フー・マンチュー

フー・マンチュー博士(Dr.Fu Manchu, 傅満洲博士)は、イギリスの作家サックス・ローマーが創造した架空の、世界征服の野望をもつ中国人の悪人。西欧による支配体制の破壊と、東洋人による世界征服を目指して陰謀をめぐらす怪人である。単行本の第1作「ドクター・フー・マンチューの秘密」によると、フー・マンチューは北京の漢方医であったが、義和団の鎮圧にあたった西欧列強軍によって妻子を殺され、白人への復讐と、世界征覇の野望に燃える冷酷な殺人鬼と化したとされる。

概要


長身痩躯を中国服と中国帽に包み、爪とドジョウ髭を長く伸ばし、常に悪魔のような表情をたたえている。隠秘学、化学、医学、物理学などでヨーロッパの3つの大学で学位を取得するなど非常に明晰な頭脳を持つが、性格は狡猾で極めて残忍。中国やインドで暗殺団を組織し、その黒幕として君臨した。

彼の立案する殺人計画は、一見不可解な方法を大規模に展開するという点が特徴的である。銃撃や爆殺を軽蔑し、短剣や武道、毒蛇や毒虫、毒性の菌類などによる暗殺を好む。

シリーズ初期のフー・マンチューは、シ・ファン(Si-Fan)配下の暗殺者であったが、急速に頭角を現して、秘密結社の長に上り詰めた。

フー・マンチュー博士のモデルは、ローマーが新聞記者としてロンドンの中華街ライムハウスに配属された時に聞き知った暗黒街のボス、ミスター・キングなる人物だとされている。但し、命名などは清のラスト・エンペラーにして満州国皇帝にもなった愛新覚羅溥儀に因む。また、何度か映像化もされたが、その際には一回を除いては白人俳優が演じ、唯一の例外は早川雪洲とされる。
最終更新:2013年05月04日 21:52