チンポ(ゲゲゲの鬼太郎)

登録日:2018/05/19 Sat 11:50:00
更新日:2024/04/21 Sun 23:35:31
所要時間:約 7 分で読めます




チンポとは、『ゲゲゲの鬼太郎』に登場する妖怪である。


【概要】

バックベアードやドラキュラなどの西洋妖怪と並んで鬼太郎の宿敵の一角として名高い南方妖怪の一人であり、よく共演する仲間に同じ南方出身のアカマタ、やし落とし、キジムナーがいる。
とはいえ実際の民話や伝承に登場する妖怪ではなく、水木しげる(おお)(せん)(せい)の考えたオリジナル妖怪
ねずみ男と並んで水木しげるという人物を象徴するキャラクターであり、この上のない挑戦性がそのまま妖怪になったような存在。

とにかく、普通なら思いついても形にはしないであろうことを平然と盛り込んでおり、まず名前からしてぶっ飛んでいる。
現在でも漫画やアニメで様々なオリジナル妖怪が作られ続けているが、こいつに勝るインパクトを持つ妖怪はまず生まれないであろうほどの伝説中の伝説

容姿は人間と大差はなく、頭のでかい半裸ないし全裸の南洋系の土人の姿そのものである。
なお、『土人』という言葉は現代では差別的な意味合いを持つが、大先生は「土と共に生きる人たち」という意味の敬称で使っていたので、こちらでもその意味合いで使用する。
戦時中に南洋の原住民たちに助けられた大先生の経験から生まれた存在なのだろう。

鬼太郎シリーズの常で、時代ごとに細かな設定は変わるが、最大の特徴は名前の通りに股間に三本ものアレが生えていること。
ここから様々なものを発射して飛び回ったり攻撃したりする、まさに存在そのものが下ネタの権化のようなヤツ。

ちなみに水木先生曰く「力作のつもりだったけどそれほど騒いでくれなかったね」「汚いから不快なんでしょうね」とのこと。
さすが鬼才の考えることは我々凡人とは違ってらっしゃる。

規制のきつい最近ではいろいろ手を加えられてマイルドになっているが、そういうのが緩かった時代にはバッチリアレが映っているので必見。

こうして見るとハレンチ極まりないが、土人たちはアレを隠したりせず自然におおらかに生きている。
対して日本人はアレを必死に隠して窮屈に文明の中で生きている。チンポとは、水木先生らしい日本人への皮肉や、チンポを恥ずかしがる人へのいたずら心から生まれた妖怪なのかもしれない。

原作

鬼太郎の世界お化け旅行』第4話「妖怪七人の侍」、第5話「ドラキュラ親分」に登場。肌はやや青みががった薄い灰色。腰巻は付けておらず三つのご立派さまはモロ出しである。
モロ出しである。

冒頭の見開きカラーページで小便ホバークラフトで突如鬼太郎一行のイカダに飛来し、鬼太郎にオナラを一発かまして目玉おやじを連れ去るという何とも死にたがりな鮮烈な登場をかましてくれた。
ちなみにこの際、ねずみ男は三連チンポと小便ホバークラフトに関して「なかなかイカスじゃない」と感心している。このシリーズだとこいつやけにインキンタムシ推しだからな……

親父誘拐はこの島に来ていたドラキュラの依頼によるもの。理由あって片目の視力が下がり、移植には妖怪の目玉でなければならないらしい。乗っ取られても知らんぞ。
首尾よく親父を引き渡したが、ドラキュラから提示された報酬は2000円。流石に安すぎると抗議して引き上げてもらったものの、その額たったの200円

(あんな大冒険をして盗ませておいて、2200円とは安いなあ)

鬼太郎の妖怪キラーっぷりと親父誘拐のリスクを考えれば安いとかそういう生易しいレベルではない買い叩きぶりである。
この一部始終を追ってきた一反木綿に見られており、10倍の2万円の報酬を提示されてあっさり鬼太郎側に寝返る

なんやかんやで親父を取り戻した後は、これまたあっさりドラキュラ側に付いたねずみ男に金をちらつかされて鬼太郎たちを御馳走の並んだ縦穴の底という不自然極まりない場所へ案内する。
案の定それはドラキュラたちの罠であり、チンポもろとも鬼太郎一行は大量の水飴で固められそうになる。
が、ここでチンポが特大級のオナラをかまし、風船状に膨らんだ水飴によって一行は窮地を脱することとなった。

総じて南国風の物事にあまりこだわらない性格の持ち主。関連資料では「あまり頭がよくない」とか言われたりしている。

三期

アニメでは記念すべき鬼太郎初のオリジナル劇場版作品*1で初登場。肌はチョコレート色で、この時代が一番土人っぽい。
人間を敵視する南方妖怪のボス格で、ぬらりひょんの要請で鬼太郎を始末しにやってきた。
この際の声優は大御所・滝口順平さん。それゆえ大物感抜群。
ねずみ男の調子の良さを見て「日本にはややこしい妖怪がいるな」と困惑するコミカルなシーンも。

鬼太郎抹殺は部下のアカマタとやし落とし、そして切り札の妖怪獣・蛟龍に任せて、自分は洋上の大型船でぬらりひょんと一緒に高みの見物を決め込んでいた。
だが鬼太郎の反撃でアカマタとやし落としは倒され、寝返ったねずみ男によって人質にしていたユメコちゃんも奪い返されてしまう。
そして、鬼太郎に目隠しをされた挙句オカリナ剣で脳天をぶっ刺されまくって暴走した蛟龍が船に激突して船は沈没。かろうじてぬらりひょんと小型ボートで脱出するものの……


ぬらりひょん「どこへ行く気だ!?」

チンポ「逃げるが勝ち、自分の国に帰るのよ!」

ぬらりひょん「冗談じゃない、俺の国はここだ!」

チンポ「なにする触るな!」

ぬらりひょん「このボートは俺んだ!」

チンポ「うるさい放せ!」

ぬらりひょん「貴様こそ泳いで帰れ!」


と、日本妖怪の総大将と南方妖怪の大ボスがしょうもない争いを繰り広げた結果、ボートはコントロールを失って岩礁に衝突。

ぬらりひょんとチンポ「「ぎゃあーっ!!」」

ボートは大爆発、ぬらりひょんはそのままどこかに吹っ飛ばされていくがチンポはかろうじて脱出に成功していた。

チンポ「へっ、俺様はそう簡単にはくたばらんぜ」




「それーっ! 人呼んで三連チンポ噴射ダァーッ!!」




と、三本の蛇口のようになったアレの先端からすさまじいジェット噴射を行い、まるでホバークラフトのように空を飛んで帰ってしまった。
出番はこれまででその後鬼太郎との再戦はなかったが、このアレがドアップになるワンシーンだけで鬼太郎史に残る伝説を残していったと言っていいだろう。

ちなみに当時、この場面で劇場が笑いに包まれたとかいう逸話もまことしやかにささやかれている……。

四期

こちらも劇場版「大海獣」で登場。
顔のデザインが異なる他、肌が黒々としており(股間の物を見えにくくするためという説がある)、性格もあっさりしたものになっている。
三期と違いアカマタが南方妖怪軍団のリーダーになっているが、明確に上下があるわけではなく『同志』といった感じ。

映画冒頭で、イカダで川登りをする探検隊に向かって某光の巨人の変身ポーズめいた構えで飛来。
突然のチン客に驚く探検隊に対し、「妖怪チンポ」と自己紹介しながら空から襲撃を仕掛ける。
武器は股間のアレから発射する三連のバルカン状の火炎弾で、これでイカダを沈めてしまった。
ねずみ男「チンポ~?危ねえ危ねえ…」
それなりに高い飛行能力があったり、光弾を乱射したりと、わりと好戦的。
腰布をおっぴろげ自慢の三連バレルを堂々と見せつけながら発射する様はまごうことなき変態。

光弾を発射する時は当然ながら腰巻きを外すが、火花のせいで上手い具合にアレは隠れている。そこ、コマ送りすんな!

後半の決戦では空からアレの弾丸で鬼太郎を攻め立てるが、リモコン下駄が股間に直撃して悶絶。


「よくも俺様の急所をーーっ!!」


と激高し、キジムナーとの連携で再度追い詰めたが結局やられてしまった。てかお前ほどわかりやすい急所を持った妖怪がほかにいるか*2
最後に鬼太郎と和解した後は、懲りないねずみ男をアカマタ&やし落としと一緒に憮然とした顔で見つめて帰っていった。

担当声優は、メフィスト2世&3世・蒼坊主・そして六期ねずみ男と、以外に水木作品との関わりが深い古川登志夫氏。
古川氏特有の甲高い声による怪演は必聴。

後に深夜放送時代の『トリビアの泉』にて「恥ずかしい名前の妖怪」として紹介されたが、いかに深夜でもアレのドアップは放送できなかったのか三期ではなくこちらのチンポが取り上げられている。

五期

これまでは劇場版のみだったが、第71話「南方妖怪日本上陸!!」にてついに本編に登場する。が……


さすがに平成の朝9時には名前が挑戦的すぎるので名前が二文字削られて「」にされてしまった。
肌は原作同様やや青みががった薄い灰色だが、テレビマガジンの記事では焦げ茶色だった。

攻撃方法もアレからドピュっと何かを出すのではなく、口からのリング状のビームと色々大人の事情を感じるものに。
お下品要素は皆無ではないが、オナラによる飛行のみともはや完に別人非常におとなしいものとなっている。
オリキャラだからこそ許される改変だとも言えるだろうが……世知辛い世の中になったものである。

担当声優は岸尾だいすけ氏。
こちらも独特の奇声で見事な怪演をしてくれている。


六期

デザインは3期のものに近いが、肌は赤みが強くなっている。

初期からOPに登場していた(もちろん股間は丸毛のフォローでしっかり隠してある)とはいえ、果たして本編には出られるのか、出ても五期同様マイルド化されてしまうのではないか……とファンには危惧されていた。
さらに『月刊ニュータイプ』2018年10月号の付録「ゲゲゲの鬼太郎 妖怪大集成」掲載のインタビューでは、シリーズディレクターの小川孝治氏が映像化したい妖怪としてチンポを話題に出し、「こうやってこうすれば出せる」というプロットまで書いたものの却下されてしまった……と語り、その不安は高まるばかりであった。

しかし満を持して84話「外国人労働者チンさん」で登場。

当然ながら、朝9時では名前はそのまま出せなかった。
が、登場シーンでは「チン■」と最後の文字だけ茂みで隠れており、出せない何かがあからさまにある

今作では「貧しい故郷の仲間に楽チンな生活をさせるため、日本に出稼ぎに来た」という設定でかなりの善人。全裸だが。
故郷とは異なる文化圏での生活に特に戸惑いを見せず適応する、超長時間労働を強いる上司に適度な休息をした方が仕事全体の効率は良くなると理論的に訴えるなど、人間社会で生きるためのスペックも高め。日本で全裸はNGというのは知らなかったが。
本名を言うだけで面接を落とされるため、「チンさん」と名乗り、EDのテロップでも「チンさん」表記。
登場直後こそ全裸だったものの、アレは巧妙に隠され続けており直接的な下ネタはほとんどないが、「チン…」と名前を言った後に被せてくるのが「ッポー」というハトの鳴き声や「チ」と犬を呼ぶ女性の声など「」の音ばかりだったり、最後には三本の虹を残して去っていくなどかなり攻めている。

チンピラ、妙、貸、ちんすこうなどやたら「チン」が強調されるギャグ回ではあるのだが、同時に原作の報酬買い叩きを彷彿とさせつつブラック企業や外国人労働者に対する問題を攻める、六期鬼太郎の特色である風刺回でもある。

担当声優は杉田智和氏。下ネタとの親和性は抜群で、本人もTwitterで番宣していた。



【余談】

墓場鬼太郎』の「ボクは新入生」及び同作の『ゲゲゲの鬼太郎』でのリメイク作「朧車」や三期劇場版「激突!!異次元妖怪の大反乱」に同名のチンポという名の高僧(三期ではなぜかHIGH PRIEST CHIMPOのテロップ付き)が登場する。
こちらはブリガドーン現象の解明のため国賓としてチベットから呼び寄せられたマララマ僧(チベット仏教の僧侶)で、額に第三の目があり、千里眼の持ち主だった。もちろん妖怪のチンポとは無関係である。
ちなみに『墓場』のアニメ版では「トムポ」に改名されている。そして担当声優はまさかの京極夏彦氏であった……先生何やってんすか。



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最終更新:2024年04月21日 23:35

*1 1期では「大海獣」前後編の再編集版、2期では「地相眼」が劇場上映された。

*2 ……と言いたいが、実はいる。エロモドキこと「いやみ」である。鬼太郎曰く「あいつの急所はアソコだったのか」。