マディソン郡の橋

12.マディソン郡の橋(The Bridges of Madison County 1995,アメリカ)

監督は、クリント・イーストウッド(Clint Eastwood)。主演は、監督を兼ねるロバート・キンケイド役のクリント・イーストウッドとフランチェスカ・ジョンソン役のメリル・ストリープ(Meryl・Storeeop)です。世界中でベストセラーになったロバート・ジェームズ・ウォーラーの同名小説の映画化です。アメリカのアイオワ州の片田舎の主婦と中年のカメラマンの4日間の恋を描くものです。そしてこの4日間は二人にとって永遠に心に残るものとなりました。


この映画は、フランチェスカ・ジョンソンの死後、二人の子供兄妹が、母親の遺書を読むところから始まります。そして遺書から母親の思いもよらない秘密を知るのでした。


主婦フランチェスカ・ジョンソンは、道に迷ったカメラマンロバート・キンケイドを目的地へ案内することになりました。


目的地のローズマン・ブリッジです。ロバート・キンケイドはこの屋根つきの橋の写真を撮るため訪ねてきたのです。


カメラマンのキンケイドが持っているカメラはニコンFブラックです。この映画の主人公です。

ニコンFは、1959年に発売されました。待望の日本光学工業(株)製の35ミリフォーカルプレンシャッター付きの一眼レフカメラです。ファインダー焦点板交換可能、ミラーアップ機構付き等が目新しい所ですが、ニコンFは、一眼レフカメラの王座を築いたといっても過言ではないと思います。1959年は、オートフォーカスにはまだ程遠い時代です。ニコンFといえども撮影者が焦点板をみながら、手動で焦点合わせをせねばならないのです。当時焦点板に用意されたスプリットイメージがいい、マイクロプリズムがいい、或いは単にマット面だけがいいという撮影者の使用勝手による論争が起きた事がありました。そのような撮影者のため、種々の焦点板を用意し、場合によって取り換えできるようにしたのです。ミラーアップ機構は、クイックリターンするミラーの動きにより、フイルムの位置に微妙な変動が生ずる事が証明され、それを防ぐため、予めミラーをアップしてシャッターを切る事ができるようにしたものです。またレンズの焦点距離が短くなるに従い、レンズ後玉がミラーに接触する問題が生じるわけで、その対策にもなったわけです。もう一つ忘れてはならないものがあります。ニコンFは視野率100%にできてます。ほとんどのカメラがファインダーでみる視野より、フイルムに写される像は広くなっています。後で不要な画像はトリミングすればよいという考え方です。ところがニコンFはファインダーに見えるままフイルムに写されます。後でトリミングするような事のない写真を撮りなさいと言ってるカメラになります。


ワイドレンズを使って撮った別の橋の写真です。ロバートがフランチェスカの写真を撮っているのがみえます。


最初顔を合わせた時から気の合った二人が、夕食を一緒にするうちに…


深い関係になるのは、自然の流れでした。

社会に適さず、生活の大部分を旅して過ごし、内面の孤独が満たされなかったロバートだった。一方フランチェスカは、夫と二人の子供に恵まれながら、少女時代に夢みていた生き方と違うと感じていた所だったのです。思いもかけない出会いから、一生に一度の恋を感じ、誰にも止められない感情を持ったのでした。


同時に苦悩も始まりました。フランチェスカは、家族の事即ち自分の責任を放棄できないのでした。


数日後、フランチェスカを迎えにきたロバートは、雨に濡れながらフランチェスカが出てくるのを待つのでした。しかし、フランチェスカはロバートへの深い思慕を抱きながら、どうしても出てゆく事ができませんでした。そして二人は、二度と会う事はありませんでした。


当初、母親の思わぬ遺言に驚いた二人でしたが、母の秘めた恋に打たれ、母の遺言どおり、ローズマン・ブリッジの袂から遺灰を撒いたのでした。


(未完成)

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最終更新:2015年07月03日 06:41