聖槍院 九鈴幕間その7

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dangerousss3

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■九鈴ちゃんの告白■

頭まですっぽりと布団にくるまって、九鈴はじたばたもがいていました。
特急列車のことを思い出しているのです。
やってしまいました。TONGUが全国放送されちゃいました。
しかも、自分が同性愛者だと誤解されたかもしれません。

ちがう、ちがうの。あれはゾルテリアに勝つために仕方なくやったことなの。
温泉旅館のこともちがうの。そうじゃないの。
あれは四葉ちゃんの心の闇を掃除するためにしたことで、決して楽しんだわけじゃ……まぁちょっと楽しかったけど。

みていたかしら。雨弓さんはあの試合を。
たぶん見ていたんだろうな。
恥ずかしい恥ずかしい。
そして、雨弓さんに誤解されるのだけは――絶対に嫌だ。

雨弓さんは、九鈴の親友だった雨竜院雨雫(しずく)のいとこです。
雨弓さんと雨雫は(たぶん結婚するつもりで)交際していました。
二人の仲を取り持ったのは、他ならぬ九鈴です。
いまはもう、雨雫はこの世にはいませんが……。

これはまずいぞ。絶対に誤解されてる……!
なにしろ、雨雫にはちょっぴりレズっ気があったのです。
ちがう、ちがうの。絶対ちがうの。私と雨雫はそーゆー関係じゃないの。
はなしをしなきゃ。雨弓さんと直接はなして誤解を解かなくちゃ。

――違う。

私が雨弓さんに言わなければならないのは、そんなことではない。
これは雨雫への裏切りになるだろうか。
――雨雫は、あの世で自分の幸福を願ってくれていると、九鈴は思う。
それは身勝手な願望に過ぎないかもしれない。
でも、この秘密を胸の奥に抱えたままでは、自分はこれ以上先には進めないと九鈴は予感していました。

ドキドキしてる。
こんなに胸が苦しいのはいつ以来だろう。(※)
雨弓さんは、ありのままの私を受け入れてくれるだろうか。
それとも酷く軽蔑されるのだろうか。
雨弓さんのもとへと向かう九鈴の心は、まるで初恋に悩む乙女のようでした。
ちなみに26歳です。

カベクイグソクムシ以来。詳細はダンゲロスWar&Wallを参照のこと。








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