動かなくなったエセラを抱え外に出た。
そして、雲一つない空に向かって、あらん限りの声を上げて泣いた。
「陛下、お気を確かに!!」
心配する家臣の声を他所にプロベットは悲鳴とも奇声とも解らない声でわめき続けた。
「立ち直れないかもしれないな…」そう思ったアズマだったが、ふとバイアグラは立ち上がると
プロベットの許に歩み寄った。
誰もが慰める… 誰もがそう思った。
「歯ァ食いしばれ!!」
飛んできたのは、プロベットの体が吹っ飛ぶほどに強烈なバイアグラの鉄拳制裁だった。
これには家臣達ばかりかアズマも驚いたが、意外にもプロベットは冷静さを取り戻した。
そして、エセラを弔ったプロベットは高らかに宣言した
「この世界は間違っている。余は宇宙をこの世界をすべて破壊する」
この世界は間違っている… 全てを破壊する…
プロベットもアズマ達と同じ結論に至った。少々乗り気では無かったアズマも気が変わった。
「覇王プロベットよ、人々がお前に希望を見出すのなら我々もお前に力を貸そう
 我々はお前の希望となろう… そして、世界を変えて見せろ」

SC111年、覇王プロベット火星にて再起。再起宣言でもプロベットは叫んだ
「余は争う国々を全て滅ぼし、この世界を全て無に帰す」
再起の余勢のままに地球を奪還。地球帝国はここに再興された。
地球に降り立ったプロベットとアズマを迎えたのは歓喜の声を上げる溢れんばかりの民衆だった。
「お前達を見捨て逃げたこの俺すらも歓迎されるのか…」
「真の王者の帰還に民は湧きだっているのだ。卿は帰ってきたのだ」
この功績によりアズマは将軍、バイアグラとマクレイは分将として召し抱えられ、
プロベット軍の重鎮として彼の覇業を助けた。
地球回復から暫く経ったある日、アズマはプロベットに呼ばれた。
「禅譲式を行うだと?わざわざ?」
「そうだ。今の王位は父ブラウンが従兄ララウィンから簒奪したものだ
 真の王が帰還した今、正式に行う必要があろう」
「その様なもの形式に過ぎない。今の覇王はお前だ気にする必要はないだろう?」
「形式だからこそ必要なのだ。真の王と今の王が手を取りあう
 例え形式、アピールに過ぎなくとも、国民の団結には必要だろう?」
そして、禅譲式の日。アズマは最初で最後の玉座についた。
「これが父や弟が座った玉座か… ふむ、背もたれの具合がサラトガの椅子に格段に劣るな」
そしてプロベットに王冠と剣と紋章の彫られた印を渡した。
所謂『三種の神器』と言うやつだ。
そして、最後にアズマは退位宣言書とプロベットへの王位継承を認める文章に
自らの名を刻んだ。
「王位など軽いものだ。こんな薄っぺらい紙切れ一枚で決まるのだからな」
そう言って王位継承を証明する紙切れをアズマが渡すと、受け取ったプロベットも返す
「だが、それに気付かない覇王は多い。こんなつまらない身分の為に人々は争うのだ
 王位も国も永遠ではない。先の地球陥落で多くの者が理解しただろう
 この覇王と言う身分が如何に小さくつまらないモノであるかを余が証明してみせよう
 それがア族宗家最後の覇王皇帝としての責務だ」
「王位を捨てる心算か?」
「余が全ての国々を滅ぼし、天を制覇した時。或は余を越える真の王が現れた時
 この覇王と言う身分は未来永劫に無くなるであろう。
 アズマよ、余が態々禅譲と言う形式を取った理由は国民の団結だけでは無い。
 お前が王位継承戦争と言う面倒事に巻き込まない為だ」
「どう言う事だ?」
「もし、我が野望が成就し王位を放棄した時、納得し無い者もいるだろう
 その時、擁立されるのは恐らくお前だ。お前とて王位が欲しくて帰還したわけではあるまい
 気休めかもしれないが、お前から王位継承権を無くす
 そうすれば、お前を擁立する口実は無くなり擁立されることも無い
 万が一にも王位が欲しいなら、お前の事だ。実力で取りに来るだろう」
この時、アズマはプロベットに膝を屈していたと言う。

地球に帰還後、アズマは仲間たちを集めるとこう告げる。
「陛下より皆に『地球奪還作戦参加』の感謝状と金一封が出た。
 この功績により俺達の今までの襲撃・略奪と言った行いは不問となった」
おぉ… とざわ付く周囲を他所にアズマは
「それに伴い我々海賊団は解散する」と宣言、周囲は一瞬の沈黙が流れた。
「か、解散?なんで…?カシラ、あっし達どうなるんです?」
「陛下から軍人になって欲しいと言われ、引き受ける事にした。
 特定の国に属する以上、海賊と名乗る訳にはいかない。
 安心しろ。陛下は希望者には就職先の斡旋も行ってくれるとの事だ
 もう肩身の狭い思いはせずに済むんだぞ」
だが、仲間たちは暗い表情のままだった。すると1人の手下が口を開いた。
「カシラ!!確かに覇王様の申し出はありがてぇ。けど、言わせて下せぇ。
 恥ずかしながら、あっしは家族も無く学も無ぇ。
 堅気に戻れるのは確かにうれしい。けど今更、堅気の生活ってのは無理だ。
 下手したら問題起こしてクビになって、またゴロツキに逆戻りだ。
 それこそ、カシラや覇王様に迷惑を掛けちまう。
 あっし達はカシラの下で働きてぇ。働かせて下せぇ!!」
俺も…私も… と周囲からは同様の声が上がった。
「おいおい、軍人になるって大変なんだぞ?
 下手な堅気の仕事なんかより遥かに大変だ。その辺を解ってるのか?
 それに軍人になったら尽くす相手は俺じゃない。プロベット陛下だ」
「それは、カシラのカシラって事ですよね?なら大頭目だ。問題無ぇ
 体は鍛えているから問題ねぇ …と思います」
「今までみたいに好き放題に暴れられないぞ?気に入らねぇ奴とも仲良くしなきゃいけねぇ
 上からの命令は絶対だ。気に入らない命令も従わなきゃならん」
「我慢しやす。努力しやす」
「まったく… お前らのバカさ加減には本当に呆れる。
 仕方ねぇ、俺から陛下に掛け合っておく『全員召し抱え希望』とな」
その瞬間、仲間たちからは『おぉ!!』と完成が上がった。
ため息をついて呆れたアズマだったが、どことなく嬉しそうだった。
因みに翌日、プロベットにこの事を伝えに行くとマクレイ、バイアグラらも同じ要件で来ており
3人で大笑いしたと言う。
そして、彼らを中心に結成されたのが八卦衆に代わるプロベット軍最強部隊(ショーンと合流後は私兵)で
アズマを総司令とする海賊艦隊であった。

ソース恒星系を制覇後、ドーラ王朝と国境を接した。
プロベットは同盟を希望したがドーラはこれを突っぱねた。
すると、バッカスがドーラ王朝に揺さぶりを掛け始めた。
お互いの不信感を煽り国民の不安を煽ったのだ。
ハッキリ言って綺麗なやり方とは言えなかった。
特にバイアグラは嘗て捕らえられた際バッカスが処刑担当だった事もあり、
嫌悪感を露わにしていた。
この間など分将以上が集まる会議の席で「貴様の様な下衆は見ていて虫唾が走る」
「敵を謀略などと言う醜い行いで排除するなど貴様にはプライドと言うものはないのか?」
「敵将は戦場で礼節をもって遇し、最大級の敬意を払い対峙するものだ」
とバイアグラが散々バッカスを罵り、バッカスが
「立派なご意見だ。この間まで海賊などと言う野蛮な行為を行っていた者が
 今になって軍人の本分とやらを語られるか?」
と煽り、危うく乱闘騒ぎになり掛けた事があり、マクレイと2人掛かりで止めに入った。
結局、バイアグラは「同じ空気を吸ってるかと思うと吐き気がする」
「陛下のご寵愛が無ければ、お前の様なクズはこの場で切り捨てている所だ」
と吐き捨てると腹を立てて部屋を出て事無きを得た。
バイアグラが立ち去った後、アズマはバッカスに言った。
「敵を策略で倒すのは、味方の被害を出来る限り少なくする為で現在は戦争中であり恥じる事は無い。
 バイアグラが感情的になり過ぎている事は否定しない。
 だが、バイアグラが感情的になる理由は卿もしっているだろう。
 にも関わらず、バイアグラを煽り我々家臣団の間に溝を作るのは如何なる理由を持ってしてか
 この凡愚に解るように説明していただきたい」
するとバッカスは
「小官はバイアグラ殿に嫌われております。溝は埋まらず理解されるはずもありません。
 どうせ許してもらえないのだから、ならば徹底的に嫌われようと思ったまでです。
 仮にバイアグラ殿が小官を許してくれたとしましょう。
 その様な状況で謀略を立てたら、バイアグラ殿はまた腹を立てて今より感情的になり関係は悪化します
 そんな事では謀略を立てる事すらかないません。
 ですから私はバイアグラ殿に嫌われる様にしているのです。
 嫌われていれば関係修復を考える必要はありませんし、文句を言われるだけで済みますからね」
と眼鏡を拭きながら答えた。アズマは『チッ』と舌打ちをすると
「俺も卿の事は嫌いだったが、今日の事でもっと嫌いになった。
 卿の事はとことん毛嫌いさせてもらう」
と答えると部屋を出ていった。

SC121年ドーラが暗殺されると、バッカスの策略が功を奏し(?)
旧ドーラ家臣団は対立し壮絶な内ゲバを開始する。
惑星ジパングで挙兵していた旧ドーラ軍家臣のショーンはこの現状を憂い
大連合構想を提唱し、各国に参加を呼びかけていた。
この大連合構想をプロベットは支持し参加を表明する。
プロベットのこの決断にバッカスは
「陛下も真に組む相手を見出されるだけの人間になられましたか」
と大笑いしたと言う。
アズマはバッカスに問うた
「貴様がドーラに色々と策を巡らせていたのは、こうなる事を見越してか?」
するとバッカスは
「最初から陛下と組むべき相手はショーンだと見据えていた。
 しかし、彼の周囲には陛下や我々にとって邪魔な人間が多くいました。
 味方を蹴落とすのは色々と大変だと思ったので、ご退場願ったのです。
 そうすれば敵として問題なく叩き潰せますからね」
と嬉しそうに答え、流石のアズマもドン引きしたと言う。

翌月、ショーンとプロベットによる首脳会談が行われ
両者は歴史的な和解を行い、ここに大連合が設立される。
連合国創設に伴いプロベットが家臣団の現状の身分保障を条件に出した為、
アズマも引き続き将軍に任ぜられる。
そして結成されたプロベット派に属し彼の右腕を務めた。
アズマ曰くショーンは評は
「彼ほどの才能がありながら、それに溺れる事の無い人間は珍しい。
 よく言えば謙虚な人間。悪く言えば怠惰な人間」
「アイアワとの決定的な違いは自らの才を正確に理解し、他人に押し付けない事だ」
そしてプロベットに「(ショーン殿は)余なんかより遥かに好感が持てるだろ?」と問われ
「全く持ってその通りです」と返答し2人で大笑いしたと言う話もある。

連合政府結成後も各国との交渉が続けられたが、プロベット以外に応じる国は見られずに交渉は決裂。
ショーンとプロベットは交渉による統合を断念し、
旧ドーラ領平定の為、に武力による各惑星の接収に乗り出す。
そして、最初の目標となったのが、プロベットの異父兄アルビオン事マカーフィであった。
実は最も話が拗れた相手もマカーフィだった。
盟主ショーンも最も説得に力を入れ、争いの回避に務めていた。
そして、プロベットと共に合流した母アムも説得したが上手くいかず
遂にアムの堪忍袋の緒が切れ、プロベットとマカーフィ双方に
「お互いに手が取りあえぬと言うのなら、この母も分けるがいい
 貴方達の産まれたここから!!」
と、腹を晒してブチ切れたと言う。
これにプロベットが激怒し、マカーフィも応じる形でお互いに罵倒し合い
交渉は決裂したのである。
「まぁ、当然だろうな。嘗ての盟友が仇の息子を選んだのだから。
 感情的にも受け入れられんだろう」
だが、アズマはそんな事よりも、もっと気掛かりな事があった。
マカーフィの隣にいた女性…
それは、マカーフィの妃となった妹のジュリアだった。
「ジュリアは俺を軽蔑する目で見ていた。自分でも思う、俺は最悪の兄だ」
そして、交渉決裂後の戦略会議でプロベットが自らマカーフィ討伐に名乗りを上げた。
「陛下は自らけじめをつける心算だ。ならば、俺も彼女に向き合わねばなるまい」
アズマもプロベットともに出兵することを申し出た

そして、プロベット率いるマカーフィ討伐部隊が出兵。
アズマはプロベット率いる本体の後詰である。
「バイアグラは外されたらしいな」
作戦会議の後、アズマは同じく出兵が決まったマクレイに聞いた。
「あぁ、何でも陛下が反対したらしいぜ。
 戦場で情に流されると早死するとか言ってな。」
全く一丁前の事を言う様になったぜ。と笑いながら話すマクレイにアズマは返す。
「なぁ、マクレイ。お前は『妹と戦え』と言われたら戦うか?」
「如何した急に?まさか、お前も情が湧いたとか言うんじゃないだろうな?」
おいおい勘弁してくれよ。と笑うマクレイだったが
「答えてくれ、俺は真面目に聞いている」
とアズマは真剣な表情だった。これには流石のマクレイも真面目な表情になり答えた。
「俺の前に立ちはだかる奴は全て敵だ。例え親や妹であってもな」
「妹想いと言われるお前らしからぬ言葉だな。」
「アズマ、今の俺達は軍人なんだ。海賊じゃない
 軍人は上官の命令は絶対だ。その辺は王族育ちのお前の方が良く分かっているだろ?
 海賊止める時、それくらいは覚悟してたはずだ。
 じゃあ逆に聞こう、お前は何故海賊を止めた?
 陛下に可能性を見出したからだろ。
 まぁ、全然頼りないから俺らで支えてやろうと思ったんじゃないか。
 言い方を変えよう、アズマ。陛下とショーンかマカーフィとお前の妹どっちが正しいと思う?
 先にも言ったが、俺は陛下に可能性を見出した。だから陛下の行いは正しいと思っている。
 故に、それを邪魔する奴は例え親・肉親であったも敵だ。
 バイアグラじゃないが割り切れなきゃ死ぬぞ。
 どうしても妹のジュリアと戦うのが納得できないなら逃げ出せばいい。
 昔みたいにな。
 大海賊アズマとイケメンの天才海賊マクレイはもう死んだんだ。」
「ブ男の助平海賊の間違いじゃないのか?」
「助平は言い訳しないが、ブ男は撤回希望だ」
「ハハハ、冗談だ。
 解っている。気にするな聞いただけだ。」
マクレイのあり得ないツッコミに笑いながら去るアズマだったが、
マクレイはアズマの心境を察し複雑になり、その背を見送った。

SC122年、マカーフィ討伐部隊が出兵。
マカーフィによって制圧されたザクソンやタイタン等の周辺惑星を奪還し
SC124年には同軍の帝都ナレッソを包囲した。
その後、何度も降伏勧告が行われたが、マカーフィはこれを拒否し
籠城戦へと発展する。
そして、ナレッソ衛星軌道に集結したマカーフィ艦隊に連合軍は攻撃を開始する。
既に旧ドーラ領の多くと旧地球領を平定した連合政府と敗走を重ね
ナレッソ1惑星だけに追い詰められたマカーフィ軍との彼我兵力差は
比べる必要もない程に開いていた。
『それは戦争では無く一方的な蹂躙であった』『猿でも勝てる戦争』『士官学校の問題ならどんな答えでも合格』
と後世、その一方的な推移を評されるほど呆気ない戦争だった。
『歴史的大勝利』『裏切り者のマカーフィ討伐』新聞の記事は踊っていた。
留守をしていたバイアグラの下にもこのニュースは入っていた。
バイアグラは自分が育てたマカーフィと、自分が導いたプロベットが戦う運命になった事に心を痛めていた。
「マカーフィは捕まったぞ」
ナレッソ攻略戦後、最初に彼女の下を訪れたのはマクレイだった。
落ち込んでいるバイアグラにマクレイは問うた。
「良い話と悪い話があるが、どっちから先に聞きたい?」
「…良い話から」
「陛下もアズマもそれはそれは素晴らしい指揮だった。
 敵を圧倒し戦場を支配して、それはそれは…」
話を続けるマクレイにバイアグラはグラスを投げつけた。
「そんな事は、とっくに知ってるわよ。朝からずっとやってるもの
 貴方、そんなくだらない話をしに来たの?私を怒らせたいわけ?」
「悪い… 」
「今度、そんな話したら顔の生皮剥ぐからね」
物凄い剣幕で怒られたマクレイは頬を掻きながら答えた。
「今回の戦い。敵軍マカーフィの余力は殆ど残っていなかった。
 3か月もあれば素人でも制圧できた筈。
 にも拘らず制圧するのに半年掛かっている。何故か解るか?」
「どう言う事?」
「陛下はな。マカーフィを説得してたんだよ」
その言葉にバイアグラは顔を上げた。
「陛下だけじゃない。アズマの野郎も妹を説得し続けた。
 だから時間が掛かったんだ」
バイアグラは最近プロベットとアズマの顔付が変わった事に気付いていた。
アズマは兎も角、プロベットは以前、全く頼りなかった。
最近はバイアグラも畏怖するほど堂々とした態度であった。
出兵前にも言っていた。
「余は、全ての国を蹂躙する。話し合いに応じられぬと言うのならその国に存在価値はない」
だが、言葉と裏腹にプロベットは説得を続けた。
アズマもそうだった。マカーフィの妻となった彼女を説得し続けた。
互いの船が航行不能になり、白兵戦をする中でもアズマはジュリアを説得した。
「ジュリア、お前とは戦いたくない。お願いだ降伏してくれ!!」
だがジュリアは、海賊となったアズマを罵った。
アズマが海賊になったせいで、母とララウィンがブラウンに殺された事を
自らがブラウンに辱めを受けた事を
なのにアズマがブラウンの息子の家臣になった事を、泣きながら罵った。
アズマは言い訳をしなかった。
「そうさ、俺は臆病者の卑怯者さ」
一瞬の隙を突いて、アズマはジュリアの剣を叩き落とした。
敗北したジュリアは唯々泣いて居たと言う。

「陛下も、アズマも人間だったって事だ。
 弱く臆病な人間なんだ。俺達と同じだ」
彼等が先を見据えすぎて人間らしさを失っているのではないか?
そう思っていたバイアグラは、その事実に少し安心した。
「それで、悪い話は?」
「捕まった、マカーフィとジュリアだがな…」
バイアグラの問いにマクレイは言いにくそうに口ごもって答えた。
「このままだと、処刑される事になるぞ」
この返答にバイアグラの肩がビクッと動いた
「どうして…?」
「ショーンと陛下、アズマが説得しているが、本人たちに応じる気がない。
 恩情に応える気がないんだ。やむおえんだろう」
「つまり、説得出来たら良いわけね?」
これを聞いたバイアグラはマカーフィの説得に赴くも、既にマカーフィは廃人と化していた。
絶望したバイアグラは自らもケジメを付けるべく、死刑執行人に名乗りを上げ
そしてマカーフィの死刑は執行された。

マカーフィの死刑執行後、その妻であったアズマの妹ジュリアは収容施設を脱走し、
行方をくらませてた。
アズマに脱走手引きの疑いが掛けられるが、程なく無関係である事が証明される。
ジュリア脱走から数週間後、ジュリアはアズマの周辺を探っていた。
ジュリアはアズマの事を許していなかった。
「隙あらば殺してやろう」そう思い、機会を伺っていたのである。
その日、アズマは雨の中を外出していった。
降りしきる雨が足音を消し、絶好の襲撃日和であった。
アズマの後を追ったジュリアだが、アズマは途中で名は束を買うと訪れたのは、とある寺院であった。
ジュリアはその墓地に見覚えがあった。
「地球の歴代覇王が埋葬されている大法院…?」
そして、ある御墓の前で立ち止まった。
「あれは、母上とララウィン兄様の…!?」
花を供えるとアズマは墓に語り掛けていた。頬を滴る甘露が泣いている様にも見えた。
「すみません母上…
 すまない、ララウィン。ジュリアとは解り合えなかった」
驚いて木陰から眺めているジュリアに墓守の一人の老人が話しかけてきた
「あの元海賊の男はな、地球に帰って来てから月命日には毎月参っておるよ
 そして毎回墓に向かって謝ってるんじゃ… 『すまない。すまない』と」
お参りを終えたアズマとジュリアはすれ違った。
アズマがジュリアに気付いたかは解らない。だが、一切振り返らずに寺院を後にした。
翌日、墓守が御墓を訪れると、昨日は無かった花束がもう一つ供えられていた。

連合政府がセントラル恒星系を制覇すると、アズマも艦隊総司令の一人として
イーズ攻略戦に参加。
プロベット派麾下の艦隊総司令の一人として功績を上げ、
勢力拡大に貢献する。
プロベットからは長女プリアの御守を任され、彼女に軍人としての才能がある事を知ると、
プロベットを説得し彼女を武人として育て上げた
(アズマにとても懐いて居たプリアから「将来アズマと結婚したい」と言われた際は
激しく狼狽し、周囲からは冷やかされ、プロベットからは釘を刺されてたと言う話もある)。
プリアが同僚である軍人と結婚した際は、我が子の様に喜び
自分以上に喜んでいるその様に、主君プロベットも苦笑いしていたと言う。

その後も連合政府最強の武官として活躍していたが、
SC141年に体調を崩し、それでも自らを奮い立たせていたが限界を迎え遂に倒れる。
見舞いに来たプロベットに
「もう少し、頑張れるかと思ったがダメだった。
 俺が死んだら、骸は墓では無く、サラトガに乗せ未開宙域に飛ばして欲しい。
 その新惑星で俺はやりなおす…」
と頼みSC142年の初夏の夜、母と弟の元へと旅立った。享年76歳。
国葬が行われた後、その亡骸は生涯の相棒とも言えるサラトガに乗せられ宇宙への飛び立った。
彼の死が、連合政府に与えた影響は大きく、
「人生は、こんなにも短い。民の成熟を待っている時間は無い」
との結論に至ったプロベットが「全ての役職を辞する」と言い出し、
2年後、その悪い予感は的中し、プロベットとショーンが相次いで亡くなる。
そして連合政府は瞬く間に崩壊したのである。

なお、最近発見された新惑星に船の残骸が発見され、調査の結果。
アズマの旗艦サラトガの一部である事が断定された。
そして、その残骸の周辺にはアズマの棺に詰められた花が咲き誇っていたと言う。






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