意志乃鞘

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dangerousss

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意志乃鞘(いしの しょう)

設定

背の高いモデル体型の女性。青みがかった長いストレートヘアーが特徴。
普段はあまり髪の手入れをせずボサボサで、鬱陶しい時は簡単に纏めているのだが、キメる時はちゃんとビシっとキメる。
授業中などは制服の上に白衣を着ているだけだが、放課後などにはスーツの上に白衣を着る。というか、白衣を翻すだけで制服からスーツに着替えている。謎の早着替え。
普段は裸眼なのだが、雰囲気を出したい時だけ眼鏡をかける。目はいいのでレンズの度は無い(その為眼鏡原理主義者からは敵視されている)

希望崎学園3年生。
「ヒーロー部」の創設者であり、部長。
幼い頃、魔人犯罪者に誘拐され命その他諸々がピンチだったのを、謎のヒーローに助けられたことによってヒーローに憧れるようになる。
混迷とした今の時代にこそ、正義のヒーローが必要だと考えているヒーロー厨。
一応思想としては「悪を挫き、弱きを助ける」典型的な正義ヒーローのものなのだが、その正義以外はやや軽視しがち。
正義のヒーローの素質があると(勝手に)判断した人物には「君も正義のヒーローになってみないか!」と勧誘する。勧誘というか、無理矢理引き込む。一応、あからさまな悪っぽい手は使わないが「いや、ヒーローはそんなことしないだろ!?」みたいな手段もいざとなれば使う。
あとやたらと浪漫を求めたがる。「いや、それしない方が強いんじゃね?」と指摘されても「かっこいい事の方が重要だ!」で押し切る。
本人の能力(身体、頭脳)自体は至って優秀なのでヒーロー活動に勤しむ彼女を「才能の無駄遣い」と揶揄する者もいるが、そも彼女はヒーロー活動の為に努力して今の能力を得たので、その言葉は当てはまらない。

子供のころからヒーロー番組を見て育ったような女子なので、恋愛などに関しては普通の女子よりやや疎い。
というか、ヒーロー的な壮大なラブロマンスがいいなぁと思ってる。でも自分は所謂「所長ポジション」なのでそういうのとは縁が遠いと諦めがち。

●ヒーロー部
希望崎学園のどこかに存在するという部。
鞘の「ヒーローの基地は秘密基地であるべき!」という考えから、部員以外はどこに部室が存在するかを知らない。というか、ヒーロー部の存在自体を知らない者の方が多い。
実際のところ、何かの同好会などにカモフラージュしてる可能性も高い。
鞘がカフェテリアで友人達と談笑してる姿がよく目撃されてるので、あるいは‥‥?

部員は様々。
鞘の思想に同感したもの。人体改造ができるならそれでいいと協力してるもの。拾われてなければ死んでいたもの。無理矢理引き抜かれてなし崩しに所属しているもの。敵対組織から逃れる為に所属したもの。
反旗を翻すつもり満々で所属してるもの(それはそれでヒーロー的においしいので鞘は放置している)
活動は基本的にヒーロー活動‥‥なのだが、「ヒーロー活動の定義ってなんだよ」と思ってる部員も多い。
その性質から、他の部や委員会などの活動を邪魔する時もあるので、恨まれているとかいないとか。

「ぶちょー! 抜け手芸部の人を勧誘するのはやめましょうよー!?」
「いや、門外不出の技術を得たが故に組織に追われる人物‥‥なんというヒーローに相応しい逸材! これは勧誘すべきだ!」

●所持武器
改造ペン。ペンだけどなんか殺傷力を持ってる。ビームとか出る。こわい。
あと、通信機ぐらいは持ってるよ。

●参加動機
ヒーローに相応しい人材を見つける為。
観戦で見つければいいじゃんと思われるが、やはり手合わせしてこそはっきりと素質が分かるらしい。
‥‥実際、無理矢理ヒーロー部に引き入れる為なのだろうけど。

●有名度
「優秀なんだけど変人」‥‥普通の学校ならば十分有名になれる度合いだが、希望崎なのでどうだろうか。
まぁ、あくどいことをしてる人物なら「えぇい、またヒーロー部か‥‥! 邪魔しやがって!」と、ある意味有名かもしれない。
彼女の魔人能力は基本的に他ヒーローを活躍させる為に使っているので、ヒーロー補正はそのヒーロー自身の能力だと誤解される事が多い。
とはいえ、別に隠してるつもりはないので、知っている人は普通に知っているだろう。

●身体能力
武人系極人>>武人系達人>>武人系修得者≧鞘の戦闘力>武人系かじり立て>>>戦闘技術無し
戦闘向きではない魔人や、戦闘技術を習い始めた魔人ぐらいには勝てるけど、ちゃんと学んだ相手にはいい勝負かやや劣る程度。
達人クラスが相手になると、能力や状況を駆使してうまく立ち回らないと難しいレベル。
スポーツなどの身体能力も万能優秀だけど、その道のレベルには敵わないレベル。

魔人能力『HERO DESTINY』

対象の人物1人(自分含む)に「ヒーロー補正」を付与する能力。
補正を付与されたキャラは、熱く燃えるシチュエーションだったり、逆境だったりするとヒーローらしく攻撃力や防御力などが増大する。
ただしヒーローらしくない行動(騙まし討ちや人質を取る等)だと逆補正がかかってしまう。
(但し、「卑怯番長」のように「卑怯であることがかっこいい」ヒーローならば、ちゃんとヒーロー補正がかかる。つまるところ、かっこよければそれに相応しい能力が得られるってことさ!)

●能力原理
鞘のイメージである「ヒーローの戦い」を魔人能力で現実にする為に目覚めた。
彼女が言うには「ヒーロー力」というものが作用するらしいが‥‥。「中二力」などとの関係は不明。

●特殊能力具体例(威力増大例)
  • ライバルキャラとの決着の時!
→攻撃&防御上昇小

  • 主題歌がBGMとして流れる
→攻撃力上昇大

  • 説教タイム→「お、お前は何者だ!?」→「通りすがりのヒーローだ!」
→攻撃力&立ち回り力上昇大

  • 先輩‥‥! あなたの魂は私が受け継ぎます‥‥!
→攻撃力上昇特大

  • 相手を宇宙に打ち上げて、ロケットドリルライダーキック(主題歌BGM付き)
→一・撃・必・殺!

プロローグ

希望崎学園、カフェテリア。
 青空の下、少女がコーヒーを一口啜ってから、テーブルに広げているノートパソコンのキーを叩く。
 学園の生徒らしい彼女は、生徒らしく制服を着ている。が、この場にはまったく似つかわしくない白衣をその上に纏っていた。
 更に長く伸ばした青みがかった髪は手入れがされていないようでボサボサであり、紐で簡単に纏められているだけ。ついでに眼鏡もかけており、まるで何かの研究者を思わせる風貌だ。
 彼女の名は『意志乃 鞘(いしの しょう)』――研究者でもなんでもない、ヒーロー部の部長である。
 そんな彼女が優雅なコーヒーブレイクを嗜んでいる席に、1人の少年が相席の確認も取らず、当たり前のように座った。
「っつーことで部長さんよ。頼まれた仕事はちゃっちゃと終わらせてきたぜ」
「うむ、ご苦労だったな」
 やはり希望崎学園の生徒らしい、制服を纏った背の高い比較的がっしりとした体格の少年。顎鬚や顔の雰囲気から、高校生よりもう少し上の年代にも見える。
 鞘を部長と呼ぶ彼は、やはりヒーロー部の部員である。その名も『天超 希人(てんちょう きびと)』‥‥ヒーローとしての名をリ・ホープという。
 魔人として覚醒した時、己の魔人能力に耐え切れず死にかけたところをヒーロー部に救われ――とはいっても、人体改造によってだが――ヒーローとして活動することになった苦労性の人物である。
 彼がヒーローになってから、数々の戦いを繰り広げたりしたのだが‥‥ここでは関係ないことなので割愛する。
 希人は乱暴に足を組むと、テーブルに頬杖をついて鞘の方に冷ややかな視線を送る――が、鞘は気にした様子もなくノートパソコンを叩くだけだ。
 そんな、ある意味いつも通りの様子に希人はため息を吐くと、やれやれといった様子で終わらせた仕事についての不満を述べる。
「‥‥終わらせたことはいいんだけどよ。転校生に新しい能力を覚えさせることのどこがヒーローの仕事なんだ?」
「うん? 後輩の指導もまたヒーローの仕事だろう?」
「後輩って‥‥あいつは転校生じゃねぇか」
「そうだな。だが、それとヒーローは両立しないわけではない。‥‥木下鏡介に熱い魂はあったか?」
「まぁ‥‥あったといえばあった、かな」
「なら、彼をヒーローとして勧誘するのもまた良し、だろう」
「え、えぇー。大体、あいつ不良にボコられるような転校生だぞ‥‥?」
「はっはっは、希人君も見識が狭いな。変身前は一般人にすら劣るが、変身後は大活躍――これもまたヒーローもののテンプレだぞ? 加えて、転校生という特別なポジションもまたおいしい設定だな」
「あー、分かった。もういい。もう勧誘でもなんでも勝手にやってくれ」
 自分が何を言っても鞘が考えを改めることはないだろう。そう判断した希人は手を軽く振って話を切り上げるジェスチャーをする。それに、これ以上話してまた面倒に巻き込まれたら敵わない‥‥というのもあった。
 鞘はこれに対して何かを言うこともなく不敵な笑みを見せるだけだ。元より、勝手にするつもりなのだろう。
 余計な話をして薮蛇になる前にさっさと退散しよう‥‥そう判断した希人が腰を浮かそうとした時、それを制するように鞘が口を開いた。
「それよりも、だ。ちょっと面白いものを見つけたんだが」
「げ」
「その不満そうな声は無視させてもらうぞ。これを見ろ」
 ノートパソコンをぐるりと回転させて、モニターを希人にも見えるようにする。モニターに映っていたのは、ネットでのイベントの告知のようであった。
「あー‥‥ったく。なになに、『SNOW-SNOWトーナメントオブ女神オブトーナメント ~「第一回結昨日の使いやあらへんで!チキチキ秋の大トーナメント」~』‥‥ンだこりゃ?」
「ちゃんとイベントの概要も書いてるだろう」
「暗に読みたくない関わりたくないって言ってんだよ、言わせんな恥ずかしい」
 渋々表示されたサイトに書かれた情報を読む希人。そこに書かれていたのを簡単に纏めると「魔人達でタイマントーナメントしようぜ!」というものであった。
 大体を把握した希人は、背に冷たいものを感じた。嫌な予感が汗となって流れ出したのだ。
「‥‥おい、まさかこれに出ろとか言わねぇだろうな?」
「先の予算会議では十分な予算が獲得できなくてなぁ‥‥」
「そんなの知らねぇよ!? 会議で予算を勝ち取るのは部長の仕事だろ!?」
「む、そう言われては返す言葉も無いな。‥‥まったく、あそこで風紀委員どもの横槍が入らなければ‥‥」
 ぶつぶつと何か愚痴をもらす鞘。どうもヒーロー部はその活動から他方に恨みを買いやすいらしい。正義のヒーローがそれはどうなのかという気もしなくはないが、そも生徒会と番長グループといった組織がある以上仕方ないのかもしれない。
 鞘はコーヒーを飲み干すと、やれやれといった様子で立ち上がる。
「仕方ない。このイベントには私が出ることにしよう」
「へ?」
 予想外の言葉に呆ける希人に、ニヤリと豪胆な笑みを見せると、鞘は白衣を翻す。
 すると、白衣を翻しただけなのに、今まで着ていた制服ではなくいつの間にかスーツに着替えており、ボサボサだった髪は枝毛一つない綺麗なものになっていた。
 スーツの上から白衣を再び羽織ると、かけていた眼鏡を白衣のポケットに入れる。ちなみに伊達眼鏡であり度は入っていない。
「‥‥いつ見ても理解できねぇ早着替えだな」
「ふふん、コスチュームチェンジはヒーローの基本だろう?」
「って、問題はそこじゃねぇ。‥‥本当にあんたが出るのか?」
「おや、心配してくれてるのか?」
「うっせぇよ」
 天超 希人君。なんだかんだで正義のヒーローらしく、根はいい人だったりする。
 そんな彼の優しさを理解し、だが鞘はこれは部長の仕事だと胸を張る。
「何、これでも私はヒーロー部の部長だ。‥‥容易く負けはしないつもりだ」

「あと、手合わせすることでヒーロー候補を勧誘できるかもしれないからな」
「それが本音じゃねぇの!?」


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