山田プロローグ

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dangerousss3

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プロローグ

とくべつふろく
『簡単なキャラ説明おさらい的まとめ』

【山田】
本名:翅津里(はねつり)淀輝(でんき)
  • 快楽殺人者
  • 元自衛隊隊員、今は賞金稼ぎ
  • 従姉妹の澄診(スミ)と肉体関係を持った事がある
  • そして澄診(スミ)に交際を申し込んだりもしたが拒否られる
  • 今は遠い親戚である穢璃(エリ)に惚れてる
  • 対魔人限定の透視能力を持つ

【兎賀笈(とがおい)澄診(スミ)】
  • 山田の従姉妹
  • 趣味は殺人観賞
  • 元自衛隊隊員で今は興信所の所長
  • ハイテンションで少女っぽい見た目だけど28歳
  • ハッキングとかそこそこできる
  • バイセクシャルで穢璃(エリ)に惚れてる
  • 眼鏡越しに見た魔人の能力を見破る能力を持つ

【兎賀笈(とがおい)穢璃(エリ)】
  • 山田と澄診の遠縁の親戚
  • 元々は両親の定食屋で働いていた
  • 家族を裸繰埜一族のある人間に殺され復讐を誓う
  • 四つ目興信所に来たのは一年ほど前
  • 一流のハッカー
  • 魔人能力によって殺害された死体に触れる事により
加害者の情報を得る能力を持つが実は…?



【復讐者の誓い その1】

2月のある寒い日、関東のとある小さな街の
ごくありふれた何の変哲もないうらぶれた小さなビル

そのビルの壁面や窓には

「光明合法興信所」
「身辺調査、人探し等引き受けます」
「法人のお客さまも、個人のお客さまもお気軽にご相談下さい」
「四ツ目興信所」

といった言葉が蛍光色のゴシップ体太字で書かれ
微妙な胡散臭さを放っている

そう、この建物こそが兎賀笈澄診が経営し
山田と兎賀笈穢璃が働く四ツ目興信所なのだ

そしてそのビル内の完全防音の会議室で三人は
賞金首を狩るための作戦会議を行っていた

「それじゃお仕事の前にもっかい今回の標的について説明するね!イエーイ!」
「よ、待ってましたー」

ホワイトボードの前に立つ澄診がホワイト意気揚々と宣言をし
山田がそれに対して気の抜けた声で適当な受け答えを行い
穢璃はとりあえずそれに合わせるだけの小さな拍手を贈る


「ターゲット情報そのいち!名前は 小々田 分々子(おこた ふぶこ)!!」

澄診はホワイトボードにターゲットの氏名を書き込み
ホワイトボードをバンバンと叩き、二人に注目するよう促す

「ハイハイ、知ってる知ってる……しかしなんか変わった名前だね」
「あんまり私達が言える事じゃないと思いますけどね」


「ターゲット情報そのに!年齢は16歳!」
澄診はホワイトボードの先程の名前を書いた直ぐ右に
『16才』と書き足し丸で囲う

「なあ、もう仕事始めようって時なんだからさ
そういう細かい情報はもっといっぺんにまとめて話してくれない?」

「えー?」

山田の言葉に対して澄診は嫌そうな顔をしてから軽く咳払いをする

「そんじゃあガンガン行こっか、えっとBC学園の2年生の現役JKねー
魔人として覚醒して特殊能力を使い、自分を虐めていたイジメっ子達に下剋上してぶっ殺したみたいね
それだけならまあ学園自治法やらなんやらで何ともなかったんだろうけど
その後その場に居なかったイジメっ子の家に乗り込み家族を皆殺しにしたからさあ大変!
しかもその家族が結構なお金持ちだったり更にその後もコンビニ強盗等の罪を重ね
こうして凶悪魔人犯罪者指数6の賞金首となってしまいましたとさ

その特殊能力は両手の手のひらを3秒以上合わせた後に両手を大きく広げ大声を叫ぶと
自分を中心に半径5m程の爆発を発生させるというもの!」


「殺傷能力のある範囲型魔人能力か…
せめてその魔人能力を使わずに殺してたら裁判くらいかけて貰えたかもね」

山田が鼻で笑いながらそう言うと
穢璃がそれに対して冷たい一言を口にする

「境遇には同情するけど、事件については全く擁護できないわね」

「…今回も穢璃さんが能力の調査を?」

「ええ」

兎賀笈穢璃の能力は魔人能力によって殺された人物に触れる事により
殺害した魔人の能力、名前、殺害時の思考と感情を知ることが出来る能力

穢璃は自分勝手な理由により罪なき他者を殺害する凶悪魔人犯罪者
つまり両親を殺害した犯人の同類の者達を酷く嫌っており
能力により思考と感情を読み取った結果、今回のターゲットである
分々子(ふぶこ)もそれらの同類だと判断したのだ


「こんなもんで良っかな?まあこの程度の能力なら
正直なとこ対策は相手が手を合わせたら近づかないよう気を付ける
ってくらいで作戦とかは考えなくても良いかもねー」

「能力は手を3秒合わせないと使えないんですね?こう、ぴったりと」

山田は穢璃の方を見てそう言いながら自分の手の平を合わせて見せる

「そうね、3秒待たずに離してしまったり、離して直ぐに能力を発動しなかった場合は
また最初から3秒手を合わせないと能力は使えない」

「ふんふんありがとう、まあ能力だけで考えれば楽勝だね
背後関係とかもないただの女子高生なんでしょ?」

「うん、そうそう、まあ一応油断はしないようにね
でもって対象の潜伏場所は市内の廃ビルの地下だと思われるんだけど
まあこれは穢璃(エリ)ちゃんが予め調べてくれたし、淀輝ちゃんも今日一緒に
下見してきたから知ってるだろうし、その時に魔人が潜んでるのを能力で確認したから
まあ問題ないよねー、実は浮浪者魔人が住み着いてたとかいう可能性も無くはないけど」

澄診はヒヒヒと小さく笑い声を上げる

「しかしただの女子高生がよくこんなビルを見つけたね」

「ターゲットが虐めを受けてたって話はさっき出ましたよね、その虐めグループが
このビルに屯してて、ターゲットを呼び出す事も何度かあった様ですね…
そして今ではそこが虐められていたターゲットの住処になっている。
なんだか不思議な因果を感じますね……」

「因果応報……じゃなくて塞翁が馬…?どっちも違うか
まあとりあえずこんなもんでそろそろ出発しますか」

山田はそう言うとゆっくりと腰を上げ伸びをした後
モジュラーベストを装着し上着を着込んだ

「あの、ちょっと待って下さい!」

穢璃の突然の大声に山田と澄診は
動きを止めて穢璃の方を向く

「お仕事に行く前にちょっと、お願いしたい事があるんです。
今回の仕事についてなんですけど、ターゲットの処刑を
その…私にも見せてくれませんか?」

「え?」
「お?」

穢璃の言葉に山田と澄診は一瞬固まる

「ええ……マジで言ってるんですか!?」

「…本気です。それから実は今日の仕事が終わったら二人に
話したい事が幾つかあるんです…例えば、澄診さんにはとっくに
バレてるだろうけど実は私の能力について…二人には全部を教えてないって事とか」

「え、そうなの?澄診ちゃん?」
「んーまあ、いつかその事について尋ねよっかなーとは思ってたんだけど
自分から話さないって事はあんまり触れちゃいけないんかなーって思っててねー」

「まあ…その事についてとか、とにかく色々と話したい事があるんです。
つまり初めてここに私が来た時に二人に話した復讐と関係があることなんですけど
それを話す前にどうしても一度山田さんの処刑を見ておきたいんですが、駄目ですか?」

「え、えーと…穢璃さんはその…俺が処刑するときに……えっと…
その…どういった事をしてるかってのは…まあ、知ってますよね……
その……流石にそれ見られるのは…恥ずかしいっていうか…」

「えー?いいじゃーん、減るもんじゃないしいつも私も一緒に見てるんだからさあ」

「澄診ちゃんに見られるのと穢璃さんに見られるんじゃ色々と違うの!」

「…分かりました……では先に”そっちのほう”だけを済ませてから
私を呼んでいただいて処刑の部分だけ一緒に見る…というのはどうでしょう……?」

「う、うーん…処刑だけ…ねえ、処刑も結構こうエグい感じになると思うですけど良いんですか?」

「ええ、だからこそ私には見る必要があると思うんです…」

そう良いながら穢璃は顔を上げ
山田の顔を真剣な眼差しでじっと見つめる


山田は思考する

自分達は賞金稼ぎとしては割と正義感のある方だと思っていた

凶悪魔人犯罪者指数5以上の賞金首として扱われた者に対しては
何をしても法律的に問題無い、それは例え冤罪だった場合でも同じである。

(本来、凶悪魔人犯罪者指数5以上の数値は警察庁の調査により
その物が1人以上の人間を不当に殺害した凶悪犯であり
尚且つ危険な能力者である事が裏付けられた場合にのみつけられるのだが
どうしてもここ数年の治安の悪化と人出不足により時折
冤罪の者等に凶悪魔人犯罪者指数5以上が付けられる場合があるのだ。
無論、逮捕もしくは死亡後にその冤罪である事が判明した場合は
その首にかかった報奨金は基本的に無かった事になる)

しかし、いくら自分が殺人行為に歓びを感じるからといって
凶悪犯罪者と間違えて罪のない人間を殺してしまっては寝覚めが悪い。
だから基本的にターゲットを狙う際はまず本当にその人物が
凶悪犯罪者なのかある程度裏を取り、容疑が疑わしい者の場合は
手を出さずに放置していた。


しかし穢璃の正義感はそんな自分達の、自己満足の為の正義感とは別物であった。

彼女はターゲットの容疑が疑わしい場合、徹底的に調査を行い
ターゲットが冤罪ならば冤罪である事を証明できるだけの証拠を見つけ
それを提出する事により賞金の取り消しを行い。
その後再び事件を徹底的に調査して真犯人を見つけ出し
凶悪魔人犯罪者指数5以上の賞金首になるように持ちかけ
そして自分に殺害させてきた。

また、穢璃が来るまでは自分達は魔人ヤクザ等の何らかの
強力な勢力との関係がある賞金首は報復等を避けるために
あまり狙わないようにしてきた

しかし穢璃は目に付いた悪を徹底的に追い詰め続けた。

時には様々な交渉や情報操作によって賞金首と背後にある勢力の関係を
断ち切ってから自分に殺害させ。

またある時にはその背後にある勢力全ての関わった凶悪犯罪を突きとめ
その勢力その物を賞金首に仕立て上げ根絶やしにした。

彼女のその凶悪犯罪に対する徹底した憎悪と執念は恐らく、家族を殺害した
犯人への復讐を自分の中で納得できる理由と信念を持ってやり遂げたい
という気持ちの現われなのだろう。

そして恐らく凶悪犯罪者を処刑する所をその目で見るというのも
信念をより強固にする為に必要な過程だと彼女は考えているに違いない…


山田は穢璃(エリ)の眼をじっと見つめ諦めたようにこう言った

「分かりました…そのかわりマジでキツイと思うんで覚悟して下さいね」

「ええ…多分大丈夫だと思います……」

「お?決まった?それじゃあさっさと出発しよっか!
今日もいいお仕事日和になりそうだね!」


【復讐者の誓い その2】に続く








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