幕間SS 第二回戦まで・1

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池松叢雲第1回戦後SS(by池松叢雲)

 消息を絶っていた池松叢雲の出現は、鈴木三流に大きな安堵と、それ以上の困惑をもたらした。
「先生が?」
「はい」
 問いかけに、大久保は短く返事をした。彼が必要以上の言葉を口にすることはない。

 鈴木は大きくため息をついた。
「なぜ、池松先生が関東に?」
 SLGの会は、徐々にその活動を広げている。
 中央政府の権力も及びづらい場所で、北は青森。闇に包まれた関西。そして山口、九州。徐々に成果は出始めている。中央政府の、軍部に知られぬように、着実にネットワークを築き上げる。いまは水面下で動くべき時期であった。
 魔人警察、公安部の中枢にも、いくらか手の者を食い込ませてもいる。いまはお互いがお互いを計っているというところだ。懸念すべきことも多い。軍部の範馬一族。公安部のフジクロ。それらを牽制し、SLGの会を維持しなければならない。

「鳥取から島根での役目はどうなったの?」
 池松叢雲については、その外交能力を活かし、関西に潜らせていた。
 SLGの会の中でも、際立った単独戦闘能力の持ち主であり、同時に言語に精通してもいる。それゆえの関西潜入であった。同志を募る。そう言って姿を消し、一年、連絡が途絶えたときには、鈴木三流も彼が失われたことを覚悟した。
 だが、いま、関東に姿を現し、結昨日の一族の主催するイベントに参加しているのだという。

「わかりません」
 大久保はまた短く答えた。
 この少年は、佐藤が関西で拾ってきた戦災孤児であり、SLG能力者である。最初は言葉すらまともに話せなかった。従者にしたのは、そのためもある。彼は余計なことを喋らない。決して。
「ですが、先生が魔人警官と交戦したことを確認しました」
「あの人は」
 鈴木は軽い頭痛を感じた。
 池松叢雲には、どこか危ういところがある。強者と見ればどこへでも出かけていき、言葉を、あるいは拳をかわす。なかには、そうしてSLGの会に勧誘された者もいたが。
 強く止めようにも、鈴木三流にはどうしてもその気になれなかった。
 鈴木三流が幼い頃から、池松叢雲は池松叢雲だった。見た目はまるで変わっていない。もしかしたら、その能力で心身の老いすらも制御しているのかもしれない。

「自由にさせたのは、間違いだったのかもしれません」
 大久保は暗い目で呟いた。彼は池松叢雲に嫉妬を感じているような節もある。
「先生がなにを考えているのか、私には」
 そうだろう、と思う。大久保のような性質の者には、池松の行動原理を本当には理解できまい。鈴木は頬杖をついた。
「おそらく、探しているのだと思うけど。SLGの会の同志を。そういう人だから」
「それは、どうでしょう」
「私は信じている」
 鈴木は片手を振った。議論するつもりはなかった。考えるべきことは、多い。佐藤や高橋がいてくれたら、と、思うこともある。だが、彼女らには別に果たすべき役割がある。佐藤は北で、高橋は九州で、それぞれSLGの会の勢力を広げていた。

「そうね」
 鈴木は考える。
 池松叢雲は、これからもっと必要になる。外交能力だけではない。単独戦闘能力。この先、SLGの会が政府軍部を相手にしなければならない局面は必ず訪れる。
 やがて一度か二度、おおきくぶつかりあう必要があるだろう。
 そのときには――池松叢雲の存在が、ひとつ、大きな意味を持つ。SLG能力者でありながら、高い戦闘技能を持つ個人。

 やがて鈴木は顔をあげる。
「大久保。なんとか、先生に接触できない?」
「やってはみますが」
「万が一のことがあったら、先生を助け出して」
「それは、接触するよりずっと難しいでしょう」
「お願い」
 大久保が鈴木三流の頼みを断ったことはない。しばらくの沈黙があったのち、大久保の気配が消えた。鈴木は椅子にもたれかかった。
 SLGの会は徐々に大きくなりつつある。それがいずれどのような流れを生むのか、鈴木三流は敢えて考えないようにしている――



珪素:まさかの池松さんSLG設定! SLGをもあれほどの強者へと変えてしまう英検の恐ろしさが窺い知れます。

『トーナメント一回戦後、幕間にて』(by minion)


 「便利屋、という仕事は本当に便利なものなのだろうか?」
 一∞(にのまえ・むげん)は歩きながら、講釈を行う大学教授のように続けた。
 「確かに、自分には出来ない、或いはやりたくない仕事を代わりにしてくれるのなら、便利
 と言ってもいいかもしれないね」
 そこで歩みを止め、聴衆へ振り返る。聴衆、と言ってもたった一人だ。
 「だが、それも十分なクオリティを持って達成してくれれば、の話だ。手抜きであったり、
 そもそも完遂しなければ便利とは言えない。そう思わないかい?」
 「…………しっかりやってくれよ、って言う事だろ?」
 疑問に対して疑問で返したのは、便利屋としての顔を持つ魔人南瀬弘市(なせ・こういち)。
確認、と言っても良かった。
 「なかなか理解が早い。多くの者達が便利屋になりきれずに消えていったと言うのに」
 「ちっぽけな存在なのは認めるがね、残念ながら、死すべき運命を背負っている悲壮感とは
 無縁だ」
 適当なノリには適当に返すに限る。
 「本題に入ろうか。…………ボルネオの事だ」
 参加者リストは南瀬の頭にも叩き込まれていた。確か、飛び入り的に参加してきた謎の存在
──────そう、まさに謎の存在だ。その正体は名前以外の一切が闇に包まれている。
 「それを調べろ、と?」
 「そうだ。是非とも知っておきたいからね。彼もしくは彼女が──────眼鏡を掛けてい
 るかどうかを、ね!」
 「………………まぁ、それが依頼、って言うならやりますがね」
 呆れた表情を隠せずに、南瀬は答える。馬鹿げた依頼であろうと、仕事は仕事だ。それに、
上手く行けば──────。
 「それにしても、トーナメント表通りに考えればあんたがボルネオと当たるのは決勝だろう。
 随分と気の早いというか、無駄になる可能性が高いだろうに」
 「そうかな? 25%は無視できない数値だと思うけれどね」
 ──────この女、自分が決勝まで進む事を確定事項にしてやがる。
 その図々しさに、南瀬は溜息を付く。だが、これも同じ。馬鹿げた依頼主であろうと、仕事
は仕事だ。
 「へいへい…………まぁ、仕事はきっちりやりますよ」
 「頼んだよ。仕事はパーフェクトに…………ね」
 肩を竦める南瀬と、念を押す∞。
 「ところで、何故初対面の俺を信用した? あぁ、当てて見せようか」
 「いいね。それは勿論…………」
 「優秀そ「眼鏡だったから」」
 二人の会話は、綺麗にはハモらなかった。



                               <了>



珪素:第3部のフォーエバーの例もあるし、ボルネオが眼鏡をかけてる可能性も実際ありえるかも……?

『幕間 池松叢雲・エクストラ1』(by 池松叢雲)


 大久保が見る限り、その男は瀕死寸前と見間違うほどに負傷していた。
 鳥面に隠されて表情は見えないが、全身は血にまみれ、右腕は肘から先が無い。さらには、足枷と鎖で拘束されてもいた。

「なにをやっているんですか、先生」
 鉄格子ごしに声をかける。呆れるというより、大久保は失望した。
 これは理解しがたい男だが、SLGの会では間違いなく最強の一角であり、なにより、鈴木三流の英語家庭教師でもあったのだ。これを知った鈴木が落胆するのを、大久保はむしろ恐れた。

「うまくいかなかった」
 意外に、声ははっきりしている。池松叢雲は顔をあげ、口元を自嘲気味に歪めた。
「2、3人ほど勧誘して帰る予定だったが。魔人警官にもたいした者がいる。
 彼を勧誘したかったくらいだ」
「褒めている場合ですか」
 大久保は、鈴木三流が言っていた、池松叢雲が果たすべき役割について思いを巡らせた。

 外交技術で同志を募る。それもある。ある段階までは、それに専念させるべきだ。
 だが、それ以上に重要なのは、本格的にSLGの会をつぶすべく、政府が動き出してからだ。軍部や公安部は、そのような魔人の集団があることを認めまい。学園という治外法権の中だけならともかく。
 ――そのときに、池松叢雲は本当に意味を持つ。
 迎え撃つ。討って出る。それとも、鈴木の護衛を担う。どの局面で使うにしても、素手での達人という存在は役に立つ。

「私は何もできませんよ」
 大久保は両手をあげるしぐさをした。
「この私は映像みたいなものです。この鉄格子にだって触れないし、あなたのその腕を治療することもできない」
「俺の能力を知る者は、だいたい勘違いする」

 池松は足先にぶらさがる鎖を、軽く鳴らした。
「大久保、Lessonだ。俺の能力を説明してみなさい」
「『自分の身体と心を操る』。紛れも無いSLGですね」
「ならば、俺の身体から切り離された腕は、誰のものだ?」
「それは認識の問題でしょうね」
「ということは、認識を操作すればその問題は解決するのか?」

 そのときはじめて大久保は気づいた。足元を、何か――小動物のようなものが這っていることに。
「ご苦労(God crow:「ご苦労様です」という意味の英語)」
 池松は、這うように戻ってきた自分の右腕に声をかけた。ひとりでに動く右腕の先には、鍵の束が握られている。
「識家の者が言っていたが、魔人能力とは、あるいはこの世界とは、『認識』だそうだ。
 本当かどうか知らんがな」

 大久保が呆気にとられているうちに、あっというまに池松は己の足枷を外し、さらには右腕をもとの通りに繋ぎなおしていた。
「Good」
 池松は右腕を開閉し、うなずいた。
「大久保、帰ってお嬢に伝えろ。二人と一匹分の食事を用意しておくように。
 山ほどだ。これは比喩ではない。近くの山をひとつ、貸しきっておいてくれ」
「……まだ何かやることが?」
「ひとり、勧誘しておきたい者がいる」
「まさか、《裸繰埜》」
「悪くないが、やつの相手をしていてはとても勧誘どころではない。
 徒党を組むのは好まないだろう。組織には馴染めんと思う」

 それはあなたも同じだ、という言葉を、大久保は飲み込んだ。
「では、誰を?」
 池松は答えず、ただ隣の牢を指差した。
「そこに一匹のオランウータンがいる。解放すると飛び出していくだろう。
 うまくお嬢のところまで誘導してくれ」
「はあ?」
 大久保は池松の言った言葉の意味を理解しようとして、すぐに諦める。そういう相手だ。いつも勝手で唐突。なぜ会長は、この男をあれほど買っているのだろう――。

『GYAAAAAOOOOOOOO!!』
 隣の牢から、すさまじく破壊的な絶叫が響いていた。



珪素:SLGの会の活動がガチ過ぎる……! それと敗者を牢にぶち込む運営は何をやってるんだww

『猿でも話せる英語~社会人編~』(by かりあげ)


※渡辺さんの英国英語と山田さんの日常英語の違いに注目すると、より一層理解が深まります。


what now be sun“Gom yen could outside.”
渡辺さん:ごめんください。

yeah murder sun“Dodge lath am death car ?”
山田さん:どちら様ですか?
                                   イータ
what“The two high murder K know camp yen knee thank a η see mast,
  <Hi Lease Kunoh Return> de saki-咲- mono note leaf key oh oh con now cotton god deck math.”
渡:実は今だけのキャンペーンに参加いたしますと、
  「ハイリスクノーリターン」で先物取引を行う事が出来ます。

yeah“So on not love rue Jimmie tuck auto war yen Lee ounce mass.”
山:そんなトラブルじみたことは遠慮します。

what“Day war, hang on on a guy she math.
    Oh she tailor Xi re math.”
渡:では、ハンコをお願いします。
   押したら帰ります。

yeah“A not, knee phone go got what color nine desk are ?
    So rate more case as Job?”
山:あなた、日本語が分からないんですか?
   それとも警察呼ぶ?
               シータ
what“Shit two lacy mam Θ.
    Mat anarchy math.”
渡:失礼しました。
   また来ます。

yeah“Need don't crew not !”
山:二度と来るなっ!



珪素:ηとかθはそもそも英語ですらないだろww

【正史】白王みずき幕間SS(by 意志乃 鞘@ははは)


 白王みずきは控え室で休憩をしていた。
 ワンターレンなる転校生のお陰で傷どころか疲れも全く無いといってもいい。
「‥‥それでも、『こ、これは!? 最早どんな治療をしてもあなたが戦える体になることはないでしょうな‥‥』と言われた時は驚いちゃいましたけど」
 ――必ず誤診するって凄いですねー。
 さすが転校生というべきか。ワンターレンの言葉を誤診にする為に、因果を越えてみずきの体は見事な健康体になったのだ。
 お陰で能力を再度使用することができ、シャワールームで『着替え』を行うことができた。今の彼女は制服姿だ。次の対戦についての情報が入ればまた着替えようと思っている。
 こんこん。
 部屋に扉を叩く音が静かに響く。誰か応援にでも来てくれたのだろうかと扉を開けたみずきは、思わず言葉を失ってしまった。
「――」
「やぁ、調子はどうだい? みずき君」
 そこに居たのは意志乃鞘‥‥一回戦での対戦相手だ。負かした相手の部屋にやってきたというのに、その表情には陰をまったく感じさせない。
 ――いやまぁ、負かしたといいますか勝手に棄権してくれたので、それは当然でしょうけど!
 正直なところ、みずきはあまり鞘と会いたくないと思っていた。棄権してくれた負い目、というわけではない。
 ‥‥あんな告白された以上、どんな顔して会えばいいんです!?
 去り際に「強くなったら迎えにくる」と言っていたので、再会はもっと後のことだと考えていた。だからこそ、こんなに早く訪れてくるのは予想外の出来事だった。
 そんなみずきの混乱が顔に出ていたのだろう。鞘は苦笑すると腕を組んで口を開いた。
「あぁ、ちょっと誤解させてしまったようだな」
「ご、誤解‥‥ですか?」
「そうだ。さっきはあぁ言ったが、別に私は君に恋愛感情を抱いているわけではないよ?」
「え、で、でも、その、えっ?」
 そうだ。確かにあの時鞘はみずきに対して「愛している」だの「恋仲」だの言っていた。
 嘘だと思いたい言葉ではあるが、その後実際に棄権してしまったのだから嘘ではないのだろう。
「確かにみずき君が欲しいのも、愛しているのも事実だ。――ヒーローとして、ね」
「ヒーロー?」
「そうだ。君の素晴らしいヒーローとしての素養に惹かれてね。ヒーロー部への勧誘の言葉のつもりだったんだが、少々熱が入りすぎてしまったようだ」
「は、はぁ‥‥」
 鞘の言葉を信じるならば、あれらの言葉はあくまでもどれだけ部に欲しているかを例えたものであるらしい。
 本当にそれを信じていいのかどうかは分からないが、信じた方が精神衛生上いい方がしたので、結局信じることにする。
「あれ? でしたら、私が勧誘をお断りした時点で、棄権しなくてもよかったんじゃ‥‥?」
「んー。勧誘断られたから、『やっぱり棄権やめて叩き潰す』なんてのはヒーローのやることじゃないだろ」
「あー‥‥」
 納得の言葉である。彼女がどれだけヒーロー性を求めているかがよく分かるような言葉であった。
 ‥‥だから、「それに『自分の為に棄権してくれた』と相手に思わせる事ができたら、後の勧誘も優位に立てるしな」などといった言葉はきっと幻聴であり、聞こえなかったことにするのであった。

「さて、そんなことはさておき。本題に入るとしようか」
 そうだ。鞘がみずきを訪ねた理由がまだ分かっていない。いくらなんでも断った直後である今、また勧誘しにきたというのも考えにくい。
「これを君に渡したいと思ってな」
 白衣のポケットから何かを取り出すと、それを親指で放り上げるように弾いた。
 ピーンという音が響いて放物線を描いて飛んでくる何かを、みずきは反射的に両手で挟むようにキャッチ。手を開いて何かと見てみれば、
「コイン‥‥ですか?」
 500円玉よりやや大きいぐらいの金色のコインがあった。紋様が刻まれているが数字などは見当たらないことから硬貨の類ではない。メダルといった方が正しいだろう。
「ヒーローメダルだ。それを君に渡したくてね」
「ヒーローメダル? どういったものなんです?」
「いや、別に大したものではないよ。金メッキしただけの何の効果も無い、変哲なただのメダルだ」
 何の効果も無いと言われ、みずきはわけが分からず首を傾げる。
「えっと、それならなんでわざわざ‥‥?」
「ふふ、お守りみたいなものだよ。例えば――」
「――きゃっ!?」
 腰に手を回され抱き寄せられた。女性らしい柔らかさが衣服を通して伝わってくる。
 鞘の顔が近い。ブレることのない真っ直ぐな目がこちらを見ている。誘うような妖艶の笑み。
 前髪が顔にかかり鬱陶しいと思いつつも、しかし甘い香りに誘われて自ら顔を近づけてしまう。唇も柔らかそうで、直に触れて味わってみたく――
 ――って、何を考えているんですか私!?
 我にかえって、顔を茹で蛸のように真っ赤にさせながら体を離そうとするみずき――だが、腰に回された鞘の手がそれを許さない。
 ‥‥ぁ。
 離すまいとする鞘の力強さに、求められている嬉しさを感じて、心が浮ついてしまう。
 熱病に冒されたかのように思考はぼやけ、鞘の手が動くのを見ることしかできなくなっていた。
 鞘の手がみずきの手からヒーローメダルを取り、それをみずきの制服の胸ポケットへ入れる。
「――銃で撃たれても、これのお陰で助かる‥‥なんてことがあるかもしれない」
 実際、私はそれで何度も助かったことがあるしな? と微笑みながら言う鞘。その微笑から目が離せない。
「で、でも、それって鞘せんぱいがヒーロー補正を得れるからで――」
「おっと、そういう事を言う口は‥‥封じなくちゃ、な?」
「――」

 しばらくしてから、ようやく口が解放される。止まっていた呼吸を再開させる為、みずきが大きく息を吐いた。
 息苦しかったからか、それとも別の要因か。顔の赤みが引くことはなく、心臓も早鐘のごとく激しく鼓動を打っていた。
「それじゃ、君の次の戦い‥‥期待しているよ?」
「あ――」
 鞘の体が離れ、背を向けて歩いていく。それを、どこか寂しいと思いながら見送るみずき。
「‥‥にい、さん」
 ミサンガを見つめ兄の顔を必死に思い浮かべようとするみずきであったが、脳裏から鞘の顔が消えることは無かった――。





「――そう、ヒーローメダルは確かに何もないただのメダル。特別な効果は無い」
 だけど、
「君がヒーローならば――。見せてもらうよ、みずき君。君のヒーローとしての素養を」



珪素:ワンターレンが登場して嬉しい! 強引な百合展開を全力で補正しにかかってますねw

戦闘破壊学園 S×S(by 熊野ミーコ)


ここは希望崎学園 English shop「IKEMATU」

「あそこでチンコを引きぬくとは思わなかったよ」
「ソーですネ!!あれはリュウセ…ソーメン君だからこーそ できた事デース」
「まあ俺くらいの魔人になればあれくらいは余裕だね」
「てけり・り!!」
「あははは~、まったくヰ・ソノ君は相変らずだなあ」
「四股のリズム、四股のリズムが重要でゴワス」

此処に居るのは店主 池松といつもの4人である。

日谷創面!!
灰堂四空!!
ヰ・ソノ君!!
『力士』股ノ海(またのうみ)!!

深い友情によって数々の困難を乗り越えてきた、いつもの四人である!!
ジリリリリーン♪

「あ、電話ですね」
「ハイハーイ、ちょと待ってくだサ―イ」

電話の所へ小走りで走っていく池松を放っておいて
いつもの四人はラーメンを食べ始めた。

ずぞぞぞぞっ

「それにしてもこのラーメン不味いねえ」
「コシが足りないでゴワス」
「いあー…」
「金払う必要ねえな」

メシマズは基本であった。

「はーい、ムラクモの店デース。Oh!!アー ハン? ホワット?ナンチュウコト? スッゴイカワイソ。Thank you!!」

「どーしたんだ?池松さん」
「オウ!!リュウセ…ソーメン君。どーやらソーメン君に挑戦者が現れて…」

バタン!!
勢いよく店のドアが開かれる!!

「我が永遠のライバル日谷創面!!勝負だ!!」
「お、お前はダンゲロス・ハルマゲドンこと、不動昭良!!」
「はっはっは!!覚えていたようだな!!俺の名を!!」
「創面君。すごい気合いを感じるよ。いままでのダンゲロスとは一味違う」
「まるで千秋楽の横綱のような気迫を感じるでゴワス」
「てけり・り!!」

「ふぅ。雑魚でありながら俺の恐ろしさが解るとは褒めてやっても良いぜ!!」
「教えてやろう!!俺がどれほどの修行を積んできたのかを!!」
「なんでスッテ?」

不動の横から黒いモヤの様な物が現れる!!
「俺は自然の力を身につけるべくオランウータンのボルネオと修行したのだ!!」
「ぎあああああああああ!!」
なんと黒いモヤはオランウータンだったのだ!!

「ふふふ!!自然の力を身に付けた新必殺技インフィールドフライを受けてもらおう!!」
「待て!!俺はその勝負を受けるつもりは無い!!」
「何ッ!!逃げるのか?」
「逃げるつもりは無い、だが今日はドラマの最終回があるからな」
「そうか、ドラマの最終回なら仕方ないな。」
「明後日10倍スケール3LDK庭付き2階建てで勝負だ!!」
「解った!!覚悟しておくんだな!!」
「四股のリズム、四股のリズムが重要な戦いになるでゴワス」


かくしてッ!!
魔人警察とヒーローが見守る中巨大な家の中での戦いが始まる!!
菌と話せる男は何を語るのかッ!!

次回ッ!! ダンゲロス・ハルマゲドンS×S!!
「勝利へのイメージ!!イングリッシュ リピート アフター ミー!!」

勝利に向かって チャージ魔人!!



「っていうのはどうかナ?」
「いあー いあー」
楽しそうな敗退者 ミーコ&ヰ・ソノに対して
「ダメだと思うわ」
と小波漣はあっさり言ってのけた。



珪素:股ノ海のポジションはやはりここしかあり得ませんよね。私はどっちでもいいけど。

【正史】白王みずき 幕間SS こやしもん(by 白王みずき)


「あっ……! はあ、はあっ……、くうっ――!」

 額に脂汗を浮かべながら両手でお腹を押さえた体勢で、少女がうずくまっていた。
 苦痛にゆがむ表情で見上げる先には、対照的な余裕の笑みで視線を返す青年。
 青年は大きく手を広げて周囲を見回すと、明るい声色で言葉を発する。

「見ての通り、ここには君を助けるイレギュラーは存在しない……。さあ、早いとこ降参した方が身のためッスよ」

「誰がっ……! 降参なんて、するものですかっ……! うあああっ!」

 暗澹たる地下闘技場に響きわたる少女の悲痛な声に、青年は嗜虐的な興奮を覚える。
 状況を説明すると、今は有限会社ユキノイベント主催の決闘大会『SNOW-SNOWトーナメントオブ女神オブトーナメント(以下略)』二回戦の真っ最中である。
 一回戦第一試合を勝ち抜いた希望崎学園一年・白王みずきは、同じく第二試合を勝ち抜いた某農大一年・沢木惣右衛門直保と戦闘を繰り広げていた、が――。

「(まさか、あんな技を隠し持っていただなんて……!)」

 悔しそうに歯噛みするみずき。戦いの序盤は、明らかにみずきが優勢だった。
 距離をとりつつ彼女が行った、衣服状に纏った水を放つ能力『みずのはごろも』による遠距離射撃は、低威力ながらも、静かに、そして確実に沢木を苦しめていた。
 この調子でいけば勝てる――! そんな慢心が招いた一瞬の隙を、沢木は見逃さなかった。
 驕ったその数秒後、どぷん、という音と共に、みずきの左足が何かに沈んだ。

「ぎゃっ! えっ――きゃああああああああああっ!」

 振り返った彼女の目に飛び込んできたのは、異臭を放つ穴と、茶色に染まった膝丈ソックス。
 刹那のうちに最悪の想像――しかして残酷にも真実である――が脳を席巻し、少女は反射的に叫び声をあげた。
 好機を見て取った沢木は痛む身体に鞭を打ち、全力でみずき目掛けて跳んだ!

「らああああああっ!」

「っ!? なんのぉ――!」

 しかし、みずきの反応もさるもので、沢木の接近に気付いた瞬間に、両足から水を勢いよく噴射し、左足から茶色く濁った汚水を撒き散らしつつ肥溜めから脱出、強引に後ろへ飛び回避を試みた。
 果たして沢木の特攻は、みずきの下腹部を指で軽く押しただけに終わった。
 危なかった……、と、肥溜めを飛び越えて着地したみずきが安堵できたのは数秒のこと。すぐさま“異変”が彼女を襲う――!

「――! な、なんですかっ、これえぇ……!」

 きゅるきゅると、彼女の腹が奇妙な音を奏でる。
 そして覚えのある痛みが、腸の奥底より唸りをあげて押し寄せる――!
 みずきはお腹を押さえ、その場にぺたりとしゃがみこむ。赤く染まったその顔は、何かを我慢しているようであった。

「あ、あなた……いったい、なにを……!?」

 苦しげに問うみずきに、にたにたと笑いながら沢木は答えた。

「何、ちょっとした波紋ですよ。なんの心配もいらないッス」

 敵の言葉――あまつさえ、こんなにも意味ありげな笑みを浮かべている男の言葉を信じるほど、みずきは馬鹿ではない。
 事実、彼女の身に起きた異変は、沢木の言う「ちょっとしたこと」でもなければ「なんの心配もいらない」ことでもなかったのだ。
 沢木は先程の接触で、みずきの腸内の乳酸菌に波紋を流し込み、異常活性させていた。

「つまり、今の君はUNKが漏れそうで漏れそうで仕方なく、これ以上一歩も動けない状態なんスよ――!」

「そんあっ……!」

 予想はしていた、そしてできれば外れて欲しかった、その現実を突きつけられ、みずきの腹は絶望に鳴く。
 これが冒頭にて苦しんでいた彼女に起こった悲劇である。

「(だめっ……おなか、いたくて……動けません……! 私、このままっ……!)」

 “降参”、あるいは“棄権”。屈辱的な単語が彼女の脳裏に浮かぶ。
 しかし、これで終わってしまっては――こんな卑劣な攻撃に屈してしまっては、一回戦で争った二人に顔向けできないではないか!
 己を苛む腹の痛みに耐えながら、みずきは気丈にも鉄砲めいた指型をした右腕を沢木に向け、水弾を発射した――

「ぅあああっ!」

 ――が、なんということか!
 能力行使のために込められた力は、そのまま彼女の苦痛の震源地たる腸に伝わり、排泄物の侵攻に一役買ってしまったのである。
 にもかかわらず、放たれた水弾は出力も水量も目も当てられぬ程に弱弱しく、残尿が便器に堕つるが如く肥溜めの中に吸い込まれていった。
 だが、無情にも災難はこれだけでは終わらなかった。

「あっ……! やああっ、見ない、でっ……!」

 集中もままならぬ状態で放たれ、予期せぬ急ブレーキをかけられた能力は、その成果に見合わぬ程に衣服を溶かした。
 序盤戦にて沢木に放った数発の水弾の分も含め、本日の彼女の衣装たる制服のうち、カーディガン部分が綺麗さっぱり消失していた。
 さらに、便意に耐える全身からじっとりと湧き出る汗が、少女のブラウスを湿らせている。
 それは淫らに少女に貼りつき、透けた純白の向こうに広がる肌色の世界と、少女の双丘を包む桃色の二つの椀の存在が手に取るように分かった。

「無駄ッスよ。その状態じゃあ、もう詰んでるッス」

 絶対的強者の愉悦か、はたまた艶めかしき少女に反応したか、膨らむ股間に心なしか前屈みになりつつ、高圧的に言い放つ沢木。
 見ると、肥溜めを挟んで向こう側でへたり込む少女は、激しさを増す悪魔の侵攻に身動き一つできないようだった。

「(……ん?)」

 ――と思っていた。しかし運命の悪戯か、沢木は気付いてしまった。
 少女の両脚を隠す膝丈スカート――その最後尾、お尻の部分から、長い尾のように描かれたシミの跡に。

「(……なるほど。腸に刺激を与えないよう限りなく緩やかに、スカートで隠した両脚をちまちま動かして進んでるんスね)」

 そして目指す到達地点は――。
 少女の歩みの延長線上に沢木が見たものは、みずきの不運を始まりとも言っていい、地下闘技場に潜む茶色い魔物――肥溜め!
 沢木の脳裏に、先程自分自身が放った言葉が蘇る。

「(ははーん。つまり、さっき俺が言った“その状態じゃ勝てない”の言葉にヒントを得たってことスか)」

 沢木の予想は当たっていた。
 彼の想像通り、みずきは蝸牛の如き鈍さながらも必死に肥溜めを目指し、そこでこの状態から“解放”されようとしていた。
 だが、思い出してほしい。この地下闘技場での戦いの模様は、撮影担当の魔人・結昨日映によって、外の世界で実況・解説つきで放映されているのだった――

「(――でもっ!)」

 ――でも! みずきの“覚悟”は赫々たる焔を上げている!
 確かに不特定多数に視姦(み)られているなかで排泄を行うことの恥辱は計り知れず、少女にも一時は“棄権”の二文字が頭を過った。
 しかし、こんな卑劣漢に負けることも、踏み越えてきたライバル達の想いを蔑ろにすることも、なにより兄との約束に背くことも、少女にはできなかった。

「(兄さんなら、きっと、どんな状態でも屈しない……! 絶対に、諦めない……!)」

 遅々とした足取りのなかで、少女は兄からの贈り物であるミサンガに手を添える。
 すると、まるで、物言わぬミサンガから勇気が流れ込んでくるようであった。

「(兄さんのためなら――恥ずかしくても、我慢できますっ!)」

 暗闇の荒野に進むべき道を切り開くが如く、少女は歩みを進める。
 離れた場所に立つ沢木は少女を止めなかった。何かの思惑があってのことだろうか。
 荒い息をつきながらも、やがてみずきは肥溜めの手前まで辿り着いた。

「(これで、やっと――!)」

 僅かな安堵と共に、みずきは間近に差し迫った恥辱を受け入れる心を決めた。
 スカートの中に手を潜り込ませ、緩慢な動きでぱんつを脱いでゆく。ぱんつを下ろしきれば、後は肥溜めの上にスタンバイするだけ――。

「――残念だったッスね!」

 だが! この瞬間を見計らっていた沢木が、絶妙のタイミングで一気に距離を詰める!
 突然動きだした沢木に困惑するみずきだったが、両手の指は膝の辺りでぱんつに掛かったまま――迎撃不可能!
 そのまま、少女の無防備な腹へ、沢木は拳をめり込ませる!

「か、はあっ!」

「これでお終いッス!」

 便意に耐える少女に腹パンをかますことの征服感に、沢木の一物はより一層ズボンを押し上げる。
 一方のみずきは、肥溜めの縁から数歩下がった位置まで飛ばされていた。
 魔人としては貧弱な沢木の殴打は、みずきの肉体に致命的なダメージは与えていなかった――が、彼女の中の“最後の砦”を決壊させるには充分だった。

「あああっ、だめ、も、だm――やぁああああああああああああああああっ!!」

 張り上げた叫び声が、地下闘技場にこだまする。
 猛烈な排泄音こそ絶叫にかき消され聞こえなかったが、いたいけな少女が目の前で脱糞することの興奮は、彼をズボンすら突き破らんばかりに怒張させた。
 肥溜めの上に波紋法で直立し、溢れ出る感動に脳を蕩けさせながら、「今日のオカズは決まりッスね……」などと考えていた沢木の顎を、拳大の水弾が抉った――!

「――!!」

 脳を揺さぶる一撃に意識を手放す寸前、沢木は見た。
 裸足のローファーに、ぎりぎり恥部が見えない程度まで切り詰められたミニスカート、ブラウスも肋骨を晒す程に失われ、可愛いお臍がコンニチハしている。
 真っ赤に染まった顔とつぶらな瞳の端に溜まった涙。そんな扇情的な姿で、拳を振り抜いたままの白王みずきが立っていた。

「(そんな……全国ネットでお茶の間に盛大なUNKを晒して、立ちあがれる精神力なんて残っているはず――!)」

 彼女の漏らした特大のブツを探そうと動かした眼球に、少女の背後に放射状に大きく広がる水の跡が映る。
 そのまま真上の天井に激突し、肥溜めの中へと着水(着糞?)した沢木は、暗き便の海へと沈んでいった。
 悪臭と息苦しさに薄れゆく意識の中で、しかして沢木は悟った。

「(放射状に広がる水と、最後の一撃だけじゃ足りない程に失われた彼女の服……。
  排泄と同時に能力で水を噴き出し、UNKを霧状に飛散させたってワケッスね……。
  なるほど、確かに己の“逸品”を放映されては流石に心が折れるけど、それが不可視なら立ちあがれる……。完敗ッスね……)」

 どこか晴れやかな表情で、沢木は意識を失った。
 この瞬間、トーナメント第二回戦第一試合、勝者は白王みずきに決まった。
 勝者も決定し、両名が控室的な場所へと転送される刹那、極度の疲労にみずきの膝は折れ、重力に従って倒れ込んだ先の肥溜めに、顔面からダイヴ――

「――うひゃああああああっ!!」

 跳ね起きたのは、やわらかなベッドの上。
 殺伐とした武器塚も、おどろおどろしい砂場も、悪夢の象徴たる肥溜めも存在しない、紛うことなき白王家の自室であった。

「……えっ……?」

 未だ状況を呑みこめず、キョロキョロと視線を巡らせる。
 先程まで着ていた丈の短すぎる制服ではなく、お気に入りのパジャマ(若干汗ばんでいるが)に身を包んでいる。
 もしかして――。震える手で引き寄せた携帯のディスプレイは、今日が第一回戦の次の日の朝であることを示していた。

「ゆ……夢、ですかあ……。よ、よかったあ……」

 今回ばかりは夢でよかった、と少女は心の底から安堵した。
 思えば、昨日は戦いの後で幾つか事務処理をこなした後自宅に戻されてからすぐに寝てしまったので、まだ次の対戦相手も戦うフィールドも知らないのだ。
 頭の中で一方的に悪役にしてしまって、ごめんなさい、沢木さん――。名しか知らぬ第二試合参加者を脳裏に浮かべながら、少女は虚空に向けて、ぺこり、と頭を下げた。

「みずきぃー! あんたに荷物届いてるわよぉー!」

 扉の向こうから少女を呼ぶ声がする。母の声である。
 みずきはどこかホッとした表情で、スリッパを履きリビングへ向かった。
 そこには、ソファに腰掛け片手で何やらDISCの入ったプラスチックケースを弄びながら、もう片手で持った書状に目を通している母・みどりの姿があった。

「なんかねえ、あんた、二回戦の相手決まったみたいよ?」

「またひとの荷物を勝手に開けt――えええっ!?」

 説教のために出かけた言葉が驚愕の叫びに上書きされる。
 ぱたぱたとソファへ駆ける娘だったが、続く母の言葉でその歩みを止める。

「まず場所がねえ、地下闘技場?ってとこらしいよ」

「ぶっ!!」

 思わず噴き出した娘に母は怪訝な目を向けながらも、再び書状に視線を落とし、続きを読み上げる。

「それで、対戦相手は――」

「(こ、このパターンは、も、もしかしてぇ――!)」

「――羽山莉子ちゃん、だって」

 ずるっ、と少女はソファへ倒れ込んだ。安堵ゆえにだ。
 どうやら沢木は負けたらしい。みずきは大変失礼なことだとは重々承知しながらも、心から安心していた。
 しかし、相手は夢の中で散々みずきを苦しめた沢木や実力者として名高い学園の先輩・灰堂を下してきた、同じく学園の先輩である、羽山莉子。
 実績だけでなく、何せ、学園の有名人だ。その強さは聞き及んでいる。

「どっちにしたって、強敵であることには変わりありませんね……」

 独りごちつつ、みずきは身体の向きを変え、浴室へと進んでゆく。
 それに気付いた母は娘の背中に言葉を投げかける。

「一回戦の他の試合が映ったDVDも一緒に送られてきたから、後で見ようねー!」

「わかりましたーっ」

 応答しながら浴室に入り、みずきは汗で湿ったパジャマを“着替え”始めた。
 同封されたDVDの第一試合分に、己のシャワーシーンまでもが映されていることを知るのは、少しだけ後の話である。  <終>



珪素:これこそ正しくクソSSと言うべきでしょう。


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