糺礼

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dangerousss

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糺礼(ただす れい)

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警視庁対公安部公安第6課所属の女性魔人警察官。

公安第6課は「突発的且つ連鎖的な魔人災禍を起こしうる一族・個人監視」を業務とする部署である。
彼女は元々キャリア警官であったが、00年代に起こった「都市伝説を現実化する能力者の暴走による、都市伝説をモチーフとした魔人の発生事故」の現場指揮に当たった際巻き込まれ、魔人覚醒。魔人警官規定に基づき、魔人に許される最上位の地位まで降格処分を受けた。

この経験から、元々持っていた魔人に対する差別意識がさらに増し、非常に苛烈に業務に当たって居る。
今回の「結昨日一族の新事業に関する情報収集及び監視」業務にも自ら志願して参加しており、優勝して一族上層部の魔人と会うことが出来たら「事故」を起こして「処理」してやろうと考えている。

公安部所属ということで上司以外には能力名すら知る者はいない。
射撃技術には秀でており特に早撃ちに関しては目を見張る技術がある。
反面、魔人覚醒したせいで身体バランスが崩れたのか、格闘技術は一般魔人警官を上回るものではない。

モチーフとなった都市伝説の影響で見た目は非常に美人。また、女性にしては長身で筋力もそこそこある。

【所持品】
左胸に隠し持ったデリンジャー
右胸に隠し持ったナイフ
SIG SAUER P230JP(SPなどに正式採用されている拳銃)
P230JPの予備弾倉
キャメル・ナッティー・ライト・ボックス(タバコ 甘い)
マッチ

魔人能力『この胸にキミを抱きしめたい』

自分の胸に、乳房の代わりに手首から先の部分が生えている。
手首は360度自由自在に稼働可能、その他の関節の動き、筋力等は自分の手と同じぐらいのレベルで、自分の意志で自由に操作することが出来る。

全く自分の願望と関係なく覚醒したため、はこの能力を忌み嫌っており上司以外に能力の存在を話したことはない。
過去に数度切除を試みたことがあるが、ひと月ほどで元通りの手首が生えてくる。

プロローグ

糺 礼オープニングSS「喫煙室で」

 ふっと肺から紫煙をはくと、眼前は白い靄に包まれた。
 甘い匂いのする紫煙に思考をゆだねる。この瞬間だけは現実を見なくて済む。
 今の私にとってはありがたいことだ。
 そういえば、私がタバコを吸い始めたのはいつからだったか。
 少なくとも、まだ人間だったころはこんなもの嫌悪していたことは覚えている。
 高い金を払って、思考と寿命を委縮させることの何が楽しいのか――などと思っていたような気がする。
 全く持って正論だ、と私は笑う。
 だが、今となってはどうでもいいことだ、長い寿命でなすべきことは既に無く。
 思考がはっきりとしてしまっては、閉ざされた出世の道を真正面から見てしまう。
 そんなものは耐えられない。と、再び肺を紫煙で見たし、吐く。
 ナッツ類の甘い香りに、少しだけ血の匂いが混じる。
 ああ、そう言えば最初に吸い始めた理由はこの匂いを消すためだったと思いだした。
 今日の「取り調べは」誰だったか……どこぞの一族の捨て駒だったことは覚えている。
 新宿駅で起きた通り魔事件の犯人だったか、違ったか。
 まあ、違うことはあるまい。なんせ相手はくその様な魔人どもだ。犯罪者でないはずがない。
 ぎ、と手のひらが一つ握られる。そう、魔人はくその様な存在だ。何せ、私はそれになった所為で出世の道が閉ざされたのだ。
 むしろ、初めから魔人として警視庁に入って居れば良かったとすら思う。
 それなら、初めから魔人公安辺りに配属され魔人公安部長ぐらいの地位は望めたろう。
 だが、私は人間だった。
 もっと上に至るはずの、人間だった。
 それが――少しばかりの手土産を望んだばかりに。
 手のひらがもう二つ握られていることに気がついて、ふっと息を吐く。
 そうだ、余計なことを考えるのはよそう。これはもう仕方のないことなんだ。
「どーしたの礼ちゃん。怖い顔をしちゃって」
 喫煙室に新たな来訪者が現れる。
 たるんだ頬にたるんだ腹。私が人間警官だったころには嫌悪していた相手。
――公安六課の課長だ。
「……そんなにひどい顔でしたか」
 勤めて冷静に私は答える。課長。キャリアであった頃には腰かけでしかなかった地位が、ひどく遠い。
「怖かったよー」
「そうですか、以後気をつけます」
 固い返事を返す私に、課長はふっと臭い煙を吐きかけ笑う。
「そういってまた怖い顔しちゃって。でもね礼ちゃん、今日はそんな君にいい話を持ってきたんだ」
 返事は返さない。どうせろくな話ではあるまい。
 そんなことに耳を貸すより、私は紫煙を楽しむ時間が欲しい。
「場合によってはね。君を魔人公安の方に移動させてあげられるかもしれないんだ」
 がた、っといすを蹴飛ばし私は立ち上がる。加えていたタバコの灰が床へと落ちる。
 だが、私はそんなことを気にしては居られない。
「どういうことですか?」
「んー良い顔。あのね、魔人公安の方から密偵に1人、手練を貸してほしいって言われてね」
「その任務をうまくいかせれば、魔人公安への移動もありうると?」
「決まったことじゃあないけどね。幸いうちには余剰人員が多くて、あちらさんは手が足りない。こっちは貸しを作れる、あっちは有能な人員が増える、君は出世の道が開く。WIN-WINなことじゃあないか」
 にやにやと気持ち悪く笑う課長。だが、そんな笑顔も出世の道という甘い言葉の前では菩薩のように見える。
「それで、どんな任務なんですか」
 えーっとね。と課長は手帳をめくり
「礼ちゃん、結昨日って一族の事は知ってるかな」

――こうして、私の地獄への扉は開かれた


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