ヴァルキュリア(北欧神話)

登録日: 2017/06/02 Fri 22:58:30
更新日:2023/07/27 Thu 08:23:39
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現在この項目は 【提案所】肥大化項目記述独立・簡約化等議論所 において、
記述の独立・簡約化の議論対象となっています。本項目に詳しい方のアイディアを募っています。






Wohl taugte dir nicht die tör'ge Maid,
ああ、ほんとうにこの愚かな娘は、
何のお役にも立てませんでした…


brdie staunend im Rate nicht dich verstand,
お父さまに何を教わっても、ただ驚くだけで、
まるで学び取れなかったのですから。



wie mein eigner Rat nur das eine mir riet:
でも、私があなたから学べたことが、
たった一つだけあります。





zu lieben, was du geliebt. ―
それは「愛すること」です。
あなたが、そうしていたように ―







― リヒャルト・ワーグナー「ニーベルングの指環」より
ブリュンヒルデの、最愛の父ヴォータンへの言葉





ヴァルキュリア(Valkyrie*1とは、北欧神話に登場する半人半神の女騎士たちのことである。
ドイツではWalküre (ヴァルキューレ、ヴァールキューレ)と呼ばれ、イギリスに伝わるとvalkyrie(ヴァルキリー)となった。 
日本では「ワルキューレ」の呼び名が一般的で、「戦乙女」「盾の乙女」などと訳される。

かつての北欧の人々、特に海の戦士たちヴァイキングに篤く信仰されており
現在でもいわゆる「女騎士」のルーツであり彼女らを代表するキャラクターとして広く知られている。



+ 目次



【概要】

ヴァルキュリアは武装した若く美しい女騎士の姿で描かれるのが一般的。
その名の意味はvalr (戦場の死体)+kjόsa (選ぶ)で「戦死者を選び取るもの」。また「オーディンの娘」とも呼ばれることがある。
彼女らはそれらの名の通り主であるオーディンの命を受けて戦場を駆けまわり、戦死者を神の国へと連れ去る役目を負っている。
また神の国に迎え入れられた戦士たちをもてなすのも彼女らの重要な役割である。

○外見について

ヴァルキュリアは、戦場においては武装した騎士の姿で現れるとされる。
鎧兜をまとい片手にを持ち、もう片方の手での手綱をひきしぼっている。
彼女らがまたがるのは天駆ける天馬であり、その鞍には弓矢がつけられているという。
その蹄の音は戦場に吹く嵐になるともいわれる。

ただ彼女らはいつも戦場にいるわけではなく、平常時にはちゃんと鎧兜を外して私服でいる。
その際はだいたい「白鳥の羽衣」と呼ばれる風にたなびく白い薄布一枚、もしくはそれを思わせるようなドレスをまとっている。
彼女らはしばしば「白鳥の乙女」とも呼ばれ、身にまとう武具にも白鳥の羽などがあしらってある場合が多い。
特に有名なのは白鳥の羽を両脇につけた羽かぶとで、絵画などでもしばしばモチーフにされており
日本でもワルキューレと言えば羽かぶとというイメージは強い(後述)。

また彼女らの外見で最大の特長となるのはその美しさだろう。
ヴァルキュリアはみな見眼麗しく若い女性の姿をしており、その美しさのあまり輝いて見えるとされる。
そんな光り輝く彼女らが天空を駆けると、その軌跡が極光(オーロラ)になるという。


○役割について

オーディンの娘とも侍女ともいわれる彼女らの役割は多岐にわたっており、戦士を戦場から連れ去るのはもちろん
神の館で彼らをもてなすのも彼女らの役目である。
また戦争のないときでも彼女らのつとめはあり、さらにいざという時はみずから敵の矢面に立ち戦うこともある。

●戦場でのつとめ

彼女らの主たるつとめであり象徴でもある、戦死者を神のもとへと運ぶ役割。
彼女らは戦場を駆け、その手の武器で死すべき運命にある戦士にとどめを刺す。
倒れた戦士の体はカラス*2に食い荒らされるが
ヴァルキュリアは彼らの魂を馬の鞍へと載せて飛び立ち、オーディンの館であるヴァルホル(Valhöll*3へと運ぶのだ。
彼らはエインヘリャル*4と呼ばれ、来るべきラグナロクでは神の敵と勇敢に戦うとされる。

また戦士たちを連れてくるばかりでなく、もちろん彼女ら自身も手にした武器で戦うことがある。
勝利をもたらすべき人間、自分が守護している人間のためには天から舞い降りて助勢するほか
最終戦争ラグナロクにおいてはヴァルキュリアたちもオーディンの指揮のもと敵の前に立ちふさがり挑みかかるという。
彼女らは自ら連れてきて仕えてきた戦士たちとともに勇敢に戦い、そしてともに滅ぶとされている。


●神の館において

戦場からヴァルホルへと連れてこられたエインヘリャルたちは、昼間は演習として大規模な模擬戦を行い、互いに死ぬまで戦いあう。
そして日が暮れるとみな生き返り、ヴァルホルの中でともに酒を酌み交わしあい互いの健闘をたたえあうのだ。

ヴァルホルには死ぬことなく無限に肉が採れるイノシシ*5や大きな乳房からとめどなく蜜酒をあふれさせるヤギ*6などがいて、
これらから採れる食材を腕利きの料理人*7が大鍋*8で料理する。
そしてその料理を彼らのもとに運び、彼らが手にしたさかずきに酒をつぐのがヴァルキュリアのもうひとつの大事な役割なのだ。

特にこの「酒をつぐ」という行為には重要な意味があるとされる。
現代日本でもこの行為は相手への敬意を示す所作であるが、古代北欧ではそれ以上の儀礼的な意味合いを持つ行為として行われていた。
特に高貴な女性が男たちの酒杯に酒を注ぐのは、団結のあかしであり平和を祈念する神聖な儀式だったのだ。

神の国の住人であるヴァルキュリアが人間の戦士たちに酒をつぐというのは
神から人間への敬意であり、人間として戦士としてこの上ない名誉なのである。
ヴァルキュリアたちはまた美しい歌声や舞いで戦士らをもてなし、次の日の戦いに向けて彼らの英気を養ったという。

●戦いのないときは

  • 戦場以外での仕事

    神の命のもと戦場を駆けまわる彼女らだが、戦いのないときもやはり役割はある。
    その最も重要なものは次の戦いの勝敗を決することである。

    彼女らは平時には歌を歌いながら糸をつむぎ機を織っているとされる。
    しかしその糸は人間のはらわたであり、糸巻きには槍を使っている。
    これらでつむがれた糸は血のような赤い色をしているという。

    そうして出来た糸を今度は機織り機に通すのであるが
    この機織り機もまた武器と死体で作られているとされる。
    横糸を縦糸に通す()は矢で、横糸を打ちこむ(おさ)や打ち板は剣や盾で出来ており、
    機の重りには人の生首を使っているという。

    この機織り機で織られた布は屍肉のような灰色をしており、彼女らはこの布に戦士たちの運命を織りこんで次の戦いの結果を決めるのである。
    織りこまれる運命はオーディンの指示によって左右され、それに逆らって勝つべきでない戦士に勝利を与えたヴァルキュリアは
    罰を受けて地上へと落とされてしまう
    (後述)

    あとオーディンの侍女として彼やその妻フリグの行く先に付き従い、ともに人間の儀式・祭祀に参列するのも重要な役割。
    彼女らは自身の正装である鎧兜を身にまとい、厳かな神事の席に華を添えた。
    それに戦時ではない平時であっても、偉大な勇者や優れた戦士の前に現れ手助けをすることもある。
    智慧の神オーディンの配下である彼女らは、武勇だけではなくルーン*9魔術に対する幅広い知識も兼ね備えている。
    彼女らはこれらの知識を直接教え授けるほか、魔術を用いて人々を祝福したり、逆に敵に呪いをかけたりすることもあったという。

  • 余暇

    戦場に神界に儀式にと休む間もなく働けば、当然必要になるのは余暇の時間。
    彼女らもけして例外ではなく、戦いも無くほかの役目にも一区切りついたなら、鎧兜を脱ぎ捨てて「白鳥の羽衣」を身にまとい、
    神の国・ときには人間界の野山や泉といった穏やかな自然の中に降り立ちその身と心を休めるのである。
    彼女らの羽衣は白鳥の翼に変わるとも、あるいは着たもの自身を白鳥に変えるとも言われ、
    彼女らはその翼で優雅に青空を舞いながらつかのまの休息を満喫する。

    しかし特に人間界に降り立った時は、泉での水浴びなどの隙にこの衣を失くしたり人間に隠されたりしてしまうこともある。
    そんなヴァルキュリアが泣く泣く人間の妻になるも、衣を取り戻して神界に帰ってしまうという
    日本の羽衣伝説にそっくりな伝承も残っている。(後述)

○その他

  • 出自・名前

    ヴァルキュリアたちは「オーディンの娘」と呼ばれ、実際にオーディンの血を引く娘として扱う場合もあるが
    多くの伝承では王侯貴族の娘…つまりは人間であったり、また神族であってもトールとその妻シフの娘であったり、
    運命の三女神スクルドなど巨人族の場合もあったりする。
    おそらく主神オーディンの目にかなった乙女が集められて(人間の場合は死後にその魂を選ばれて)
    ヴァルキュリアとして任命されたのであろう。

    また彼女らの名前は、その多くが戦い・戦争に関連したものとなっている。
    その中でもっとも有名であろうのがヒルド(hildr ヒルドルとも)という名で、そのものずばり「戦い」という意味を持つ言葉である。
    この単語そのものをわが名とする者がいるのはもちろん、他の多くのヴァルキュリアたちの名前にも
    後述の「ブリュンヒルデ」をはじめとして「○○ヒルド(ヒルデ)」といった形で使われている。
    あとは「槍」「剣」「兜」といった武具からつけられたり、「勇気」「勝利」「慈悲」といった戦いの美徳、
    あるいは「騒乱」「破壊」「暴虐」といった物騒なものまでさまざま。

  • 神格・性格

    神の国に住まい天を駆ける彼女らであるが、しばしば半神半人とされ神ではあるが人に近いという扱いを受けることが多い。
    前項の通りもともと人間のヴァルキュリアもいるということもあるが、
    出自にかかわらず神の命に背いたヴァルキュリアは神性を奪われ地上に堕とされてしまうのだ。
    地上に堕ちたヴァルキュリアはそれでも並の人間以上の能力を発揮するが、人間の男性と結ばれるとそれも失い完全に人間の女性となってしまうという。

    さらにはそれに加えて、彼女らは人と情を交わすことが多いというのもその理由だろう。
    彼女らは基本的には戦場で戦士たちを連れ去るなどといった神の命を粛々と執行するものたちだが
    そればかりではなくときに愛や慈しみ、ときに怒り憎しみをぶつけるためにも人の前に現れる。
    彼女らは神の国の住人らしからぬ豊かな感情をもち、人と対等な立場でそれを交わしあうのである。
    神の怒りに触れてではなく自らヴァルキュリアを引退する形で地上に降りて人間と結婚する女性もいたという。*10

    あと彼女らは人間以上の激情を秘めており、愛憎どちらも激しくあらわすことが多い。
    愛した男のために神の命に背き地に落とされることを選ぶこともあれば
    自分を裏切った男を殺したあげく自分も後を追って死を選ぶこともあるのだ。(後述)




【神話・伝承】

神話における彼女らの役割は前項で述べた通り、神や人の戦争に関わる天の使いとしてのものである。
しかし神話を下敷きにした伝承の中での彼女らは、その役割を負いながら人間と道ならぬ恋に落ち
そのために天界から落とされたあげくさらに落とされた先の地上でも破滅するという
哀しくも壮絶な悲恋の物語のヒロインとしての役回りが多い。
その中でも有名な人物らをここで取り上げる。

ブリュンヒルデ

ブリュンヒルデ(Brynhildr 英Brunhild)は数々の(エッダ)のなかで語られる、ヴァルキュリアの中でも最も有名な人物のひとり。
数々の物語の基となった竜殺しの英雄シグルズの生涯を語った「ニーベルンゲン伝説」のヒロインとして登場する。
ニーベルンゲン伝説は後にニーベルンゲンの歌」「ヴォルスンガ・サガ」など多くの物語の下敷きとなった。
これらそれぞれの物語、さらには大元のサガでも彼女の描写は記述によって少しずつ差異があるのだが、大まかにまとめると以下のようになる。*11

●天を追われるまで

フン族ブゾリの娘ブリュンヒルデは、オーディンに使える戦乙女のひとりであった。
ある日主命に背き勝たせるべきでないものに勝利を与えた彼女はオーディンの怒りにふれ、
罰として神性を奪われ地上に堕とされ、「恐れを知らないもの」と結婚する誓いを立てさせられてしまう。

はたしてブリュンヒルデは地上、雌鹿山(ヒンダルフィヨル)の燃えさかる焔の輪のなかで眠りにつき、
業火をも恐れぬ男をそこで待ち続けることになるのである。

●シグルズとの出会い

年月が経ち、炎を越えて一人の男が現れる。その男こそ竜殺しの英雄シグルズであった。
シグルズは彼女の肌に食いこみ寝台に縛り付けていた鎧を切り裂き、ブリュンヒルデを炎の中から解放する。

目覚めたブリュンヒルデは礼として彼にルーンの秘術をはじめとする様々な知識を伝える。
シグルズは彼女の賢さに憧れを抱き、強く惹かれるようになっていった。
そしてブリュンヒルデも彼こそが「恐れを知らない男」であると確信し、ふたりはお互いに契りを交わしあう。

しかしシグルズは、得られた知恵によってさらなる栄達をはかるべく彼女のもとを去って旅立つことを決意。
シグルズは彼女を捨てていくのではないことを示すため、身につけていた黄金の腕輪*12を渡し永遠の愛を誓う。

シグルズはこの地を去る前に、領主ヘイミルのもとを訪れる。
その時ヘイミルの館には、たまたまブリュンヒルデが逗留していた。
彼女はヘイミルの妻で姉であるベックヒルドを訪ねてきていたのである。
シグルズと再開したブリュンヒルデは、彼に不吉な予言を告げる。



「あなたは若き王女と結ばれる。わたしたちはともに短い生涯を散らし、再び結ばれることはない」


シグルズはこれを否定し重ねて彼女に誓いを立て愛を交わし再び旅立つ。
しかし、この予言はほどなくして的中することとなるのである。

●シグルズとの別れ

シグルズは旅路のさなか、ライン河畔のギューキ王のもとに身を寄せた。
だが英雄を手中に収めんともくろむ王妃によって、魔法の薬を飲ませられてしまう。
彼はたちまちブリュンヒルデのことを忘れ去り、王と王妃*13の娘である美しい王女に恋心を抱いてしまった。
はたせるかな、彼女こそがブリュンヒルデの予言した王女グードルーン*14であった。

シグルズを娘婿に迎えた王妃は、さらにブリュンヒルデを息子の嫁にせんと思い立つ。
王子*15は母の指示のもとシグルズを伴ってブリュンヒルデが住まう炎の館へと向かった。
しかしシグルズの助力を得てさえ炎の壁を越えられなかった王子は、王妃に指示されていた通り魔法で自身とシグルズの姿を入れ替える。
王子の姿で炎の壁を乗り越えてきたシグルズの求婚を、ブリュンヒルトは自ら立てた誓いのもと受け入れる。
ふたりは三夜の間、床をともにした。しかし王子の姿をしたシグルズは、ついに彼女に触れることは無かった。

彼はかつて自分が愛を誓って贈った腕輪を抜き取り、王子の腕輪を渡して去っていった。


●復讐と最期

こうしてそれと知らず王子の妻となりシグルズとともにギューキ王家入りしたブリュンヒルデだったが、
ある日義姉であるグードルーンと互いの夫の格について言い争ってしまう。


「わたしの夫は炎の壁を越えてきた勇者。 あなたの夫とは違う」


こう言い放ったブリュンヒルデにグードルーンは激昂。


「何も知らないくせに! 炎の壁を越えてあなたを抱いたのは、ほんとうはわたしの夫! 竜殺しの英雄シグルズよ!」


グードルーンは、シグルズがブリュンヒルデに贈りそして持ち去った腕輪を手にしてすべてを暴露。
真実を知ったブリュンヒルデは青ざめてその場を去った。

ブリュンヒルデは自分を裏切ったシグルズに復讐するため、自分をだましていた王子にこう言って迫った。



「あなたはわたしをだましていた! 初夜の日にわたしを抱いたのはシグルズだったのか!」


「わたしは同じ館にふたりの夫を持つ気はない。 あなたが死ぬか、シグルズを殺せ!」 


「どちらも嫌だというのなら、わたしが死んでやる!!」



初夜の床でシグルズは彼女に指一本ふれていなかったのだが、ブリュンヒルデはそれを伏せて夫である王子をなじる。
ブリュンヒルデを失いたくなかった王子は寝所のシグルズを彼の息子とともに刺し殺してしまった。*16

こうして復讐を果たしたブリュンヒルデだったが、荼毘に付されるシグルズの前で、
彼が初夜の日に自分に指一本触れなかったことを明かす。
そして自刃し燃えさかる焔の中に飛びこんでしまった。
かつて彼が彼女にそうしたように、今度は彼女のほうが炎を飛びこえ彼のもとへと旅立っていったのである。

●登場作品など

もともと複数の(エッダ)物語(サガ)に登場しており、そのほとんどでシグルズの運命の人として登場する。
物語によって若干の差異はあるもののいずれの場合もメインキャラクターのひとりであり、これらを総称して「ブリュンヒルデ伝説」とも言う。
これらの物語はそれぞれでブリュンヒルデの設定や扱いの軽重にかなり大きく差が出ている。

ニーベルンゲンの歌」では主人公のジークフリートは王女クリームヒルトを伴侶として選んでおり、
ブリュンヒルトは人間でしかもサブヒロイン扱いである。
ジークフリートはクリームヒルトと結ばれるため、彼女の兄グンテル王とブリュンヒルトの仲をとりもつことになる。
ブリュンヒルトは自分よりも強い男としか結婚しないと豪語する女傑で、多数の求婚者を腕試しで叩き殺していた。
ジークフリートは身隠しのマントを羽織って腕試しに陰ながら助太刀した。
さらに初夜の床でグンテル王に変装して、彼に代ってブリュンヒルトと♥♥してしまう。
哀れブリュンヒルトは貞操を、さらに男勝りの剛力までも失ってしまい、グンテルの貞淑な妻へと仕立て上げられてしまったのだ。
それなんてエロゲ

また「ブリュンヒルデの冥府下り」では、恋敗れて自決した後のブリュンヒルデがふたたびヴァルキュリアへと戻り、
彼の後を追って冥府に殴りこみをかけてそこでようやくシグルズと結ばれたというなんとも派手な立ち回りを見せる。

この時点ですでに戦乙女としては最も有名だった彼女だが、それを決定づけたのはやはり後述のワーグナーの歌劇「ニーベルングの指環」だろう。
この作品のメインヒロインとして抜擢されたことにより、彼女の名は一躍世界中へと広まっていったのである。
近年では銀河英雄伝説のローエングラム王朝初代皇帝ラインハルトの旗艦名、
崖の上のポニョ」のポニョの本名、「極黒のブリュンヒルデ」などにその名を見ることが出来る。



シグルーン


古エッダ「ヘルギの歌」三部作において、主人公であるヘルギの伴侶となった戦乙女。
彼女はヘルギとともに2度にわたって転生し、その3度の生涯をヴァルキュリアとして彼とともに過ごした。


一度目は殺戮の乙女スヴァーヴァ。
二度めは勝利の乙女シグルーン。
そして三度めは狂乱の乙女カーラとしてである。

シグルーンは戦士ヘルギとともに戦いともに愛しあったが、そのたび悲しい別れを迎えてしまう。
しかし三度めの生でようやく、ふたりでともにヴァルハラへ旅立つことができたのだという。
詳細は個別項目を参照。

○その他

●スクルド

ある意味ブリュンヒルデやシグルーンよりも有名な女神。
北欧神話の運命の三女神ノルニルの長である三姉妹のひとりで、ウルズ・ヴェルザンディらの妹。
人間の寿命・死期を決定する役割を持つ彼女はヴァルキュリアを兼ねているとされる。
絵画などではよく人々の運命を書き記している姉たちの傍らで、鎧兜を身にまとい剣を佩いた姿で描かれている。
彼女は数多く存在する運命の女神(ノルニル)らの長であると同時にヴァルキュリアの長であるともいわれ、
伝承ではよくヴァルキュリアたちの筆頭格として名前が挙がっている。
詳細は個別項目を参照。

●槍の歌

スコットランドで12人のヴァルキュリアが武具と死体で出来た織機で戦死者の運命を織りあげていたという怪異譚。
12人のうち、名前が明らかになっているのは以下の6人である。

・ヒルド (Hildr 戦い)
・ヒョルスリムル (Hjörþrimul 剣を鳴らすもの)
・サングリーズ (Sanngríðr 暴虐)
・スヴィプル (Svipul 気まぐれ)
・グンル (Gunnr 戦い)
・ゴンドゥル (Göndul 魔法の杖を振るうもの)

彼女らはその多くが他の伝承でも名を連ねており、著名な戦乙女であったことがうかがえる。

ヴォルンドルの歌(ヴェルンドの歌)

古エッダのひとつで、フィンランドの王子ヴォルンドル(ヴェルンド)の物語。
キヤール国の王女でヴァルキュリアの、

・ヘルヴォル・アルヴィトル(Hervor alvitr 全知の軍略者)
・エルルーン(Ǫlrun 麦酒(エール)の乙女)
・フラズグズル・スヴァンフヴィート(Hlaðguðr svanhvít 白鳥の女騎士)


「白鳥の3姉妹」は、池の岸辺で亜麻を織っていた。*17
しかしそこにやってきたヴォルンドルとその兄弟ら3人の王子たちに白鳥の羽衣を隠されてしまう。
やむなく彼女らはヴォルンドルらの妻になるが、9年目の冬には羽衣を取り戻し飛び去っていってしまったと伝えられる。


【解説】


○起源とその背景

戦場を飛びまわるヴァルキュリアは、元来は冷酷な死神であったというのが通説である。
主神オーディンの使いであるカラスや狼は、戦士たちの遺体をついばみむさぼり大地に還す役割を持っていた。
「ヴァルキュリアの馬」という言葉も、本来は狼を指すものであったと言われている。
狼やカラスが戦死者の体を奪うように、彼女らヴァルキュリアは無慈悲に戦士の命を奪い魂を持ちさる死神であったのだ。

しかしその後彼女らはフィルギャ(fylgja 追随者)と呼ばれる守護霊と習合され、武装した少女の姿の守護霊として定着することになる。
なぜこのような変遷を遂げたのか、それは北欧の人々をとりまく環境とそれらにより育まれた文化・思想が大きく関わっている。


●風土について

極地を望むスカンディナビア半島は、言うまでもなく厳しい自然にさらされた土地である。
国土の多くが切り立った岩山と森林で、わずかな平地は断崖を経てすぐ海となり農耕に向いた広い土地が少ない。
しかし短い春~秋には、これらの土地は気前よく恵みを分け与えてもくれた。
海や川はたくさんの魚介、森林と岩山は獣や木の実をもたらし人々を栄えさせたのだ。

それでも豊かな時期はたちまちのうちに過ぎ、長く厳しい冬が訪れる。
農耕に向かず保存のきく穀類が多く採れないため、冬の蓄えはその多くを交易に頼っていた。
だが交易がうまくいけば問題は無かったが、うまくいかなければ略奪してでも蓄えを得なければならなかった。
そうでもしなければとても冬を越すことができなかったのである。

そうして長い冬を乗り切ればふたたび春の日が差し、豊かな自然が戻ってくる。
闇が訪れない白夜のもとで人々はその恵みを謳歌し、暗く長い冬から解き放たれた反動でさかんに愛し合い子をなしていった。
けれど恵まれた季節はあっという間に過ぎ去り、人々は人口が増えた状態でまた長い冬を迎えねばならなくなるのである。

この長く厳しい季節と短く豊かな季節の繰り返しは、終わりのない生きる糧を求めての戦いを彼らに強いることになった。
必要な糧食は国土の中ではもはやまかないきれず、多くの民が海路・陸路から他国家へと向けてさかんに進出していく。
そうしてときに勇猛果敢に敵と戦いあらたな土地を拓き、ときに暴虐非道に略奪を行うノルマン人(ヴァイキング)が成立したのである。

●文化・思想について

厳しく長い冬に立ち向かうため終わることのない生存闘争に身を投じていったノルマン人たち。
当然のように彼らの間では尚武が旨とされ、敵と戦い倒すことが誉れとされた。
また、戦いでは避けられぬ自分たちの死についても肯定的な思想に傾いていき、
戦場で敵を殺すことと同様自身が死ぬこともまた誉れとされたのである。

半面、生産活動に携われない人々に対しての扱いは酷薄なものであった。
赤子や奴隷などに対しては、口減らしを目的とした間引き・生贄の儀式も根付いていった。
そして老いや病で死ぬことは恥辱とされ*18、死の間際に槍で胸を突いてもらうという風習さえあったという。

また特筆すべき点として、ノルマン人の社会では女性の地位が高かったことも挙げられる。
男が漁に遠征に出ているあいだ家を守る彼女らは多くの知恵・教養を身につけ、共同体を支える役割を担ったのである。
北欧の女性は男性と同様武器の所持が認められており、神官・軍の指揮者といった指導者階級に就くものも多かった。
そのため女性全体の社会的地位も向上しており、強姦などは相手が奴隷であっても厳罰に処せられたという。

ただ、これらは間違いなく現代の価値観においても優れたことではあったのだが、半面性的に抑圧された男性を多く生むことにもなった。
さらに古代ノルマン人社会は一夫多妻制でもあったので、女性から選ばれずあぶれる男が多数存在したのであろう。
そんな彼らが唯一名誉を取り戻せるのは、とりもなおさず戦いの機会のみであったと言える。
彼らは社会から認められるため、自らの誇りを取り戻すため、しゃにむに戦いに挑んでいったのだ。
それでも一度つけられた格差を埋め戻すのは並大抵のことではない。まして女性の数も国の中で養える世帯の数にも限度がある以上、
いちどあぶれた側に立ってしまった者の中には、社会そのものに絶望してしまう人間もいたであろう。

そんな独身男性らだけでなく、古代北欧の思想には多かれ少なかれ厭世的な部分がある。
その生涯の大半を冬の明けない夜で過ごす彼らの世界観には陰鬱なものが漂っている。
全ての神々が終わらない冬の果てに敵と戦い全て死に絶え、その後に光り輝く新世代が訪れる北欧神話は
そのまま彼らの生涯・世界観の引き写しなのである。

さらに外からの侵略者はもちろん、共同体の内部からでさえ数々の制約を強いられ
抑圧されてきた彼らは現世に絶望し、それらからの解放を強く求めて来世へと希望をつなぐという価値観を持つに至ったのではないだろうか。

現世への未練を断ち切り来世へと希望を見出した彼らは死を恐れぬかのように戦った。
しかしやはり彼らにとって死は恐怖であることに変わりはなかった。
その中でも恐れられたのはまず「長く苦しみに満ちた死」であった。
厳しい寒さの中で手傷を負えば、致命傷でなくとも動きは取れなくなる。
そうなれば狼やカラスにじわじわと喰い殺されてしまうことになるだろう。
さらに侵略者である彼らは、ひとたび敵に捕らえられてしまえば獣によるものよりもなお長く苦しい死が待っていた。

そしてそれを越えて最も恐れられたのは「不名誉な死」
すなわち、「誰にも顧みられることのない孤独な死」であったのだ。
これは彼らにとって、苦しみに耐え続け積み重ねてきた生涯すべてを否定されてしまうに等しい。
ノルマン人たちはこれらの恐怖から自分たちを救う存在を強く求めるようになるのである。


●ヴァルキュリアの成立

自然、外敵、内なる敵らと生き残るための戦いを強いられ、現世に絶望し来世にあこがれる戦士たち。
ヴァルキュリアという存在を解析していけば、彼らの望むところが透けて見えてくる。

戦場を駆け死すべき定めの戦士にとどめを刺し神の元へと連れ去る彼女らは戦士らにとって、
自分たちを敵や獣にもてあそばれる『長く苦しい死』から解放し、死後の魂とともにあって喜びと誉れを分かち合うことで『孤独な死』から救い
飢え、寒さ、死、あざけりなどといった苦痛に満ちた現世から栄光に満ちた神の国へ送り届けてくれる存在であったのだ。

現代においてさえ、過酷な自然と厳しい戒律、国際社会の強い外圧にさらされ
貧しければ女性に触れる機会さえ与えられず現世での生に絶望したイスラム教徒たちが
「勇敢で敬虔なイスラムの戦士は死後天界で72人もの永遠の処女(フーリー)たちの歓待を受ける」
という教えにせめてもの救いを求め、爆薬を抱いて敵に飛びこんでいくという現実がある。

自然、共同体内外、自身を取り巻く環境すべてから抑圧され、
いつ死ぬか殺されるかわからぬまま先の見えない生を生きる戦士たち。
彼らがせめて人としての尊厳を取り戻したいと願い戦乙女たちの存在を信じて、
あるいは信じたふりをして生きて帰れぬ戦いに身を投じていくのは哀しくも自然な流れだったのかもしれない。

彼らは一方的な悪ではないにしろ侵略者であることは確かで、その行為は全面的に肯定されるべきものではない。
しかし勇敢に戦い戦場で散った彼らの魂は、いまでも神の館で戦乙女(ヴァルキュリア)とともにあるのだと信じたい。


○二次創作におけるヴァルキュリア

前述のとおり神の忠実なしもべでありながら自分の選んだ男性と運命を共にするヴァルキュリアは、男性の理想像として受け入れられた。
また女性にとっても人間の男性を超える力をもって戦場を駆け、破滅に陥ることになろうと自身の感情を押し通す彼女らは
「自立した女性」の象徴として理想の存在となったのである。

こうして彼女らは時代を超えて人々に支持され、後世でも戦場・戦いにおける美と強さ・それに勝利の象徴として、
また死や困難を乗り越え愛を貫く存在として定着し、現代でもなお新たな物語を産みだしつづけている。

また物語の登場人物のみならず、戦争に深くかかわることから現実・創作問わず兵器や作戦名などにその名が使われることも多い。
また後述の「ニーベルングの指環」の影響からか、楽曲のモチーフとしてもしばしば取り上げられる。


●ニーベルングの指輪

19世紀ドイツの作曲家リヒャルト・ワーグナーの手による長編歌劇。
ヴァルキュリアを主題とした作品の中では…
いやさ、それ以外のあらゆる分野のなかでも最も有名かつ高名なものに数えられる作品のひとつ。

ストーリーは基本的に、前述の「ニーベルンゲン伝説」に沿って進んでいく。
だが、オーディンの実の娘として設定されたブリュンヒルドが父親に対し堂々と父の命に背いた自分の判断について主張を行ったり
ジークフリートとの出会いの際に神の国が滅ぼうと彼を愛すると歌い上げたり、
ブリュンヒルドというキャラクターの「自立した女性」「愛を貫く女性」といった部分がより強調されている。
また同作品の中では彼女の妹として8人の、ワーグナーオリジナルの戦乙女が登場する。

この歌劇は原典となったサガよりもなお強い影響を後世に残し、いまなお多くの物語のモチーフとされている。
またその楽曲も多くの作品で引用されている。
映画地獄の黙示録で流れる「ワルキューレの騎行」が有名。


超時空要塞マクロス

日本に「ヴァルキリー」の名を大きく広めたのは間違いなくこの作品。
地球人を大きく超える文明と戦力を持つ巨人型異星人と、彼らの砲艦を改装した超大型戦艦マクロスとの戦いを描いたスペースオペラである。
マクロスの原型となった砲艦の落着により地球外生命体の接近とその戦力を知った人類は、
彼らとの戦いのためにF-14トムキャットをベースとして3形態に変形できる可変戦闘機を開発した。

この機体に与えられた名称こそが「VF-1 バルキリー」である。

バルキリーはその後の地球外生命体との戦闘で数々のエースパイロットとともにいかんなく実力を発揮し、
「バルキリー」の名はこの作品におけるこれ以降の「可変戦闘機」すべてを指す総称ともなった。

そして「バルキリー」の影響力は作品内にとどまることなく、日本のロボットアニメ史に決定的なメルクマールを残した
「リアルな戦闘機からリアルなロボットに、リアリティ溢れる変形を行う」機体が大空・宙域を自身が発射した無数のホーミングミサイルとともに
まさしく戦乙女のごとく美しい軌跡を描いて縦横無尽に飛びまわるさまはロボットにもアニメにも興味のなかった人たちの目までも惹きつけ、
「リアル志向の変形ロボット」というひとつのジャンルを確立したのだ。
そして戦乙女(バルキリー)の名を持つこの機体は、日本のあらゆるリアルロボットのなか、その人気と格で唯一ガンダムと並べる位置にまで登りつめたのである。

またこの作品はシリーズ一貫して「歌」がストーリー上重要な位置を占める。
その歌、楽曲の中にもまた戦乙女がモチーフとなっているものが存在する。
劇場版マクロスFでクライマックスを飾る、作品のサブタイトルと同じ名を持ち
シェリル・ノーム(May'n)ランカ・リー(中島愛)のツインボーカルによって歌い上げられる名曲
「サヨナラノツバサ ~ the end of triangle」では歌詞の中で繰り返し「ヴァルキュリア」の名が出てくる。
またマクロスΔでは、劇中で重要な役割を果たし、さらにはそこを飛び出して多数のメディアで活躍するアイドルグループとしてワルキューレが登場する。

ワルキューレシリーズ

日本において「ヴァルキリー」の名を広めたのが超時空要塞マクロスならば、
「ワルキューレ」の名とその姿を大きく広めたのはナムコ制作のこの作品群だろう。

主人公である神の子ワルキューレは、トレードマークの羽かぶとをかぶり剣と盾を携えているという、
馬に乗っていないことを除けば神話のワルキューレそのままのデザインである。*19

第1作は「ワルキューレの冒険 時の鍵伝説」(1986)。
ナムコットファミリーコンピューターゲームシリーズの第17弾として発売された。
トップビューのアクションRPGで、ロールプレイングゲームというジャンル自体がまだ確立していなかった時期に
手軽でわかりやすい操作とおとぎ話のようでありながら不思議なリアリティを秘めたグラフィックで好評を博した。

そしてシリーズの評価を不動のものにしたのが第2作「ワルキューレの伝説」(1989)。
アーケードゲームとして発表された本作はトップビュー視点のアクションアドベンチャーゲームで、
システム2基盤を採用することによりグラフィックやサウンド面が大幅に向上した。
これにより前作から引き継き開発に参加した富士宏氏のイラスト・川田宏行氏のサウンドの魅力が最大限引き出され
良質なゲーム性と控えめな難易度もあいまって当時のアーケードゲームの中では異例のヒット作となったのである。

ナムコがバンダイと合併した現代でもワルキューレはバンダイナムコを代表するヒロインであり、
それと同時に日本で一番最初に生まれ、そして一番有名になった「ヴァルキュリア」として
メーカーの枠を超えてナムコクロスカプコンヴァルキリーアナトミアプロジェクトクロスゾーン2などに出演している。


●「女騎士」の起源としてのヴァルキュリア(≒エロ要員としてのヴァルキュリア)

北欧神話のヴァルキュリアの成立以前から、「武装した強く美しい女性」という存在は割とポピュラーなものであった。
しかしその多くが神や魔物など人間と一線を画した存在だったり、人間であっても常日頃からの男性からの抑圧の反動か、
男を力づくでねじ伏せるなどして一方的な関係を迫るものが多い。

だがヴァルキュリアは天上の存在でありながら人間の男性を自身と対等、あるいはそれ以上の存在として扱う。
たおやかな天女であればさして珍しくないポジションだが、「美しくも気高い神界の戦士」という立場とこれを両立したのはおそらくヴァルキュリアが最初であろう。

それ以外でも
  • 神の命に忠実に従う一方、自分が選んだ男性のためにはそれに背くこともいとわない
  • 人間に激しい愛情・恋心を抱き、自分が選んだ男を誠実に愛する一方
    それを汚す者にはたとえその恋人本人であろうと苛烈に報いる
  • 戦いのさなか、あるいは愛憎のもつれの果てに悲劇的な結末を迎える
といった数々の要素は、現代のファンタジー文化におけるヒロインたちにも脈々と受け継がれている。

これらの要素はまさしく、ファンタジー作品に登場する女騎士のイメージそのものである。
彼女らヴァルキュリアこそ、現代のファンタジー文化における「女騎士」の起源であると言ってしまって差し支えないだろう。

現代ファンタジー作品においてもヴァルキュリアは「美しさと強さと気高さ」「神への反逆」「男への激情」「愛と裏切り」
といった要素のいずれかorいずれもを持って登場することが多い。
特に彼女らが光るのは18禁作品に登場した場合である。エッダ・サガの時点において既に…
  • 美女に神の国へと連れ去られ歓待される
  • 一人の女性と転生を繰り返しながら恋をする
  • 自分を教え導いてくれた女性をものにする
  • 凛として気高い女騎士を欲望のままに汚す
  • 他の男に操を立てた女性を奸計を用いて奪う
  • 男をはるかに超えた力を持つ女戦士を辱めて屈従させる
といった、異世界転生モノやらおねショタやらギャップ萌えやら屈服ものやらNTRやら現代に通じるエロストーリーの要素すべてを網羅しきってしまっているのだから。
現代の作品でもその役回りはほとんど変わることが無く、今日も彼女ら戦乙女は自分たちの系譜を受け継ぐ女騎士らとともに英雄や怪物や悪漢の相手をするのだ。



厳しい時代に生まれ死と隣り合わせの戦士たちを慰めた戦乙女たちは、
飽食の時代となっても多くの男性たちを癒し支え続けているのである。


○主な登場作品

●名称としての使用



●楽曲



●ゲーム


●アニメ・漫画・特撮



●ライトノベル他



●TCG



●ホビー


●18禁




【ヴァルキュリア名鑑】

ここでは著名なヴァルキュリアを、その名(+名の意味・由来)・出展・主な活躍・出演作品などとともに一覧として紹介する。
条件は「主神オーディンの配下である」「上記したヴァルキュリアの特徴をほぼすべて備えている」「個人名を持つ」ことであり、
これらに合致するのであれば出展の時期・内容は問わない。


名称
(日本語表記)
名称の意味(詳細) 出典 活躍など 備考・登場作品ほか
Hervor alvitr
(ヘルヴォル・
アルヴィトル)
「全知の軍略者」
Hervor 「軍勢の守り手」
+ alvitr 「全知」
ヴォルンドルの歌 白鳥の3姉妹の末妹。
3人の王子たちに羽衣を隠され、
姉妹3人とも王子たちの妻になる。
(上記項目参照)
Hlaðguðr svanhvít
(フラズグズル・
スヴァンフヴィート)
「白鳥の女騎士」
Hlaðguðr 「王冠の女戦士」
+ svanhvít 「白鳥のような」
ヴォルンドルの歌 白鳥の3姉妹の長姉。
3人の王子たちに羽衣を隠され、
姉妹3人とも王子たちの妻になる。
(上記項目参照)
Ǫlrun
(エルルーン)
麦酒(エール)の乙女」
「ビールのルーン」
ヴォルンドルの歌 白鳥の3姉妹の次姉。
3人の王子たちに羽衣を隠され、
姉妹3人とも王子たちの妻になる。
(上記項目参照)
フューチャーカード バディファイト
FGO
ほか
Róta
(ロータ)
「雹と嵐の乙女」
róta 「雹と嵐」
『ギュルヴィたぶらかし』 スクルド、グンルらとともに
戦場を駆ける戦乙女
Geirǫnul
(ゲイレルル)
「槍を掲げ征く者」
「槍を持って進むもの」
『グリームニルの言葉』
『名の諳誦(増補版)』
戦士たちに麦酒(エール)を運ぶ
戦乙女のひとり。
FEエコーズ」「神撃のバハムート
千年戦争アイギス」ほか
Gǫll
(ゲル)
「騒乱」
「騒がしきもの」
「騒動」 「騒音、戦闘」
『グリームニルの言葉』
『名の諳誦(増補版)』
戦士たちに麦酒(エール)を運ぶ
戦乙女のひとり。
Herfjǫtur
(ヘルフィヨトル)
「統率者」
「主人の足枷」
「軍隊の足枷」
「軍勢を縛りつけるもの」
『グリームニルの言葉』
『名の諳誦(増補版)』
戦士たちに麦酒(エール)を運ぶ
戦乙女のひとり。
ギレン暗殺計画」ほか
Randgrid
(ランドグリーズ)
(まも)りの盾」
「楯を壊すもの」
「盾」+「守護」
「盾」+「平和」
『グリームニルの言葉』
『名の諳誦(増補版)』
戦士たちに麦酒(エール)を運ぶ
戦乙女のひとり。
テイルズ オブ リバース
「モンスターハンター
ダブルクロス」ほか
Reginleif
(レギンレイヴ)
「神々が遺した力」
「神々の残されたもの」
「力の跡」「神々の娘」
『グリームニルの言葉』
『名の諳誦(増補版)』
戦士たちに麦酒(エール)を運ぶ
戦乙女のひとり。
「斬撃のレギンレイヴ」
千年戦争アイギス」ほか
Ráðgríðr
(ラーズグリーズ)
「戦いを終わらせる者」
「計画を壊すもの」
「決定」+「休戦」
「わがまま」・
「いばりんぼ」?
『グリームニルの言葉』
『名の諳誦(増補版)』
戦士たちに麦酒(エール)を運ぶ
戦乙女のひとり。
エースコンバット」、スパロボ64ほか
Skeggjǫld
(スケッギョルド)
「斧を振り下ろす時」
「斧の時代」
『グリームニルの言葉』
『名の諳誦(増補版)』
戦士たちに麦酒(エール)を運ぶ
戦乙女のひとり。
FF11ほか
Þrúðr
(スルーズ)
「力強き娘」
「強きもの」、「強さ」「力」
『グリームニルの言葉』
『名の諳誦(増補版)』
戦士たちに麦酒(エール)を運ぶ
戦乙女のひとり。
雷神トールとその妻シフの娘
FGO」ほか
Hlǫkk
(フロック)
「武具を鳴らす者」
「武器を軋ませる者」
「騒音、戦闘」
『グリームニルの言葉』
『名の諳誦』
戦士たちに麦酒(エール)を運ぶ
戦乙女のひとり。
Hrist
(フリスト)
「轟音」
「とどろかすもの」
「震える者」
hrista 「振動、身震い」
に由来。
『グリームニルの言葉』
『名の諳誦』
戦士たちに麦酒(エール)を運ぶ
戦乙女のひとり。
Mist
(ミスト)
「霧の乙女」
「雲」あるいは「霧」
『グリームニルの言葉』
『名の諳誦』
戦士たちに麦酒(エール)を運ぶ
戦乙女のひとり。
FE蒼炎の軌跡暁の女神ほか
Geirahǫd
(ゲイラヘズ)
「戦いの槍」
geirr (槍) +höð (戦い)
『グリームニルの言葉』
『ギュルヴィたぶらかし』
戦士たちに麦酒(エール)を運ぶ
戦乙女のひとり。
「ゲイレルル」の別名?
Sigrdrífa
(シグルドリーヴァ)
「勝利へいざなうもの」
「勝利」+「行く」
「勝利のために鼓舞する者」
「勝利の進軍」
『シグルドリーヴァの言葉』 シグルドの恋人として名の上がる
戦乙女のひとり。
その描写はブリュンヒルデと
ほとんど変わらず、
彼女の異名とされる。
バトルスピリッツ」ほか
Bruennhilde
(ブリュンヒルデ)
「鎧の乙女」
Bruenne(甲冑・鎖帷子)
+Hilde(戦い)
→戦いの甲冑
『ニーベルングの指輪』 オーディンとエルダの娘で
戦乙女の筆頭格。
上記項目参照。
下記のものらとは別扱い。
歌劇ではソプラノが担当。
出演作は「銀河英雄伝説」、
「崖の上のポニョ」「FGO」他多数。
Gerhilde
(ゲルヒルデ)
「槍の乙女」
Ger(槍)+Hilde(戦い)
→戦いの槍
『ニーベルングの指輪』 ブリュンヒルデの妹。
ワーグナーオリジナルの戦乙女。
歌劇ではソプラノが担当。
神撃のバハムート」ほか
Helmwige
(ヘルムヴィーゲ)
「兜の乙女」
Helm(兜)
+Wiege&(揺りかご
・発祥地)
→兜の揺りかご
兜から産まれた女
『ニーベルングの指輪』 ブリュンヒルデの妹。
ワーグナーオリジナルの戦乙女。
歌劇ではソプラノが担当。
鉄血のオルフェンズ」など
Ortlinde
(オルトリンデ)
「刃の乙女」
Ort(切っ先・先端)
+Linde(菩提樹・淑女)
→剣の切っ先の乙女
菩提樹の梢
『ニーベルングの指輪』 ブリュンヒルデの妹。
ワーグナーオリジナルの戦乙女。
歌劇ではソプラノが担当。
鉄血のオルフェンズ」「FGO」など
Waltraute
(ヴァルトラウテ)
「勇気の乙女」
Wal(戦場)
+Traute(勇気)
→戦場の勇気
『ニーベルングの指輪』 ブリュンヒルデの妹。
ワーグナーオリジナルの戦乙女。
歌劇ではメゾソプラノが担当。
「ヴァルトラウテさんの
婚活事情」など
Siegrune
(ジークルーネ)
「勝利の乙女」
Sieg(勝利)
+Rune(ルーン文字)
→勝利のルーン
『ニーベルングの指輪』 ブリュンヒルデの妹。
「シグルーン」がモデル?
「シグルーン」とは別扱い。
歌劇ではメゾソプラノが担当。
「百錬の覇王と聖約の戦乙女」など
Roszweisze
(ロスヴァイセ)
「白馬の乙女」
Rosz(馬)
+Weisze(白・白い女性)
→騎上の白き乙女
白い馬
『ニーベルングの指輪』 ブリュンヒルデの妹。
ワーグナーオリジナルの戦乙女。
歌劇ではメゾソプラノが担当。
ARMORED CORE」、
「ハイスクールD×D」など
Schwertleite
(シュヴェルトライテ)
「剣の乙女」
Schwert(刀・剣)
+Leiterin
(支配者・指揮者)
→剣の支配者
剣を振るう指揮官
『ニーベルングの指輪』 ブリュンヒルデの妹。
ワーグナーオリジナルの戦乙女。
歌劇ではアルトが担当。
ヴァルキリー・ワークス」ほか
Grimgerde
(グリムゲルデ)
「怒りの乙女」
Grim
(仮面・覆面、怒り)
+Garde
(親衛隊、守護者)
Girde(要求する)
→仮面の守護者
怒りの追求者
『ニーベルングの指輪』 ブリュンヒルデの妹。
ワーグナーオリジナルの戦乙女。
歌劇ではアルトが担当。
鉄血のオルフェンズ」など
Svafa
(スヴァーヴァ)
「殺戮の乙女」
「人々を眠らせる者」
「人々を殺す者」
ヒョルヴァルズルの息子
ヘルギの歌
個別項目参照。 カードファイト!!ヴァンガード
ほか
Sigrún
(シグルーン)
「勝利の乙女」
「勝利のルーン」
フンディングル殺しの
ヘルギの歌 其の一
フンディングル殺しの
ヘルギの歌 其の二
個別項目参照。 「ジークルーネ」とは別扱い。
出演作はFE蒼炎の軌跡
暁の女神スパロボ64ほか。
Kara
(カーラ)
「狂乱の乙女」
「荒れ狂う者」
afkárr 「荒れ果てた」
に由来。
「巻き毛」の可能性も。
フンディングル殺しの
ヘルギの歌 其の二
個別項目参照。
Brynhildr
(ブリュンヒルド)
「戦いの栄光」
「輝く戦い」
『ブリュンヒルデの
冥府下り』『詩語法』ほか多数
上記項目参照。 上記とは別扱い。
出演作は「銀河英雄伝説」、
「崖の上のポニョ」他多数。
Sanngríðr
(サングリーズ)
「暴虐」
「とても乱暴な」
「とても残酷な」
槍の歌 『槍の歌』で人間の運命を織っていた
12人の戦乙女のひとり
GOD EATER2 RAGE BURST
ほか
Geiravǫr
(ゲイラヴォル)
「槍のヴォール」
「槍」+「ヴォル (vör)」
『名の諳誦(増補版)』 ヴォルは女神の名で、
「聞き耳を立てる者」
と呼ばれる。
Geirdriful
(ゲイラドリヴル)
「槍を投げつける者」
「槍を投げる者」
『名の諳誦(増補版)』 GOD EATER2 RAGE BURST
ほか
Herja
(ヘリヤ)
「破滅」
herja 「壊滅させる者」
に由来
『名の諳誦(増補版)』 グランブルーファンタジー」ほか
Hjalmþrimul
(ヒャルムスリムル)
「兜を鳴らす者」
「兜の音を立てる者」。
「女戦士」の可能性も。
『名の諳誦(増補版)』
Skalmǫld
(スカルモルド)
「剣を振るう時」
「剣の時」
『名の諳誦(増補版)』
Sveid
(スヴェイズ)
「衝撃」
語義不明。
「振動」「騒音」?
『名の諳誦(増補版)』 GOD EATER2 RAGE BURST
ほか
Þrima
(スリマ)
「戦闘」 『名の諳誦(増補版)』
Þǫgn
(ソグン)
「沈黙」 『名の諳誦(増補版)』
Hjǫrþrimul
(ヒョルスリムル)
「剣を鳴らす者」
hjörr (剣)
+þrima (戦闘、騒音)
『名の諳誦(増補版)』
槍の歌
『槍の歌』で人間の運命を織っていた
12人の戦乙女のひとり
Svipul
(スヴィプル)
「気まぐれな乙女」
「気まぐれ」
『名の諳誦(増補版)』
槍の歌
『槍の歌』で人間の運命を織っていた
12人の戦乙女のひとり
Tanngnidr
(タングニズル)
「歯噛みする者」 『名の諳誦(増補版)』 『ランドグリーズ』の別名?
Eir
(エイル)
「慈悲」
「平和、慈悲」
あるいは「救済、温情」
『名の諳誦』 フューチャーカード バディファイト
ほか
Hrund
(フルンド)
(いばら) 『名の諳誦』
Gunnr
(グンル)
「戦い」 『巫女の予言』ほか多数 『巫女の予言』
『ギュルヴィたぶらかし』では
スクルドに率いられ空を駆けていた。
槍の歌』で人間の運命を織っていた
12人の戦乙女のひとり。
Skuld
(スクルド)
「なすべきこと」
「税、債務、義務」
「未来」
『巫女の予言』ほか多数 運命の三女神のひとりで
人の死期を定める役割を持ち、
すべてのヴァルキュリアを
束ねるものともされる。
個別項目参照。
Skǫgul
(スコグル)
「激戦」
「戦い」「揺さぶる者」
『巫女の予言』ほか多数 『巫女の予言』ではスクルドと
ともに空を駆けていた。
『グリームニルの言葉』では戦士たちに
麦酒(エール)を運ぶ戦乙女のひとり。
Hildr
(ヒルド)
「戦い」 『巫女の予言』ほか多数 『巫女の予言』ではスクルドに率いられ
空を駆けていた。『槍の歌』では
人間の運命を織っていた
12人の戦乙女のひとり。
FGO」ほか
Geirskǫgul
(ゲイルスコグル)
「槍のスコグル」
「槍の戦」
「槍」+「スコグル (skögul)」
『巫女の予言』ほか多数 『巫女の予言』ではスクルドに率いられ
空を駆けていた。
『ハーコンの言葉』などでは
「スコグル」と同一人物。
FF11白猫プロジェクトFGOほか
Gǫndul
(ゴンドゥル)
「魔杖を振るう者」
「魔力をもつ者」
「魔法の杖を振るう者」
『巫女の予言』ほか多数 『巫女の予言』ではスクルドに率いられ
空を駆けていた。『槍の歌』では
人間の運命を織っていた
12人の戦乙女のひとり。
Brunnhilde
(ブリュンヒルデ)
上記の「ブリュンヒルデ」
らから
マイティ・ソー/
バトルロイヤル』他多数
魔剣ドラゴンファングを手にし
天馬アラゴルンにまたがり空を駆ける
最強のアスガルド神(アスガーディアン)
上記のものらとは別扱い。
地球人サマンサ・バリトンに憑依して覚醒。
Walküre
(ワルキューレ)
ヴァルキュリアの
ドイツ語表記に由来
『ワルキューレの伝説』
『ワルキューレの冒険』
ほか多数
魔王ゾウナの脅威にあえぐ
マーベルランドに降り立った神の子。
掲載条件には合致しないが特例として紹介。
日本を代表するヴァルキュリア。
上記項目参照。
Ahly
(アーリィ)
不明 『ヴァルキリープロファイル』
『ヴァルキリーアナトミア』
運命の三姉妹の長女。 個別項目参照。
Lenneth
(レナス)
不明 『ヴァルキリープロファイル』
『ヴァルキリーアナトミア』
運命の三姉妹の次姉。 個別項目参照。
Sylmeria
(シルメリア)
不明 『ヴァルキリープロファイル』
『ヴァルキリーアナトミア』
運命の三姉妹の末妹。 個別項目参照。
?????
(レイア)
不明 『戦乙女ヴァルキリー』
シリーズ
「蒼穹の戦乙女」。
民を守るという使命感と
慈愛の心を持つ戦乙女。
初作では個人名が無く
「ヴァルキリー」と呼称されていた。
Skuld?
(スクルド)
北欧神話の
運命の女神から
(上記参照)
『戦乙女ヴァルキリー』
シリーズ
見習い戦乙女の少女。
レイアに対して尊敬以上の感情を抱く。
上記とは別扱い。
2ではネタ担当。(個別項目参照)
Aaliyah
(アリーヤ)
「至高の存在」
「最高の存在」
(スワヒリ語)
『戦乙女ヴァルキリー』
シリーズ
「残月の戦乙女」、2の主人公。
大神オーディンより拝領した
神槍グングニルを振るう最強の戦乙女。
Hildegard?
(ヒルデガード)
「守るための戦い」
「戦い」+「守護」「包囲」
守備戦、包囲戦
『戦乙女ヴァルキリー』
シリーズ
「大地の戦乙女」。
大神オーディンの実の娘。



編集・追記は死を恐れず勇敢に戦ってからお願いします。








Götterdämm'rung, dunkle herauf !
神々の運命よ、闇に落ちて!

Nacht der Vernichtung, neble herein !
滅亡の夜よ、立ちこめて!

Mir strahlt zur Stunde Siegfrieds Stern;
いまのわたしを照らすのは、
このジークフリートという星だけなの!




er ist mir ewig, ist mir immer,
永遠の男性(ひと)、ずっと一緒よ!

Erb' und Eigen, ein' und all'
  わたしのたった一つの宝物・・・







― リヒャルト・ワーグナー「ニーベルングの指環」より
ブリュンヒルデの、最愛の男性(ひと)ジークフリートへの言葉






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最終更新:2023年07月27日 08:23

*1 古北欧(ノルド)語ではValkyrja (ヴァルキュリヤ、ヴァルキュリャ)複数形 valkyrjur(ヴァルキュリユル、ヴァルキュリュル)

*2 彼ら狼やカラスもまたはオーディンの遣いとされる。オーディンの項目参照。

*3 Valhöll ヴァルホル 古北欧語。 valhçl,valhollとも。 ドイツ語だとWalhalla ヴァルハラ。 オーディンの項目参照。

*4 エインヘリャル Einherjar 「一人で戦うもの」の意 

*5 セーフリームニル Sæhrímnir 「すすけた海獣」の意 

*6 ヘイズルーン Heiðrún  ヴァルホルで後ろ足で立ちながら「レーラズ」という木の若芽を食べているという 

*7 アンドフリームニル  Andhrímnir 「すすけた男」の意 

*8 エルドフリームニル Eldhrímnir 「火ですすけたもの」の意 

*9 rune 古北欧語でrún ゲルマン民族の間で使われたアルファベットの一種で、魔力を秘めた文字とされる。神話では、最高神オーディンがこの文字に秘められた力を得るために、わが身を生贄としてグングニルで貫いた上に9日9晩ユグドラシルに吊るしたという。オーディンの項目参照。

*10 後述するブリュンヒルデの姉ベックヒルドは、領主ヘイミルと添い遂げることを選び自らの意志で戦乙女を引退した。

*11 「ニーベルンゲンの歌」、「ニーベルングの指環」におけるブリュンヒルデはこちらを参照。

*12 のちの物語では指輪とされるのが一般的

*13 ヴォルスンガ・サガではこの王妃が「クリームヒルト」。

*14 Guðrún グズルーンとも。彼女を主題とした古エッダがいくつか存在するほか、「ニーベルングの指環」にも登場。 ニーベルンゲンの歌などでは「クリームヒルト」(Kriemhild)

*15 ギューキ王の息子グンナル。ニーベルンゲンの歌などではグンター王。

*16 直接手を下したのはグンナルの弟グットルム。ニーベルンゲンの歌などではグンター王の重臣あるいは弟のハーゲン(ハゲネ)

*17 この「亜麻を織る」という行為も、人の運命を決していることを暗示するものだという。

*18 病や老いで死んだ者はロキの娘ヘルが支配するヘルヘイムルへ堕ちるとされた。

*19 ただし彼女自身は神話のワルキューレではなく、自分の姿を見た人間たちに呼ばれた名をそのまま名乗っているらしい。