タマゴテングタケ

登録日:2017/08/21 (月) 09:49:02
更新日:2022/10/19 Wed 10:23:36
所要時間:約 5 分で読めます












毒キノコはこの自然界で生きる為に姿かたちを変え毒を纏う。




古来より毒性を鍛え獣を退け、時には人類を死に至らしめてきた。




その出で立ちは菌類としての完成形の一つだろう。









どうだ、その力がいか程のものか確かめてみぬか?






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依頼主
黄衣の王

報酬金:46900z

契約金:4110z

目的地:ブナ林



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画像出典:Wikipedia タマゴテングタケ

タマゴテングタケとはテングタケ科のキノコの1種。
より細かく言うならテングタケ属マツカサモドキ亜属の更にタマゴテングタケ節の仲間に分類される。

汚れの無い白色のまっさらな柄とつばを持ち、主要部分となる傘は条線の無い艶やかなオリーブ色。
夏から秋にかけてブナやミズナラの木の下で見かけるこのキノコは何とも高貴さ、気品に溢れたロイヤルなキノコと言える。
ヨーロッパでも多くの地域自生しており、とても知名度の高いキノコとして知られている。








知名度の高い、毒キノコとして。








……かの死天使の項目とかを先に見ている人には白々しさ満載だったろうことは先に謝罪しておきます。

同じテングタケ属の仲間でテングタケ亜属タマゴタケ節に分類され、
節名として採用されているタマゴタケは、その毒々しい外見に反したとても美味なキノコとして有名であるが、
その対極に位置すると言ってもいい本種は見た目のまんま猛毒キノコなのである。

何せこのタマゴテングタケは死天使ことドクツルタケと同じ名前を冠するシロタマゴテングタケと並ぶ猛毒キノコ御三家の一角なのだ。
それもこの3種は全て同じタマゴテングタケ節に属し、タマゴタケと同じく節名にもなっているコイツこそが御三家のトップと言っても過言ではない。
日本での知名度はドクツルタケの方が上かもしれないが、コイツ自身も岩手・秋田・山形などの北部を中心に中毒事例が報告されている危険なキノコである。
というか内包している毒性の致死量はドクツルタケを上回っていたりする。

漢字表記はまんま「卵天狗茸」 学名は「Amanita phalloides(アマニータ・ファロイデス)」
他にもDeath cap=死の帽子という異名を持っていたりもする。

毒の主要成分もドクツルタケと同じ、ピロトキシン、ファロトキシン、アマトキシン等で中毒症状も同様。
詳しくはドクツルタケの項目を参照していただきたいが、
まずは食ってから24時間前後でキノコ中毒にお馴染みの激しい嘔吐・下痢・腹痛などが起こる。

そしてその後は一端症状が治まり回復したと思わせておいて、その実内部では着々と毒が侵攻しており、
第二波に気づいた時には体中のあらゆる内臓器官がスポンジの如くふやけて破壊され、
大量の血を吐き散らしながら絶命するという、隙を生じぬ二段構えである。

というかコイツが率いるタマゴテングタケ節の仲間たちは皆、アマトキシンを始めとした同じ毒性で構成されているので、
基本的にはどれを食べようが死から逃れられぬ猛毒を摂取することに等しいのだと思っておいて間違いは無い。

だのにこれだけ知名度の高い毒キノコでありながら中毒被害が後を絶たないのは、やはりタマゴタケを始めとした食用可能キノコとの誤食が原因なのだろう。
タマゴタケそのものとはそんなに似てないのだが、その近種であるキタマゴタケとは同じ猛毒キノコであるタマゴタケモドキ共々クリソツ。
条線の有無やひだの色などで判別は付くのだが、そんなこと知らない素人にはパッと見同じにしか見えないのだから悪意しか感じない。

何にせよ素人が易々と自然のキノコを口にするなということであろう。
どうしてもタマゴタケとその仲間を食したいのならきちんとした場所で購入するのが確実である。

あと対極であるタマゴタケ節に属しながらも有毒種として知られているキノコに
そのものずばりな名前のタマゴテングタケモドキという種もいるのだが、
タマゴテングタケとは似ても似つかない、ツルタケなどに近い地味~なキノコである。
毒性も強いっちゃ強いが他の猛毒キノコたちと違って死に至るほどではないという、別の意味でモドキなキノコだったりする。

因みに本種独自の要素として「濃硫酸を垂らすとひだの部分が淡紅紫色に変色する」という判別方法があるのだが、
毒キノコの専門家でもなければまず不可能である。




尚、ヨーロッパ圏で有名な毒キノコと上述したが、実際に向こうでの毒キノコ被害の90%以上がコイツの所為だとか言われている。
ヨーロッパ以外だとニュージーランドなんかでも多くの発見例がある。

その歴史は古く、一説として神聖ローマ帝国の皇帝であったカール6世の死因は、
一般的に知られている胃癌ではなくタマゴテングタケを食したことによる中毒症状なのではないかと言われていたり、
かのローマの暴君ネロの母親であるアグリッピナは、息子を皇帝にするために夫のクラウディウスを始めとした政敵たちを、
タマゴテングタケによって暗殺してきたなんていう恐ろしい話も語り継がれていたりする。

確かに考えてみると、如何にも西洋諸国の王族が好みそうなオリーブ色の煌びやかな見た目をしているし、
味自体もかの珍味タマゴタケの仲間であるのだから、実際に美味いのかもしれない。
(あの破壊天使ドクツルタケも、猛毒ではあるが非常に美味でもあるとされているし)

古代のヨーロッパ貴族たちが好んで手を出し、まだその辺りの知識が広まっていない時代故に毒にやられていったのだろうと想像すると、納得できなくもないか……?

いないとは思うが、死んでもいいからぜひその味を確かめてみたいなんていう馬鹿な真似をするのは絶対にやめておけ。








追記・修正はタマゴテングタケの外見だけを静かに愛でる方がお願いします。

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最終更新:2022年10月19日 10:23