遊戯王

登録日:2011/02/04(金) 22:50:27
更新日:2024/03/23 Sat 13:12:30
所要時間:約 5 分で読めます



この記事では漫画『遊☆戯☆王』について解説しています。
1998年に放送されたアニメは『遊戯王(東映版)』、2000年に放送されたアニメは『遊戯王デュエルモンスターズ』、
バンダイより販売されていたTCGは『遊戯王(BANDAI版)』、コナミから発売されているTCGは『遊戯王オフィシャルカードゲーム』で解説しています。



概要

『遊☆戯☆王』は、1996年から2004年まで週刊少年ジャンプで連載していた作品。作者は高橋和希
コミックスは全38巻で累計発行部数は4000万部。小説と公式ガイドブックも出た。
続編として世界観に関連がある『遊戯王R』、『遊戯王GX』、『遊戯王5D's*1
新しい世界観で構築された『遊戯王ZEXAL』、『遊戯王ARC-V』、『遊戯王VRAINS』、『遊戯王SEVENS』、『遊戯王ゴーラッシュ!!』がある。

作品のコンセプトは主人公が人を殴らないバトル漫画。いわゆる知能戦やデスゲームもの。
ただ、ごく稀に拳・ジュラルミンケース・デュエルディスクなどで人を殴っている。
テーマは友情、愛、自立。

手塚治虫の「三つ目がとおる」を意識した連載初期は人気がよろしくなく、幕張が暴走しなかったら打ち切りだった。
厳密に言えばシャーディー編の人気のなさが酷かったのが実情だとか。
しかし作中のカードゲーム「マジック&ウィザーズ」(M&W)は特に好評で、
テコ入れとしてM&Wを中心とした路線に変更すると人気が爆発、週刊少年ジャンプの代表作の1つになっていく。
また、それをベースとした遊戯王オフィシャルカードゲーム(遊戯王OCG)は世界で大ヒットし、ギネス記録も樹立した。

よく間違われるが上記のとおり元を辿れば玩具販促のコミカライズ作品ではない、TCG界隈では割と異色な経歴の持ち主だったりする。
その為、
  • 《ブラック・マジシャン》や《青眼の白龍》等の初期モンスターのステータスが未だに一定の基準になっている*2
  • カードの効果やルール通りに進行させずに劇中のハッタリや勢いで進める(一応、ルールやカード効果の説明はされている)
  • そもそも、OCGと細かいルールが異なる(OCGで出来ないことが出来たりする)
  • 漫画(アニメ)オリジナルのカードが大量に登場する
  • そのオリジナルカードがOCG化されると、カード効果が劇中と別モノに変更される事がある(強力過ぎるカードや効果処理が複雑なカードに多い)
といった特徴があり、アニメにもこういった特徴が引き継がれている。

連載が続くにしたがって劇画寄りだった作者の画風ががより少年漫画向けに洗練され、その画力で描かれた種類を選ばないキャラクターや少年漫画らしい熱い展開からも好評。
…なのだがほぼ毎話何かおかしい所があり、それらは遊戯王ではよくあることとしてネタにされている。人気上昇の要因かもしれない。


★あらすじ

ゲーム好きな気弱な少年、武藤遊戯は、ある日「絶対に解けない」とされていた古代エジプトのパズルを完成させる。
パズルに封印されていた古代王の魂は、遊戯のもう一人の人格「闇遊戯」となり、
遊戯の周囲にはびこる悪人たちを「闇のゲーム」で裁く正義の番人となった。
さあ、闇のゲームの始まりだ…!

…という漫画だったハズだが、先述の通り途中からカオスなカードゲーム漫画になってしまった。
たかがカードに敵はやたらと命を賭けたがるし、闇遊戯はそれに応じて勝手に相棒の命を賭けてしまう
マインドクラッシュの結果明らかに精神崩壊が悪化したライバルはワハハハハ!!と高笑いし、
じーちゃんはやたらとさらわれ、胡散臭い外国人や顔芸がラスボスとして立ちはだかる。
カードゲームを何か勘違いしているとしか思えない世界で遊戯はなんやかんやで優勝をおさめ、
闇遊戯の記憶を探しだし、闇遊戯をカードゲームで冥界へと送り出すのであった…
作中のカードゲーム自体、エジプト由来かつカードデザイナーが千年アイテム所持者という設定であるため、
カードが何かしらの力を持ったと解釈できなくもない。それでもおかしい箇所はおかしいが。


★用語

エジプトで見つかったパズル、秤、錠、リング、眼、首飾り、錫杖の7つの道具。
それぞれ異なった力を持ち、所有者を選ぶ。
7つ集めると何かが起こる。

  • マジック&ウィザーズ(M&W)
インダストリアル・イリュージョン(I2)社が作り出した大人気カードゲーム。
作中の他のゲームと同様に滅茶苦茶な部分が多いがどれも遊戯王ではよくあること。

またの名を「三幻神」。
扱う者次第で善にも悪にもなる3枚のカード。
その力は機械を破壊し人を廃人にさせる。何故作った。


★主要登場人物


+ 長いため折りたたみます
本作の主人公。
気弱な少年だったが様々な経験を重ねて成長していく。
ゲーム版ではよく弱い相手として扱われているが作中の彼は十二分に強い。

遊戯が千年パズルを完成させた事で現れたもう一人の主人公。
基本的にはこちらの遊戯が活躍する。
連載初期はサディスティックな性格をしており、
闇のゲームの敗者に「罰ゲーム」の名目で相手を爆発させたり精神崩壊させたりしていた。

遊戯の祖父。通称「じーちゃん」。
今はしがないゲーム屋の主人だが、かつては不敗のギャンブラーとして知られていた。
やたらと囚われのじーちゃんを遊戯が助けに行く展開が多く、「遊戯王の真ヒロインはじーちゃん」というのはデュエリストの常識である。

義理人情を重んじ、喧嘩の強い遊戯の親友。通称「凡骨」。
最初は遊戯が嫌いだったがある一件を機に仲が深まる。
デュエルでは主にギャンブルカードと戦士族を使用する。
王国編で手に入れた「真紅眼の黒竜」はやがて遊戯との友情のカードになる。
また、似ても似つかないとても可愛い妹がいる。

遊戯の幼なじみでダンサー志望。海外で勉強するためのお金をバイトで貯めている。
本作のヒロイン…になるはずだったが、じーちゃんとBMGにヒロインの座を奪われた哀れな女の子。
闇遊戯に惚れているが、デュエル脳の王様には女心が通じず。

角刈りが特徴的な遊戯の親友。
城之内とよく絡むが中学時代はビビっていた。
城之内と並ぶリアルファイト要員だが、カード漫画化以降は背景に。
観戦中は杏子や城之内に比べると現実的な意見を述べることが多い。

TRPGが大好きな美少年で千年リングの所有者。
表遊戯ともども闇人格に存在感を食われ徐々に出番が減る。

千年リングに潜んでいるもう一人の獏良。
凶悪な性格であり、千年アイテムのために暗躍する。

父の復讐とゲーム王の称号のために自らが作ったゲーム、DDDで遊戯と勝負した同級生。
以降も一応ついてきたが、急速に空気となり、解説・リアクション役に。

海馬コーポレーション(KC)の社長で遊戯のライバル。一応同級生。
通称カードの貴公子。魂のカードはご存知「青眼の白龍」。
当初はどんな手を使ってでも目的を達成しようとする陰険な性格であり、弟に平然と罰ゲームを仕掛ける鬼畜だった。
だが、王様のマインドクラッシュを食らい心を再構築。
よく知られている尊大な性格になって復活し、ついでに大幅にガタイが良くなった。
そのセンス、発言、行動の何もかもが凡骨には理解出来ない境地に達している。
バンダイ版は本田に負ける。

瀬人の弟。兄を兄サマと呼んで慕っている。
最初は細工を施したゲームで遊戯を殺そうとするクソガキだった。
海馬復活後はなぜか彼の精神もウォッシュされ、きれいなスーパー小学生に。
彼を侮辱する事はKCを侮辱するに等しい。

元は豪華客船のカジノでディーラーをしていた女決闘者。
ボインでパツキンのゲロマブなねーちゃん。
切り札は「ハーピィ・レディ」であり、それをサポートカードで強化する戦術を行う。
城之内に対して素直になれない。
闇マリクに電気責めされたり蟲責めされたりする人。

I2社の社長でM&Wの産みの親、そして千年眼の所有者デース☆
KCの影の重役ビッグ5と組んで私だけのカードを使ってでも遊戯ボーイを倒そうとしマス…
項目閲覧に注意して下サーイ☆

世界中で暗躍するレアカード窃盗集団、グールズの首領で千年ロッドの所有者。
墓守の一族の末裔であり、ファラオである闇遊戯を憎んでいる。

マリクの姉で千年タウクの所有者。
海馬に神のカードを託し、弟であるマリクを止めようとする。

  • シャーディー
千年秤と千年錠を持つ謎の男。
他の所有者と度々関わる。


★アニメ

1998年と2000年にテレビアニメ化。

前者は通称「東映版」「テレ朝版」や「初代遊戯王」などと呼ばれており、
連載初期のアニメ化で人気がないわけでもなかったが、裏番組がYAT安心!宇宙旅行だった事もあり2クールで打ち切りに。
しかし、続編が東映まんがまつりの一本として映画化している。

後者は『遊戯王デュエルモンスターズ(遊戯王DM)』というタイトルでカードゲームに特化。
原作の省略や改変、(東映版と比較して)声優の変更を惜しむ声もある一方で、世界的に人気を獲得、現在までシリーズ化されている。
声優についても、こちらの方が馴染みがあるという人も少なくないだろう。
《狂戦士の魂》など有名なエピソードも多い。
『遊戯王DM』の設定を下敷きにした劇場版が二作制作されている(1つは海外制作)。
シリーズ一覧については こちら を参照。

2016年にも映画化
原作の設定を下敷きにした内容だが、『遊戯王DM』の声優陣およびスタッフが集結しており、『遊戯王DM』を彷彿とさせる要素もある。
詳細は項目を参照。


★TCG

原作に登場した「マジック&ウィザーズ」をベースとして制作されたTCG。
バンダイ版とコナミ版の二種類がTCGとして販売されている。


遊☆戯☆王カードダス

バンダイが1998年から1999年に販売していたTCG。
ルールの整備がまだ甘く、ごっこ遊びとしての側面が強い物であった。
未だに愛好家も多いが、コナミ版との互換は無い。


遊戯王オフィシャルカードゲーム

コナミが1999年より発売しているTCG。「遊戯王カード」といった場合は、こちらを指すことが多い。
『遊戯王DM』放送に先駆けて発売され、遊戯王の人気を盤石の物にしたカードゲーム。
紆余曲折を経ながらも、ルールを整備していき、国産TCGの代表格にして世界で最も売れたTCGに上り詰めた。
詳細は項目を参照。


★小説版

ジャンプコミックスは多少人気が出るとノベライズ化をする傾向にある。
勿論遊戯王も例に漏れず小説となった…が、元が元なので非常にツッコミどころのある作品に仕上がっている。
例えば…。

  • どこにでもあるような町、童実野町。どこにでもあるような学校、童実野高校。

冒頭からこれである。あんなスラム街一歩手前の町と学校がどこにでもあってたまるか。


  • (牛尾)「お…お前は一体誰だ!?」(遊戯)「遊戯王

この小説での闇遊戯はそう呼ばれず、タイトルの遊戯王を名乗る
ちなみに地の文も以降遊戯王と書かれる。

  • 「そう ハイパー海馬とでも読んでもらおうか!」 サイバー海馬はそう言い放った。

せっかくかっこいい名前を名乗ったのに次の行の地の文では別の呼び方をされるというシュールな展開となった。
なお、サイバー海馬という奇怪な呼び方も自称。
発言者は海馬コーポレーションの重役がマインドクラッシュされた社長の会社機能を維持するために作り出したロボットである。
その後テンションが上がりきり「ハイパー海馬」と名乗るも地の文では淡々と「サイバー海馬」として書かれ続けている。

しかし「すぐ暴力を振るう一匹狼という理由で城之内はかつて孤独だった。本田も同じ。
孤独な狼同士がつるむようになって、少し丸くなったのがこの頃の二人だ」と言う風に粋な言い回しも多い。
他、「忠実なロボットしか部下がおらずに孤独なモクバ」「海馬は言うなれば暴君だが、戦い方には王者の風格があった」と独特の視線で語られており、単純に小説としては面白い。
更に上記でネタにしたもののサイバー海馬が出てくるオリジナルストーリー『機械仕掛けの巨人』は読み応えある内容なので、どこかで見つけたらぜひ手にとっていただきたい。
ちなみに小説の最後の方にはOCGのカードを使ったコンボ集が掲載されているが、現在はともかく当時としても使えたかどうかは…。


追記・修正、スタンバイ!

この項目が面白かったなら……\ポチッと/

+ タグ編集
  • タグ:
  • 漫画
  • 遊戯王
  • 遊戯王シリーズ
  • 週刊少年ジャンプ
  • 高橋和希
  • 集英社
  • TCG
  • カードゲーム
  • ジャンプ独占
  • 友情
  • カオス
  • 名作
  • 俺ルール
  • リアルファイト
  • モンスター育成ゲーム
  • 98年春アニメ
  • 00年春アニメ
  • なぁにこれぇ
  • 伝説の始まり
  • 原点にして頂点
  • 汚い大人の見本市
  • 心理戦
  • 駆け引き
  • 三つ目がとおる
  • 敵も味方も変な奴
  • 資料集
  • TRPG
  • 頭脳戦
  • 画力変化
  • 画力に定評のある漫画
  • アメコミ風
  • M&W
  • 魔太郎がくる!!
  • 笑ゥせぇるすまん
  • 闇のゲーム

このサイトはreCAPTCHAによって保護されており、Googleの プライバシーポリシー利用規約 が適用されます。

最終更新:2024年03月23日 13:12

*1 ただし、原作とアニメ版『遊戯王DM』は一部展開が異なっており、原作の設定をそのまま引き継いでいるのは『遊戯王R』のみである。『遊戯王GX』と『遊戯王5D's』は『遊戯王DM』の設定を引き継いだ、いわばパラレルワールドといえる存在になっている(ただし明言はされていない)。

*2 主人公とライバルのエースモンスターに顕著であり、一種の伝統となっている。また、OCGにおいてもブルーアイズを超える攻撃力の通常モンスターは登場していない(同等のカードは存在する)。