ターミネーター(初代)

登録日:2017/06/24 (土) 21:35:40
更新日:2024/02/14 Wed 08:50:36
所要時間:約 5 分で読めます







では、また来る
I'll be back




『ターミネーター(THE TERMINATOR)』とは1984年に公開されたアメリカ映画。
今となっては最早知らぬ者はいないであろうSFアクション洋画の金字塔であり、
ジェームズ・キャメロンが監督を務めたターミネーターシリーズの初代作品。

●目次

【あらすじ】

遠い未来、2029年の世界。
スカイネットと呼ばれる人工知能搭載コンピューターが統率する機械軍の反乱により、人類は絶滅の危機に瀕していた。
しかし、人類軍のリーダーにして英雄的存在であるジョン・コナーの台頭により形勢は逆転、人類に勝機が見え始める。

追い詰められたスカイネットは、打開策としてタイムスリップによるジョン・コナーの抹殺作戦を実行。
その内容とは1984年の世界に抹殺用ターミネーターを送り込み、後々ジョンの母親となる人物であるサラ・コナーを殺害することによってジョンの誕生を未然に阻止するというもの。
同じ時、スカイネットの企みを知った人類軍もまたタイムマシンを利用し、ジョンを敬愛する若き兵士であるカイル・リースを送り込む。

人類と機械の存亡を賭けた最終決戦は未来の世界ではなく、1984年のロスにて起こることに……



【登場人物】

吹替えはDVD版に準ずる。

スカイネットがサラ抹殺の為に送り込んだ戦闘マシーン。タイムマシンの特性の関係で登場時はすっぽんぽん。
丸腰の状態で現代世界に来たものの、未来世界においても最新型ということもあって人間とは比べ物にならないずば抜けた基礎スペックを持っている。
劇中ではたまたま近くに居合わせて絡んできたチンピラの1人を素手だけで難なく殺し、武器の調達のためにガンショップに赴くとそこでも店主のオヤジを躊躇なく射殺したほか、「サラ・コナー」という名前だけで同名の女性を見境無く殺していく*1など殺戮の限りを尽くす。

頭にあるのはスカイネットが命じた任務を確実に遂行すること一点のみであり、サラ及び彼女を守るカイルを執拗に追跡し続ける。
眼球を損傷しようが爆発に巻き込まれて機械の骨格剥き出しになろうが下半身がもげようが尚も襲ってくるその様は正にホラー。


  • サラ・コナー(演:リンダ・ハミルトン/吹替:佐々木優子)
後に人類軍の英雄となるジョン・コナーの実母。
しかし、1984年における彼女は大学に通い、友人のジンジャーと共にレストランでバイトをする極々普通のスクールガールである。
わけもわからぬまま命を狙われた挙げ句に、自身や襲撃者が未来の存在だと語るカイルの存在などもあり、当初は混乱の真っ只中にいたが、それでも尚自分を必死に守ろうとするカイルの姿に心惹かれ、やがては恋に落ちることに……。
そしてその感情こそが、後の未来の英雄を生み出すことになる。


  • カイル・リース(演:マイケル・ビーン/吹替:宮本充
サラ抹殺を阻止するために人類軍が送り込んだ未来世界の兵士。やっぱりコイツもすっぽんぽん。
自身の行動如何によって人類の存亡そのものがかかっているという極めてハードな立場にあるため、なりふり構わないというか余裕が無い言動を繰り返している。
しかし、単なる義務感だけでなくサラ個人に対する好意も本物であり、例え作戦が成功しても二度と元の世界には戻れなくなるのも承知で過去へとやってきた。
人類軍では技術情報部隊所属の軍曹だったこともあってか、1984年の世界でも機械技術全般や爆弾製作などの技能を発揮する。非常に悪運が強い。



  • エド・トラクスラー(演:ポール・ウィンフィールド/吹替:宝亀克寿)
ロサンゼルス市警に勤めている黒人警部。
ターミネーターによる2人のサラ殺害事件の担当となり、「マスコミが飛びつきそうだ」と頭を抱えていた。
その渦中でサラ・コナーを保護し不審人物であったカイルを逮捕するも、直後にターミネーターの襲撃に遭う。
当初はカイルの言葉を全く信用していなかったが、未公開シーンではサラを連れていくように促し、自身の拳銃を託すなど最終的には彼を信用した様子。


  • ブーコビック(演:ランス・ヘンリクセン/吹替:仲野裕)
トラクスラーと共に件の殺人事件を担当する警部補。
逮捕されたカイルの尋問内容を全く信用しておらず面白がっていた。
後のターミネーター襲撃時には反撃を試みるも軽く返り討ちにされてしまう。
コイツの方がターミネーターっつーかアンドロイドなんじゃね? というのは禁句。
まぁ、当初は本当にターミネーター役としてキャスティングされてたんだけどね。


  • ジンジャー・ヴェンチュラ(演:ベス・モッタ/吹替:棚田恵美子)
サラとルームシェアをしている友人。マットという名の恋人がいる。
よくイヤホンで大音量の音楽を聞いている。
住居が一緒だったということでターミネーターの襲撃を受けてしまい、恋人のマット共々殺されてしまう。


  • ピーター・シルバーマン(演:アール・ボーエン/吹替:稲葉実)
逮捕されたカイルの尋問を担当した犯罪心理学者。ネット界隈では「腕の骨が折れた…」でお馴染み。
状況的に仕方ないとはいえ、カイルの話す未来世界のことは頭から信じておらず、今までに例が無いほど具体性のある妄想を語る頭のおかしい犯罪者だと思い込んでいた。
幸か不幸かT-800の警察署襲撃と入れ違いで外出したので、惨事には巻き込まれなかった。




【備考・余談】

今でこそシュワちゃん演じるT-800が大暴れなイメージが定着しているターミネーターシリーズであるが、その印象が明確に固まったのは続編である『2』の大成功があったからこそと言える。

そもそも初代自体はジェームズ・キャメロンが絶賛大スランプ中の最中に見たという、轟炎の中から現れたロボットが自分を殺しに来る悪夢から取ったアイデアが元となっているとのこと。
大作を目指しての壮大な製作というわけでもなく、数ある低予算映画の一つでしかなかったのだ。*2

話の主軸もアクションというよりかは、迫り来るターミネーターからの逃亡劇を中心としたホラーテイストの作品。
本作におけるT-800は飽くまでもサラ抹殺のみを目的とした純然たる悪役であり、『2』以降とは真逆の存在であると言っていい。

しかし蓋を開けてみれば、当時としては斬新なシナリオと、“オーストリア人の元ボディビルダー”というその出自ゆえにお世辞にも演技派とは言えず、当時は大根役者と見なされていたシュワちゃんの「無機質無感情な殺人ロボット」という棒読みを逆手に取った演技が評価され、大絶賛を浴びることとなったのである。

因みにT-800がトレーラーの爆発に巻き込まれてエンドスケルトン状態になった後、妙に動きがカクカクしているのだが、実はこれ、予算がカツカツな関係でシーンをコマ撮りしてどうにか難局を切り抜けたという裏事情があったり。
で、作中設定的にはトレーラーに轢かれたことと爆発に巻き込まれて機能不全を起こしたというシーンを盛り込む形で辻褄を合わせたのだが、そのこととコマ撮りによる不自然な動きが却って初代におけるT-800の役柄である殺人ロボットらしい不気味さを強調しているとして好意的に評価されていたりする。

2015年6月には20世紀フォックスより吹替えの帝王シリーズ第9弾として、計4種の日本語吹き替えを収録した特別バージョンが発売。
DVD版に加えてVHS版、テレビ朝日版、テレビ東京版の吹き替えが楽しめる。
特にテレビ朝日版の大友龍三郎版シュワちゃんや田中秀幸カイルが人気のようだ。

実は企画当初の予定では一見貧弱そうな男が異様な強さを発揮するという展開になる予定で、シュワルツェネッガーは本来カイル・リース役になるはずだった*3
が、シュワルツェネッガーに会ったキャメロンはその厳つい風貌や片言の英語*4が「人間のふりをしようとする機械」を演じるのに丁度良いと考え、またシュワルツェネッガーが撮影に非常に強力的でターミネーターのキャラクター性に関しても幾つかアイデアを貰った事もあり彼をT-800役として抜擢する事を決意したという。

この「一見貧弱そうだが実は強い」という構想は次回作T-1000で実現する事となる。

また男女の運命的な出逢いと交流、逆境に立ち向かう姿勢といったシナリオは、監督の後作である『タイタニック』にも活かされた。

【シリーズ一覧】



追記・修正お願いします。

この項目が面白かったなら……\ポチッと/

+ タグ編集
  • タグ:
  • ターミネーター
  • 映画
  • 洋画
  • カーチェイス
  • 銃撃戦
  • I'll be back
  • SF
  • 金字塔
  • 低予算
  • 革ジャン
  • 殺人マシーン
  • マッドマックス
  • アーノルド・シュワルツェネッガー
  • T-800
  • グラセフ
  • ジェームズ・キャメロン
  • マイケル・ビーン
  • ホラー
  • リンダ・ハミルトン
  • 伝説の始まり
  • ロサンゼルス
  • サイボーグ
  • 不朽の名作
  • ターミネーターシリーズ
  • タイムスリップ

このサイトはreCAPTCHAによって保護されており、Googleの プライバシーポリシー利用規約 が適用されます。

最終更新:2024年02月14日 08:50

*1 これは名前と住所だけしかデータが残っておらず、個人を特定することが出来なかったため

*2 作中舞台が現代のロスなのも、未来世界の情景やロボットなどは当時の技術では上手く実現できない上に費用も嵩むという理由があったから

*3 映画製作会社はターミネーター役には当時大スターであったO・J・シンプソンを推していた

*4 オーストリア出身のシュワルツェネッガーは当時オーストリアの公用語の一つであるドイツ語訛りがキツく英語があまり得意でなかった