不動昭良

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dangerousss

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不動昭良(ふどう あきら)

設定

現役の中学2年生でありながら魔人警察課で助手としてアルバイトをしている。
彼が魔人に覚醒したのは小学5年生のときである。
交通事故に遭って足を骨折し入院中、寝ながらお見舞いの果物を取れたら便利だなあと思ってたら能力に目覚めた。
当然魔人になってしまったことは秘密にして生きてきたが、うっかり銀行強盗の現場に巻き込まれたときに、人質の中に犯人グループの一部が潜んでいたのを持ち前の観察力で看破。
魔人警察が突入した際に、人質に紛れて潜んでいた共犯者の発砲を能力によって未然に防ぎ、それがきっかけでスカウトされた。

人を信用しない性分で、なんでも自分の目と耳で確かめなければ気が済まないという独善的なところがある。
他人の心情を推測することはできても共感するということが致命的に苦手で、それゆえ他人を傷つけるかもしれないケースには人一倍気を遣っている。
疑り深く、いまいち他人に心を開けない。それどころか自分自身もあまり信用していない。
自分自身の中に確固たる基盤がないために、代替として常識や社会通念、義理といったものを重んじている。
魔人警察課への誘いに乗ったのにも特に正義とか信念のような理由があったわけではなく、丁重な申し出に断るのに気が引けたというのが正直なところである。
組織内の治療能力者にすぐ治してもらえるとはいえ、荒事で負傷したりすることも多くて少しだけ後悔している。
参加理由は上からの指令だが、詳細は知らされていない。

身体スキル:【運動性Lv.3】【急所防御Lv.2】
知的スキル:【火器管制Lv.2】【忍耐強いLv.1】
固有スキル:【インフィールドフライ[魔]】【観察力Lv.4】
オプション:【ボールペンLv.1】【ハンカチLv.1】

【運動性Lv.3】…希望崎学園の猛者と比べてもまるで遜色ない運動能力です。瞬発力、持久力ともにかなりのものですが、戦闘の本職には及びません。
【急所防御Lv.2】…致命傷を避けることに特化した能力を持ちます。頭部や臓器などへの攻撃をぎりぎりで避け、ダメージを抑えます。
【火器管制Lv.2】…火器に対しての知識です。人吉善吉くんのように銃器を一瞬で分解したりはできませんが、銃器の特徴や扱い方がわかります。
【忍耐強いLv.1】…粘り強い性格です。困難な状況下に普通の人よりも耐性があります。
【観察力Lv.4】…世界有数レベルのずば抜けた観察力です。常人では気がつかない要素でもなんなく発見し、対処することができます。

魔人能力『インフィールドフライ』

物体に「力」を注ぎ込み、自由に動かすことができる、いわゆる念動力。
単純であるがゆえ応用が利き、制限も特にない。
弱点は、対象となる物体に一度は触れてエネルギーを注ぎ込まなければならないこと。
重い物体はゆっくりとしか動かせないこと、例えば建物一棟クラスになるとそもそも動かすこともできない。
そして、力を注ぎ込んでもその物体が有している運動エネルギーはそのままだということ。
ただし、なぜか重力による落下のエネルギーだけは瞬間的に中和し、消滅させることができる。

以上の条件さえクリアできれば、たとえば自身より質量の低い物体なら200km/hほどの速度で動かすことができる(それ以上の重さだと重量に応じて速度に制限が出てくる)
もっとも、高速な動きを長時間にわたってさせようとすると注ぎ込んだエネルギーを使いきってしまい、能力の影響下から外れてしまう。
操作は彼自身の意思で行うため、見えない相手を追跡し続けるような使い方はできないし、一度に多数の物体に複雑な動きをさせることにも限度がある。

もちろん生物にも使用可能。

プロローグ

都心から少し外れたところのビル街の、ありふれたテナントビル。築10年は経過していますといった感じのそのビルの前に不動は立っていた。
「有限会社 ユキノイベント」の本社が1階から3階を占めており、その上の階は空いているらしい。
有限会社は法律上現在は新規に設立することができないため、誕生まもない企業というわけではないのだろう――と不動は考える。
……ビルの壁面のくすみ具合に対し、会社のプレートが出来立てほやほやですと言わんばかりに傷一つ無く輝いているのが気になるが。
「ユキノって……あの結昨日だよなぁ」
魔人警察の手伝いをするようになって2年半。
ともすれば、一般人なら知らなくてすんだような知識も頭に入ってくる。
結昨日家は魔人が集まった組織としては代表的とまでは言わないが力のあるものの一つで、「家」というわりには血のつながりは薄く、
むしろ外部から才能のある者を子供のうちから取り入れているのが特徴だった。
輩出している魔人はそのパーソナリティは別として強能力か使い勝手のよい能力を持つ者が非常に多く、それゆえその影響力は強い。
……なんだか知らない間にろくでもないことに巻き込まれている気がする。
そもそも彼はなんのためにここに来させられたのか全く聞いていない。
彼の直属の上司にあたるのは同じく生え抜きの魔人警官である20歳のお姉さんであったが、彼女をすっ飛ばして直接次長からメールが来たのもおかしい。
しかも日時と場所を指定され、「あとは自分の裁量で行動しろ」としか言われていない。アルバイトの身でそんなことを言われても困る。
数分頭をひねったが、さすがにこれだけの情報で何をすればいいのかは皆目見当もつかなかった。
「……まあいいか」
相手が結昨日という「家」であるならば、陰から探る意味はないと思えた。
結昨日家は魔人の集団であり、ということは彼個人が何を企もうと対処は容易である。
それに、隠れての偵察ならば彼よりも適任はいる。
「結局出たとこ勝負だ」
意を決して玄関に入っていく。
……出たとこ勝負。
彼が何気なく口に出したその言葉がまさかそのまま実現するなどとは、この時点では思いもしない不動であった。


「いらっしゃいませー! 私のトーナメントにようこそ!」
ちょっとした展示会ができそうな一室と、事務机――それはまあいいのだが、左右に続く廊下が長い。建物の大きさを考えればこれは長すぎた。
後ろを振り返ると、通ってきた扉がある……が、入ったときとは明らかに材質が違う。
空間をいじってあるのか、ビルに入ったときにワープしたのか……明らかに魔人能力によるものだ。
「お名前をお願いしまーす!」
事務机に座った女性が快活に叫んでいる。
「……」
「? どうかしたのかな?」
「なんでもないです……」
名を告げると、彼女は机の上の名簿をチェックした。
……確かに多数の名前の中に、不動昭良の名もある。
「おー、魔人警察からの参加者ってキミかぁ。来てくれてありがとう! 箔がつくからね!」
うすうす気がついてはいたが、ここは受付的なポイントらしい。
名簿と受付。この二つの単語から導き出されるもの、それはつまり試験である。
上が不動をここに寄越すまで詳細を秘密にしていたのは、抜き打ち試験的な意味合いなのだろう。
「箔がつく」というのも合格できれば自慢できるほどのステータスになるような試験だということだ。
「うん、そう試験試験。試験ですよね?」
「試験というか、トーナメントですよ。基本的に何でもありのバトルトーナメント」
「聞き違いじゃなかった……か…………」
「キミ、もしかしてルールも聞いてない?」
あらためて話を聞くと、彼にも飲みこめてきた。
要は、結昨日主催のイベントが行われるにあたって、魔人警察にも声がかかったのだろう。
そんな誘い蹴ればいいじゃないかと思わなくもないが、コネかしがらみか、ともかく不動の預り知らない何かの理由で断ることができなかった。
とはいえ誰が参加してもいいというわけではなく、一番年少で下っ端の彼にお鉢が回ってきた。
疑問点もあるが、そのあたりが一番現実的な仮説だった。
「じゃ、頑張ってね☆ 大丈夫。絶対死ぬことはないから!」
「ええ、まあその……がんばります」
こうして、彼の戦いが幕を開ける。


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