性懲りも無く蘇りし矢塚一夜

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dangerousss

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性懲りも無く蘇りし矢塚一夜
(しょうこりもなくよみがえりし やづか いちや)

設定

逆こた後に肉体時間逆流の儀式によって復活して
賞金目当てに過去にワープしてきた矢塚一夜
時間と空間を操る能力「♪ TIME」の持ち主

離れた二つの空間を繋げるポータルを作り出す特殊能力
「インスタント・テング・ポータル・ジツ」を使い
どっかからパチってきた.357口径マグナムリボルバーピストル「西門九五式回転式逆鱗拳銃」と
グルカ族に憧れて最近買った刃渡り40cmのククリで戦うぞ!

性格は、知らない人や目上の人の前では大人しい青年風だが
凄く調子乗りな面があり、しかも本性は怠け者のチンピラのような性格で
特に自分が友達と思ってる人や目下の人間などに対してウザいくらい馴れ馴れしく
更に嫌いな奴や敵対する人物に対しては無駄に偉そうな態度で接したり
モヒカン雑魚のような振る舞いをしたりする

サファイア・フォーチュンロータスと呼ばれる不思議な力に満ちたペンダントを身につけているが
肉体時間逆流の儀式によってエネルギーがほぼ枯渇状態であるため、殆どただのお守りである

身体能力は大体普通の一般人レベル
一応銃による射撃はそこそこ得意で、止まってる標的であればかなりの命中精度を誇るが
実戦経験はあまりないため動き回る敵や自分が走ったり大きく動きながらの射撃精度はそんなに高くない

若干大阪弁のような物が混じった言葉を喋る

【西門九五式回転式逆鱗拳銃】
西門工業が開発した.357口径マグナムリボルバーピストル
シリンダーはスイングアウト式で装弾数は6発
2006年に関西や周辺の危険地域等の警察装備として正式採用されている。

最大の特徴は.357逆鱗弾と呼ばれる専用の弾薬を使用可能な点である。
.357逆鱗弾は強靭な肉体を持つ魔人や肉体強化、硬質化能力を持った
魔人に対しての使用を想定した弾薬であり、通常の.357マグナム弾よりも貫通力が高く
近距離であれば殆どの魔人に対して有効なダメージを与えることが出来るとされている。
しかしその反面、弾丸が運動エネルギーを消費しきらずに肉体を貫通しやすいため
破壊力そのものは通常弾よりも少なくなってしまう。特にこれは肉体そのものは人並みだが
生命力、再生力が高い魔人に対して顕著であり、逆鱗弾よりも通常の.357マグナム弾
を使われることの方が多かった。しかし、一夜は逆鱗弾しか持ってない。

一般的に普及しているのは銃身が4インチでダブルアクションのモデルだが
一夜が持っているのは6インチのシングルアクションモデルである

【♪ TIME】
一夜の持つ特殊能力
時間と空間に関するありとあらゆる事象を操作可能だが
通常この能力を使うには強い肉体と精神を消費しなければならず

一夜にはそのままでは使いこなすことが出来ないため
自ら制約を決めて限定的な能力にする事によってどうにか制御している
今回は「インスタント・テング・ポータル・ジツ」という能力のみを使う

魔人能力『インスタント・テング・ポータル・ジツ』

左手の先から0~5mの好きな距離に直径2mの円形の水色ポータルを
右手の先から0~5mの好きな距離に直径2mの円形の赤色のポータルを作り出す

この二つのポータルは表同士、裏同士が連続した空間として繋がっている
例えば水色ポータルの表面にボールを投げると赤色ポータルの表面からボールが出てくる
赤色ポータルの裏面にボールを投げると同じように水色ポータルの裏面からボールが出てくる

ポータルは光とかあらゆる物を通すので片方のポータルを覗き込むと
繋がっているポータルからの風景が見える

使い方によっては質量保存の法則を無視したりしてしまうが魔人能力には良くあること
既に作られたポータルと同じ色のポータルを作ろうとすると既に作られたポータルは消える
両手を合わせることによって両方のポータルを消すことが出来る

プロローグ

「面倒なヤツ」

嘗て、有名な魔人研究家のクヨリーニ=ユーチは
著書「幸福であるために人は魔人とどう生きるべきか、魔人にどう接するべきか、魔人をどう無視するべきか」の中でこう述べている

魔人の能力というものは、どんな目的で使用するかにしても
その大半が大なり小なり面倒事を増やし、話をややこしくするものである。
その中でも特に面倒なのが「強力な論理型能力」「時空操作能力」そして「因果律操作能力」なのだが
更に面倒な事に、そういった面倒な能力の持ち主や彼らを従える程の有力者達は大きな面倒事に直面すると
それらの能力によって事象の解決を試み、そして面倒事を更に増やし何もかもをややこしくしてしまうのである―――

この話はそんな面倒な存在のうちの一つである、面倒な男の話である


「おー、ここが件の大会の開催地かー!とするとあそことかに居る奴も参加者なんかな?
いやー流石にどいつもこいつも一癖も二癖もありそうな奴ばっかだなー!」

首からペンダントをぶら下げた男が年甲斐も無くはしゃぎまわり大声をあげている
それを見ていた二人の男女が呆れた顔をしながら、はしゃぐ男に付いていく。

そして男の方は周囲の目を気にし、恥ずかしそうに手を顔に当てて隠しつつ
呆れながらも若干心配そうに、はしゃぐ男に対してこう言った。

「おいおい、兄ちゃん。そんな呑気な事言ってて大丈夫か?」

男は輝く銀髪、優美な顔立ち、透き通るような声
まるで思春期の若者が妄想する「カッコイイ」というイメージを
そのままこの世に映し出した様な美麗な出で立ちをしていた。

彼の名は矢塚 白夜(やづか はくや)、先ほど、はしゃぎまわっていた男の弟である。
しかし、この話が終わると彼の出番はほぼ無くなるので彼の事は覚えなくても良い。

「そーそー、一夜兄ちゃんなんかその辺の野良猫にも勝てるかどうか心配やわ」

女も白夜に取り次ぐように、はしゃぐ男に対して小言を言った。
彼女は一応笑顔を取り繕ってはいるが、本当の所は心の底から
呆れているといった風である。

彼女の名は愛頽 千夜(めで ちよ)、先ほどの二人の男の妹である。
この話が終わると彼女の出番もほぼ無くなるが、良ければ彼女の事は覚えておいて欲しい

「おいおい、お前らなんだそれは!白夜も千夜ももっと俺の事を信じようぜ!
折角今回の大会の為にわざわざ新しい能力も考えたんやしさ!」

そしてさっきまで田舎物のようにはしゃいでいた男。
彼の名は矢塚 一夜(やづか いちや)白夜と千夜の兄である。
一応この話の主人公と呼べる人物である。

そんな一夜に対して白夜が額に手を当て俯きながらこう言う

「まあでももしかしたら、万に一つ、万馬券を当てて更に宝くじで一等を当てて更に更に
夜店のクジ引きで最新ゲーム機を当てるくらいの幸運があれば、兄ちゃんだって優勝できるかもしれない。
それはまあ良いとしよう、だけどなあ何で俺達まで兄ちゃんと一緒にわざわざ過去に行かなきゃならないんだよ!」

白夜の言葉に千夜が反応して、笑顔を崩し険しい表情をしながら白夜に続いた

「そうそう!私達は一夜兄ちゃんと違って子供達の面倒見なあかんのに!心配やからはよ戻りたいねんけど!」

普段よっぽどの事が無い限りいつも笑顔な千夜が真面目な顔で
詰め寄ってくるのを見て、流石に一夜も少しは二人の怒りを察したのか
申し訳なさそうな笑顔で弁明を始める。

「まあまあ、まず千夜の件についてやけどこれは戻るときにこっちに来たときの
直後の時間に戻ればええだけやん?大丈夫、大丈夫!確かこっち来る前は
2016年の12月14日のー、えーっと午後2時くらいやったっけ?」

「14日じゃなくて、12月16日!」
「一夜兄ちゃん、ほんまに大丈夫なん?」

二人は怪訝な表情で一夜を睨む

「しかし、それならもしも兄ちゃんが死んだりしたら戻れなくなるんじゃ…
いや、過去に戻ったわけだから4年ほど待ってから家に帰ればいいのか。
…はあ、4年ってのは待つには長すぎる気がするが、どうにかなる…か。
もう兄ちゃんは心おきなく好きなだけ死んでってくれ」

白夜は何もかもを諦めたような表情でそう言いながら
近くにあったベンチに腰を下ろした

「だーかーらそんな事言うなって!いやほら!今までお前らには迷惑かけたやん?
だからそのお返しに折角兄ちゃんがカッコイイとこ見せたげようとしたのに応援くらいしてくれよー」

千夜は白夜の隣に座り
二人は無言で目を合わせ同時にため息をついた

「はあ、やっぱ兄ちゃんを復活させるんじゃなかったな」

「全く持って同感やわ…まあでも折角やし観戦と応援くらいしたげるわ
そん代わり!もしも、もし万が一、いや京に一つ!一夜兄ちゃんが優勝する事があったら!
そん時は賞金は私達三人で山分けな!」

「えー、まあ応援してくれるんならそれもいっかー、あ!余りの1円は俺の分ね!」

「1円どころか下から4桁分はもう全部兄ちゃんにあげるよ…
だからさっさと行ってさっさと負けて帰ってきて俺達を帰らしてくれ…
っていうかさ、人が結構多いから、そのあれなんだよ…」

白夜はばつが悪そうにそう言うと、おもむろにポケットからオイルライターを取り出すと
火を点けたり消したりを繰り返し始めた

「なんだ白夜、お前そのセーヘキまだ治ってないんか
ハハハっ、つうかセーヘキって言うかビョーキだな」

白夜の様子を見て一夜がなんとも癪に障る笑い方をしながらそう言った

「兄ちゃん、そう思うなら病気持ちの人間をからかうのは止めてくれよ」
「これでも昔に比べたら大分マシにはなったと思うけどなあ
はい、白夜兄ちゃん、これ」

千夜はそう言いながら鞄からガスマスクを取り出し白夜に渡した。
そして白夜はそれを手馴れた手つきで顔に装着する。

白夜は重度の人見知りであり人に見られたり、他人と接したり、人の多い場所に居たりすると
とてつもなく精神を疲弊する体質なのだが、何故かガスマスクを着用してるときだけ
常にどんな場所でも精神を平静に保つ事ができるのだ。
しかしこの事は忘れてくれて構わない、やはり彼はこの話が終わればもう出番なんてないも当然だからだ

「全く、いつ見ても丸っきり不審者だな」
「うるさいなあ、もうとっとと行けよ」
「ほら、昔はガスマスクでもこう、ずっぽり頭ごと被るやつやないとあかんかったやん?
でも今はこういう顔の前面に着けるやつでも良くなったんやしさ、それだけでもええやん
まあ、ガスマスクで白夜兄ちゃんのハンサム顔が見れなくなんのは残念やけど、ねー」

現在白夜の着けているマスクは出来るだけ見た人たちに不審感や不快感を与えないような
カッコ良いデザインであり尚且つ白夜からの視界も広く、快適な着け心地のものである
これは千夜が白夜の事を配慮してプレゼントした物なのだ
しかし、白夜の出番の終わりはもう既に目の前までやって来ている。
彼のガスマスクの設定はなんて物は、全く記憶に残さず忘却の彼方へと捨ててしまっていいだろう
だが、千夜の心優しい気遣いだけは彼女の出番が終わろうと、どうかずっと忘れないで欲しい

「はいはい、全く千夜はいつだって白夜の味方だな。
まあ俺はそろそろ受付とかしたりせなあかんから後は応援とかよろしく頼むわ」

「まあ一応頑張っとけ」
「はいはーい、行ってらっしゃーい」

二人は会場へと急ぐ一夜に愛想笑いを浮かべながら手を振った

「はー、しかしもし一夜兄ちゃんが死んだりしたら4年も待たなあかんのかあ…
なあ、やっぱ過去の自分とか身近な人とかに会ったりとか
未来に大きな影響を与える事をやらかしたりしたら未来が変わったりするんかな?」

「詳しい事は俺にも分からんが…ただ一つ言えるのは、『ここでの行動によって未来が変化する』にしろ
『ここが平行世界の過去であって、元いた未来には何も影響がない』にしろ
『ここでの行動によって未来が変化するが、それに伴い俺達の記憶が変化して結局未来が変化した事に気づかない』にしろ
『俺達が過去に行った事、過去での行動含めて全ては元から起こりうる運命であり、未来を変える事は不可能だった』にしろ――」

白夜はそこまで言うとどこか遠くを見つめ、一息ついてから続けた

「とにかく自分の身近な物に干渉するってのは『面倒な事』になるってのはほぼ確実だろうな…
特に過去の自分に会ってしまえば、頚動脈を切りつけてみたくなったりするか、決まりが悪い事になるに決まってる」

「そっか…」

二人は無言で青空を見つめ
大きなため息を吐き白夜がぽつりと呟いた

「面倒臭えなあ…」



(作中で一夜と千夜の関西弁がおかしいとお思いの関西人の方がいらっしゃるかもしれませんが
それは単に一夜と千夜自体の喋り方が元々おかしいだけであり
決して中の人が関西弁を間違ってる訳ではありません。ええ!ありませんとも!)



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