第一回戦【宇宙ステーション】SSその2

最終更新:

dangerousss3

- view
管理者のみ編集可

第一回戦【宇宙ステーション】SSその2

「宇宙、キター!ってか…」

トーナメントの一回戦で惜しくも紅蓮寺工藤に敗北した俺は、
せっかくだし温泉でも入ってから(参加者特典でタダらしい。太っ腹なこった)帰ろうかと思ってたのだが、
なんか敗者復活みたいなやつやるらしいのでホイホイついてきたのがこの結果だ。

「っとォ……これが無重力ってやつか……空気はあるみてーだな」

重力がないってのはなんとも落ち着かねェ。
まー条件は相手も同じか。贅沢は言うまい。

対戦相手は弓島由一。いけすかねぇ糞ガキだ。
一回戦のビデオを見せてもらった限りじゃあ、あいつの「銃」は危険極まりない。
正直ビデオじゃ何やってんのかわからなかったが、着弾した物体を移動させる能力か?
とにかくこんな身動きがうまく取れないような所じゃ……

「オッサン、何遊んでんだよー?」

おいでなすった。
まったく、落ち着きのないやつだ。これだからガキは嫌いなんだ。

「というわけで早速、宇宙旅行にご招待だぜっ!」

弓島が銃を構える。
冗談じゃねえ。俺ァ宇宙遊泳をする趣味はねぇ。

「バァカ。俺達はもう宇宙にいるだろうが」

『揚げ足を取る』ような言葉。
体を捻って銃弾を回避しつつ鎖鎌を生成し、弓島の足を絡めとる。

……うむ、一回戦で鎌瀬の武器を見ておいたおかげで生成もスムーズだ。

銃弾が上着にかすったようだが、この程度なら……

「いってて……でも、『ガンフォール・ガンライズ』。とりあえずその上着、もらったよ」

「う、うおッ!?」

スーツの上着が外側にひっぱられるような感覚。
これがこいつの能力か、畜生厄介だなッ!
上着を脱ぎ捨て(高かったんだぞアレ!)、天井を蹴って加速する。

とにかくこれ以上アレを食らうのはまずそうだ。
とにかく動くに限る。

「逃さねえ……よっと!」

弓島が加速してまっすぐこちらに接近する。
こいつ、何しやがった!?

「驚いた?驚いたろオッサン!」

「俺は!まだ20代だッ!検事の中では若いほうだ!」

やや苦しい『自己弁護』。盾を生成し射線を塞ぐ。
そのまま盾を蹴って床まで避難する。

「……あんた、武器以外も作れるのかよ」

「盾も武器の一種だぜ、オベンキョーになったな糞ガキ!バカ!アホ!チンチクリン!」

『短い』ナイフを投擲して牽制!とりあえず手数で勝負!

「ガキはどっちだ……よッ」

ナイフを正確に撃ちぬく弓島。ホンット可愛くねえガキだな!

(このままじゃジリ貧だな……こう、何か決め手がねえもんか)

ナントカ壁の影に隠れてやり過ごそうとするが、弓島が追いすがる。
こいっつ……!いくらなんでも早すぎンだろ!

「へへへ!これでチェックメイトかなっ!」

「そうは問屋がおろさねェっつーの!俺は!ここで名前を売って!有名になって楽して暮らすんだよ!」

目の前にいる世間知らずの糞ガキに俺の『ビッグな』夢の刃を叩きこむ!
……まあ、『虚しくて』中身スッカスカで殺傷能力があるような武器じゃねえけどな!

部屋の向こう側まですっ飛んでいく弓島を眺めつつ俺は涙を拭う。
あれおかしいな、俺まだ負けてねえのに悲しくなってきたぞ。

「この野郎、やりやがった……なッ!」

吹っ飛ばされながら空中で体勢を整えて銃をこちらに向ける弓島。
今ならあいつの機動が見える。
ああ、そうか……ガスガンのガス使ってやがったのか!

「これで終わりだ!」

凄まじい轟音とともに連射される弾丸!
さすがにこいつは避けらんねぇ。
銃弾を受けながら、俺も最後の一撃に賭ける!

「必ぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃっ殺ゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥ!
 ハイパーゴールドラグジュアリー フルオートマチック
 グレイトエクストリームバーニングエターナルフォース
 真ファイナルヴァーチャルロマンシングときめきドラゴンッ、ブレイドォォォォォォォォ!」

……俺のとっておきの、『長い』剣で、宇宙ステーションの外壁ごと、弓島を貫いた。

「ワリーな、ちょっとあっさりしちまったが……おめー相手に長期戦は分が悪いんでな」

一回戦の余韻が残っちまってるのか。
文字数とか展開とか気になっちまうが……ま、そんなことはどうでもいい。重要なことじゃない。








目安箱バナー