さんこう狐

さんこうぎつね

種別
別名  
住所 青森県下北郡佐井村
特徴  青森県下北郡佐井村でいう化け狐。よく人を騙したという。 ▽あるとき、法事があって伝次郎という寺の長老が隣村へ行った帰り、月夜の晩におはなさんという顔見知りの若い女に出会った。伝次郎はこのあたりにさんこうが出没することを知っていたので、どうして尻尾が見えるのか、と女に尋ねてみた。女ははじめ否定していたが、やがて自分がさんこうであると認め、何故正体が分かったのかと訊いた。伝次郎は「ほんじょうさんから借りてきた帽子を被っていたので、その力でどんなものでも明白にわかる」と嘘を言った。さんこうはそれを真に受けて、自分の持っている宝物の玉とただの帽子を交換した。玉を得た伝次郎は暗くとも遠方がはっきりと見えるようになったという。一方さんこうは帽子を被って魚屋を騙そうとしたが、その姿は黒い帽子を被った狐そのものだったので、天秤棒で打ち据えられて大怪我を負ってしまった。さんこうが山へ逃げ帰ると他の狐たちが集まってきて、宝物を騙し取られたと大騒ぎになった。狐は伝次郎の祖母に化け、冥途の土産に宝を見せてくれと無理に頼み込んだ。そして伝次郎が玉を出した瞬間、それを奪い取って狐の姿に戻り逃げ去って行ったという。
資料 『伝承文芸』5号
最終更新:2011年08月22日 23:28