ふゆう(ポケモン)

登録日:2018/01/12 (金) 03:28:24
更新日:2023/08/30 Wed 11:21:57
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ふゆうはポケットモンスターシリーズのポケモンが持つ特性
特性のシステムと共に第三世代から導入された。

ゲーム中の説明では宙に浮き、じめんタイプの技を無効化する効果があるとされる。
説明を見た限りではよくある特定タイプの無効化特性である。

しかし、特定タイプを無効化する特性のなかでは珍しく、吸収系の効果を一切持たない。
例えば「ちくでん」「ちょすい」「かんそうはだ」は特定タイプの技を無効化してHP回復、「ひらいしん」「よびみず」は技を引き寄せた上で無効化して特攻アップ、「もらいび」は無効化+ほのお技の威力アップという効果を持っている。
「ふゆう」にこのような効果は一切なく、無効タイプを増やす効果しかない。








…と書くと地味な効果に見えるだろう。しかし実際は「ひこうタイプと同等の無効化耐性を得る」という代物である。
じめんタイプの技のみならず、まきびし、どくびし、ねばねばネット、特性「ありじごく」も無効化する。
吸収系の効果が一切ない半面、単純な特定タイプの無効化よりも効果の範囲が広く、防御面は優秀であるといえる。
ついでにひこうタイプ同様、変化技のすなかけだけは無効化されない、地面に展開されたフィールドまで無効化する、技「うちおとす」「サウザンアロー」を受けたときや「じゅうりょく」発動時に地面に落ちる…などデメリットもひこうタイプとよく似ている。

技「フリーフォール」は無効化できなかったが、剣盾では技自体が使えなくなったことでこの点も解消した。

この特性の大きな特徴は「無効化」の部分だけがひこうタイプと同等になるという点である。
つまりひこうタイプと異なり、この特性を得ても弱点が増えることはない。

例えばじめん/ひこう複合タイプグライオンランドロスはじめんタイプの技が無効、いわの技はひこうに抜群・じめんに半減で相殺され等倍のダメージを受ける。
これに対して同じ空を飛ぶじめんタイプでも、ドラゴン/じめん複合かつ特性ふゆうのフライゴンはじめんタイプの技が無効、いわタイプの技はじめんの半減のみでダメージ半減となる。

“タイプ”ではなく“特性”であるため、違うところは他にもある。
例えばひこうタイプは技「はねやすめ」使用後ターン終了時まで一時的に消失するが、ふゆうにそのような効果はない。ひこうタイプは道具「ねらいのまと」を持つとタイプの持つ「無効化」能力を消されじめんわざが当たるようになるが、特性ふゆう持ちが「ねらいのまと」を持っても「無効化」能力は影響を受けず地面技は当たらない。
一方でふゆうは特性であるため特性「かたやぶり」によって無効化されるし、特性「トレース」で相手にコピーされる。

また、この特性の大きなデメリットとして、ふゆうを所有しているポケモンは一部を除いてそれ以外の特性を与えられないという謎の縛りが存在する点が挙げられる。
第2特性はもちろんのことだが、隠れ特性すら与えられることがない。
フライゴンに至っては隠れ特性までふゆうである。*1
専用の特殊な特性*2を除いてこういった縛りがあるのはこの特性くらいである。
そのため、後述のようにふゆうを有しているが故に損をしているポケモンにとってはこの縛りが痛い時がある。それ以外においても、能力強化系の特性が得られない部分は損である。

数少ない例外はドーミラー/ドータクンヨマワル、ドガース/マタドガス
ドータクンは第2特性として「たいねつ」を持ち、かくれ特性の「ヘヴィメタル」も与えられている。
なぜドータクンのみが例外であるのかは不明だが、地面と炎の両タイプが弱点であるドータクンにとって、これら2つの特性を持っていることは弱点を読みづらくしており、有用である。
ヘヴィメタルの実用性はお察しください

ヨマワルは進化によって「ふゆう」を失う珍しい例であり、その兼ね合いでか隠れ特性「おみとおし」を与えられている。
ドガース系統は第8世代になってリージョンフォームの追加と同時に第2特性「かがくへんかガス」と隠れ特性「あくしゅう(ドガース/原種マタドガス)&ミストメイカー(ガラルマタドガス)」が与えられた。

なお、ひこうタイプも「ふゆう」も持たないポケモンでも道具「ふうせん」を持つことで一時的に同じ効果を得られる。
でんきタイプなどじめん技が弱点のポケモンに持たせるのが基本となる。

対戦では無効タイプが増えることがメリットだが、そもそもこの特性を持つポケモンは殆どがふゆう以外の特性を持たないため、ふゆう持ちであることが採用理由にならないことも多い。

第九世代におけるふゆう

スカーレット・バイオレット』では俄かに注目を浴びる特性となった。
この世代特有のバトルシステムとして登場したテラスタルは、戦闘中にポケモン1体を任意の単タイプへと変えることができる。
元々持っていたタイプは失われるため、例えばひこうタイプのポケモンがテラスタルでほのおタイプになれば、テラスタル使用後はじしんをこうかばつぐんで喰らってしまう。
しかし特性はテラスタルに影響しないため、ふゆう持ちのポケモンはテラスタルでほのおタイプになっても相手がかたやぶりでない限りじしんを無効化することができる。
作中ではナンジャモムウマージでこのコンボを使ってくる(ゴースト→でんき)。

特性ふゆうを持つポケモン

ふゆうを持つポケモンは非常に多く、所有する種族の数は概ねトップ10に入る。

この特性は大きく二種類の系統に大別することが可能である。
  • 複合タイプを2つ持ち、ひこうタイプの代用としてふゆうを持つ
  • 単純に見た目が浮いているからふゆうを持つ

なお、先述のようにこの特性を持つポケモンは他の特性を持たない種族が大半を占めており、ギラティナのフォルムチェンジを除けば*3、ふゆう以外の特性を持つ種族はマタドガス系統、ヨマワル、ドータクン系統しかいない。


翼で飛んで地面から離れてます型

ビブラーバ、フライゴンラティアス、メガラティアス、ラティオス、メガラティオス、ギラティナ(オリジンフォルム)、サザンドラクワガノン

クワガノン以外は全てドラゴンタイプのポケモンである。翼はあるが既に複合タイプを2つ持っているため、いわば3つめのタイプの扱いでひこうタイプの代わりにふゆうの特性が与えられている。
この種族は特性がふゆう一択であり、隠れ特性はない。ゲームシステム上は通常特性と隠れ特性の双方がふゆうとして設定されている。

このシステムのお陰で、例えば「悪の力を持ち空も飛べるドラゴン」であるサザンドラのようなポケモンが存在できるのである。
あく/ドラゴン複合になったらタイプ相性でじめんをスカす手段が皆無となるのはおかしいし、ドラゴン/ひこう複合であればあくタイプを持てなくなる。
ここに特性のふゆうを割り当てることで、ドラゴンとあくを持ちつつ空も飛べるという個性を持たせることが出来ているのである。
このように考えると絶妙な調整であるといえるだろう。

ひこうタイプの代用でふゆうを持つポケモンの能力や技の傾向はひこうタイプとよく似ている。
技に関しては「そらをとぶ」「アクロバット」「はねやすめ」「おいかぜ」などひこうタイプの技や「はがねのつばさ」を覚えられる。
全体的に素早さも高い傾向にあり、ギラティナの素早さ種族値90でさえこのグループの中では鈍足である。クワガノンは言わずもがな。


何かしらの力によって浮遊してます型

ゴース、ゴースト、ドガース、マタドガス、ムウマ、アンノーンルナトーンソルロック、ヤジロン、ネンドール、ヨマワル、チリーン、リーシャン、ムウマージ、ドーミラー、ドータクンマスキッパロトム(全フォルム)、ユクシーエムリットアグノムクレセリア、シビシラス、シビビール、シビルドンフリージオ

ガス、超能力、電磁浮遊など、何かしらの能力で宙に浮いている。
こちらのグループは見た目上の共通点が浮いてること以外殆どなく、ひこうタイプの技なども覚えられない。
強いて言うならエスパータイプが多いことくらいか。
ムウマージやチリーンなど、単タイプでありながらふゆうを持つ種族もいる。
素早さの傾向も類似した要素がなく、アグノムのような速攻型からドータクンのようなトリパ向きまでいる。
一方でゴースト、マタドガス、ソルロック、ルナトーン、ドータクン、ロトム、シビルドンなどじめんタイプが弱点のポケモンもおり、特性ふゆうのお陰で弱点をひとつ減らしている。
特にシビルドンはでんき単タイプに特性ふゆうが加わり、タイプ相性の上では弱点がゼロという素晴らしいことになっている。
ドリュウズさん、じしんはやめてくださいしんでしまいます

逆にマスキッパは特性がなくてもじめんを半減することはできたのに、わざわざふゆうを与えられた恩恵が薄い存在である。
地震読み無償降臨ができるだけまだマシ…と言えるだろうか。
スピンロトムに至ってはひこうタイプとふゆうの効果が被り、完全な死に特性と化している。
タイプと特性の両方を上書きされなければじめんタイプ無効が変わらない…と考えればある意味盤石ではあるが、その代償があまりにも大きい。「うちおとす」「サウザンアロー」で両方まとめて打ち消されるのは内緒だ
他のフォルムチェンジ形態が弱点を1つ無くす/無効属性を1つ増やすという大きな恩恵を受けているのとは大違いである。


余談

スピアーウルガモスジバコイルなど、どう見ても浮いているが複合タイプの関係でひこうタイプを持たず、更に特性ふゆうも持たないというポケモンは非常に多い。
特にむしタイプは最終形態で羽を持って飛んでいる種族が多く、技「はねやすめ」を覚えられるケースも多いが、ふゆう持ちはクワガノンしかいない。
ここらへんは想像できるかもしれないが、ゲームバランスの都合であろう。

見た目が浮いているポケモンに片っ端からふゆうを与えてもじめんタイプは涙目になるし、却って性能の劣化や没個性化を招きかねない。
彼らは特性により能力が強化され、それがシナリオ攻略や対戦で大いに役立っているのだ。
例えばメガスピアーは特性てきおうりょくがあるから対戦でそこそこの強さを発揮できるのであり、特性がふゆうにでもなった日には紙耐久もあいまって一気に弱体化しかねない。
見た目上宙に浮いているアーゴヨンウルトラビーストなので特性がビーストブーストで固定されており、このビーストブーストによって無類の強さを発揮している。

一応、タイプ相性以外の手段でじめんわざをスカす手段は用意されており、技「でんじふゆう」を使えば5ターン限定でふゆうと類似した効果を得られる。
こちらは“わざ”の効果なので交代すればリセットされるが、効果が継続するターンの間はバトンタッチで味方に引き継ぐことができる。

ふゆう持ちポケモンの中でドラゴンタイプの割合が多い*4のは、ドラゴンが空を飛べるというイメージに加え、特性を第3タイプの代用で割り当てても十分な強さを発揮できるためであろう。
また、ドラゴンタイプの場合元からメジャーなタイプを半減できるため、ふゆうが加わることで強さに磨きをかけることができる。
例えばサザンドラやギラティナはドラゴンとサブタイプで重ね掛けされるタイプ相性が殆どなく、ドラゴンとサブタイプが半減するタイプは全てそのまま半減される。
ここにふゆうが加わることで、多くのタイプを半減または無効化する*5ことができるようになる。
火力面に関しては素の状態でも比較的高い水準にあり、特性による強化がなくてもさほど困らない。

一方で進化前は浮いているが最終進化で足を得るゲンガーは、第3世代から第6世代までは進化前と同じく特性がふゆうだった。3D化しても二本足で立っており、特に浮いている描写は無い。
これにより、どくタイプでありながら第2世代までの弱点であるじめんタイプ…というか具体的にはじしんを無効化でき、長年ゲンガーの強みとなっていた。
ふゆうゲンガーが初登場したFRLG当時、もしくは第2世代まで遊んでいたトレーナーが第3世代以降で復帰してゲンガーにじしんをぶっぱなしても無効で驚くという光景は各地で見られたであろう。
見た目が浮いていないため、第6世代ではふゆう持ちにもかかわらず、空を飛ぶポケモンのみが参加可能なスカイバトルからハブられていた。
そして第7世代ではとうとう特性がのろわれボディに変わっており、使い勝手が大きく変わっている。
現在は同タイプのふゆう持ちを使いたい場合は進化前のゴーストに頼ることになる。


追記・修正は空中に浮遊しながらお願いします。

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最終更新:2023年08月30日 11:21

*1 ナックラーに隠れ特性が設定されているため、隠れ特性のナックラーから進化したフライゴンは特性ふゆうでも隠れ特性持ちの扱いになる。このため、隠れ特性のフライゴン♀から生まれるナックラーは一定確率で隠れ特性となる

*2 伝説のポケモンの専用特性は言うに及ばず、他にもレジギガスやアーケオスのような高すぎる能力にリミッターを掛ける特性や、ポワルンやギルガルドのようなフォルムチェンジのトリガーとなる特性などが該当する

*3 フォルムが変わるから特性が変わるだけであり、オリジンフォルム自体はふゆう一択である

*4 ドラゴンタイプの総数に対するふゆう持ちの割合はエスパータイプの総数に対するふゆう持ちの割合よりも多い。なお、ラティ兄妹は飛行能力による浮遊なので、便宜上ドラゴンのグループのみにカウントし、超能力のみで浮遊するグループにはカウントしないものとする

*5 ドラゴンとふゆうのおかげでほのお、くさ、みず、じめんというメジャーなタイプに強く、更に複合タイプで半減や無効が増えるため、攻め手の有効打が限られてくる。範囲の狭いポケモンで対面してしまうと、全ての攻撃を半減以下に抑えられることがあるため、幾ら弱点がメジャーでも油断はできない。