複合タイプ(ポケモン)

登録日:2011/04/28 Thu 16:33:19
更新日:2024/04/04 Thu 17:07:35
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概要

ポケットモンスターシリーズにおける、1匹で2つのタイプを複合して持っているポケモンの事。
異なるタイプが混ざることで独自の相性が生まれ、種族値特性と並ぶ大きな個性といえる。
複合の仕方によって優秀にも悲惨にもなる。
能力が優れていてもタイプのせいで微妙になったり、
逆に、能力が微妙でもタイプが優秀なおかげで戦えたりすることもある(特性や技に関しても同様)。

攻撃面では単純に一致技が増えるので単タイプの上位互換。
防御面では組み合わせによって弱点が増える可能性がある反面耐性も増やせる=サイクル戦で有利になるため、組み合わせ次第だがこちらも全体的に見れば単タイプよりも得な場合が多い。
よって基本的に複合タイプは攻守両面で単タイプより有利とみなされている。
例外的に第一世代ではノーマル単やエスパー単が高く評価されていたものの、これはそもそも当時のタイプ格差が激しく弱点タイプが実質機能していなかった面が大きい。


【複合タイプのルール】

  • 耐性が掛け算される
複合タイプの防御相性は双方のタイプ相性を合わせて決定される。
例えば片方が弱点であるタイプをもう片方のタイプが半減できる場合は相殺されて等倍に、片方が半減でもう片方が普通ならそのまま半減に、
どちらも弱点のタイプなら相乗効果で4倍で、逆にどちらも半減なら1/4になるといった具合である。
無効の場合は弱点のタイプ複合でも無効化する(ほのお/ひこう複合にじめん技など)。初代のみ『効果がない』ではなく命中率0%扱いで必ず外れる。

  • どちらのタイプもタイプ一致で放てる
攻撃技の相性の場合は防御面のように複合されることはなく(例外あり)、どちらのタイプもそれぞれのタイプとしてタイプ一致で放てるようになる。
ただし片方のタイプの技をほとんど覚えないポケモンも存在する。ギャラドスとか。


【優秀な複合タイプ】

  • 弱点が少ない
お互いのタイプがいい具合に弱点を相殺しあった結果、弱点が減るパターン。
ただし「弱点を等倍に押さえる代わりに半減できるタイプは少ない」場合が多く、火力インフレにより抵抗面が重要視される環境では重宝されない。
みずゴーストあくタイプなどがうまく複合すればこうなるケースが多い。

  • 抵抗面が優秀
複合タイプにより半減数が増加、または特定のメジャーなポケモンやタイプに強いパターン。
火力インフレにより等倍ダメージで攻撃を受けきるのが難しい最近の環境では、多少弱点が多くてもこういうタイプ相性のほうが重宝される事が多い。
弱点は最多だが優秀な抵抗面のおかげでメジャーポケにまで上り詰めたユキノオーが特に有名だろう。
またゴーストはがねタイプがうまく複合すると上記の弱点減少も兼ねた優秀な防御耐性になることも多い。

  • 攻撃面が優秀
お互いの攻撃面の相性補完により多くのポケモンにタイプ一致の攻撃で等倍、または弱点を取れるパターン。
また技スペースに余裕のない積みアタッカーなどの場合、技スペースを二つに押さえ込めるのも利点。
この場合防御面の相性がおろそかになる事もあるが、元々耐久が紙ならあまり気にならない。
攻撃範囲が重要な速攻アタッカーの場合は基本的に単タイプより複合が優秀。
その傾向は特にほのおタイプに顕著である。

優秀な複合タイプの例

  • みずくさ
  • くさこおり
  • くさはがね
複合でこおり弱点を帳消しにしたくさタイプたち。

みずくさルンパッパは優秀な耐性と、特性『すいすい』での速攻、あるいはミラーボさんご贔屓の特性『あめうけざら』&「やどりぎのタネ」という雨を利用した二種類の戦法が特徴。
更に後輩としていどオーガポンが登場しているが、独自性から他の二形態に使用率で差をつけられている。

くさこおりのユキノオーは弱点こそ多いがメジャーを軒並み半減し、なにより特性『ゆきふらし』でタスキ潰し&必中「ふぶき」が撃てるなど、攻撃面が優秀。

くさはがねナットレイは幅広い耐久と「やどりぎのタネ」、特性『てつのトゲ』に『ゴツゴツメット』を組み合わせたジワジワ戦法が有名。
同じタイプのカミツルギは最低限の耐久面とピーキーな種族値を併せ持ち、攻撃面でも優秀であることを証明した。

後ろ2匹は共通してほのお4倍なので、役割破壊の「だいもんじ」や「めざパ」に滅法弱いことに注意。

しかし、第六世代以降はドラゴンキラーことフェアリータイプの登場に加え、こおりタイプのみず特効技「フリーズドライ」の登場によって、こおり弱点が帳消しになる恩恵がかなり小さくなってしまった。
それでもなお強豪はこおり弱点が多く、フリーズドライも使用できるポケモンは限られているためまだまだ需要はある。

  • くさほのお
第9世代のスコヴィランでデビューした複合タイプ。

上記のメンツにも含まれるこおり等倍のくさタイプであるが、その中でもほのお複合というのがたいへん都合がいい。
くさタイプは晴れの影響下で真価を発揮する技と特性が多いものの、素でほのおが弱点な上に晴れの効果でさらに威力が上がるため、防御面での恩恵はほぼマイナスにしかなっていなかった。
しかし、ほのおタイプを持ったことでほのおも等倍、自身のほのお技の強化、特性「ようりょくそ」による素早さ上昇、等倍化したみずは晴れで半減できる・・・
と、くさタイプにとっては諸刃の剣だった晴れの恩恵を最大限に受けることが可能になった。
攻撃範囲もかなり優秀で、一致技が両方ともほのおドラゴンに半減される以外は大体のタイプに刺さってくれる。
問題があるとすると肝心のスコヴィランの耐久が足りない上に、割とひねくれた技の習得バリエーションである事。
その後、DLC「碧の仮面」で2体目の同タイプとしてかまどオーガポンが登場。こちらは無駄の少ない速攻物理アタッカー向き配分と優秀な特性により、各フォルムの中でも高い使用率となっている。

  • いわくさ
くさいわも単タイプでは弱点が多いタイプだが、この2つを持ったこいつは弱点が増えるどころか逆に弱点数を減らすことに成功している奇跡の複合タイプである。
くさ視点ならほのおどくひこうが、いわ視点ならくさみずじめんを等倍とメジャーな弱点を克服できる組み合わせ。
ただし、相殺しすぎたせいで耐性がノーマルとでんきしかないのが問題だが*1
XYではオーロットの群れにウソッキーが混ざることがあるが、こいつらは耐性・攻撃範囲の補完が優秀なために共生関係にあると言われているとか。
バクーダグライオンとは互いの一致技を相殺し合う関係でもある。
ユレイドル系統のみが所持していた複合タイプだったが、DLC「碧の仮面」で同複合のいしずえオーガポンが登場。攻撃的な路線は評価されている。

  • みずじめん
第ニ世代から登場し、その後の作品でも多くのポケモンが登場した優秀なタイプ。
特徴は何といっても弱点が4倍のくさタイプのみという点。金銀で登場した最初のみずじめんタイプのヌオーでんき技が効かないみずタイプとして当時大いに話題になった。
BWからは『ねらいのまと』を押し付けられるとでんき技が弱点になったり、XYからはみずタイプに効果抜群となるこおり技「フリーズドライ」が4倍弱点になったりしたが、依然強力な事に変わりはない。

積みポケモンキラーとなる特性『てんねん』のヌオー、
御三家最強の呼び声も高い高種族値のラグラージ
強力な積み技りゅうのまい」を操るナマズン
特性『よびみず』によりみず技を無効化しダブルにも影響を及ぼすトリトドン
特性『すいすい』で脅威の速度、隠れ特性『ちょすい』で受けサイクルを実現するガマゲロゲと同タイプで多くのポケモンが居ながら各ポケモンで独自の強みを持っているのも面白い。

  • むしはがね
フォレトスハッサムから始まった、弱点が4倍弱点のほのお1つだけで耐性は9つもあるという優秀なタイプ。
攻撃面ではほのおはがねにどちらも半減されるという難点はあるが、サブウェポンである程度対処できることも多い。
上記のみずじめんと同様に第ニ世代から登場。
あまり歓迎されないことが多いむし複合の中では際立って評価が高い。

  • ほのおかくとう
パルデアケンタロス(ブレイズ種)が登場するまでは全員が三~五世代の炎御三家のため何かとネタにされる。
いずれのポケモンも攻撃・特攻に優れている、かくとうタイプであるためサブウエポンも豊富という共通点があり、両刀型として育成しやすい。実に7タイプの弱点が突けるが、防御面は微妙。

初出は第三世代の御三家バシャーモ
可愛らしいアチャモからのまさかの人型進化は衝撃的で当時はバシャーモンなどと言われたが、
対戦ではその攻撃範囲の広さや攻撃力と特攻の高さから強力なポケモンだった。
しかし第四世代で役割破壊の鬼・ゴウカザルが登場、バシャーモは劣化猿の烙印を押されてしまう。

第五世代ではバシャーモは強化された「とびひざげり」と隠れ特性かそく』を獲得して猿と肩を並べる一方、
ほのおかくとうの新御三家エンブオーは素早さの低さと習得技の微妙さで、猿負王の称号を受ける羽目になった。

そして第六世代。環境は激変しバシャーモはメガシンカを得てシングルで活躍、エンブオーは「ふいうち」を獲得し独自の路線を見出した。
しかしその中で、かつてのトップメタであったゴウカザルが差別化の道(「ねこだまし」やダブルバトルなど)を探す事になろうとは誰も思わなかっただろう……

  • でんきひこう
初代のサンダーに始まり、スピンロトムエモンガボルトロスタイカイデンが該当する複合タイプ。
本来でんきタイプはじめんタイプに対して攻防において弱いのが通例だが、この複合はそのじめんタイプを無効にする上にひこうタイプの弱点であるでんきタイプも相殺しているという、防御面で非常に強力な個性を持つ。
弱点はこおりいわとメジャーなものではあるが、実際のところこおり技をよく使うのはでんきに弱いみずひこうに弱いかくとうあたりなので対抗しやすく、いわも命中が不安定など癖の強い技が多いので「じしん」等のじめん技に弱いよりはマシなことが多い。
さらにめざ氷を使えない世代ではでんきを半減するくさに対してひこう技で弱点を突けるのも大きい。
さらにサンダーとエモンガのみ、先制で「はねやすめ」を使えれば等倍で抑えられる。
サンダーと(化身)ボルトロスはこの打たれ強さから、アタッカー寄りの種族値配分なのに物理受けや特殊受けとして運用されることも多い。

  • ドラゴンはがね
  • ドラゴンほのお
パッケージを務めた禁止級伝説、ディアルガレシラムが初出のドラゴン複合タイプ。
ドラゴンで需要の強いこおり、抑止力として追加されたフェアリー(はがね複合ならドラゴンも)をいずれも等倍にでき、攻撃時はもう片方のタイプ一致をぶち込めるため攻撃性能も優秀。
こおりフェアリー以外の耐性の相殺も少なめであり、抵抗面でも優位に立ちやすい。

  • ゴーストあく
第三世代から追加。第九世代までヤミラミミカルゲの2匹のみ。
第五世代までは特定条件下(特性が『きもったま』のポケモンのかくとう技など)を除けば弱点がないという驚愕の相性だった。
ただし弱点がないだけで耐性はそこまでぶっ飛んでるわけでもない(まあ無効タイプが3つもある時点で恵まれてはいるけど)。
しかしXYからあくタイプの弱点を突けるフェアリータイプが加わった事により、この個性は消えてしまった。
カウンター」と「ミラーコート」を両方とも無効化できるので、「メタルバースト」以外の反射技を気にしなくてもいい(つまりソーナンスをほぼ完封できる)という個性は未だに残っているが、上記の2匹ともアタッカー向けの能力ではないため恩恵は薄い。
ただしダブルバトル視点で見るといたずらごころ無効+ねこだまし無効という個性が優秀で、ギミックパーティーでヤミラミが採用される事例は多め。
さらにミカルゲも第九世代でトリックルームを習得し、自主退場もできる信頼性の高いトリックルーム始動要員として独自の採用理由を得た。

  • はがねエスパー
同じく第六世代の環境変化の煽りを受けた、かつてのトップメタ。
はがねタイプの耐性と高種族値による安定感が売りのメタグロスや、特性により実質弱点が一つという特徴があるドータクンらが該当。
XYでははがねタイプからゴーストあくタイプへの耐性が消滅したため、弱点が二つも増加。
更にこの後の世代でゴースト・あくタイプが活性化しておりガンガン動くのは難しくなってきている。
役割破壊の「じしん」や「だいもんじ」だけに気をつければいい時代はもう終わったんや……

  • はがねフェアリー
第六世代で生まれた良パターンの複合タイプ。
クチートクレッフィマギアナザシアン(けんのおう)デカヌチャンが該当する。
双方の弱点であるかくとうどくはがねを打ち消し合った事で、弱点はほのおじめんの2つのみ、1/2が8つ、1/4が1つに無効が2つという驚異の耐性を得た。
さらにいずれも戦闘要員/補助要員として優秀な特性と技を持っていたため、対戦環境において多くのトレーナー達に重宝された。

  • あくドラゴン × はがねゴースト
こちらも第六世代で現れた組み合わせで、サザンドラギルガルドによる相性補完を指す。通称サザンガルド。
先に述べたようにあく(ドラゴン)とはがねはタイプ相性の見直しが図られていたため、情報が出始めた当初はどちらにも哀れみの視線が向けられていた。

だがこの2匹、実は(相手の特性抜き、サザンドラの特性『ふゆう』込みで)両方に対して等倍で通るタイプがないという単純なタイプ相性に於いて、
ほぼ完璧な補完をし合っていたのだ。
またそれぞれが素で一線級のポテンシャルを持っていたため、晴れて第六世代を代表するトップメタタッグとなった。

はがね/ゴーストからは特性にも優れたサーフゴーが進出。サザンドラの相方に収まらず搦め手対策要員として採用率は高い。

  • ゴーストフェアリー
第七世代トップメタに躍り出たミミッキュが初出の複合タイプ。
特性の『ばけのかわ』が注目されがちだがそのタイプも非常に優秀であり、攻撃面ではなんと両方半減以下にできるのが現時点では、ほのおノーマルタイプのカエンジシ系統とどく/ノーマル複合のタギングル系統という驚異の攻撃範囲を誇る。
ばけのかわや交代などで時間を稼いで積んだ「つるぎのまい」からの攻勢は生半可な受けを許さない。
防御面も非常に強く、弱点はゴーストはがねのみ。しかもこの二つは100以上の威力の技となると専用技だったり命中が不安定だったりと安定して使う事が難しく、
それ以下のサブウェポン程度の技だと威力が足りずにそこそこの耐久がある素のミミッキュを倒しきれないという事態も割と起こり得る。
そして一致で攻撃出来てもゴーストタイプなら自分からゴースト技で返り討ちに出来るという隙の少なさを誇る。
第九世代ではハバタクカミがミミッキュ以上の需要を得て、特殊アタッカー代表の如き活躍を見せている。

  • こおりじめん
第二世代で登場。マンムーとその進化前のみ該当する複合タイプ。
2倍弱点五つ。でんきタイプを無効化できるが半減できるのはどくタイプのみ。と耐性面の恩恵は皆無と言って良いレベルで心もとない。
しかしながらタイプ一致による攻撃範囲には凄まじいものがあり、相性補完に優れた攻撃範囲範囲で実に全18タイプの半数に当たる9種類の弱点を突く事が出来る。
更に第六世代で登場したこおり技「フリーズドライ」でみずタイプにも弱点を突けるため、それも考慮すると10種類にものぼる。
これは第七世代でこおりかくとう複合が登場した現在もトップタイ。
攻撃面で優秀な複合タイプを選べと言われたらまずはこれ。
しかし第四世代当時のこおり物理技の層の薄さから、日の目を見るには第五世代まで掛かってしまった。
前述した耐性の貧相っぷりも第五世代において隠れ特性「あついしぼう」によってある程度克服されており、こおり技を半減にするじめんタイプという唯一無二の個性を得た。
そうでなくとも、この複合タイプはすなあらし&あられ無効、かつ4倍弱点がない組み合わせで悪天候にも強い。
マンムー本体の優秀な総合スペックがものを言う場面も多いが、
じめん技をひこうタイプで透かそうとすればこおり技が飛んで来る受け出しの困難さが攻撃面での最大の魅力。

  • ノーマルゴースト
第八世代で登場。ヒスイゾロアークが唯一持つ複合タイプ。
タイプ耐性によりノーマル、かくとうゴーストの3タイプの技を無効化することによってあく以外の弱点を帳消しにした優秀な複合タイプ。
現時点でマーシャドーコノヨザルのタイプ一致技を両方無効化できる唯一の複合タイプである。
ただし、特性『きもったま』『しんがん』の場合はかくとうが抜群で通ってしまい、そもそもヒスイゾロアーク自体が低耐久なので高威力技が直撃すると等倍でもあっさり落ちることもある。やはり過信は禁物である。


【悲惨な複合タイプ】

ほぼ「優秀な複合タイプ」の逆である。

  • 弱点が多い
お互いの相性が噛み合わず、弱点が非常に多いパターン。

  • 4倍弱点持ち
タイプ相性の組み合わせにより4倍弱点ができるパターン。特にそれが2つあるパラス(パラセクト)なんて今日も燃やされ啄まれ。
4倍ものダメージになると、たとえタイプ不一致でも一発KOの可能性が高くなる。
ただしそれ以外の相性や基礎能力に優れているポケモンも多く、これ単体で悲惨認定を受ける事は少ない
第九世代は単タイプに変えるテラスタルもある為、弱点が多い奴ほどこの短所を帳消しにしやすい。

  • 抵抗面が弱い
半減以下に抑えられるタイプが少なすぎると、「半減以下で受けて有利な対面に持ち込む」というのが難しくなる。
例えばエスパータイプと複合すると、ゴースト、あく、むしと3つも弱点が追加されるのに対して、得られる耐性がかくとうと攻撃技としてはマイナーなエスパーの2つだけとかなりしょっぱいのでこのパターンに特に陥りやすい。
世代によって強い技が変わることも留意。

  • 複合タイプと能力値がちぐはぐ
複合タイプ自体は上記の優秀な組み合わせのどれかに当てはまるが、そのタイプ相性が能力値と噛み合わないパターン。
攻撃面で優秀なタイプなのに能力は防御寄り。防御面で優秀なタイプなのに能力は攻撃寄り。
いわじめんほのおいわの複合組、ケケンカニパッチルドン等、こういう問題を抱えたポケモンは少なくない。
まさに宝の持ち腐れだが、バンギラスのようにちぐはぐなタイプ相性を能力値や特性で無理矢理克服しているポケモンも存在する。

  • 複合タイプの攻撃範囲がちぐはぐ
攻撃面で止まる相手が多く不一致技を(場合によっては複数)覚えざるをえなかったり、上記の弱点増加がついてくるパターンが多かったりなかなか厄介な問題。
半減されやすい上に技威力が全体的に控えめなむしタイプやエスパータイプと複合すると非常にこの問題が発生しやすい。
第七世代ではフェローチェを採用している方に思い当たる節があるかもしれない。教え技でかなり改善されたが……。

【悲惨な複合タイプの例】

  • いわじめん
ポケモンのタイプとしては過去作を遊んでいる人ほど雑魚の代名詞のようなイメージが非常に付きやすい複合タイプ。
最メジャーは言うまでもなくイシツブテ、サイホーンの系列とイワーク。
その弱点はというと……
みず4倍!くさ4倍!
じめん2倍!こおり2倍!
ついでにかくとうも2倍!
更に更に、第二世代からははがねも2倍。
「ふぶき」「じしん」全盛期の初代の時点でこんなものが出たらどうなるかは言うまでもなく、ポケモン本体の性能も相まって無惨すぎる扱いに。
道中でも高威力の「なみのり」が「必ず必要になる秘伝技」なので、敵が出してきてもついでのように覚えているなみのりで即押し流せる。
その落としやすさたるや、10レベル程度上の相手でも(本体の特殊耐久の低さもあって)簡単に昇天するほど。
一応この手の複合らしく耐性は半減4・1/4が1・無効1と高くはあるのだが、なにぶん弱点がメジャーになりやすいものばかりなので……。第9世代に至ってはまじめに耐性がいらない子状態でさらに悲惨。

一応、攻撃面で見れば一致両半減がわずか2タイプ*2と言う凄まじい一貫性を持つ。
なので速攻アタッカーが持つ分には非常に強力な複合なのだが、よりにもよって持ち主は揃いも揃って重戦車、一番素早いのはイワークの70とろくに上を取れるようなやつがいない。
つまりかみ合う奴がいなさすぎて弱複合になってしまっている。

初代における醜態が祟ったのか、第2世代以降で追加されたのは最終的にイワークいわあくになってしまうヨーギラス系統だけ、しかもイワークも追加進化でいわタイプを止めてしまっため、この組み合わせの最終進化系はゴローニャとドサイドンの2体のみでむしろ初代より減っていると別の意味もで悲惨な事になっている。
しかも何故か2体とも交換進化なので、プレイヤーの環境次第では進化すらできないという最悪の事態もありえる

  • むしくさ
おそらく複合タイプ最不遇。耐性面では上記のいわじめん同様4倍が2つあり、弱点もあまり相殺されない。加えてくさタイプとむしタイプの苦手な相手が被りがちで、よりにもよって第六世代で躍進したほのおどくひこうはがねに詰んでいる。(特にひこうタイプ。ピョェェエエエwww
しかしパラセクトは最高級の眠らせ技「キノコのほうし」と潰しの特性「かんそうはだ」、ミノマダムは高い特殊耐久と再生技、
ハハコモリはそれなりの素早さを文字通り加速する特性『ようりょくそ』に変化技と、みずじめんを筆頭に強い相手にはとことん強かった。
特にじめんが1/4耐性なのはこの複合タイプのみであり、使う際は積極的に活かしていきたい

れいとうビームストーンエッジ?知らんがな。粉技無効?ぼうじんゴーグル?何それ……。天候ターン制限ッ!?ど、どういうことだッ!!?
…一方でこのように、世代・環境変化による数多のメタ要素が意図せずして直撃する形となった。
もちろん弱点を減らせるテラスタルと言うまでも無く非常に相性が良い。と、言っても第9世代に参戦しているむし/くさ複合はハハコモリしかいないが……。

  • むしひこう
上記のむしくさに匹敵していた不遇複合。
むしひこうも似たようなタイプ相性なのでくさかくとうタイプをそれぞれ1/4、じめんタイプは無効と有利なタイプにはとことん有利である。
しかしほのおでんきこおりひこうとメジャーな弱点も持っており、いわタイプに至っては4倍弱点なせいでステルスロック」を蒔かれるだけで体力が半減してしまう
おまけにこの複合はストーリー序盤に登場する低種族値ポケモンが大半なので、耐性面での利点を活かせないことが多い。
かくとうタイプとじめんタイプは大抵サブウェポンに相性補完としていわ技を仕込んでいるため、
低種族値ゆえの低めの素早さも相まってタイプ的には有利なはずの相手に一撃で倒されることも少なくないのも悲しいところ。
そもそもむしタイプだけでもくさかくとうじめんは半減できるのでひこうタイプが耐性面で盛大に足を引っ張っているように思えてならない。

幸い攻撃範囲はひこうタイプのおかげでそこそこいいのだがひこう技の種類がそもそも少なく、これまた活かせるポケモンが少ない。「ぼうふう」を高命中で放てるビビヨンとスキン特性を持つメガカイロスくらいか。
剣盾からはわざレコードや教え技によるひこう技の充実と、「ダイジェット」をタイプ一致で撃てる恩恵により、対戦での立ち位置は少し改善されている。
第三世代以前は技の極貧ぶりがかなりきつく、一致技さえ組み込むのに難儀したトレーナーが多い。

  • くさひこう
最終進化系での該当者はワタッコトロピウスシェイミ(スカイフォルム)。
が不遇ならこれは? …案の定これもかなり不遇な複合タイプである。
くさタイプ視点では、ひこうタイプが付与されたことで攻撃範囲は良くなるが、本来有利な相手に強く出られなくなってしまう。
みずタイプに繰り出せば、ほぼ間違いなく持っているこおり技で4倍弱点を突かれて返り討ちにされるだろうし、じめんタイプやいわタイプに繰り出そうにも、いわ技で抜群を突かれるせいでくさ単タイプの時よりも優位性が薄い。
一方のひこうタイプ視点で見た場合、くさ技の通りが悪いので技範囲の恩恵も小さく、タイプ相性面では耐性は被り気味なのに弱点は3つも増えると、とにかくデメリットばかりが目立つ。
特に第5世代までは、はがねタイプやドラゴンタイプが現在以上に幅を利かせており、くさ技の通りはお察し、それら2タイプの対策としてよく用いられためざパ、めざパのついでに狩られてしまうと、とにかくくさタイプがあることで不自由していた。

  • ノーマルひこう
序盤鳥の殆どを構成する複合タイプ。
それぞれ等倍範囲は広いが、どちらもいわはがねに通らないのでかくとうじめんタイプのサブウェポンへの依存度が高い。
さらに防御面ではノーマル複合によりひこうタイプにも関わらずかくとう技を半減で受けられないというデメリットもある。
結果的にひこうタイプでもノーマル以外のタイプが複合していた方が攻守両面で強力ということになってしまいがち。
ただ、「じたばた」や「からげんき」といった特殊な戦術で力を発揮するノーマル技をタイプ一致で使えるというメリットはある。

  • いわはがね
該当するのはボスゴドラトリデプスダイノーズツンデツンデ
全体的に防御面の種族値が高めに設定されているが耐性に癖があり、耐性9に対して弱点3。
その弱点がかくとう4倍・じめん4倍・みず2倍
特に4倍弱点がメジャーな攻撃タイプである為どうしても耐性がないと思われやすい。
攻撃面でも命中率に優れた技が少なく、単純に考えると扱い難さを感じるタイプ。
ただ、はがね以外には大体通せる一致範囲といわタイプとして見れば多い耐性もあってハマれば強い。
手持ちと技がランダムになる特殊なルール下だと耐性の多さは一気に脅威と化す。
また、ツンデツンデ以外は全員特性「がんじょう」持ちなので、「メタルバースト」や「いたみわけ」で敢えて耐性の抜け穴を逆利用する方法も。

なので、悲惨かどうかは割とトレーナーの判断に任されやすい複合だったりもする。
耐性優秀なはがねが入るとどうしてもこうなる。

  • むしエスパー
近年の本編作品で不遇扱いされがちなタイプ2つが複合すれば当然悲惨。
攻撃面は両方とも技威力が控えめな上にはがねタイプに半減されるので微妙であり、耐性面は対戦環境であまり見ないエスパーが半減、かくとうが1/4になる代わりに弱点が5つとこちらも微妙でむし単タイプに見劣りしやすい。
むしもエスパーも補助技のレパートリーは優れているタイプなので一見サポーターとして優秀そうだが、逆に言えばそれしかまともにやれることがないので簡単に型を読まれて対処されやすい。
この複合を持つポケモン2匹はどちらも耐久寄りの悪くない種族値配分かつサポートに優れているのだが、タイプの悪さに足を引っ張られている現状が悲しいところ。

【技における複合タイプ】

第六世代より、ポケモンの繰り出す攻撃・変化技にも複合タイプに関するものが登場した。

  • フライングプレス
かくとうひこうタイプのルチャブルの事実上の専用*3かくとう物理攻撃技で、威力80・命中95・追加効果は小さくなる状態の相手に必中+威力2倍というもの。
一見大した事ないように思えるが、図鑑の説明には「この技はかくとうタイプと同時にひこうタイプでもある」と書かれている。つまりかくとうひこうの複合技。
タイプ相性の計算は一致補正(1.5倍)がかくとうのみ適用され、相手のタイプとかくとうひこうの相性をすり合わせて行う。
なので仮にいわタイプのウソッキーに「フライングプレス」を放った場合、かくとう2倍ひこう1/2となり等倍ダメージが入る。……あれ?
他、むしはがねもどちらか一方のタイプのみなら有効打になる。……あれれ?

抜群と半減の数はかくとう技と同じで、4倍で刺さる相手の数はむしろかくとう技より多いが、範囲が違いすぎるので、かくとう技やひこう技の代用にならないのがネック。

Q.要するに?
A.エンターテイメント技。今後の複合技に期待。

第7世代で威力100になったため、多少使い勝手が良くなった。

  • もりののろい
  • ハロウィン
ゴーストくさタイプのオーロットパンプジン専用変化技。それぞれ対象にくさタイプorゴーストタイプを付与する。
みず単タイプにに変化させる技なら「みずびたし」が先に出ていたのだが、こちらは付け足し。
単タイプに放つと複合タイプに、複合タイプに放つと一時的に3タイプを抱え込ませる形となる。
ただし自身の戦闘能力といまいち噛み合っていないため、単体での使用より敵味方が複数のダブルバトルなどで撹乱する様な使い方が適しているか。

例えばいわタイプのウソッキーが「もりののろい」でいわくさになると、嘘じゃなく本物の木になる弱点を6つ打ち消しあった上でタイプ一致無反動「ウッドハンマー」を放てるようになる。
「ハロウィン」でいわゴーストになるとミカルゲっぽくなるかくとう技無効のいわタイプとなるなど。

なお、もりののろいハロウィンは相互上書き、みずびたしまほうのこなとは追加上書きという関係にある。
なので「ハロウィン」でいわゴースト状態のウソッキーに「もりののろい」を放つといわくさになり、これを「みずびたし」にするとみず単タイプになり、
再度ハロウィンを放つと木に擬態したみずゴーストタイプのポケモンになる。何だお前。


余談だが、これまで(第五世代以前)は「○○が最大火力で××を△△に放ったら何体分の瀕死ダメージになるか」という疑問の被験体には、
ほぼ必ずLv.1パラス(ほのお4倍のむしくさ複合に加え、特性『かんそうはだ』によりほのお技のダメージが1.25倍)が選出され、「Vジェネレート」などで消毒されていた。
しかし「もりののろい」であらゆるポケモンにくさタイプを付与できるようになったため、今回はパラス以外の犠牲者が億単位のダメージを受けて消し飛ぶ計算が成立した。単純なダメージだと「くさタイプを持たないほのお4倍」がターゲットとして好都合。
さらに第8世代ではセキタンザンの専用技「タールショット」でほのお弱点を付加できるようになったほか、新たなターゲットのユキハミが登場したためさらに加速した。
詳細は『もりののろい 最大ダメージ』で検索されたし。


【複合タイプの制約】

同時に抱え込めるタイプが2つまでというのは意外と不便なところもある。
ポケモンに2つのタイプを持たせたとき、空を飛ぶのにひこうタイプがない、水の中に棲むのにみずタイプがないといったケースは少なからずある。
こう言った場合はタイプを重ねられないため、習得技にひこうタイプやみずタイプといった技を持たせることでそのタイプの個性を無理矢理再現していることが多い。
また、複合タイプが2つまでということはタイプ一致補正が掛かる技も2タイプまでということである。

3つ以上のタイプを持つというケースは標準で存在せず、上記の変化技によって発生する状態変化に限定されている。

しかし擬似的に3つタイプ以上のタイプ相性を与えるケースはあり、特性によって3つ目のタイプを代用するケースがある。
代表的なものはひこうタイプを持てないドラゴンポケモンの多くが持つ『ふゆう』の特性であり、2つのタイプの相性にじめん無効化の耐性が追加されている。

攻撃面では特性によってタイプ一致補正の掛かる技を増やしているポケモンもいる。
例えばダダリンは自身が持つくさゴーストタイプの技に加え、特性『はがねつかい』によりはがねタイプの技も事実上のタイプ一致で扱うことができる。
特性『へんげんじざい』や『リベロ』を持つポケモンは技を繰り出す前に自身のタイプを変更して、様々なタイプの技を一致で扱うことができる。
この特性はタイプが変わるため弱点も変わる上、複合タイプの片方と同じ技をつかっても必ずもう片方のタイプが消えて複合タイプではなくなる。


テラスタルの影響】

上記のように、複合タイプはその組み合わせにより優劣が発生し、対戦においてもその影響は多大なものであるが、第9世代で登場したテラスタルにより大きく状況が変化している。
というのも、「元のタイプからテラスタイプへの変化」というアクションにより、一部の特殊な技や特性でしか実現できなかった「耐性の有利・不利を覆す」という戦術を容易に行える可能性が高まった。
4倍弱点を持つポケモンがテラスタルし、その弱点を半減ないしは無効にできるタイプになることで、狩られる側から狩る側へシフトし一気に形勢逆転、というような場面を作りやすくなったのだ。
この恩恵を受けている代表的なポケモンとしてはカイリューがおり、本来の氷4倍弱点をテラスタルで消すことで隙をなくすという立ち振る舞いで猛威を奮っている。



【固有タイプのポケモン一覧】

以下は自身の進化前とメガシンカ形態を除いて同じタイプを持つポケモンが存在しない種族。
太字禁止級



ちなみにむしじめんの最終進化ポケモンはミノマダム(すなちのミノ)のみ(進化前まで含めるとツチニンがいるが、自身の進化前ではないので除外している)。

【未登場の複合タイプ一覧】

  • ノーマルこおり
  • ノーマルむし
  • ノーマルいわ
  • ノーマルはがね
  • ほのおフェアリー
  • こおりどく
  • じめんフェアリー
  • むしドラゴン
  • いわゴースト
『スカーレット・バイオレット』時点でみずひこうエスパーかくとうくさでんきあくは全タイプとの複合を達成しており、はがねほのおどくじめんドラゴンゴーストは全複合にリーチがかかっている。

追記・修正は新たな複合タイプのポケモンを想像しつつお願いします。

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最終更新:2024年04月04日 17:07

*1 ただしユレイドルには隠れ特性『よびみず』があるためみずタイプも無効にできる。

*2 くさ/かくとう・くさ/じめん

*3 『ORAS』のみ、同作限定個体であるおきがえピカチュウの1つ「マスクド・ピカチュウ」も習得できる