第一回戦【拷問博物館】SSその2

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dangerousss3

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第一回戦【拷問博物館】SSその2

拷問博物館。古今東西のあらゆる拷問器具が集められた場所。ここでは今ザ・キングオブトワイライト ~夕闇の覇者~の一回戦が行われている。

その一角にフードをかぶった女性の姿が拷問博物館の敷地内を動き回っていた。
彼女が周囲を見渡せば見渡せばギロチン、鉄の処女(アイアン・メイデン)、拷問される囚人を模した人形、拷問器具の使用法を説明した図版。大会参加者が使うことを前提であろう様々な展示物。
「…悪趣味」
フードをかぶった女性―――参加者のひとりであるトリニティ、正確にはその一人である無量小路奏(むりょうこうじ・かなで)が感想を述べた。
今彼女は先手をかけるべく対戦相手冷泉院拾翠を探している最中である。
そしてしばらく進んだ後、獲物を発見する。

「…いた」

義手義足に顔半分を覆う仮面という目立つ外見。試合前に確認した風貌そのもの。見間違えるはずがない。
冷泉院がこちらに気がついていないことを確認すると奏が能力を発動する。
そして音もなくゆっくりと背後に回り、冷泉院の首にナイフを突きつける。同時に能力を解除。
奏の能力「サウンドオブサイレンス」。あらゆる音を消すこの能力と気配の消去を組み合わせ、音もなく相手に忍び寄るこの技で彼女は図書委員時代、返却延滞者からの回収作業において大きな成果を上げている。

「降参しなさい」
「…」
「…降参しないならこのまま」
一瞬の間を置いたあと、ナイフを引こうとする奏。

が――

奏が気がついたとき手からナイフが消えていた。そしていつの間にか冷泉院の真鍮の義手にナイフが握られている。
冷泉院が奏を強引に振り払うと手にしたナイフを振るう。紙一重で回避したが、刃がフードをかすめ、切断、さらにフードが外れ、ポニーテールの奏の素顔が露わになる。
が、それを気にかけた様子もなくそのまま距離を取る。
どうせいずれ分かることだ。気にするほどのことではない。

(君が武器を取られるとは思わなかったですよ)
意外だといった様子で三傘が言った。
(変わりましょうか?)
少し心配そうな、と同時に待ちきれないといった様子で、岩名が言った。
「少し油断しただけ。問題ない」
奏はそう告げると眼鏡治す仕草のあと、予備のナイフを取り出すと再び構える。
そのまま一瞬で接近を図る。動くたびにポニーテールの髪が揺れる。冷泉院に刃を振り下ろす
――のだが、

「!?」

再び冷泉院の真鍮の義手にナイフが握られている。そして奏に刃が振るわれる!
おかしい。奪われないように気をつけていた。つまりこれは―――

「…魔人能力」

相手の分析をしつつ、ナイフを背後に飛び回避。だが反応が遅れた。逃げきれない。ナイフが少しかすめる
その隙をついて冷泉院が地面を蹴り空中へ飛ぶ!
危ない!飛び蹴りだ!
「避けれな…」
仮面の力により転校生並みに増幅された蹴りの直撃を受ける。
「くっ」
爆音とともに奏が背後へ吹き飛ぶ!周囲に砂煙が上がる。
背後にあった獄門台に激突!

戦闘の続行は不可能ではないがダメージが大きい。このままでは不利だ。
(そろそろ私の出番のようでございますね)
岩名が言った。
「…ごめん」
正体がバレることはそれほど問題ではないが、手の内はあまり見せたくなかった。
それ故に奏としては一回戦のあいだは彼女一人で決めたかったのだが
(いえ私としては出番がまちわびていた所でございますよ)
ふふふと笑みがこぼれる。
言葉遣いなどからは落ち着いた印象を与える岩名だが、その本質はトリガーハッピー。
むしろ三人の中で一番好戦的な人間なのだ。

そして奏の身体が光に包まれると、彼女の姿が変化していく。
黒い髪をお尻のあたりまで髪を伸ばした姫カットの細身の女性。麦わら帽子に真っ赤なワンピースのロングスカート。
どちらかといえば深窓の令嬢を思わせるような姿の女性。
彼女こそが奏と同じトリニティの一人射手矢岩名である。彼女の胸は豊満であった。

「さて、私は奏のようには行きませんので」

その言葉とともに岩名が虚空から拳銃を取り出す。そしてそのまま冷泉院に照準を合わせる。
岩名が発砲。BLAM!冷泉院の背後にあった案内板が吹き飛ぶ。
さらに追撃の一撃を放とうとしたとき、

冷泉院が奪った拳銃を発砲!BLAM!BLAM!所詮素人の攻撃が岩名を捉えることはないが、流れ弾が周囲の展示物を破壊していく。

「距離は関係ないということでございますか」
その姿をみた岩名が状況を判断する。
(そのようですね)
三傘が同意する。

「ではこれではいかがでしょう」

そういうと再び岩名が虚空から拳銃を取り出す。さらに拳銃を取り出す!二丁拳銃!
そのまま冷泉院に発砲!BLAM!冷泉院が能力で拳銃を奪う!
だが、岩名はさらに虚空から拳銃を取り出す。BLAM!BLAM!BLAM!岩名の拳銃が火を噴く!冷泉院の背後のギロチンが吹き飛ぶ!
弾切れになると同時に空になった拳銃を捨て新たな拳銃を取り出す。BLAM!BLAM!BLAM!
冷泉院が拳銃を奪うが、それを意に返さず、拳銃を取り出すとさらに発砲し続ける!BLAM!BLAM!BLAM!
BLAM!BLAM!BLAM!弾切れになる事に拳銃を交換することで岩名が切れ目なく拳銃を撃ち続ける!
これこそが予備として複数の拳銃を持つというニューヨーク市警になぞらえた岩名の魔人能力「ニューヨークリロード」の真骨頂!

「ふふ、拳銃が奪われるというのでしたら、さらに拳銃を追加し撃ち続ければよいのです!ふふふ」

既に興奮した様子で岩名が言う。
百発の弾丸で倒せぬ相手だからといって、一発の力に 頼ってはならぬ。一千発の弾丸を撃ち続ける。
これこそ射撃部に代々伝わるインストラクション·ワンの極意だ
BLAM!BLAM!BLAM!岩名がさらに拳銃を撃ち続ける!冷泉院の反応が徐々に遅れていく。さらに撃ち続けられる弾丸によって展示物は破壊され、遮蔽物もなくなっていく。このままではジリープアー(徐々に不利)だ。
不利を悟った冷泉院が岩名から奪った拳銃を構えると発砲しながら前に出る。そして地面を蹴ると跳躍!
転校生並みの身体能力による飛び蹴りだ!

「焦りすぎです、それでは良い的でございますよ」
岩名はそれを側転で回避。同時に冷泉院にむけて発砲する。
BLAM!
「グワーッ!」
無慈悲な銃弾が冷泉院の左腕の義手を破壊!
BLAM!
「グワーッ!」

無慈悲な銃弾が冷泉院の右腕の義手を破壊!
BLAM!
「グワーッ!」
無慈悲な銃弾が冷泉院の股間を破壊!
BLAM!BLAM!BLAM!BLAM!BLAM!BLAM!BLAM!BLAM!BLAM!
「グワーッ!」
冷泉院の身体はあっという間に蜂の巣だ!もう起き上がってこれないだろう。
そしてあとには展示物がぼろぼろになった拷問博物館と少し興奮した様子の岩名が残されていた。

(派手にやりましたね)
目の前の惨状をみて三傘が言った。
「勝利のためには仕方がない犠牲でございますよ」
恍惚の笑みを浮かべて岩名が言った。
「ふふふ、私興奮しすぎて少し濡れてしまいました、帰りましょう」








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