竹駒稲荷

たけこまいなり

種別
別名  
住所 宮城県仙台市
特徴  昔、陸前国仙台に、竹駒稲荷という稲荷を篤く信仰する猟師がいた。貧乏だが正直で、毎日山へ入り、鳥獣を獲って暮らしを立てていた。ある冬の雪の多い日、方々歩き回っても雉一羽しか獲れなかったことがあった。そのとき1匹の狐を見つけたので撃ち取ろうとすると、狐は近づいてきて「私は竹駒稲荷だが、子が沢山あるのに、雪は多く食物は見つからず困ってるのだ。はなはだお気の毒だが、お前の雉子をもらわれまいか」と言った。情け深い猟師は狐に雉をやって家に戻った。2、3日何も獲らずに帰って来るもので、猟師の妻は不機嫌になって弁当も作ってくれない始末。翌日、仕方なく猟師は米を借りて来て、自分で弁当を作り山へ出かけた。この日は2羽の雉を獲ったが、また狐に会って渡してしまった。翌日、妻に頼み込んで弁当を作って貰い山へ行き、今度は3話の雉を仕留めた。しかしまたしても狐が現れ、「あとでどっさり捕れるようにしてやるから」と言って雉を求めた。猟師はどうしても断れず、雉を譲って手ぶらで帰った。暫く経ったある日、年の頃17、8の娘の色白で美しく、背の高い娘が猟師の家に来た。娘は自分は竹駒稲荷だと名乗り、自分を殿様へ奉公させ、その金で暮らして下さいと言う。猟師はその言葉に従って娘を殿様の御殿へ奉公させ、多額の金を手に入れて裕福になり、鳥獣を殺す仕事を辞めたという。稲荷様の女はよく働いたので殿様も喜び、年季が明けて暇を出された時には祝いの宴が開かれた。酔った女は物置で眠っているときについ尻尾を出し、正体を現してしまった。女は自分の箪笥その他の道具は皆猟師にやって下さいと告げて姿を消してしまったという。猟師は娘の奉公による大金の上に家具調度や着物まで得て、更に富み栄えたという。
資料 『日本全国国民童話』石井研堂

タグ:

+ タグ編集
  • タグ:

このサイトはreCAPTCHAによって保護されており、Googleの プライバシーポリシー利用規約 が適用されます。

最終更新:2011年09月05日 17:31