聖槍院 九鈴幕間その5

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dangerousss3

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【残念なお知らせ】
「猥褻がいっさいないトング伝説温泉・後編」は聖槍院九鈴の中の人先生が急病のため休載です。
掲載時期は先生の体調次第ですが未定です。
かわりに、サバンナ世代の俊英・ほまりん先生の作品をおたのしみください。

サバンナダンゲロス・開戦前夜

ザ・キングオブトワイライト第一回戦「サバンナ」――通称エルフェンルージュ。
そのおぞましき戦い、とりわけ偽名探偵こまねの悲惨な末路を目にした者の多くは、
精神を病み、肉体を破壊され、命を失った……。

しかし!
「サバンナ」の惨状を見てなお魔人として戦う決意をした者がいた!
番町グループ新メンバー! イリエワニ! 大着(おおき)ぐるみ! Na香川賢(なかがわ けん)
生徒会新メンバー! ムカイラ! 港河廻衣香(みなとがわ めいか)流銀牙(ながれ ぎんが)
人は彼ら6人のことをこう呼ぶ――サバンナ世代と!

番長アリスメティック=ランタイムと、生徒会長サバンナ・ライオン。
いずれ劣らぬ武闘派である二人のリーダー。
極度の緊張状態はサバンナ世代の加入によって破綻し、交戦状態となる!



前哨戦。
学園の部室棟エリアで番長グループと生徒会の哨戒チーム同士が遭遇!
大着&一木美香(いちき みか)煩悩仏師(ぼんのうぶっし)「いむっち」に、生徒会新人チーム、ムカイラ&港河&流が挑む!

「“オバサンさぁ、なんで社会人なのに番長グループに入り浸ってんの?”」
ムカイラの『至高の挑発』が一木に突き刺さった。
「うるせぇブッ殺すぞ糞餓鬼がァーッ!」
逆上した一木は、引き連れている奴隷ラノベ作家達と共に殴りかかる。
能力発動後の硬直で動けないムカイラに打撃が直撃!
骨が砕ける音が響く! 砕けたのは作家達と一木の拳!
魔人・ムカイラの耐久力は、殴った一般人の拳が砕けるほど高いのだ。
あと、一木は魔人だけど腕力は一般人並みなのだ。

「へんしんっ! 『あにまるちん』!」
大着の姿が絵本『ひとくい まんてぃこあ』に登場する怪物めいた着ぐるみに変わってゆく!
コウモリの翼とサソリの尾を持つライオンさんの姿に!
サソリの尾から針が発射される!
「あぶないみんな!」
港河が巨大なカメノテ状の腕で毒針をインターセプト!
カメノテは甲殻類でとても硬いのでノーダメージ! かと思ったら針の毒が!
「うう……きぶんわるい……」
港河は毒で目を回し、足を滑らして転倒! スリップダメージ!

「うおおおォォォー! いくぜ『釈迦釈迦トンファー』ッ!」
両腕のトンファーが銀色の光を放ち、流銀牙はトンファー概念と化した!
もはや流がトンファーであり、トンファーが流なのだ!
トンファーキックで一木の脳天を砕き、そのまま音速スプリント!
一瞬で大着といむっちの元に辿り着き、右腕に持つトンファー「仏陀」を大着に、
左腕に持つトンファー「釈尊」をいむっちが持つ全高10mの大仏に突き付ける。
「ひッ……お願いブッダ様だけは傷つけないで……」
「帰って番長に伝えな……うちのボスは俺よりも速くて強いぜ!」

そして決戦の日。
「会長“メンタル弱いから”心配だよ!」
「わたしがまもるんだから!」
「俺もいけるぜ!」
出撃を懇願する新人たちに、生徒会長サバンナ・ライオンは言った。
「いや、お前たちは置いていく。アリスメティックの紅茶道は強大だ……。
 そして何よりお前たちには未来がある。ここで死なせるわけにはいかない。
 俺たちの戦いをよく見ておいてくれ……!」

そして発表される出撃メンバー。
「クリームヒルデ! アリスの術に耐え切れるのはおそらく俺とお前だけだ」
「ヤー。毒殺しますよ!」
「火星! お前の能力なら番長グループの天明屋(てんみょうや)を無力化できるだろう」
「おう。いっそ地球の文明ぜんぶを無力化したいがな」
居内(いうち)! お前の破壊力が必要だ。力を貸してくれ」
「いいですよ。番長グループにいるらしい生き別れの弟と逢える気がするんです」
「はたがみ織姫! あまり頼みたくないんだが……いざというときは頼む」
「ふふふっ。ムカイラちゃんと廻衣香ちゃんにも後でおいなりさん(隠語)食べさせたげるね」
そんなわけで、生徒会の新人チームは留守番となりました。
同じく留守番の白魔道士先輩が、魔人の戦いについて色々教えてくれました。
回復能力は役に立ちにくいんだよ、って自嘲気味に言う姿が印象的でした。

そして、生徒会室から姿を消した者がいた。
“魔法のアナキスト・マジカルてるみ”である。
てるみは、一木三鹿と古い友人であった。
魔法召喚した左翼活動家を奴隷作家化し、プロレタリア・ラノベで荒稼ぎした懐かしい日々をてるみは思い出していた。
あの「サバンナ」を見てやってきた新人たち。
一切の迷いなく一木の脳天を叩き割った恐ろしい新人たち。
果たして彼らが担う未来が、真に革命的で進歩的なものなのか、てるみにはわからなかったのだ。



一方、番長グループでは好戦的な新人たちが吠えていた。
「一木さんの弔い合戦だ! 生徒会を叩き潰して番長グループは俺が守る!」
Na香川が攻撃的な盾を振り回して暴れる。危険な男だ!
「ワニーッ! ワニーッ!」
イリエワニも吠える! 爬虫綱ワニ目クロコダイル科クロコダイル属!
大着さんは、さっきの戦闘で疲れたので休むそうです。

「仕方がありませんね。では参りましょう。戦いの地へ――」
荒ぶるNa香川とイリエワニをこれ以上抑えるのは危険と判断したアリスは出陣を許可した。
「いきますよ、シロちゃん、鐘釘(かねくぎ)さん」
「ニャー」
シロちゃんは学園の裏庭に住んでる白猫で、たぶん魔人ですごくタフだ。
「ああ……。俺の剣が役に立つのなら行かせてもらう……」
鐘釘は正体不明の謎の剣士だが、持っている刀も錆びているが、腕前はすごい。

「破ァーッ!」
居残り組となった天明屋が、開戦の狼煙がわりに光弾を空に放つ。
開幕から参加するところの人員に選ばれることがなかったにも関わらず話の最後をはなばなしく飾るなんて、寺院で生まれたところの人間はいとはなはだしきことであるなあと、国際機関によって「この方は環境に配慮して育てられた、適正な日本人であるよ」という公的認定を受けた聡明なにほんじんであるところの私は思いました。

(サバンナダンゲロス――開戦!)








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