SCP-1851-EX

登録日: 2017/03/06 Mon 00:37:20
更新日:2024/01/09 Tue 11:33:01
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SCP-1851-EXはシェアード・ワールドSCP Foundationに登場するオブジェクト(SCiP)である。
アメリカ確保収容イニシアティブのClassification Typeでは「Threatening」だが、

以下は記録情報セキュリティ事務局によりアクセス不可のコードレッドとして分類されています。アクセスはレベル5職員のみに制限されています。このドキュメントは、1916年1月1日にこの組織(the American Secure Containment Initiativ:アメリカ確保収容イニシアティブ)がいくつかの他団体と合併し現在の財団となった際、監査指令001により無効化されました。この記録は保管のみを目的として残されています。

財団のExplained(解明済み)指定からわかる通り、Unclassedオブジェクトというわけではない。

ExplainedオブジェクトにはSCP-8900-EXSCP-1841-EXSCP-014-JP-EXが存在するが、どちらかというとSCP-1841-EXに近い。

項目名は「Drapetomania (逃亡奴隷精神病(ドラペトマニア))」。



概要、というか歴史


実験補助人員として非公式にドラペトマニアクラスと呼称される黒人労働者を雇用していたアメリカ確保収容イニシアティブは、現象1851-023には度々悩まされてきた。

主任研究員S. Cartwrightが「Drapetomania」と呼称し、研究していたこの現象1851-023は、労働者として雇用されている黒人が影響を受けると神に与えられた職務と土地を脱して他の土地へ向かおうとする願望を持つ。

普通に考えて過酷な苦役から逃げようと思うのは当然だが、何をどう血迷ったのか、あるいは黒人は人間ではないと思ったのか、そんな「異常現象」が起きた際は、以下のプロトコルを実施された。

影響を受けた労働者は神によって任命された所有主に示す適切な敬意を聖書の教えを通して教育される
  1. 日に100回の鞭打ち(若い娘は75回、ピカニニ(子供)は50回)
  2. 両足の親指の切除。
  3. 改善できない奴隷はこの報告書に詳しく述べられているような手に負えない者のためのプログラムに採用

アメリカ確保収容イニシアティブとは

南北戦争以前のアメリカ南部にあった組織。
南部では当時は黒人の奴隷労働は普遍的に行われていた時代であり、奴隷労働者が逃げ出そうとする事例も度々あったという。

つまり逃亡奴隷精神病(ドラペトマニア)はこのSCP-1851以外で言及されることもない団体(白人)が無辜な黒人の収容を図った人権差別である。


その後


北部の勝利は黒人奴隷の解放を意味することになる。

これまで同様に黒人を雇うのは反発を招くと考えたアメリカ確保収容イニシアティブはドラペトマニアクラスの対象を死刑囚や浮浪者、救貧院や孤児に制度転換した。

しかし、反発の結果、最終的に死刑囚のみを対象に更に二重盲検法を用いて、犯した罪以外の人種・性別あらゆる要素を無視した人員を選別。

かくして差別的扱いはなくなり、黒人だろうが白人だろうが黄色人種だろうが単純に犯した罪の重さだけで決定されることになった。

そして現象1851-023あらため、SCP-1851はExplained指定を食らう際、Cartwright研究員は全ての破棄を要求したが、


Cartwrightに君は地獄行きだと伝えてくれ。私たちはそれを取り除くが、何をしてきたかの記録は保ち続ける。彼の仲間がこれを行い、私たちが彼を手伝ったということを。
私たちは彼についての記録を白塗りにはしない。
私たちの所業をどのように埋め合わせることになるかは分からない、だが少なくとも記憶に留めておかなければならないのだ。
ーー O5-9

こうして現在の「Dクラス」……「Disposable(使い捨て)」要員と広め直したものと思われる。



余談

ドラペトマニア、S.Cartwright研究員、そして以上のエピソードは実は元ネタが存在する。

南北戦争の軍医Samuel Adolphus Cartwright(サミュエル・A・カートライト)は大真面目に『奴隷が逃亡する精神病「ドラペトマニア」には鞭打ち刑が治療になる』と医学的正当性を訴える医学論文を掲載していた。

彼の師匠にあたるベンジャミン・ラッシュはトーマス・ジェファーソンとジョン・アダムズの和解を仲介したことや、連邦政府の設立への寄与、精神医学への多大な功績や奴隷制廃止論などの数々の人道的な功績を残しているにも関わらず知名度が低い。
そんな師の一方で弟子のサミュエル・A・カートライトは前述の悪名のせいで知名度が高く、奴隷制を擁護する弟子は他にも存在している。

ラッシュさんは草葉の陰から差別に加担する弟子を見て何を思ったのか*1。なんとも皮肉な話である。


荒らしには地獄行きだと伝えてくれ。私たちは追記を修正するが、何をしてきたかの項目は保ち続ける。


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最終更新:2024年01月09日 11:33

*1 最も、ラッシュさんは人道主義者であると同時に医学者であり、その弟子が人道主義を継承しなくても不思議なことではない。