デュランダル

デュランダル(Durandal)は、フランスの叙事詩『ローランの歌』に登場する英雄・ローランが持つ聖剣の名前。イタリア語読みでドゥリンダナ(Durindana)とも読まれ、デュランダーナとも呼ばれる。不滅の刃の意。

由来には幾つか説があり、ローランの歌では天使からシャルル王に渡すように授けられ、その後シャルル王からローランに授けられた剣として登場し、『狂えるオルランド』では『イーリアス』に登場するトロイアの英雄ヘクトールが使っていた剣とされる。語源は不明だが、アラビア語起源だという説もある。

当時の剣の形態を考えると、ロングソード(馬上では片手、徒歩では両手で使う剣)の一種としてみなされる場合が多い。黄金の柄の中には、聖ピエール(聖ペテロ)の歯、聖バジル(バシリウス)の血、パリ市の守護聖人である聖ドニ(ディオニュシウス)の毛髪、聖母マリアの衣服の一部と多くの聖遺物が納められている。ちなみにローランの歌でシャルルマーニュが使う剣は“ジュワユーズ”(fr) と呼ばれる。

『ローランの歌』の作中では「切れ味の鋭さデュランダルに如くもの無し」とローランが誇るほどの切れ味を見せる。『ローランの歌』では、ロンスヴァルの谷で敵に襲われ瀕死の状態となったローランが、デュランダルが敵の手に渡ることを恐れて岩(もしくは大理石)に叩きつけて折ろうとするが、剣は岩を両断して折れなかったというエピソードが有名。ローランの死後、デュランダルはシャルルマーニュの元に帰り、その後の戦でも使われ続けたという。

『狂えるオルランド』では、セリカン(絹の国、古代中国の呼称)からグラダッソ、タタール人の王マンドリカルドなどの強敵がデュランダルを獲得しようと死闘を繰り広げた。
最終更新:2013年03月25日 22:02