裏準決勝戦【特急列車】SSその1

最終更新:

dangerousss3

- view
管理者のみ編集可

裏準決勝戦【特急列車】SSその1

■Side:内亜柄影法■

紀伊半島を一巡して琵琶湖畔を抜けて若狭湾へ。
日本海沿いを鳥取まで進み南下、瀬戸大橋ルートで四国へと渡る。
そして、徳島の阿南市から常軌を逸した巨大浮体橋で再び和歌山に。
西日本大環状線は、関西滅亡時にもほぼ無傷で生き残った。
現在では関西の都市機能は、この大環状線沿いに拡散している。
結果として中心部の荒廃を招いたらしいがそんなことは俺の知ったことじゃねえ。

大環状線を貸し切ってノンストップで走らせた特急列車が今回の戦場だ。
列車を止めて乗り込めばいいと思うだろ?
だが、ノンストップのまま戦場入りするってのが主催者の趣向だ。
主催者は馬鹿なんじゃないかと俺も思う。
まあ、宇宙の時と同じく光素って奴のクソ魔人能力で転送して貰えばいい話だ。
先頭車両で頼むぜ。
エルフ女もトング女もそんなタイプには見えないが、機関車に細工されたら嫌だからな。
かく言う俺もガチ文系だから細工なんてできねーけどよ。

転送完了。おおー、いい眺めだ。
自動運転だから広い窓から前がよく見えるぜ。
おっ、あの観覧車は白浜のパンダちゃん遊園地か?
ここのイルカショーは悪くない。ガキだったら楽しめると思うぜ。

……おいちょっと待て!?線路の上に何かいるぞ!?

■Side:聖槍院九鈴■

一方、特急列車の最後尾。
車内に浮かぶ直径約2mの白く丸い『穴』より、二丁のトングを携えた女性が現れた。
能力『タフグリップ』によって、トングで挟んだ物体を永遠に掴み続ける魔人。
その名は聖槍院九鈴。

彼女が通り抜けてきた『穴』は魔人アンバサダーの能力によるワームホールである。
転送失敗によって命を失う可能性すらある危険な移動手段だ。
しかし、雪山でも、底なし沼でも、彼女は臆さずこの『ポータル・ジツ』を利用した。
みずからの生死について、あまり興味がないかのように見える態度であった。

実のところ、この態度は『ポータル・ジツ』を利用するにあたって正解と言える。
この術は、人体を精神的エネルギー状態に変換して遠方に転送する術である。
恐れ、迷い、戸惑い――心の揺らぎは転送に干渉し失敗を引き起こす。
心弱き者に用はない。
アンバサダーたちの能力もまた、主催者が用意した試練のひとつなのだ。

転送が無事完了したのを見届けたアンバサダーは、天井のハッチから車外に出る。
時速160kmの強風に包まれるが、彼は直立姿勢で平然と周囲を見回す。
「イヤーッ!」
そして掛け声とともにアンバサダーは車上より跳躍し、宙返りしながら高架下に消えた。

■Side:リンダ・ゾルテリア■

線路の上に置かれた、びっくりドンキーに似た名前の店で買った踏み台。
その上に乗っているのは、尖った耳とたわわなバストを持った女騎士。

「我が名は元女騎士ゾルテリア!!いざっ勝負だ特急列車!!」

猛スピードで迫りくる列車に対し、凛として名乗りを上げる。
控えめに言って自殺行為!

「とうりゃー!!」

ジャンプして列車のフロントガラスにレイピアで突きを見舞う!
ガラス全面にヒビが入るが丈夫で割れない!
轢かれて吹っ飛ぶびっくりドンキーに似た名前の店で買った踏み台!
Pカップの胸がガラスに激突し、ガラスが割れて車内に転がり込むゾルテリア!
激突のダメージは『ZTM(絶対にチンコなんかに負けない)』によって吸収された!

「あっふうぅぅぅん!!凄いのぉぉぉ!!大きくて逞しいのぉぉぉ!!」

卑猥なよがり声をあげ、身体をよじりながら悶えるゾルテリア!
激突の衝撃が変換された性的快感は、ゾルテリアの想像を遥かに超えたものだった!

異世界の住人であるゾルテリアが知らなかったのは無理もない。
鉄道の設計・製造・運用に関わる者の多くが、列車に劣情を催す変態であることを。
いわば、巨大なチンコと正面衝突したようなものである。
むしろ一撃で絶頂を迎えなかったのは幸運というべきだろう。

「ハアッ…ハアッ…今のはあぶなかったわ…」

■Side:内亜柄影法■

馬鹿だな。このエルフ、主催者の馬鹿どもを遥かに超える馬鹿だ。
今ので死んでくれたら良かったんだが、仕方ねぇ戦うとするか。
床にうずくまるゾルテリアに声を掛ける。

「大丈夫ですか?騎士道精神にのっとり正々堂々戦いましょう!」

俺の柄じゃねえが、なかなか『気持ちのいい』言葉だろ?
能力発動。生成されたのは七支刀じみた形状の『気持ちのいい』ジョークグッズ。
柄のスイッチを入れると7本の触手がウィンウィンとうねる。
……どっちかと言えば『気持ちわるい』ぞコレ。
まあ俺は『騎士道精神』なんざ反吐が出るからこんなもんだろう。

「待って!!その武器やばい!!」

ゾルテリアは慌てて飛びのいてレイピアを構えた。
どうやらバイブ剣はかなり有効そうだな。

「そらよッ!だらしなくイッちまいな!」

「くっ…バイブなんかに負けない!」

細身の刀身と、異形のジョークグッズがぶつかり合う。
しかし……うおお!?こいつサバンナの時よりかなり強くなってるぞ?
あれか?ホームセンターで勝ってレベルアップしたのか?
どうしてコントで剣術の腕が上がるんだよ!

「フフフ……貴男、その武器で戦うのに慣れてないわね?」

「バイブで戦うのなんて生まれて初めてだよッ!」

俺は『ツッコミ』の言葉で『突っ込む』武器――ディルドを生成した。
ゾルテリアに投げつけるが、レイピアのナックルガードで易々と弾かれる。

……こいつはちょっとヤバい。
ゾルテリアの剣術はフェンシングに近いスタイルだ。
座席間の狭い通路で、前後に動きながら戦うのに適してやがる。
おまけに、俺の背後にはゾルテリアが大穴を開けたフロントガラス。
ゾルテリア以外の生物が窓から落ちて特急に轢かれれば確実に即死。

プシューッ。その時、車両後部のドアが開いた。
待ってました!トング女、聖槍院の御到着だ。
重そうなキャリーバッグをゴロゴロと引きずっている。
中には妙なトングがいっぱい入ってるんだろう。
武器を全部持ち歩かなきゃならないのは大変だな。同情するぜ。

■Side:リンダ・ゾルテリア■

特急列車は紀伊半島を南下し、江須崎付近を通過中。
聖槍院九鈴はトングで通路の床をカツン、カツンと叩きながらゆっくり近づいてくる。
音の反響で罠の有無を確かめながら進んでいるのだろう。

内亜柄影法はゾルテリアよりも前方に位置どっていた。
つまり、このままいけば『はさみうち』になってしまう。

「前から後ろから二人がかりで私に酷いことする気だったのねっ!」

「狙いはその通りだが、卑猥な表現すんなッ!」

影法は言葉『尻』を捉えた『ツッコミ』を入れエネマグラを生成。
バイブとエネマの二刀流!

「ひいいっ!どう見ても前から後ろから酷いことする気じゃないっ!」

挟撃を回避しようと座席の上に逃げるゾルテリアだが、一瞬遅かった。
トングで足をつかまれ投げられた。
「ガシッ!ボカッ!」アタシは平気だった。スイーツ(笑)

攻撃が性的かどうかは、ゾルテリアの認識に加えて攻撃者の認識も重要である。
聖槍院九鈴の戦いは、聖槍院九鈴の掃除は、自身の罪を雪ぐための神聖な行為である。
例えばお掃除フェラのような、性的興奮を孕んだ掃除ではないのだ。

ドゴーン!ドゴーン!
ゾルテリアが振り回され、車内の椅子や棚や天井照明がどんどん破壊されてゆく!
そして九鈴は、およそ胸囲1.5mにも及ぶ巨大な脂肪塊を、影法へと振り下ろした!

「うおッ!?ちょっと待て!」

影法は『制止する』言葉でサスマタを生成してゾルテリアを受け流す。
ドゴーン!ドゴーン!
重機じみた速度で迫る即席のゾルテリア・ハンマーを、影法は辛うじて回避し続ける。

(はぁー…まさか自分自身が鈍器になるとは驚いたわねえ…)

レイピアで反撃しても届かないし、ダメージはほとんど受けないので、
ゾルテリアは為すがままに振り回されることにした。
やることがなくて暇なので、しょうもないことを考えていた。

(はっ、もしやこれが『びっくりドンキー』!!)

■Side:内亜柄影法■

「ドンドンドン、ドンキー♪びっくりドンキーに似た名前の店ー♪」

ゾルテリアが酷い歌を歌いだしやがった。歌詞も酷いが音程も酷い。
それ以上に歌う鈍器に襲われてるこの状況が酷い!
サスマタで捌きながら、座席の上を飛び逃げるのも限界だ。

「おいッ!提案がある!聞いてくれ!」

聖槍院の奴もゾルテリアにダメージを与えられない状況だ。
交渉の余地はあるはずだ。

「今から俺が列車に穴を開ける!そのブタを外に投げ飛ばせッ!」

「いいかんがえね」

お、聖槍院が同意してくれたぞラッキー!

「そんな酷いっ!反対!HANTAI×HANTAI!ハンタイ・ルージュっ!」

票が減るからファントム発言すんな!ん……?票ってなんだ?

「オッケー。賛成2、反対1で結審だ。さっそく判決いくぜ。主文は後回しだ」

この『主文後回し』ってのは、ほとんど死刑と同義語の『重大な』言葉だ。
能力発動。重くて大きな断頭斧が生成される。

「判決ッ!おっぱいはデカい方がいいが限度があるんだよッ!死刑ッ!」

全身を使って巨大断頭斧を一回転させ車両を輪切りにする!
バツン!火花が散って車内照明が消える!
やべえ、切っちゃまずいとこ切っちまったか?
ギャギャギャギャギャー!急ブレーキ!
俺たち3人は前方に吹っ飛び、フロントガラスに空いた大穴から放り出された!

線路の上に手酷く叩きつけられる。
……どうやら、全員まだ戦闘範囲内にいるみたいだ。
ゾルテリアは線路上で大の字に固定されている。
すげえな、もつれた一瞬で懐のトングを繰り出し固定する聖槍院の早業だ。
転落の衝撃でゾルテリアのアーマーは壊れ、タイツも破れ全裸に近い状態になっている。
これもすげえな、物理法則を超越したゾルテリアのエロハプニングだ。
レイピアもどっかに吹っ飛んでるようだ。
これなら聖槍院さえ倒せば俺の勝利は確定だろう。

「あんた……いい女だな。結婚してくれ!」

俺は聖槍院にプロポーズした。

「俺の仕事は社会のゴミ、犯罪者の掃除だ。俺たち、気が合うと思うんだ」

「いきなりなにを……」

唐突な求婚に聖槍院は戸惑い、警戒し、後ずさりした。
そりゃそうだろう。
いきなり口説いて『落とす』ようなことを言われても話が『見えない』よなぁ。
でもよ、できれば俺の言葉があんたの『心に届いて欲しい』って思ってるんだぜ?

能力発動。聖槍院の真上に『見えない』刃が生成される。
目に見えぬ刃は、聖槍院の『心臓へ』一直線に『落下』する。
じゃあな。あんた割と俺の好みだったぜ。……ルックスだけならな。

■Side:聖槍院九鈴■

広大な太平洋に突きだした、本州最南端・潮岬(しおのみさき)の白い灯台が遠方に見える。
影法の生成した無色無音の刃が降ってくるが、その姿は九鈴には見えない。
不可知の刃が突き刺さり、九鈴の肩から鮮血が噴き出す!
しかし! その刃は心臓には届かなかった!
肩に隠し持っていた暗器トングが、刃の軌道を僅かに逸らし致命傷を免れたのだ!

世界のすべてに果てなき謝罪を繰り返す、聖槍院九鈴の壊れた心に言葉は届かない。
鮮血に染まりゆく道着を意に介さず、トングを振るう。
「!よかるまたてけ負」
必殺の刃を凌がれ窮地に陥った影法は、生成した『逆転の』ナイフで反撃する。
トングがナイフを捉える。白刃取り!
影法の視界の天地が逆転し、地面に叩きつけられた。

いま一方のトングが手首を挟み、影法は再び宙を舞う。
「降参だッ!」
二発目の投げ技の軌道上で影法はサレンダーした。
タフグリップが解除され、稀代の悪徳検事は小さな放物線を描いて地に落ちた。

残る敵はほぼ全裸で(はりつけ)状態の女騎士ゾルテリアたた一人。
だが、ここからが難事だ。
「くっ殺せ……!!」
「そうしたいです……」
一応、名トング『カラス』による必殺の突きを何発か打ち込んでみる。
「んふんっ! そんなんじゃちっとも感じないわよっ!」
やはりノーダメージ。無理っぽい。

「頑張れ九鈴ちゃーん! レズプレイが有効だぞーッ!」
脱落した影法が愉しげにアドバイスする。
かぶりつきの特等席! もしや迅速なサレンダーはこれが狙いか。

(アレしかないか……。だけど……アレは……)
九鈴にはゾルテリア戦に備えた秘策があった。
でも、できれば使いたくなかった。
己の命にすら無頓着な狂人にも、捨てきれない羞恥心があることは御理解いただきたい。
流石の九鈴も、いかにして自らを淫しているのかを公開するのはすごく恥ずかしかった。

『心を掃除せよ』

亡き父の教えを思い起こす。
為すべきことのみに専心し、その妨げとなる感情は捨て去るのだ。
――九鈴は意を決して、キャリーバッグに歩み寄った。

(わたしやります! 父さん、母さん、九郎。天国から……見ないでください!)

そして九鈴は、キャリーバッグの最も奥からアレを取り出した。
女性に安心感を与える乳白色の柔らかな曲線フォルム。
挟んでよし、挿れてよしの優れた機能性。
聖槍院九鈴、夜の愛用アイテム――その名もTONGU。

■Side:高島平四葉■

「 茶 番 」

参加選手にあてがわれたホテルの一室で中継を見ていた四葉は、そう言い捨てた。
あのTONGUが出た以上、勝負は決まった。これ以上の継続は無意味だ。
だが、残虐場面や猥褻場面をフィルタリングするNiceBoat認証画面を
わざわざ参加選手権限で解除していることからも、興味を持ってることは明らかだ。

四葉は、あの温泉旅館で自分の身体の上を這ったTONGUの感触を思い出していた。
下腹部から沸き起こった甘い戦慄が全身を包みこみ、四葉は身震いした。

(すごい……あんなに激しく……)
TONGUによって乱されるゾルテリアの痴態を、四葉は食い入るように見つめていた。
いつしか、四葉の指は無意識のうちに下着の中に滑り込

(省略されました。全てを読むには投票コメントにワッフルワッフルと書いてください)








目安箱バナー