SCP-065-JP

登録日:2017/06/17 Sat 02:02:22
更新日:2024/02/14 Wed 21:20:15
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SCP-065-JPとは、 SCP Foundationの日本支部に登場するオブジェクト(SCiP)である。
オブジェクトクラスSafe(収容手順が確立されているオブジェクト)。

●目次

【概要】

まずこのオブジェクトは井川さんの家である。
・・・どういうこっちゃと思う方がいるかもしれないが、文字通り東京都に所在している井川██氏の自宅なのである。
この家そのものがサイト-81██に指定され、周辺は常に警備員が配置されており、井川宅への侵入を防いでいるのだ。

正確にはこの井川宅そのものがオブジェクトなのではなく、井川宅の2階にある扉から行ける異世界である。
この異世界は基本的にはこの世界と同じ世界であるが、まぁお察しの通りいくらか差異が存在する。

まずSCP-065-JPの世界は元の世界より3年ほど先の未来である。
次に、井川氏の誕生までは全く同じ歴史を辿っている。
これは逆に言えば、井川氏が元の世界との差異そのものということで、SCP-065-JP世界では井川氏が誕生していないことが判明している。
つまり井川氏は元の世界の出身であり、SCP-065-JPの入口を通して異世界へと飛んでしまったのだ。
なお、元の世界において井川氏は20██年に行方不明として捜索届けが提出されていた。
こちらで行方不明の間、井川氏はSCP-065-JP世界で何をしていたのか・・・?
それはSCP-065-JP世界を調べた財団によって明かされることとなる。

【SCP-065-JP世界 ~いったいどうしてこうなった~】

さて、元の世界とSCP-065-JP世界の差異はまだ残っている。
それはズバリ日本である。
結論から言ってしまうと独裁国家と成り果て荒廃し、結果アメリカに占領されてしまっていた。 財団本部からすれば仕事が増えていい迷惑である。
無計画にホイホイ建造された公共設備、日本全土にわたってテーマパークやアミューズメントパーク施設跡が立ち並び、スラム街が乱立している。
財団による調査の結果、どうやら日本中に建造された施設、それも娯楽関係の施設が予算をあっという間に食い尽くしてしまったらしい。
いったい何故こうなってしまったのか。それは当の井川氏が総理大臣を勤めていたからである。
日本中に建造された無駄な施設も、それによって荒廃した街、果てはアメリカに占領される結果となった政策も、全て井川氏の仕業だったのである。

なお、SCP-065-JP世界にはちゃんと財団が存在していた。
だがどういう訳か、井川氏による日本の急速な変化を認識していたものの、異常現象としては認識していなかった。
そのため元の世界の財団が介入を行ったことにより初めて収容措置が取られている。

井川氏は一体何故日本をこんな状態にしてしまったのだろう?
最初から日本を荒廃させる気だったのか?それとも政治に関しては全くの素人だったのだろうか?
財団は井川氏を捜索した。財団の力をもってすれば人探しぐらい楽勝である。
程なくして東京都のとある駅で井川氏は発見された。・・・財団が見つけた時、既に物言わぬ死体であったが。
死因はどうやら激しい暴行だった様子。何故こんな仕打ちを受けたかは、想像に難くないだろう。

しかし何故、国民はこんな人物を総理大臣にしてしまったのだろうか?
井川氏が総理大臣になったとき、国民はどういう反応だったのか?
それを探るべく、財団のスタイルズ博士がイギリス人ジャーナリストを装い、民間人へのインタビューを行った。

インタビュアー(スタイルズ博士): わざわざ、お時間を取らせて申し訳ございません。

対象: 別に大丈夫ですよ。まあすることも無いですし。

インタビュアー: ありがとうございます。それでなのですが、井川総理が就任した当時のことについて教えていただけますか?

対象: それは、周りの雰囲気とか世論とかのことですかね?

インタビュアー: そうですね。

対象: 少しいいですか。[しばらく沈黙する] 言うとすれば、反発だとかそういうのも無く、みんな笑ってましたね、最初の内は。というか、真に受けてる人なんていませんでした。冗談としか思えなかった。ネタバラしのようなものも無く、ただ一週間、一ヶ月と経って行きました。あの総理自体が冗談のような存在だけど、言うことも冗談みたいでしたよ。あなたも知っているでしょう?

井川氏はどうやら相当な変人だったようだ。
ただ、誰からのツッコミも無いまま、時間だけが過ぎていったということだろう。

インタビュアー: ええ、政治について知らない人間でも政治としておかしいものだとわかるでしょうね。

対象: まあ、なんていうか、ウチの子供は喜んでいましたね。正確には"も"って言った方がいいかな。まあそんなもんですよね。あっという間に国中がレジャーランドになりました。そして、あっという間に国家予算が尽きました。

インタビュアー: 事前に色々なところで日本が現在、どんな状況かは見ていましたが、本当に国中が遊園地ですね。もし、井川総理の近くに着いていた人物をご存知でしたら教えていただきたいのですが。

対象: いや、流石に知りませんね。それに内閣の連中は全員消えました。

井川氏は子供が好きだったのだろうか。
一体何故井川氏はそんな行動に走ったのか。
それは総理官邸に残された井川氏の文書が全てを物語っていたのである。

【結局井川さんって何者なのよ?】


総理官邸の首相執務室、そこに井川氏が書いたと思われる文書が存在していた。
井川氏がどんな人物だったか、それはこの1ページ目を見れば全てがわかる。


20██年4月6日

今日やったこと
  • お父さんお母さんとけんかした
  • おうちを出た
  • ██さんとやくそくした
  • あしたからのことをおしえてもらった
感想
きょうからぼくはそうり大じん。お父さんもお母さんももうしらない。██さんはやさしいからぼくをそうり大じんにしてくれるってやくそくしてくれました。これからは"かんてい"ってところにすむみたい。日きもめんどくさいけどちゃんとかきます。

・・・もうお分かりだろう。井川氏は年端もいかない子供だったのである。
使用している漢字を読み取るに、小学校低学年ぐらいの児童だったのだろう。
勿論こんな子供に政治がわかるはずもない。日本が滅茶苦茶になるのは必然である。
インタビューの内容もそれを踏まえれば当たり前である。存在も言動も冗談みたいな存在。
そりゃそうだろう。だって子供なんだから。子供がいきなり総理大臣になると言われて本気にする民間人などいるはずもないし笑われて当然である。

・・・ちょっと待てよ?いくら子供の井川氏が総理大臣になったといえ、それがまかり通るだろうか?
ここで怪しいのはこの文書・・・いや、日記に登場する"██さん"である。
この"██さん"が井川氏をSCP-065-JP世界に連れ込み、総理大臣に仕立て上げ、井川氏の要望を実現させた張本人と捉えるのが無難だろう。

さてこの"██さん"の補佐を得て総理大臣となった井川氏がどんな政策をしたかというと・・・結果は既に見えているが、その内容も日記に記載されている。

20██年4月7日

今日やったこと
  • いろんな紙に名前とハンコをおした
  • カメラの前ではなした
  • いろんな人とあく手した
感想
おなじことばかりやらされてつまらなかった。テレビであいさつしたのはちょっとおもしろかったけど、まじめな話しあいはたのしくなかった。明日から「ほうりつ」を作れるのがたのしみです。

20██年4月12日

今日やったこと
  • ほうりつを作った
  • 「宿だいをなくす」法を作った
  • 「あさは10時からおきていい」法を作った
  • 「なつ休みながくする」法を作った
  • まだまだあるのでまたこんど全ぶかきます
感想
たくさんほうりつを作った。いろいろとやることがあるからこれがちゃんと法りつになるのは、もう少しかかるみたいです。よくかんがえたら宿だいやなつ休みの法りつを作るひつようはもうなかったと思いました。

まぁなんとも年相応の法律である。
ここで終わっていればまだ微笑ましかったろう・・・

20██年7月16日

今日やったこと
  • ████ランドができたからおいわいのパーティ
  • ████ランドであそんだ
感想
████ランドはあんまおもしろくなかったので██さんにもっとかっこいいのをたのんだ。

20██年7月19日

今日やったこと
  • いっぱいびょう院とか線ろとか作ることにした
  • ここのちかくから日本のどこにでも行けるように線ろを作る
  • そうり大じんらしいことをした
感想
さすがに楽しいことばかりだとだめだと思ったのでちゃんとをしごとをしました。がんばった

心構えはいいのだが、発想としてはゲーム感覚のそれと同じである。

20██年10月24日

今日やったこと
  • ████の町の人たちとお話しをした
  • ████の人たちにお金をはらってどいってもらうことにした
感想
うざいよ。

ここから一気に雲行きが怪しくなる。
おそらくは施設や設備を立てるために立ち退きをしてもらったのだろう。
しかしここで子供らしい本音が見えている上に、当然立ち退きを要求された市民にとってはたまったものではない。
国民は本格的に井川氏へ不満を募らせていくことになる。

20██年3月2日

今日やったこと
  • テレビでお話しをした
  • ██さんとけんかした
  • 「ぼくの言うことを聞かせる」法を作った
感想
日本の人たちからのぼくの人気がすごく下がってるらしい。楽しいのになんでかわからない。██さんは「しかたない」って言ってた。でもなんだか落ち着かないからあたらしい法律を作りました。

確かに仕方ないのだが、井川氏への支持率低下が無視できないものになってきたようだ。

20██年5月23日

今日やったこと
  • アメリカにおこられた
  • アメリカとやくそくをした
感想
アメリカのそうり大じん大とうりょうもぼくのこと好きじゃないみたい。みんなぼくのことがきらい。

遂にアメリカが関わってきた。
"やくそく"は恐らく後の占領へと繋がる不平等な内容なのだろう。
もっとも、井川氏本人がそれを理解していたかというと・・・

20██年5月25日

今日やったこと
  • いろんな人と話そうとした
  • ここにかくれることにきめた
感想
ここのまわりに人がいっぱい来ています。みんなぼくと話がしたいらしい。おこってる。かくれることにした。食べものは大じょうぶそうです。

アメリカとの"やくそく"の2日後である。
いくらなんでも国民も黙っていないだろう。

20██年1月5日

今日やったこと
  • ごはんを食べた
  • ほかは昨日と同じ
感想
日本の人、おこってるらしい。どうしよう。これってぼくのせい?

20██年1月10日

今日やったこと
  • ███さんが死んだ
感想
ここの中に入って来た入にころされたらしい。██さんは「もうすぐにげた方がいい」って言ってた。ぼくもそう思った。

遂に官邸側に犠牲者が出てしまった。
この"███さん"はSCP-065-JP世界へ井川氏を連れてきた"██さん"とは別人のようだ。
内閣関係者だろうか?

20██年1月14日

今日やったこと
  • なにもしてない
感想


日記はここで終わっている。
その後どうなったかは、この項目を読んでいるwiki篭り諸君ならお察しのことだろう。
しかし、日本を荒廃させてしまった総理大臣の正体がなにも分かっていない子供であったと考えると・・・なんだか自業自得とは言えない、やりきれない気持ちになってくるのではないか。




・・・ところで、こんなことになってしまった元凶である"██さん"は、いったいどうなったのだろう?
"██さん"は何故、どうやって井川氏をSCP-065-JP世界に連れ込んだのだろう?
というか、"██さん"とは一体、何者だったのだろうか?





SCP-065-JP

きょうからぼくはそうり大じん All We Need Is Dominator



【余談】

日本支部における当オブジェクトであるSCP-065-JPの記事の登録日時は、2017年6月と、ナンバーの若さにしては非常に最近投稿されたオブジェクトである。
このSCP-065-JP、実は二代目の作品であり、旧SCP-065-JP「選り分ける銃弾」が削除されたためである。
なお、「選り分ける銃弾」はあるTale作品の根幹に関わっていたため、日本支部における初のArchivedオブジェクト、SCP-065-JP-ARCとして再分類されている。

ちなみに、メタタイトルの"All We~"を直訳すると「我等に必要なのは支配者のみだ」。The Beatlesの某有名曲をもじったものだろう。

CC BY-SA 3.0に基づく表示

SCP-065-JP - きょうからぼくはそうり大じん All We Need Is Dominator
by EFU
http://ja.scp-wiki.net/scp-065-jp

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最終更新:2024年02月14日 21:20