三本狐

さんぼんぎつね

種別
別名  
住所 岡山県備前市
特徴  東備地区一帯を縄張りにした狐の親分で、閑谷の小屋の谷を本拠にして東部を支配していた。古狐で、背中に毛が3本しかなかったのでこの名で呼ばれた。北部を支配する藤四郎と対立し、両親分に属する狐はあちこちで小競り合いを起こして一触即発の状態にあった。あるとき、1匹の年寄り狐の提案によって両者は化け比べで雌雄を決することとなった。まずは藤四郎が先に化けることになり、藤四郎はまず三本狐を山の上で待たせた。幾ら待っていても藤四郎は一向に姿を現さず、三本狐は藤四郎が逃げたものと考えた。三本狐が近くにあった祠に供えてあった油揚げに手を付けると、油揚げは藤四郎に変わった。続いて化ける番が回ってきた三本狐は、殿様の行列に化けて下の道を通ると藤四郎に宣言した。翌日藤四郎が山の上で待っていると、伊部の方から立派な行列がやって来た。藤四郎は様子を眺めていたが、殿様の籠が前を通ったので、近づいていって三本狐の妙技を称賛した。しかしそれは本物の大名行列で、藤四郎は侍に無礼討ちに処されてしまった。こうして三本狐が東備地区一帯の支配者になったという。
資料 『おかやま伝説紀行』立石憲利
最終更新:2011年08月22日 23:32