スパイダーマン:ホームカミング

登録日:2017/08/20 (日) 23:20:57
更新日:2024/03/21 Thu 18:42:18
所要時間:約 19 分で読めます




◆スパイダーマン:ホームカミング



みせてやる、僕の力を―――





概要

『スパイダーマン:ホームカミング(SPIDER-MAN:HOMECOMING)』は17年に公開された米映画。
MARVEL社の人気コミックヒーロー『スパイダーマン』の実写映画で、02年版『スパイダーマン』、12年版『アメイジング・スパイダーマン
に続いて三度目のリブート作品。
MARVELコミックヒーロー映画化シリーズのマーベル・シネマティック・ユニバースの映画通算16作目にあたり、フェイズ3の第4弾。
MCUでは『シビル・ウォー/キャプテン・アメリカ』で初登場したスパイダーマンの初単独映画である。

もともとMARVELは『スパイダーマン』の映画化版権をMCU開始以前にソニー・ピクチャーズに売却してしまったため、12年には『アメスパ』シリーズを開始したこともあり、
当初はMCUへのスパイダーマンの加入の予定はなかった。
だが、『アメスパ2』の興行成績はヒットしたとはいえ配給側の予想を下回る結果となり、ソニーはシリーズの制作体制を抜本的に見直してマーベル・スタジオとの業務提携を締結。
映画化権をシェアする事でスパイダーマンをMCUに合流させ、そちらの世界観に属する形でスパイダーマンの映画を再リブートすることが決定した。(このため、『アメスパ』シリーズは中途半端なところで打ち切りとなってしまった)
スパイダーマンの単独映画に関してはソニーが引き続き配給を担当するため、今作はマーベル・スタジオ製作ではあるものの、『アベンジャーズ』以降では初めてディズニー以外による配給作品となった。ディズニー配給作品とは違い、コロンビア・ピクチャーズのロゴも本編冒頭にしっかり流れている。

今作は主人公のピーター・パーカーの年齢を大きく引き下げ、これまでの恋や自分の境遇に悩む内気な青年とは打って変わり、15歳のあどけなさが残る元気な少年として描写されている。
クモに噛まれた事やベンおじさんの死といったスパイダーマン誕生の経緯は直接的に描かれていないが、オリジンをカットした事で「愛する人の苦しみや自分の宿命に葛藤する悩める主人公」のスパイダーマン像を一変させ、未熟な少年ヒーローが大事件に直面することで立派なヒーローに成長していくジュブナイル作品として完成した。
(もちろんそうした経緯をすっ飛ばしても問題はないとするのは、サム・ライミ版、マーク・ウェブ版というしっかりとした地盤があっての事というのも忘れてはならない)
原作の「親愛なる街の隣人」としてのヒーローに最も近い形として描かれている。
MCUにおけるスパイダーマン関係の設定は、急遽登場が決まった経緯もあって殆ど後付けであり、MCUの過去作を基に構築された物も少なくないが、それでも既存の世界観にほぼ違和感なく組み込まれている。

今作では、ピーターの憧れの人物でありMCUのメインキャラ、アイアンマンことトニー・スタークも登場。
『シビル・ウォー』後の彼の様子や、ピーターとの関係の変化にも注目していってほしい。
NYの高層ビルを糸で移動する従来のスパイダーマンと違ってローカルヒーローチックで田舎を舞台に未熟なスパイダーマンが走り回るのも特徴。

監督は『クラウン』『コップ・カー』といった子供目線のホラー映画を製作したジョン・ワッツ。

配給の違いやスパイダーマン自体の知名度からか、吹き替え版でも芸能人起用など話題性重視のキャスティングは皆無であり、細部に至るまで概ねプロ声優で固めている。

エンドクレジットで使用された主題歌は70~90年代に活躍したロックバンド「ラモーンズ」の代表曲「Blitzkrieg Bop」。
ちなみに、ラモーンズはピーター同様NY・クイーンズ出身のアーティストである。




ストーリー

ニューヨーク州クィーンズに住む、工学が得意な冴えない高校生、ピーター・パーカーにはある秘密がある。
それは、最近NYで活躍するようになった謎の覆面ヒーロー「スパイダーマン」の正体が自分であることだ。
そして彼は、憧れの大富豪ヒーローでアベンジャーズの一員、アイアンマンことトニー・スタークに助っ人として呼ばれ有頂天だった。
トニー特製の新しいスーツも提供され、放課後にはスーツの力をフル活用して街のパトロールをする毎日を過ごす。
その一方で学校では、スパイダーマンに憧れる学園のマドンナ・リズに正体を明かしたいもののそれも出来ず悶々とする毎日だ。

そんなある日、ピーターはATM強盗を見つけて捕らえようとしたところ、彼らの持つ未知の強力な兵器の攻撃を受け逃げられてしまう。
その後も、あちこちで強力な兵器を犯罪者に売りつける怪しげな組織の存在が見え隠れし、
捕まえようとしたピーターもまた、彼らの仲間と思しき機械の翼を持つ怪人に襲われ死にかけてしまう。
深追いを続けるピーターに、トニーは「余計なことをせず、ご近所だけ守っていればいい」と窘めるが、
実力を見くびられたと思ったピーターは却って反発心が芽生え、アベンジャーズとしてトニーに認めてもらいたい一心の彼は親友ネッドの協力でスーツの機能制限を不正に解除し、兵器密造・密売組織を独断で追い始める。
そこで見え出す、アベンジャーズの戦闘の後に発生したゴミ=武器を利用した兵器を売って一儲けを企む一見普通の町工場。
敵を追い詰めるピーターだったが、やることなすこと空回りし、戦闘の度に事態は悪化。
ついには単独行動がトニーに露見し、見放されてしまう。
更に罰としてスーツを没収され、ピーターは失意のどん底に落とされることに…。

スパイダーマンを諦め、普通の学生生活を送る決意をしたピーターだが、敵の正体はまったく想像もしないところにあった。
そして、彼は「親愛なる隣人」として真の目覚めを果たす。




登場人物

演:トム・ホランド/吹き替え:榎木淳弥
主人公。クィーンズのアパートで叔母と同居している15歳の高校生。正義感が強く、純粋で好奇心旺盛な極めて平均的な若者。
理工学が得意で学力クラブに在籍する成績優秀な生徒で外国語もペラペラだったり、
多彩な機能を搭載しているスーツのトレーニングコースを30分弱で全てこなす程の天才で次の場面では見事使いこなしている。
普段は鈍くて自分に自信が無く、イケてないからか周囲にバカにされている。
ある日不思議な蜘蛛に噛まれ、壁を自由によじ登れる能力を身に着けてしまい、
その力を使って周囲の困った人を助ける覆面ヒーロー「スパイダーマン」として活動を開始する。
武器の、手首の腕輪から放たれるウェブシューターは自身が発明した自家製である。
その噂から憧れのヒーローであるトニー・スタークから助っ人としてスカウトされ、新型スーツもプレゼントされて上機嫌になる。
早くアベンジャーズとしてトニーに認めてもらうためにヒーロー活動を活発に行うようになるが、
まだ経験浅く未熟な面が多いため戦闘でも上手くいかずドジも連発する。
お陰で折角スパイダーマンに夢中な憧れのマドンナ・リズにも接近するチャンスを幾度も不意にし、日常生活に支障をきたすようになる。
武器の密売集団を夢中になって追ううちに周囲に被害を与えてしまい、トニーから叱責されてスーツの永久没収を言い渡されてしまう。
普通の高校生に戻る決意を固めるが、思わぬきっかけで敵の正体を知り、自らの使命を自覚し再び勝負に挑む。


演:ロバート・ダウニーJr/吹き替え:藤原啓治
億万長者の天才エンジニアにして鋼鉄のスーツを纏うヒーローであり、ピーターの憧れの人。
『シビル・ウォー』にてキャプテン・アメリカと仲違いし、同作の一連の事件がアベンジャーズ解散に繋がった事に責任を感じて傷心気味だったが、
ピーターに新しい才能を見出し彼のバックアップをする。
しかし、やはりまだ子供とみなしているため、高性能スーツを渡してはいるものの大きな任務は任せることなく「補助輪」モードのセーブをかけGPSで監視している。
それが却ってピーターの反発と承認欲求心を産んでしまい、彼の単独行動で事態は悪化してしまい、後始末として自らが出撃して彼を助ける。
だがその件でピーターには失望し、スーツを没収してしまう。
スーツが無いと何も出来ないと泣きつくピーターに対し、「スーツ無しじゃダメならスーツを着る資格はない」と厳しい言葉をかけるが…
かつて自身も『アイアンマン3』でアイアンマンスーツへの依存症に陥り、敵の陰謀でスーツ無しでの徒手空拳の戦いを強いられ、最終的に依存症の克服に成功したのだが、それが弟子の代で繰り返されている。スーツに頼ろうとするピーターを以前の自分と重ねたからこそ、彼に敢えて厳しく接したのかもしれない。
なお、吹き替え担当の藤原氏は今作が病気療養後の復帰第1作となった。


  • ハッピー・ホーガン
演:ジョン・ファヴロー/吹き替え:大西健晴
元お抱え運転手、現スターク・インダストリーズの幹部のトニーの忠実な部下。
『アイアンマン3』以来の登場となる。
スターク・インダストリーズの社長として大忙しのトニーに代わって、現在は旧アベンジャーズ基地のアベンジャーズタワーの引っ越しを取り仕切る。
トニーの言いつけとして、NYで目が行き届くようにとピーターのお目付け役と二人の中継役を担っており、事あるごとにメールされてうんざりしたり、無茶の多いピーターにいちいち冷や冷やしている。
ご存知MCUの始まりであるアイアンマン1とその続編である2の監督でありアベンジャーズシリーズの製作総指揮。
今回はお目付役なのもあり特に出番が多い。


  • カレン
声:ジェニファー・コネリー/吹き替え:井上喜久子
スパイダーマンスーツ内蔵のガイドAI。
ネッドがシステムを解放したため操作可能となった。
多機能満載のスーツの機能を選択し、ピーターのアシストをする。だが武器の選択には少々やりすぎな面もあるようだ。
閉じ込められてピンチになったピーターを励ましたり、リズとの仲を後押ししたりと先代譲りで気配り上手。

声を担当したジェニファー・コネリーは、ハルクの2003年度版でヒロインを演じており、久々のマーベル映画への出演となった。
また、第二次世界大戦で活躍したロケット人間の恋人や、ヤク中のリア充も演じていた。
ちなみに旦那はMCUでジャービス/ヴィジョンを演じているポール・ベタニーである。


  • ネッド
演:ジェイコブ・バタロン/吹き替え:吉田ウーロン太
ピーターの親友。いかにもなダサいデブオタク。
陽気なムードメーカーでピーターを茶化したり鼓舞したりして共に非リアな青春を謳歌している。学力クラブのメンバーでもある。
偶然ピーターの正体がスパイダーマンだと知ってしまい、ヒーローの「イスの男」(=セコンド)になれると大はしゃぎし、スパイダーマンとしても彼の協力者となる。
得意のプログラム技術を生かしてスパイダーマンスーツの機能を解放し、ハッキングをかけて敵のアジトを探知するといった活躍を果たす。
何気にスターク社のセキュリティをあっさり突破してしまう人物。
名前は原作コミックで新聞記者になったピーターの同僚ネッド・リーズから取られているが、
キャラ設定はコミックの2代目スパイダーマンであるマイルズ・モラレスの親友ガンケ・リーが由来…というかガンケそのもの。
「あの……見てました……エロ動画」


  • リズ
演:ローラ・ハリアー/吹き替え:美山加恋
学力クラブのリーダー格で、ピーターの憧れの人。
美人で成績優秀、おまけにお金持ちな学園のマドンナであり、他人への気遣いも出来る優しい性格。
トニー・スタークのファンで、近頃は話題のスパイダーマンにも憧れている。
ネッドの「ピーターが実はスパイダーマンの友達」という嘘(半分本当)をきっかけに、ピーター本人を意識しだす。
だが事あるごとに(スパイダーマンとして)いなくなる彼に時々憤りを感じるも、ホームカミングパーティーのピーターからの誘いに応じる。

吹き替え担当の美山加恋は人気子役出身の女優であると同時に、2010年代後半からは本格的な声優業に進出しているため、
本作にはプロの声優として出演した。


  • ミシェル
演:ゼンデイヤ/吹き替え:真壁かずみ
ピーターの同級生で学力クラブ仲間。
博識で勉強熱心な天才少女だが、皮肉屋で普段の態度が悪いため、居残り常習犯の上友達がいない。
だが学力クラブのメンバーは大切にしているようで、ピーターにも一目置いているらしいと言うか何かとピーターの近くに現れる為、
本人は否定してるが若干ストーカー気味。
居残り授業に関しても教師が言うには居残りする必要が無いのに居残る時があるとか。
実はミドルネームがあり、愛称は『MJ』。つまり…


  • フラッシュ
演:トニー・レヴォロリ/吹き替え:畠中祐
学力クラブのメンバー。
金持ちで校内でも人気があることを鼻にかけ、ダサいピーターを事あるごとに小馬鹿にし、クラブでも邪険に扱っている。
ピーターの「スパイダーマンの親友」という言い分を嘘だと決めつけていたが、展望エレベーターの事件で本当にスパイダーマンが登場し驚愕。
その後スパイダーマンに自慢の(父親の)車を借りパクされて大破させられている。ざまぁ。
前2作のような筋肉隆々のジョックスとは違い、同じ立ち位置で自分より下の人間を見下す陰湿ないじめっ子として描写された。
一方で、学力クラブ内での実力はパッとせず、クラブでのクイズ練習では威勢よく早押し即答はするものの、全問不正解という惨状。
「フラッシュ、フラッシュみたいに速いだけじゃダメなのよ!」
そういうこともあり、クラブ内でのヒエラルキーも最下位な上、非常事態では我先に逃げ出そうとするヘタレな面も見せたりと、
ポンコツなキャラクターの持ち主でもある。


  • ジェイソン
演:ジョージ・レンデボーグJr./吹き替え:浪川大輔
  • ベティ
演:アンガーリー・ライス/吹き替え:水瀬いのり
学園放送のパーソナリティー。スパイダーマンの特集放送を流す。
ちなみにジェイソンはベティに気があるのか、ホームカミングパーティーに誘おうとするが、彼女曰く「もうパートナーは見つけたわ」とのことで、
ジェイソンは哀愁漂う顔を校内放送で晒す羽目になった。生きろ。
余談だが、ベティのパートナーはフラッシュ。


  • エイブ
演:エイブラハム・ハッター/吹き替え:梶裕貴
学力クラブのメンバー。


  • シンディ
演:ティファニー・エスペンセン/吹き替え:伊波杏樹
学力クラブのメンバー。
アジア系の女子であり、シルクことシンディ・ムーンが元ネタと思われる。
余談だが、シルクはピーターと同じく蜘蛛に噛まれてヒーローとなった韓国系のクラスメイトであり、ある意味スパイダー・グウェンに近いキャラと言える。
また、現在シルクが主役のスピンオフ映画の制作を検討中との事。


  • ハリントン先生
演:マーティン・スター/吹き替え:長島伸二
学力クラブの顧問。ピーターの学力の高さを評価しており、最近顔を出さないことに嘆いている。
演じるマーティン・スターは『インクレディブル・ハルク』にも学生役で出演しており、
コアなファンの間では2人が同一人物なのではないかと話題になっていたが、続編の『ファー・フロム・ホーム』の公開に合わせ、プロデューサーのケヴィン・ファイギが同一人物であることを認めている。

  • モリタ校長
演:ケネス・チョイ/吹き替え:遠藤大智
ミッドタウン高校の校長。
祖父は第二次世界大戦時にキャプテン・アメリカの指揮していたハウリング・コマンダーズのメンバーであったジム・モリタ(俳優も同じ)。
よく見ると校長室にはジムの写真が飾ってある。
校内では鬼校長で通ってるらしいが、問題行動を起こしたピーターを退学処分にせず、厳重注意で済ませる寛大な様子を見せている。
何故かキャップ本人とも面識があって懇意な関係であるらしく、彼が国際指名手配犯となった現在でも、キャップの出演する教育ビデオを教材に使っている。


  • メイ・パーカー
演:マリサ・トメイ/吹き替え:安藤麻吹
ピーターの育ての親の叔母。
若くて美人で色気満々なおばさんで、ピーターを実の子のように愛情をもって接する。
ピーターがリズをパーティーに誘う時は喜んでダンスの練習の講師をした。
トニーをあまり良く思っておらず、彼の下での社員研修にのめり込んでいる(ことになっている)ピーターを心配している。
ちなみに役者のマリサ・トメイはこう見えて50代である。うっそだろ…



  • ペッパー・ポッツ
演:グウィネス・パルトロー/吹き替え:岡寛恵
終盤に登場。『アイアンマン3』以来となる、トニーの恋人のスターク・インダストリーズ社長。登場する事は公開まで伏せられていた。
『シビル・ウォー』ではトニーとの関係が悪化した事が語られていたが、アベンジャーズの仕事を手伝うくらいには復縁したようだった。
そして、ファンの間でやきもきされていた結婚問題もまた…?


  • エイドリアン・トゥームス/バルチャー
演:マイケル・キートン/吹き替え:大川透
本作のヴィランであり、機械の翼で空を飛ぶ中年男。
妻子を持つ瓦礫撤去専門の工事会社の社長だったが、NY決戦以降その仕事をスターク・インダストリーズ傘下のダメージ・コントロール局に奪われ失業。
窮地に陥った彼は家族と社員を養うため、そしてトニーへの恨みから悪の道へ自ら進む事を決断する。
そして回収してから未提出のままだったチタウリの残骸のリサイクルやそこから得た技術を応用してハイテク武器を製造、
それを陰で犯罪者に密売する事で大きな利益を得るようになる。
自身もチタウリの石をパワー源にしたウイングスーツを身に纏った怪人「バルチャー」となり、
ダメコンが回収・輸送するチタウリ、ウルトロン、アスガルドの武器や残骸を強奪し武器の素材を調達するなど暗躍を開始する。
慎重に慎重を重ねてアベンジャーズにも警察にも見つからないよう活動を続けていたが、スパイダーマンに目をつけられてしまい彼の執拗な追跡によって徐々に商売も破綻し追い詰められ、スパイダーマンに憎悪を募らせていく。
遂に警察にも目を付けられた事で武器の密造密売も限界と見て、最後の締め括りとして一攫千金を狙い、
アベンジャーズ基地の引っ越しの荷物(積荷はなんとハルクバスター・キャップの盾の試作品・ソーの帯といったオーパーツの数々)をターゲットに動き始める。
だが、思わぬところで再会を果たすことになる…?

蝙蝠男で別な主演作で「鳥男」のイメージと葛藤して『紅の豚』英語版でポルコ・ロッソだった人にバルチャー(禿鷹)は狙い過ぎではないだろうか。
吹き替え担当の大川氏は『アントマン』でもダレン・クロス/イエロージャケット役で出演しており、異なるメインヴィランを2度演じる事になった。


  • フィニアス・メイソン/ティンカラー
演:マイケル・チャーナス/吹き替え:山本満太
トゥームスの右腕的存在の技術者。
その巧みな腕でアベンジャーズの敵の武器を次々と地球用の武器に改造した。
原作におけるヴィラン「ティンカラー」の本名としての登場を果たした。


  • ジャクソン・ブライス/ショッカー(初代)
演:ローガン・マーシャル=グリーン
クロスボーンズのガントレットの再生品を装着したゴロツキ。
商談中にスパイダーマンに見つかった挙句街中で銃をぶっ放してしまい、怒ったトゥームスに気絶させるつもりで撃った銃で消し炭にされてしまった。


  • ハーマン・シュルツ/ショッカー(二代目)
演:ポキーム・ウッドバイン/吹き替え:諏訪部順一
↑のブライスが死んだためショッカーを引き継ぐ。
幾度も邪魔してくるスパイダーマンに恐れをなして逃げ出そうとしたが、トゥームスに懇願され残ることに。
ガントレットの扱いには慣れていないようだが、最終的には気に入った様子。


  • マック・ガーガン
演:マイケル・マンドー/吹き替え:青山穣
トゥームスの商談相手で蠍の刺青が特徴のギャングのボスであり、多数の殺人罪の前科がある殺人鬼。フェリー上の取引中にスパイダーマンが乱入し取り押さえられ、逮捕される。しかし、刑務所にて…。
原作におけるヴィラン「スコーピオン」を思わせる刺青が特徴だが果たして……。


  • アーロン・デイヴィス
演:ドナルド・グローヴァー/吹き替え:渡邉隼人
トゥームスの武器を買おうとしたチンピラの黒人男性。窃盗などの前科あり。
しかし武器はあくまで脅しに使うつもりであり、あまりの危険性から紹介された武器を買う事を拒否した。
後にも「甥っ子も住んでいるこの近辺であのような危険なものを拡散されたくない」と語るなど、ある程度の良識も持ち合わせている。
取引現場にスパイダーマンが現れた事で覆面捜査官と疑われ殺されかかるが、彼によって事なきを得る。
その後密売組織の情報を聞き出すためにスパイダーマンから尋問されるが、慣れない尋問で空回りする彼に呆れる。
しかし、ピーターの真剣さ、彼が身体を張った事で命拾いした事から心を動かされ取引の情報を教えた。

元ネタは原作に於ける2代目スパイダーマンであるマイルズ・モラレスの叔父と思われ、劇中でも「クイーンズに甥っ子が住んでいる」と語っている。
また原作では「プロウラー」と呼ばれるヴィランだった。
トゥームス一味との取引のシーンでは、上記の通り武器の購入は見送り、代わりに提案された「反重力クライマー」なるものには興味を示しているが、
これは原作のプロウラーが壁をよじ登る事を得意としている事を意識した原作読者向けの小ネタと思われる。


  • アン・マリー・ホーグ
演:タイン・デイリー/吹き替え:西宏子
ダメージ・コントロール局の長官。
瓦礫撤去作業を取り組もうとしたトゥームスの元に現れ、彼らのお役御免の通達を言い渡した。


演:クリス・エヴァンス/吹き替え:中村悠一
ミッドタウン高校で使われている教育ビデオに登場。『アベンジャーズ』に登場したスーツを着ている。
かつてはアメリカの英雄だったが、『シビル・ウォー』での一件により国際指名手配され、現在は国の裏切り者として逃亡中。
トニーによると、シビルウォーでスパイダーマンと戦った時は手加減していたらしい。その上でなお優勢だったので、驚いたファンも多いようだ。
教育ビデオは何種類かあるらしく、いつぞやの国債売るマンの二の舞で、心なしか嫌そうだ。
「……あと何本撮るの?」


  • ゲーリー/スタン・リー
…また出てるよ!



用語集

  • スパイダーマン・スーツ(ハイテク・スーツ)
トニー・スターク特製のスパイダーマン専用スーツ。全身に自動的にフィットする動きやすい密着式。
腕輪のウェブシューターからはピーター自家製の蜘蛛糸が様々な機能(ロープ用、射撃用)で放たれる。
ヒーターもついているので濡れても自動乾燥する。
ネッドによって機能制限型の「補助輪モード」が外された後は、AIカレンのナビゲーションの元で全機能が使えるようになった。
ウェブシューターの多機能化、「即死モード」(物騒)の解放、録画、検索機能など、アイアンマンスーツ同様の高い性能を誇る。
パラシュートによる高所からの降下やウェブウィングによる滑空も可能。
また、胸のスパイダーマークは小型ドローンにもなり、潜入偵察が出来る。
一通りのトレーニングコースも備わっている。

  • スパイダーマン・スーツ(ホームメイド・スーツ)
トニーに出会う前、ピーターが着ていたスーツ。
ある理由から終盤にこのスーツに着替える。
普通のパーカーとジャージで簡単に作った自家製スーツであり、ゴーグルも作りが甘い。
ウェブシューターも自家製であり、戦闘力のほとんどがピーターの身体能力に依存した作りとなっている。
故に彼の頑丈さや身体能力の高さがうかがえる。

  • ウイングスーツ
バルチャーの装着する飛行アーマー。
背部のウイング部分と、下半身の背面を覆う様にして装着するパワーアシストスーツで構成される。
チタウリの石を動力源とする巨大なタービンエンジンを搭載した機械の翼で自在に空中を飛行する。
翼の先端は鋭利な刃物になっており、爪先にはカギ爪も備えているため近接戦闘も出来る他、自家製のプラズマ兵器による射撃も扱える。
ウィング自体も非常に頑強で、拳銃の銃撃程度は全く意に介さない。
タービン部はジンバル状になっているため自在に推力偏向が可能で、横に向ければ加速、下に向ければホバリングもできる。
推力はかなり強力で、普通自動車程度なら脚のクローで掴みながら空を飛ぶ事ができる。
回転翼を内蔵したウイングという造形はE・HERO エアーマンにも似ている。こっちはヴィランだが
ウイング部分は任意で切り離す事ができ、アシストスーツ自体にもウイングの重さを支え、高さ数メートルもの垂直ジャンプを可能にするパワーがある。
遠隔操作も可能。

物語後半でバージョンアップした二代目が登場、ジェットエンジンが追加され、タービン部分のレイアウトも変更されている。
こちらも遠隔操作が可能で、スピードを乗せれば鉄筋コンクリート柱を何本も叩き折ってもなおそのまま飛行を続けられるパワーと強度を持つ。

  • ショッカーガントレット
「ウィンターソルジャー」「シビルウォー」に登場したクロスボーンズの持っていたガントレットを修復・改良したもの。
強力な衝撃波を放ち、パンチ一撃で(油断していたとはいえ)スパイダーマンを遠くまで吹き飛ばしたりスクールバスを横転させる威力を持つ。
使用に際しては腕を保護する装置をオンにしないと自分の腕が潰れるらしく、
ブライスは上手く使いこなしていたがシュルツは操作にかなりモタついていた。

  • ダメージ・コントロール局
スターク・インダストリーズとアメリカ政府が共同で設立した、アベンジャーズによる戦闘の後始末、整備を担当する機関。
表向きには瓦礫処理などの担当機関とされているが、それと同時に戦闘で残されたチタウリをはじめとする敵の武器を回収及び管理が本来の役目である。
敵の技術が一般人に渡るのを防ぐためか、瓦礫撤去に当たる業者を無理矢理立ち退かせるなどの強引な手段に出る事もあり、
それが本作の一連の事件の遠因となっていた。
実は『アイアンマン』の段階で存在は示唆されており、ラストでのスターク・インダストリーズ社長室のテレビモニターで名前が出ていた。





余談


本作の時系列は、本編中のテロップによると「NY決戦の8年後」となっている。
そして、『シビル・ウォー』は本作からそう離れていない時期、2か月前の出来事。
また、『シビル・ウォー』ではヴィジョンが「トニー様が『私がアイアンマンだ』と宣言してから8年」と発言しており、これらの情報を統合するとNY決戦は『アイアンマン』の同年代に起きたということになる。
つまり、あの年にはソーが地球に現れキャップが掘り起こされハルクが逃亡しながらアポミネーションと戦ったという、フェイズ1の出来事が全て発生したことになる。ハードスケジュールにも程がある。

しかし、これまでのMCU作品の時系列は作品公開年と同年と思われていたため(それ以前にも、『アイアンマン2』が前作の半年後と言われていたにもかかわらず実際の公開年は前作の2年後だったことが混乱を招いていた)、「NY決戦は『アベンジャーズ』公開の2012年」という考えが通説だった。
なお、ドラマ『エージェント・オブ・シールド』ではNY決戦は2012年と言及されている。
にもかかわらず、2016年の出来事と思われていた『シビル・ウォー』と本作が「4年後」ではなく「8年後」だったことに、多くのMCUファンが混乱、大論争を巻き起こした。
これに対し、シリーズを統括するプロデューサーのケヴィン・ファイギは「タイムラインに問題はない。タイムラインはちゃんと決めてあるから、いずれ発表したい」と語っている。



2010年に公開された映画『アイアンマン2』の終盤でアイアンマンのマスクをした少年がトニーに助けられるシーンがあるが、本作の監督であるジョン・ワッツがこのシーンを見返した際に「もしもこの少年がピーター・パーカーだったらどうだろう?」と思い付き、計算は合うかとプロデューサーのケヴィン・ファイギと話をした際『そうかも、多分ね』と返しており、この話を聞いたピーター役のトム・ホランドも「クールだ。ピーター・パーカーが初めからこのユニバースにいたなんていいよね(意訳)」と語った為、完全な公式設定ではないが『アイアンマン2』に出てきた少年は幼い日のピーターだったことになった。
あの少年がピーターだと仮定した場合、目の前で自分を救ってくれたヒーローに憧れるのも無理はないだろう。
ちなみにこの少年を演じたのはハッピー役のジョン・ファヴローの息子である。

オープニングでかかるbgmは、67年版アニメの主題歌を編曲した物。
今までの実写映画でもちょくちょく使われていたが、MCU版三部作では欠かさずに使われていくことになる。






「追記修正は会議室だ。急げよ」

「お断りします。まずは言われた通り、地に足をつけてご近所を追記修正しようと思います」


















「僕を試したんですよね?スーツは偽物で部屋の向こうには誰もいないんでしょ?」





「合格だ。早く行け。ハッピーが車まで送るよ。」























  • スパイダーマン・スーツ(アベンジャーズVer)
ラストで登場したトニー・スターク謹製のスパイダーマン用新型スーツ。通称「アイアン・スパイダー」。
ハイテク・スーツをさらに洗練させたもので、胸に施された蜘蛛のマークが巨大化、肩部や腰部にまで脚が伸びており、随所に金のラインが入っている。
ピーターがアベンジャーズの新メンバーに加入した時のためにトニーが開発していた。
トニーはスーツ無しで事件を解決したピーターを認め、このスーツを送りアベンジャーズの正式メンバーにスカウトするがピーターはこのスカウトを拒否。
これからも『親愛なる隣人』として活躍すると決め、このスーツを着ることはなかった。
実はピーターが拒否したのは自身を試す為のテストだと勘違いした為であり、トニーは記者会見の準備をしてスパイダーマンをアベンジャーズの新メンバーとしてマスコミに大々的に紹介するつもりだった。ピーターの成長を感じ取ったのか、または自身の手のひら返しっぷりを反省したのかトニーはハッピーと共にピーターの誤解を解く事はしなかった。なお、ピーターがアベンジャーズ加入を断った為、記者会見をペッパーとの婚約発表に切り替えた模様。後に没収したスーツをピーターに返している。
なお、このスーツは2018年4月に上映の『アベンジャーズ/インフィニティ・ウォー』にも登場する。









SPIDER-MAN will return in "AVENGERS:INFINITY WAR"

スパイダーマンは『アベンジャーズ/インフィニティ・ウォー』に帰ってくる


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最終更新:2024年03月21日 18:42