ヴィネガー・ドッピオ

登録日:2011/11/18(金) 18:35:27
更新日:2024/02/01 Thu 05:30:03
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とうおるるるるるるるる、とうおるるるるるるるる


......もしもし、はい ドッピオです



ヴィネガー・ドッピオとは、漫画「ジョジョの奇妙な冒険」の第5部「黄金の風」に登場するキャラクターである。

CV:宮本充(ゲーム版黄金の風)/石田彰(オールスターバトル)/斉藤壮馬(アニメ版黄金の風)


【概要】

マフィアの抗争を描く第五部ではサイコなキャラクターが多いが、ドッピオ本人はマヌケとも言える行動で異彩を放っている。
例えば
  • タクシーでぼったくられる
  • 道路に飛び出した子どもを助けようとしたら自分だけ轢かれる
  • 突然感情の無い表情で「とぅるるるるる」などと叫び出す

すっとろいが憎めない、奇妙な愛嬌のあるキャラクターである。























くそやかましいぞ!!

さわってんじゃあねえ─────ッ

見てどおすんだよ あああ!!

これからおっ死ぬてめ──がよォォォォォ─────ッ


その正体は、パッショーネのボスであり第5部のラスボス・ディアボロのもう一つの人格。

普段は正体を隠すディアボロの隠れ蓑として機能している。


●目次

【性格】

気弱な性格の少年で、ぼったくり運転手にも強く抗議できないほどではあるが、自身の正体に迫られると一変。
ギャングらしい荒々しい言葉遣いになり、目玉をくり抜こうとするなどの凶暴性を見せる。
またスタンド使いの攻撃により窮地に陥ってもディアボロの人格に影響されるのか、性格や言動が極めて荒っぽく残虐に変わる。

ディアボロに絶対の忠誠を誓っており、彼の忠実な部下として接し、振る舞っているが、
戦闘中に気が急いて「慎重に戦え」というディアボロの忠告を無視して強引に攻めた結果、ディアボロの危惧通り相手の策に嵌って窮地に陥ったり、
緊迫した状況下でディアボロから「電話」をかけられ、危機感と焦りから取った瞬間キレてしまったりする場面もあった。

容姿は細身の子供でありディアボロとは似ても似つかないが、ディアボロの人格が表層化すると年齢が変わって筋肉質な体になり、身長も伸びる。
また声質も低く男性的なディアボロとは異なり、少年的なやや低めの声をしている。メディア作品だと「黄金の旋風」の宮本充氏を除き、それぞれ別の声優がディアボロとドッピオを演じている*1


ドッピオ自身は、「自分は「ボス」(ディアボロ)に信頼された部下である」と思っており
自身がディアボロのもう一つの人格であることや、彼と一つの身体を共有していることには全く気付いておらず、意識内で会話することはできない。
上記の通り、人格がディアボロに変わっている間はドッピオの意識は完全に失われるため、その時の記憶は完全に失われている。
更にディアボロに関することを(間接的にでも、相手に敵意がなくとも)聞かれた時には激昂して凶暴になるが、正気に戻った後は凶暴化していた時の事を覚えていないことが多いことから、
正体に迫られそうになってドッピオがキレた後、徐々にディアボロの意識が現れてくるのだと思われる*2

スタンド能力は持っていないが、ディアボロの『キング・クリムゾン』を限定的に使用することができ、その関係上スタンドも知覚可能。
戦闘では『キングクリムゾンの腕』で攻撃を、『墓碑銘(エピタフ)』で予知能力を使うことが可能だが、キングクリムゾンの全身を具現化させたり『時を消し飛ばす能力』は使えない。
そのため、自分の負傷等の『時を消し飛ばす』ことでしか対処できない予知をした場合は、ディアボロが表層化するしかない。



ディアボロとドッピオの会話は「電話」を用いて行われる。
基本的にドッピオの側から「電話」をかけることはできず、ディアボロから会話が必要な時に「電話」をかける。
しかし、その「電話」の描写はかなりシュールであり、ファンにはよくネタにされる。


「電話」がかかってくると、ドッピオが突然真顔で「とぅるるるるる」と口走り、その後「どこかで電話が鳴ってるぞ!」と言い出す。
当然ながらその「電話」の呼び出し音はドッピオの頭の中にしか聞こえていないため、
周囲からは「電話の呼び出し音を自分で口走りながら電話を探す変な奴」にしか見えず、不審がられる。
※なお、飛行機で隣の女の子からおもちゃの電話を借りた際には、女の子が通話後も割と普通に接しており、周囲の客もドッピオのことを不審がる素振りを見せていないことから、
元々電話の形をしているものを手にしている際に「電話」が掛かってきた際には、呼び出し音を口走るなどのプロセスは省略される可能性がある*3

そんな周囲の目など気にしないドッピオは、やがて呼び出し音に導かれて「受話器」を見つけ出し、会話を始める…のだが、その受話器もおかしい。


本編での受話器(電話)一覧

  • ストラップ
何かのキャラクターストラップ。
タクシーの中に付いていたものを千切って通話し始めた。当然気味悪がられる。

  • カエル
その辺にいたカエル。握りしめられているのですごく苦しそう。携帯電話としての役割を終えた後はメタリカの能力の犠牲になった。合掌。

  • タバコの吸殻
浜辺にある岩の下敷きになってた吸殻。小型軽量のわりに頑丈に出来ているらしい。

  • アイスクリーム
観光客らしき女性達が食べていたものを奪い取った。
当然ながらドッピオの側頭部にはアイスがべったり付いたが、それも認識していないようだ。

  • 玩具の電話
飛行機内で幼女が持っていた玩具。ドッピオは紳士的(正しい意味で)に借りた。

  • コードの切れた受話器
コロッセオに向かうときにカバンの中に入っていた受話器。

  • 本物の携帯電話
シルバー・チャリオッツ・レクイエムの能力で朽ち果てるだけのブチャラティの肉体に精神が飛ばされた際に使った、彼が持っていた携帯電話。


……と、どう見ても電話に見えないものすら電話と見間違え、通話している設定で話すため、傍目には完全にヤバい奴である。
実際にアニメで見た場合その見た目の不自然さは更に増している。斎藤氏がやたら高い声で口走ることもありとてもシュール。
並べてみると、回を重ねる毎にだんだんと本物の電話に近づいていっている点も興味深い。

ちなみに、「電話」がかかっている間、ドッピオ本人はその対象物が電話にしか知覚できなくなり、「電話」が終わると認識が正常化する。
ドッピオがいつまでたっても「電話」を不審に思わないのはこの知覚と認識の変化が原因。



【経歴】

本編中に肉体の主導権を握っているのはディアボロだが、どちらが本来の彼の人格なのかは不明。
断片的に語られた過去の彼の人物評には、臆病で鈍臭い性格その裏から突然現れた残酷無比な性格が同居しており、いつどちらが現れたのかは判断がつかない。

出生

女子刑務所に収監された女囚より誕生する。既に2年以上収監されていたこと、看守に至るまで男性がいなかったことからミステリーとされる。
母親曰わく、妊娠したのは2年以上前とのこと。父親はすでに病死している。

青年期

サルディニアのある村の神父に引き取られ育つ。周りからは「臆病で鈍臭いがさっぱりした性格」との評判だった。
彼がエジプトで遺跡発掘のアルバイトをする中で「矢」を発掘。ここでスタンド能力に目覚める。
彼の隣の部屋の床下から生きたまま埋められている母親が発見される。村を焼いて自らの死を偽装する。


終盤、レクイエムの能力で魂が入れ替わる際、一つの体の中にドッピオとディアボロの二つの魂を持っていたことで、
人格はそれぞれ ドッピオ(体はブチャラティ) と ディアボロ(トリッシュに憑りつく) に分離。

その時点でブチャラティの肉体は既に死にゆく状態にあり、とどめにミスタの発砲を受けドッピオはそのまま死亡した。
最期の言葉から察するに、彼はボスが自分の中に居るもう一つの人格だったことを知ったのかもしれない。



【考察・主人格はどちら?】

本来多重人格者の人格は、元々の人格である「主人格」と、そこから分離した「交代人格」に分類されるのだが、
劇中では最後まで、どちらの人格が「主人格」であるのかは明かされずに終わった。
そのため、ファンの間では「彼らのどちらが主人格なのか」という考察・議論がよく交わされている。

主人格ドッピオ説

彼の過去では「臆病で鈍臭い」と、正に彼のことを言ったような表現がなされている。
ディアボロが主導権を握っているのも、多重人格は幼少期のトラウマなどで精神の一部が乖離を起こし、それが他人格(交代人格)になるとされることから、
何らかの要因で凶悪な人格(一面)が生まれた、あるいは元々「臆病で鈍臭い」「冷徹で凶悪」という強烈な二面性を隠し持っており、
それがある時、凶悪な方の一面が乖離してディアボロという他人格となり、その際に肉体の主導権とそれまでの記憶を奪われたとすれば、
「ディアボロの方が肉体の主導権を握っている」「トリッシュの母親と交際していた時などの過去の記憶がない」ことへの説明が一応付く。

また、シルバー・チャリオッツ・レクイエム発動時にディアボロが能動的に他人の身体にとり憑いている、
(中盤まではボスの顔を描けないという作劇上の都合もあったかもしれないが)キング・クリムゾン自身がディアボロとして話している描写など、
ディアボロは本来魂だけの存在(後から作られた人格)とも取れるシーンも根拠として挙げられるが、前者についてはジョルノに多重人格故の特技と言われている。
また「多重人格者である自覚がない」というのは解離性同一性障害における主人格の特徴である。


主人格ディアボロ説

出生時の名前はディアボロであり、生年と年齢が合うのもディアボロの方である。
自身が暮らす教会の地下に声を出せないように母親の口を縫い付けて生き埋めにする、それを見た養父である神父を母親諸共村を巻き込むような火事を起こして殺害する等、
「臆病で鈍くさいがさっぱりしている」という他人評からは想像できない所業を15年前、つまり“パッショーネ”を設立する前から行っていることから、
主人格はディアボロで、かつては自分の本性を隠すべくドッピオのような人物像を演じていた(もしくは何らかの要因で性格が変わった)が、
演じていた人物像が独立したもう一つの人格として生まれ、自らの隠れ蓑および信頼できる部下として扱っていた…ということも考えられる。

また、スタンドが発現したのが『矢』を発掘したタイミングだとすれば、少なくとも偽名を使ってドナテラと付き合っていた時より後ということになるが、
ドッピオが表層化している時にはトリッシュが父親の気配を感じ取れなくなることを踏まえると、故郷でドナテラと付き合っていたトリッシュの父親はディアボロである。
作中でもかつて母親にしたような縫い方で少年の口を縫っているため、発掘した『矢』でスタンドを発現したとするなら、キング・クリムゾン=ディアボロ説は時系列的に破綻する。


生まれつき二つの人格が存在していた説

生まれつきの「主人格」とそこから分離した「交代人格」を内包する一般的な多重人格者とは異なり、
彼らは最初から二つの人格を宿して生まれてきたのではないかとする説。
というのも、彼(ら)の母親は、父親と思われる男性と性的接触があってから二年間ディアボロを妊娠していたと主張しているが、これは一般的な妊娠期間のほぼ倍である。
この奇妙な長さの妊娠期間が、彼女の子が先天的に二つの人格…魂を宿していたことの暗示なのかもしれない。
少年期から、周囲からはドッピオめいた人柄と認識されながら、裏では母親を床下に監禁するなどの常軌を逸した凶行を働いている二面性も、
幼少期から大人になるまで、二つの人格が出現頻度を変遷させながら共存していたからではないかと考える事もできる。

ただ、生まれつき二つの人格があったのなら、ドッピオに「ボス」のもう一つの人格という自覚がないのはともかく、
自分が二重人格者である疑いを持っている描写が欠片もないのは少し不自然である。
たとえば幼少期から交代していたのなら、度々意識と共に時間が飛ぶ感覚に見舞われていたはずである。
一方で、本当に生まれつき二つの人格を宿して生まれたのであれば、ドッピオにとって度々それらの感覚に見舞われるのは「当たり前」だったと考えられ、
「理由は分からないがそういうこともある」と受け容れていた、あるいは「誰しもにそういうことが起きる」と勘違いする等で、
自分が多重人格者ではないかと疑いを持つ以前に、その感覚が本来異常とすら思わなかった可能性もある。
「電話」の際の認識異常など、ドッピオが時に常人とは違う、誤った物事の捉え方をする事自体は作中でも描かれた事実であり、
あるいはそもそもそういった違和感を覚えられない精神構造だったのかもしれない。


【余談】

パッショーネの関係者の名前は基本的に「料理・食材の名前」が由来となっている。
姓の「doppio(ドッピオ)」はイタリア語で「二重」を意味する単語だが、これは通常の倍の量の豆を使って抽出した濃いエスプレッソコーヒーを指す言葉でもある。
ディアボロとの「二重」人格であることを暗示するネーミングなのだろう。
名の「ヴィネガー」は日本でもお馴染みの調味料の酢という意味だが、特に果実を使って作られる西洋風の酢を指す。



確かにそこにいるのなら・・・ボス
完全にぼくたちの勝ちだ!

フフ・・・フ

でも・・・さびしいよォォォォ・・・ボス

いつものように追記・修正してください・・・

待ってます

追記・・・修正・・・

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最終更新:2024年02月01日 05:30

*1 ちなみに宮本氏は見事に声質の異なる二人を演じ分けている。

*2 占い師にその素性を知られそうになってキレた際には、精神に同調するかのように身体も徐々に変化している。

*3 女の子のごっこ遊びに付き合ってあげる優しい少年と思われたのかもしれない