刀使ノ巫女

登録日:2018/03/20 Tue 23:25:09
更新日:2023/12/21 Thu 04:04:25
所要時間:約 6 分で読めます




斬る!今ここにある想いを信じて


『刀使ノ巫女』(とじのみこ)とはStudio五組制作によるオリジナルアニメ作品。
2018年1月より同年6月まで放送。2クール放送となっており、12話までが「胎動編」、13話以降が「波瀾編」と称されている。
監督は柿本広大、シリーズ構成は髙橋龍也が担当。
さいとー栄による漫画版が「月刊少年エース」にて連載。取り扱ったのはアニメの中盤まで。
また、スクウェア・エニックスからスマホゲーム『刀使ノ巫女 刻みし一閃の燈火』(通称とじとも)も配信されていた(2021年にサービス終了)。
2019年にはショートアニメとして『みにとじ』が放送された他、2020年には『刻みし一閃の燈火』がOVA化された。

【概要】

アニメとゲームの連動を意識したアニメ作品だが、どちらかというと放送中に展開された『刻みし一閃の燈火』(スマホゲーム)をメインとしていた。
内容としては「刀を振るう制服少女達が異形と戦うバトルアニメ」…というのが世界観的には基本なのだが、
第1話においてヒロインの一人があったとある行為により、刀使同士の戦いへと発展していくことになる。

こういったストーリー展開から、アニメ内では制服女子同士の剣戟アクションを売りとしている。
しかも、ゲーム版ではともかくアニメ内では所謂必殺技的なものはほとんどなく、実際の剣術の流派に合わせた戦い方を参考に、
剣術を補佐する程度の異能を利用しての、激しい斬り合いが戦闘シーンとして繰り広げられる。

スマホゲーム版はRPG形式となっており、序盤は本編「胎動編」の裏側を描くストーリー、以降は「波瀾編」をベースとしたIFストーリーへと転換していく。
こちらではスマホゲームとしては驚くほどに作り込まれた刀使達のグラフィックが売りとなっている。モーションもかなり凝っていた。


【評価】

【アニメ版】

1話切りに悩まされた作品として知られている。
しかもつまらなかったから切ったというより「内容が理解しづらくて切った」という視聴者が多かった。
意図的に次話への期待感を高めるため、あえて世界観の用語や情報を最低限匂わせる程度に提示していた*1のだが、
現実世界に近い歴史を持ちながら独特の世界観を持つ刀使では、これが裏目に出てしまった。
公式はTwitterで用語集に誘導するなど、公式サイトでの補足など対策したが、切ってしまった視聴者には届かなかった。
しかも2018年の同期アニメはかなりの豊作であり、それらの話題性に埋もれてしまったのも痛かった。
作画の安定感も同期のアニメと比べると下の方。アクションを重視したため崩壊とまではいかないまでも微妙な回は目立った。OVAも…

ただ、それで終わらないのが刀使ノ巫女という作品群である。
先の通り見応えのある剣戟アクションを概ね最後まで安定して魅せ続けた。
3DCGを交えたシーンもあるが、そちらも作画シーンとのギャップを抑えつつしっかり描ききっている。

また、同作のラジオにでのリスナー意見として
「ストーリーは王道だけど、節々で絶妙に王道を外したり越えてくるのが面白い」
という点は、大体本作のファンの間で共有されている感想である。

キャラクター達も魅力的でそれぞれ人気が高いうえ、心に残る面白発言が多く、
「山狩りだ!」「エターナル胸ぺったん女」「しょうちした きさまはきる」などのファンの間で盛り上がれるネタも多数生まれた。
特に最後は他作品でもたまに使われる。

俗に言う「知る人ぞ知るスルメアニメ」といった感じなのだが、ファン層がとにかく厚い。
覇権アニメとは言い難い人気なので母数は少ないのだが、一人一人のファンに熱心な人が非常に多い。
番組終了後、そこまで景気がいいとは言い難かったソシャゲ(後述)が約3年7カ月続いたこと*2
ソシャゲ展開中にテレビ放送のミニアニメやOVAが製作されたことなどは、主にファンが強かったおかげと言っても過言ではない。
その後も外伝小説、ドラマCD、朗読劇なども展開されていて、後が上手く続かなかったアニメとしては異例なまでの展開が多かった。
ファンの母数は決して多くないのに、グッズを出すと早期に完売することも。たまに瞬殺に近い捌けっぷりだったことすらある。
そんなファンの中でもアニメ版主演の本渡楓の本作に対する熱中っぷりは伝説として語り継がれており、どのファンも彼女には勝てないと白旗をあげるくらい。
詳しくは本人の項目で。

その後、根強い人気とソシャゲの展開が継続されていたこともあり、5分アニメの「みにとじ」、30分×2のOVA「刻みし一閃の燈火(OVA版)などが製作された。
はっきり言って覇権アニメとは到底言えない作品でありながら、こういった映像作品が出るのは異例。
いかに刀使ヲタがこのアニメに金をどぼどぼと落としていたかがよくわかるエピソードである。

なお映像作について、2023年現在はAmazonプライムなどのサブスクサービスでも多く配信されており、アニメ本編、ミニアニメ、OVA全てが見やすい状態になっている。
今から本作に入っても決して遅くはないので、興味があれば見てみてはいかがだろうか。

【ゲーム版】

ゲーム版は本編開始から少し遅れてスタート。
本編が激しい剣戟を売りとするアニメ作品ながらソシャゲらしいRPG形式の内容となっている。
トゥーンレンダリング系統としては最高峰レベルの美麗なグラフィックを誇るゲームなのだが、ジャンルのせいで少し勿体ない感じに。
(必殺技シーンは後半になるほど洗練されていくけど)
さらにガチャの確率設定ミスなどによる炎上もあって客足が遠のいてしまった。
そもそも運営があのスクエニなのもあって、ガチャはかなり渋かったまたすり抜けかよ…

いろいろとゲーム内容には批判があったものの、本命となるストーリーはフルボイスで、内容もなかなかに好評。
ソシャゲ限定のキャラクター達も人気が高く、これが後の派生アニメ作品に繋がった。
また、TV版では急遽追加されたためほとんど登場しなかったが、コアなファンからやたら人気が高かった岩倉早苗が
まさかのプレイアブル化するといったアニメファンには嬉しい展開もあった。

ソシャゲ限定のキャラクターも人気が高く、結局最後までプレイアブルとしては実装されなかった主人公チーム所属の鈴本葉菜などはよく惜しまれていた。
(サポートキャラ出身でそちらでの実装数は多い)

連動したラジオでも本渡楓とともにラジオ中にガチャを引いて一喜一憂するなどがファンの間での娯楽となっていた。
そこの本渡さん、コーナー外で当たり引き当てないでください。

【メディア展開終了後】

そんなソシャゲ版「刻みし一閃の灯火」が終了後もパチンコ版が出たりしたが、かつてと比べるとクラスタ達の勢いは落ちてしまった。
(そのパチンコ版も運営会社が廃業して事実上の展開終了)
しかし「篝火を絶やすな!」の号令の元、現在でもファンが根強く残り続けている。

その結果、ソシャゲ終了後も10月4日(公式で刀使の日とされている)には何らかの新商品が発表されるという驚きの事態にまで発展している。
ちなみに2023年にはソシャゲ版「刻みし一閃の灯火」をもとにしたボードゲームが発表された。

【あらすじ】

古来、人の世を脅かしてきた異形の存在・荒魂(あらだま)を御刀によって祓う神薙ぎの巫女。
制服に帯刀が主な出で立ちの彼女たちは、刀使(とじ)と呼ばれる。
正式には警察組織に属する特別祭祀機動隊。御刀の所持を公認された超法規的な国家公務員でありながら、
そのほとんどは全国に五ヶ所存在する中高一貫の訓練学校に通う女子生徒たちである。
ごく普通の学園生活をおくる彼女たちだが、ひとたび職務となれば、御刀を手にし、様々な超常の力を発揮して人々を守って戦う。

この春、全国五校から選りすぐりの刀使たちが集い、各々の技を競う恒例の大会が催されようとしていた。


【登場人物】

【アニメの主要人物】


CV:本渡楓

「今度また試合しようね!」

本作の主人公。
美濃関学院中等部2年生、御刀は千鳥
明るく前向きな性格で、友人も多い。
剣術マニアであり、剣術のことにあると目の色が変わり、相手が強ければ強いほど楽しくなってしまう。
それでいて頭も切れ、状況に応じて的確に行動できる。
鍛錬にも余念がなく、寝ている間にも夢の中で稽古できるという半ばチートじみた能力の持ち主。
そのおかげか作中土をつけたことは未だない。
反面、それ故に仲間達との間に埋め難い実力差が生まれてしまい、またなまじ大荒魂を打ち倒すという偉業を果たしてしまった事から
一般の刀使からは畏敬の眼で見られたりと、「波瀾編」以降はやや疎外感を抱き気味の日々を送っている。


「私は自分のすべきことを果たすだけだ」

平城学館中等部3年生、御刀は小烏丸。
真面目でクール、ストイックな性格。
責任感が強く、一度決めたことは決して曲げない意思の強さを持つ。
速さを主体とした剣を振るい、本人曰く銃弾すらも凌駕するという。

「エターナル胸ぺったん女」「ひよよんTHEないぺったん」「ホライズン胸」と呼ばれるほどの慎ましやかな体型の持ち主。

CV:和気あず未

「わたしには、何ができるんだろう?」

可奈美の親友。
未濃関学院中等部2年生、御刀は孫六兼元。
大企業の令嬢で、妹が2人いる。面倒見のいいお姉さん気質。
お菓子作りが趣味で、特にクッキーが得意。
中学生にしては中々いいものをお持ち。

CV:木野日菜

「私には戦う事しかできないから……」

錬府女学院中等部1年生、御刀は妙法村正。
幼いながらも最速の剣を誇る天才刀使。
与えられた任務は確実にこなすが、周囲のコミュニケーションが苦手。

  • 益子 薫(ましこ かおる)
CV:松田利冴

「めんどくさい……」

長船女学園高等部1年生、御刀は祢々切丸。一人称は「俺」。
守護獣として小型の荒魂「ねね」を連れている。
無口で面倒くさがりな省エネスタイルだが、仲間のピンチには猛然と立ち向かう熱い一面もある。
小柄ながら2m以上もある大剣を軽々振り回すパワーファイター。
相方のエレンとことは鬱陶しがりつつも信頼している。
まるで猫耳のように前髪が立っているのが特徴的だが、これは頭に乗ったねねに捕まれたせいでくせっ毛になったものらしい。

  • 古波蔵 エレン(こはぐら えれん)
CV:鈴木絵理

「では、ミッションスタートデス!」

長船女学園高等部1年生、御刀は越前康継。
日本人とアメリカ人のハーフ、天真爛漫な性格のムードーメーカー。
タイ捨流の使い手で、戦闘でも蹴りを積極的に使う。
作中トップクラスのいいものをお持ち。

  • ねね

「ねねー!」

薫が普段から連れている小動物の姿をした荒魂で、祢々切丸に代々引き継がれる守護獣。大きな胸が大好き。
戦闘に際しても絶妙のコンビネーションで薫と共に戦う。

名前を見れば一目瞭然だが、CVの松田颯水氏は薫役の松田利冴氏の実妹。
ラジオ『松田的超英雄電波』第94回放送分によれば、姉妹共に薫役のオーディションを受けており、
利冴氏が薫役に決まった縁で、颯水氏もねね役で呼んでもらったとのこと。音響監督からは「顔がねね」と言われたとか。

  • 折神 紫(おりがみ ゆかり)

「勝手な真似は許さん」

折神家当主にして、警視庁刀剣類管理局局長。御刀は大包平、童子切安綱。
全ての刀使の頂点に立つ存在で、20年前の代役際において大荒魂を討伐し、英雄と呼ばれるようになる。
その力はいまだ衰えず、最強の刀使の座に君臨し続けている。
その正体は……

  • 獅童 真希(しどう まき)
CV:内山夕実

「僕はそれほどうぬぼれじゃないよ」

折神家親衛隊第一席、御刀は薄緑。
大会において2連覇を果たす実力者。
信念に基づく真っ直ぐな強さの持ち主。
主に荒魂討伐の作戦指揮を執る。一人称は「僕」。
ちなみに彼女を始めとする折神家親衛隊メンバーは、ノロを投与して肉体強化が成された一種の改造人間とも言うべき存在である。

  • 此花 寿々花(このはな すずか)
CV:M・A・O

「時間の無駄でしたわね」

折神家親衛隊第二席、御刀は九字兼定。
気品のある立ち振る舞いが特徴。
大会で二度も真希に敗れ優勝を逃した為、彼女をライバル視している。
主に作戦指揮と紫の政治的職務への動向が仕事。

  • 皐月 夜見(さつき よみ)
CV:渕上舞

「行きなさい、あの方の御為に……」

折神家親衛隊第三席、御刀は水神切兼光。
感情をあまり表に出さず、必要以上の会話もしない。
目立った実績はなく詳しい実力も不明、多くの謎に包まれた刀使。
主に紫の身辺警護が任務。
波瀾編以降は雪那共々潜伏活動に入り、戦闘要員補充のために罪のない学生を襲撃して重傷を負わせるなど非道な一面を見せるようになった。

  • 燕 結芽(つばくろ ゆめ)

「でないと私のすごい所見せられないじゃん」

折神家親衛隊第四席、御刀はニッカリ青江。
親衛隊では最年少。
真希をも凌ぐ実力者だが、子供っぽく暴走しがちな為、周囲も慎重に扱っており、滅多に出撃できないため不満に思っている。
元々は幼少ながらに有望な刀使としての才を熱望されていたが、突然の難病でその道を絶たれてしまい、
病院でただ朽ちるのを待つか、ノロの投与による肉体改造を受け入れるかという選択肢を受け入れた身であった。
それ故に刀使としての戦いを誰よりも望んでいたが、戦いの末に病状が悪化し……

  • 高津 雪那(たかつ ゆきな)
CV:ゆかな

鎌府女学院の学長。紫を崇拝しており、そのレベルは最早妄信のレベルにまで至っているほど。
それ故、沙耶香を始めとする学生達への肉体改造も厭わず、親衛隊の事は「失敗作」と見下している。
ヒステリックに怒鳴り散らす展開が目立つ影響か、視聴者からは「ヒスおばさん」のあだ名でネタキャラとして親しまれている。


【ゲームの主要人物】


  • 安桜 美炎(あさくら みほの)
CV:茜屋日海夏

  • 瀬戸内 智恵(せとうち ちえ)
CV:石原夏織

  • 七之里 呼吹(しちのさと こふき)
CV:五十嵐裕美

  • 六角 清香(ろっかくむすみ きよか)
CV:藤田茜

  • 木寅 ミルヤ(きとら みるや)
CV:沼倉愛美

  • 山城 由依(やましろ ゆい)
CV:上坂すみれ

  • 鈴本 葉菜(すずもと はな)
CV:渡辺理沙

  • 播 つぐみ(ばん つぐみ)
CV:池田 海咲

  • 稲河 暁(いなご あきら)
CV:諏訪彩花

  • 新多 弘名(にった ひろな)
CV:河瀬茉希

【用語】


  • 刀使(とじ)
御刀を所持する神薙ぎの巫女。女性にしか務まらない。自らが寄り代となって御刀の神力を引き出し、荒魂を斬って鎮める。
彼女たちのほとんどは成人前の学生で、警察の職務に勤しむ傍ら、専門の学校に通い、刀使としての技術を学んでいる。

  • 御刀(おかたな)
神性を帯びた稀少金属・珠鋼を精錬して作り出された日本刀。
隠世と呼ばれる異世界より、様々な超常の力を引き出し、もたらすが、それは刀使にしかできない。
荒魂に対抗できる唯一の武器でもある。

  • ノロ
珠鋼を精製する際に砂鉄から出る不純物。
負の神性を帯びており、ほぼ消滅しないため、厳重に扱われている。
ノロには結合しやすい特性があり、結合が進むと荒魂となって世の中に災いをもたらす物もある。
荒魂化を防ぐため、古来少量ずつ小分けされ、各地の杜に奉られ、鎮められてきたが……

  • 荒魂(あらだま)
怪異、妖怪、物の怪、悪霊などとも呼ばれる。
その正体はノロが結合し、擬似生物のように変化したものである。
ノロの総量、質によって災いのレベルは異なる。刀使の御刀は、荒魂を斬って祓うことができる。

  • 写シ(うつし)
刀使の基本戦術であり、最大の防御術。
御刀を媒介として肉体を一時的にエネルギー体へと変質させる。
写シで防御している間は、わずかな痛みと精神疲労を代償に、実体へのダメージを肩代わりできる。
ダメージを受けると、その部分は消失し、身体機能も奪われていくが、写しを解除するまで実体へのダメージはない。
要するにポケモンのみがわりみたいなもの。

  • 迅移(じんい)
刀使の攻撃術。御刀を媒介として通常の時間から逸して加速する。
隠世には段階的に時間の流れの早い層があり、深く潜れば潜るほどより高位の迅移を発動できる。
鍛練を積んだ者ほど、より流れの早い深い層に到達することができる。
要するに平成7作目の昆虫型ライダーが行うアレである。

  • S装備(ストームアーマー)
特別祭祀機動隊に配備された荒魂殲滅用の強襲装備。
折神家の管理の元、DARPA(国防高等研究計画局)の技術協力を得て開発された。
装備者は、身体能力及び防御力が飛躍的に向上する。稼働時間が短い、見た目がダサイという最大の欠点を持つ。



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最終更新:2023年12月21日 04:04

*1 普通に見ていればなんとなくわかる程度だが、視聴者によってはとにかくわかりづらかった。

*2 当時の時点でソシャゲの「大量死」や「早死」が茶飯事だったなか、この長さは十分長生き